Choose thy LOVE.Love thy choice 作:ぴぽ
「この間は、すみませんでした。生意気な態度でしたよね。」
「私の方こそごめんなさい。大人気無かったわ。」
机を挟んで、茜と千聖は頭を下げた。この間みたいに、一触即発みたいな雰囲気になるのではないかと光は構えていたが杞憂に終わりホッとしていた。
「ところで、何でマッサージなんかしてたの?」
茜は自身が勘違いした件を聞いた。未だに顔は真っ赤であった。
「えっと…。千聖さんが肩が凝っているって話になって…。」
「私が頼んだのよ。気持ち良かったわ。」
ホクホクした表情で千聖が答えると光は照れながら頭を掻いた。
「あの…。2人は付き合うことになったんですか?」
「まだなのよ。光君待ちよ?」
「はぁ~。光君!何に悩んでるのよ!この前みたいに、僕には釣り合わないとかで悩んでるなら…。」
茜はそう言いながら腕まくりをした。拳はグーに握られていた。
「ち、ちょっと!あーちゃんストップ!」
「だから!あーちゃんって呼ぶな!」
「ふふっ。あーちゃんって呼び方可愛いわね。私も呼ばして貰うわ。」
「ち、ちょっと!白鷺さん!?」
焦りながら言う茜に対し、千聖はニコニコとしていた。
「…なら、私は白鷺さんの事、ち、ちーちゃんって呼びますよ!?」
「…ちーちゃんは辞めて欲しいわね…。」
茜が冗談のつもりで言ったが、千聖は先程までの微笑みを止め、遠くを見ながら呟いた。
「と、と、ところで光君は結局、なんで千聖さんと付き合わないの!?」
千聖の様変わりに驚きながら茜は光に話しを振った。
「…好きかどうか分からないからだよ。憧れと好きは違うでしょ。これでも本気で考えているんだから、いちいち聞くなよ。」
光はため息交じりで言った。
「…そ。なら良いけど。ところで白鷺さん、いや、ちーちゃん?」
「な、何かしらあーちゃん?」
「うっ…。え、えっと、その、付き合って大丈夫なんですか?その、アイドルって、その、恋愛とかタブーなイメージがあるんですが。」
「大丈夫じゃないわね。普通なら…。」
「へ?な、なのに、光君と?」
「えぇ。これだけは譲れないわ。でも、アイドルも辞めないわよ?」
「…えっと、要はバレなきゃ良い…と?」
「言い方はアレだけど…。そうね。」
ニコっと笑いながら千聖は言うが、光と茜は心配そうに千聖を見ていた。光が千聖の返事を保留している1つに千聖がアイドルだからと言うのが含まれている。今までは「アイドルと自分が交際するのは釣り合わない」だったが、今は「自分と付き合う事で、千聖がアイドルを辞めてしまうのではないか」と考えているからだった。
「(千聖さんはアイドルを辞めないと言ってるけど、本当かな?僕の好きな千聖さんはやっぱりステージで、輝いている姿…。それが見れなくなるのは嫌だなぁ…。)」
光は遠くを見ながら考えていた。
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あれからすぐに「塾があるから」と茜は帰って言った。ちなみにだが、光に対しての謝罪は「悪かったね。」と帰りしなにサラッと言っただけであった。
「光君?何を考えていたの?」
「へ?」
「私の告白の返事の事かしら?」
茜が帰る入れ違いに、光の母親が持ってきてくれた紅茶にミルクを入れながら千聖は言った。
「そうですよ。…千聖さんが僕と付き合ったらアイドルを辞めちゃうのかなぁって思っちゃって。」
「さっきも言ったけど辞めないわよ?」
「…そう言ってましたね。仮に、僕と付き合ってて、バレたらどうしますか?」
「…そうね。その時考えるわ。」
表情を変えずに淡々と千聖は答えた。千聖はよく光の表情や仕草などを読み取って心を読んだりするが、光にはそんな能力は備わっているはずもなく、困惑した表情を浮かべるしか無かった。
「…あの。僕はステージに立つ千聖さんが1番好きなんです。アイドルとしてキラキラした千聖さんを見て、毎回ドキドキさせて貰ってます。だから、辞めないで欲しいです。」
光は今、自分が思っている事を千聖に伝えた。
「分かったわ。そんな風に思ってくれて、嬉しいわ。初めて会った時に待ち伏せしてたくらいだものね。」
「え"」
「気付いてないと思ってたの?…ふふっ。サイン色紙を持ってたわよね?普通、たまたま会っただけじゃ色紙なんて持ってないでしょ?」
「え、えっと!あ、あの…。はい…。その通りです…。1度、見かけて、また通るかもと待ってました。」
光は恥ずかしさから顔を下げて言った。
「ふふっ。ありがとうね。嬉しいわ。ところで光君、クリスマスなのだけど。」
「は、はい。」
「私の家に来ない?クリスマスパーティーしましょう。」
千聖はそう言うと光に近づき、抱き締めた。
「わ、分かりました。お、お邪魔させて貰います。ち、千聖さん。ま、まだ充電しないとだ、ダメですか?」
恥ずかしそうに光が言うと、千聖は「そうね。」と呟き、光の耳に顔を近づけた。
「光君、大好きよ。返事はいつまでも待ってるから…。私がアイドルだからではなくて、1人の女子高生、白鷺千聖として見て欲しいわ。」
「え?は、はい。」
「宜しくね。」
千聖はまた呟くと光の頬に軽く「チュッ」とキスをした。それに気付いた光は意識が飛びそうになるのを押さえ、千聖を見た。千聖はいつもの様に微笑んでいたが、頬は赤く染まっていた。
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あれから数日後、クリスマス当日になっていた。街はどこにこんなにいたのか分からなくなるくらいカップルで溢れかえっていた。光のコンビニも朝から客が引っ切り無しに来店しており、忙しく働いていた。
「光!もう大丈夫だから行って来ていいぞ?」
「え?本当に?」
「朝からずっとレジをやって貰っているんだから。早く行って来い!」
光の父親はバシンと光の背中を叩くと笑いながら言った。
「痛っ!…分かったよ。ありがとう!行ってくるね!」
「おう!楽しんでな!」
光の父親の言葉を背中に受け、光は家に戻った。朝からずっと、日が傾くまで働いた光は「ふぅ。」と息をついた。そしてすぐに、エプロンを脱ぎ、支度を始めた。
「今から行くの?」
そんな光を見て、光の母親が声をかけた。
「うん。夜は適当な時間に帰ってくるから。」
「あら?お泊まりしても良いのよ?」
「ちょっと!母さん!?」
「ふふっ。また帰る前に連絡頂戴。…泊まることになっても連絡頂戴ね?」
「だから!母さん!」
光が叫ぶと、光の母親はニヤニヤとしていた。そんな会話をしながらも光は準備を整えていた。
「スマホ良し。財布よし。プレゼントも良し。…うん。忘れ物なし。あとは…。」
光は大事に置いていたハットを手に取ると、「行ってきます!」と叫び、家を出た。楽しみ半分、緊張半分と変なテンションになりながら光は駆けだして行った。
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「…まだかしら。」
そう呟きながら千聖はリビングのソファーに座っていた。今は座っているが、それまでは冷蔵庫の中にあるケーキや食べ物を確認したり、自室やリビングを掃除したりと世話しなく動いていた。
「…なんだか、緊張してきたわ。ふふっ。光君も今頃、緊張しながら来ているのかしら。」
再び、呟くと「ピンポーン」と軽快なチャイムが部屋に響いた。
「来た!はぁい!」
千聖は叫びながら、玄関に向かい、ドアを開けた。
「千聖さん。こんにちは。お邪魔します。」
「待ってたわ。寒いから早く上がって。」
千聖は光の腕を引っ張りながら言った。
「ハット、似合ってるわよ。」
「ありがとうございます。選んで頂けたおかげです!千聖さん。これ、皆さんで食べて下さい。うちの商品ですが…。」
「あら?ありがとうね。ただ、食べきれるかしら?」
光からコンビニスイーツが入ったビニール袋を受け取ると、千聖は首を傾げた。
「へ?食べれますよ?千聖さんの家族の人数分なので。」
「その家族が旅行中なのよ。」
「あっ。そうなんですか…。旅行中…。旅行中!?え?じゃあ、2人きりって事ですか?」
「そうなるわね。」
千聖がニコッと微笑みながら言う。
「え、えっと…。そ、そんな時に、お邪魔しても平気なんでしょうか?」
「大丈夫よ。ちゃんと両親には言ってあるわ。光君、そんな事は良いから、楽しみましょう?」
千聖は光の手を引っ張り、リビングに案内した。
「光君。お腹空いてる?」
「はい。ペコペコです。今日はよく働いたので…。」
光はお腹を擦りながら言う。
「それは良かったわ。一生懸命作ったから食べてね。」
「え!?千聖さんの手作りですか?」
「そうよ。準備するから待っててね。」
千聖はそう言うと、台所に向かった。
「あ、あの!千聖さん!僕も手伝います。」
「大丈夫よ?座ってて?」
「い、いえ!そう言う訳には…。」
「…分かったわ。なら、冷蔵庫にサラダがあるから出して貰って良いかしら?」
そして、20分後、食卓には光が出したサラダや唐揚げ、フライドポテトなど、クリスマスらしいメニューが並んだ。
「準備出来たわ。いっぱい食べてね?」
「は、はい!頂きます!」
光は唐揚げに箸を伸ばし、かぶり付いた。
「どうかしら?」
「すっごく美味しいです!」
光は次々に箸を伸ばし、胃の中に食べ物を落としていった。
「そんなに慌てなくて大丈夫よ?ゆっくり食べてね?」
千聖はニコッと微笑み、ゆっくり食べ出した。
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食後のデザートであるケーキも食べ終わり、光と千聖はリビングでソファーに座って寛いでいた。ちなみにだが、流石にケーキは買ってきたものだった。
「本当に美味しかったです。ありがとうございました。」
「お粗末さまでした。」
「そう言えば、千聖さん、これ、良かったら…どうぞ。」
光はカバンから赤と緑のチェック柄の包装紙でラッピングされた長方形の箱を取り出し、千聖に渡した。
「これは…。プレゼントかしら?」
「は、はい。気に入って頂けたら良いのですが…。」
光は頭を掻きながら「えへへ。」と笑った。
「開けて良いかしら?」
「はい。どうぞ。」
光の返答を聞き、千聖は丁寧に包装紙を開いた。そして、箱の蓋を開けた。
「…可愛い。」
ニコッと笑いながら中身を見た千聖はそう呟いた。
「素敵なネックレスをありがとうね。」
千聖はネックレスを取り出し、少し眺めた後、つけた。千聖の胸にはパステルカラーの宝石が光っていた。
「似合うかしら?」
「はい。とっても綺麗です。」
「あら?それは宝石が綺麗なの?それとも私が綺麗なのかしら?」
「へ?あ。り、両方…です。」
光が照れながら言うと、千聖は再び、ネックレスの宝石部分を手のひらに載せて見ていた。
「本当にありがとう。気に入ったわ。…これ、私からも…。どうぞ?」
千聖も、座っていたソファーの角からプレゼントを取り出した。
「え?ぷ、プレゼントですか!?あ、ありがとうございます。夕飯までご馳走になって、しかも、前はハットまで貰ったのに…。」
光は申し訳なさそうな表情を浮かべながら受け取った。
「それとこれとは別よ?開けてみてくれるかしら?」
「は、はい!」
光も丁寧に包装紙を開けた。
「これは…。腕時計ですか?カッコイイです。」
「気に入ってくれたかしら?光君、腕時計を付けているところを見た事が無かったし、高校生になるのだから、学校にも付けていけるかなぁって思って…。」
「ありがとうございます!」
光はお礼を言うと、腕にベルトを巻いた。光の左手には黒の腕時計が光っていた。
「似合ってるわよ?今日の服装にも合ってるわ。」
「高校生になったら学校にも付けて行きますね。」
光がニコニコしながら言うと、千聖は微笑んだ。それからしばらく光と千聖は他愛ない話をしていた。
「そう言えば…。千聖さん、1つ…良いですか?」
「何かしら?」
「え、えっと、長い間、告白の返事を保留してすみません。まだ、悩んでて。」
光は再び、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「大丈夫よ。いつかは私の事、好きになって貰えるように私も頑張るわ。…でも、なんで悩んでいるか聞いてもいいかしら?」
「は、はい。実は、始めは告白を断るつもりでした。釣り合わないと思って…。で、でも、今井さんや青葉さんにもう少し考えてと言われ、それからあーちゃんに怒られて…。」
「怒られたの?」
「はい。釣り合わないからと言ったら、光君に釣り合う女性って誰なのって…。」
「確かにそうね。その理由で断られたら私も怒ってたわ。」
ニコッと笑いながら言う千聖に、光は苦笑いした。
「それで、今、悩んでるのは…。ち、千聖さん、怒らないで下さいね?僕と付き合う事で、千聖さんに迷惑がかかるのではないかと思ってしまって…。千聖さんはアイドルです…。もし、バレたら、千聖さんはもちろん、パスパレの人達にも迷惑がかかるのでは無いかと…。」
「光君の言う通りよ。間違ってないわ。でも、その理由で悩んでいるのよね?断る理由では無くて…。」
「そうですよ?あれ?そう言いました…よね?」
光は千聖の質問の意味が分からず、キョトンとした。
「いえ。ちゃんとそう言ったわよ。確認よ。それより、この前、あーちゃんから聞かれた時はそんな事言って無かったじゃない?」
「あ、あの時は…恥ずかしくて。」
光が苦笑いをした。千聖は微笑むと、光に近づき、光の胸に顔を埋めた。
「アイドルの仕事に関しては、もう少しだけ、考えさせて、大丈夫な方法を考えるわ。でも、前にも言った通り、アイドルは辞めないから安心してね。」
「わ、分かりました。」
光は千聖の背中に腕を回し、軽くギュっと抱き締めた。初めて光からのアクションに千聖は少し驚いたが、すぐに幸せそうな表情を浮かべた。
「(1番のクリスマスプレゼントね。暖かいわ。)」
そう思いながら目を瞑り、幸せを噛み締めていた。
クリスマスを千聖さんと過ごせる光君が羨ましいです。
若干時期外れのインフルエンザで更新出来なくて申し訳ありませんでした。インフルエンザ完治後も、溜まった仕事を処理するのに苦労してました。これからも不定期ですが、投稿していきますのでよろしくお願いします。
感想&評価もお待ちしています。
ある、作者さんとメールをする機会があり、その作者さんが丁寧に感想を書いていたので、僕もなるべく、丁寧に感想の返事を書きたいと思います!