Choose thy LOVE.Love thy choice   作:ぴぽ

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第18話

光は今、ヤバい状況にある。千聖さんに「本当の気持ちを教えて欲しい。」と言われ、口を開いたまま固まってしまった。

「(ど、ど、ど、どうしよ!?千聖さんは何も言わずに待ってるし…。な、なんて言えば良いだ!?気持ちは決まっているけど…。口に出せない!?)」

書かなくても分かるだろうが光は焦っていた。

「(ま、まずは落ち着こう。そうだ!思い出そう。この気持ちに至るまでの過程を…。)」

光は開いていた口を閉じ、目を瞑った。

 

─────────────────────

「はぁ~。緊張した…。」

クリスマスの後、千聖の家にお泊まりはせず、無事に家に帰ってきた光は、自室にて、椅子に座っていた。時刻は22時半になっていた。そして、キスをされた頬を擦り、キスされた事を思い出し、また恥ずかしくなるのであった。

「うぅ~。あれは反則だよ~。しかも、自分からキスしたのに、した後、なんで恥ずかしがってるの?」

光はキスの後の千聖の表情を思い出していた。

「いや。…まぁ、可愛かったけどさ…。」

光は「はぁ。」とため息をつき、立ち上がった。そして、ベッドに仰向けに寝転がった。

「(確かに、キスされた時は心臓が飛び出るかと思った。でもそれと同時に凄く嬉しかったなぁ。やっぱりこれって…。千聖さんの事好きなんだろうな…。)」

光はそう思いながらもまた、ため息をついた。光自身、千聖のことが好きだとは前々から薄々感じていた。しかし、相手はアイドル。あまりの身分の違いに、困り果てていた。

「(千聖さんは大丈夫って言ってたけど、やっぱりアイドルなんだからマズいよね。でも…。)」

光はガバッと起き上がると、千聖のポスターを見た。

「やっぱり…。付き合いたい。…けど…。」

ボソッと呟く。光は何度目か分からないため息をついた。これまでで1番深い深いため息であった。光があーでもない。こーでもないと考えていると「光!ちょっといいか?」と声が響いた。

「はーい!何だろ?」

光は首を傾げながら、下に降りた。

「父さん。何?」

「ほい。これ。お母さんに頼まれた。洗濯物だよ?」

「あー。ありがとう。」

「光、どうした?また悩み事か?」

光の父親は首を傾げながら言った。

「ま、まぁね。で、でも大丈夫だよ。」

「はぁ。お前は隠すのが下手だなぁ。良いからこっちに来い。話、聞くから。」

光の父親は光の肩を掴むと、無理矢理リビングに光を連れて行った。リビングに行くと、光の母親もソファーに座ってテレビを観ていた。

「あら?どうしたの?」

「光がなんか悩んでるみたいだから連れて来た。」

「そうなの?光の悩みは千聖さんの事かしら? 

光の母親がクスッと笑って言う。

「うっ…。正解だよ。」

「え?母さん!なんで分かったんだ!」

光は罰が悪そうに、父親はビックリした表情で言った。

「なんでって、光が悩む事ってこれくらいしかないでしょ?で、千聖さんの事で何に悩んでいるのかしら?そこまでは分からないわよ?」

母親はテレビから目線を外し、光の方を向いた。

「えっと、ち、千聖さんから、こ、告白されたんだけど…。千聖さんと付き合って本当に平気かなぁって…。千聖さん、あ、アイドルだから、ぼ、僕と付き合うのはダメなんじゃないかなぁって。」

光は目線をあちこちに向け、しどろもどろになりながら答えた。

「そっか。そんなの気にしたらダメだろ?男ならバーンと行け!バーンと!」

「光?このバカなお父さんの発言は気にしたらダメよ?無視しなさい。」

冷ややかな目線を母親は父親に向けた。向けられた父親は大きな身体を小さくしていた。

「光?あなたはどうなの?付き合いたいの?」

「え?それは…もちろん。」

「なら、その気持ちを大切にしなさい?アイドルだからとか、どうでも良いじゃない?本当にダメなら、千聖さんも光に好意を向けないはずよ?だから、周りの事は一旦、置いといて、まずは、光がどうしたいか決めなさい。」

母親は慈愛に満ちた表情で言った。

「僕がどうしたいか…。」

「そうよ。まぁ、答えは決まっているわよね?」

「う、うん!次、会った時にい、言うよ!」

「…無理はしなくて良いわよ?今の光が言おうとしても緊張で固まるだけでしょ?」

母親が言うと光は苦笑いをした。

 

─────────────────────

「(そうだった。言うって決めてたんだった。こ、ここで逃げたら男じゃない!で、でも、き、緊張するなぁ。)」

光は顔を上げ、千聖を見た。長考をしていた光だったが、千聖は未だに、光の発言を微動だにせず、待っていた。

「(ち、千聖さんを待たせてる…よね?はぁ。なんで言えないかなぁ。)…「好き」って。」 

「え?」

「へ?」

千聖が素っ頓狂な声を出すと、光も、負けないくらい素っ頓狂な声を出した。

「あ、あれ?い、今、僕、こ、声に…出してましたか?」

「えぇ。出してたわよ?好きって言ったわ。」

「ま、マジですか?え?あっ?」

声に出して言った事実を告げられ、光の顔は燃えるように赤く染まった。

「本当に?本当に私の事、好きなの?」

「…は、はい。」

驚きの表情を浮かべたまま千聖が言うと、光は小さく頷きながら言った。

「良かった…。本当に良かったわ。」

千聖がそう呟いた。目からは涙がポタポタと流れて、床を濡らしていった。

「ち、ち、ち、千聖さん!?な、泣かないで下さい。こ、これ、ティッシュです。」

「…ありがとう。ごめんなさい。みっともない姿を見せて。本当に嬉しくて。」

千聖は涙を隠そうともせず言った。

「ま、待たせてごめんなさい。実は、ちょっと前、いや好きって気持ちに変わった時期は、僕も分からないのですが…。本当に好きって思ってました。でも、千聖さんアイドルだから、僕と付き合ったらダメって思ってて…。千聖さんは大丈夫って言いましたが、それがずっと引っかかってました。でも、やっぱり、自分の気持ちに正直にならないとダメだって思って…。な、なんか中途半端な告白の返事になってしまって、ご、ごめんなさい。」

少しだけ、落ち着いた光は自分の気持ちを一気に喋った。

「…ありがとう。…本当にありがとう。嬉しいわ!」

涙を止めどなく流しながら千聖は言った。

「千聖さん。泣かないで下さい。…はい。」

光は困ったように笑いながら、両手を広げた。

「え?」

「ぼ、僕の胸で良ければ…。貸しますよ?」

照れながら言う光に、千聖は驚いたが、直ぐに微笑み、光の胸に飛び込んだ。千聖が飛び込むと、後ろにひっくり返るのをなんとか耐えて、ギュッと千聖を抱き締めた。

「光君…。大好きよ。本当に大好きよ。」

「は、はい。ぼ、僕も、その…大好き…です。」

明るかった空が少しずつ、薄暗くなっていた。寒さも身にしみる時間帯になっていたが、2人の間には春のようなポカポカとした暖かさが広がっていた。

 

─────────────────────

しばらく抱き締め合った2人だったが、名残惜しそうに離れた。

「そろそろ帰らないと…。帰りたくないわ。」

「…またすぐ会えますよ。家まで送りますよ?」

「…そう…ね。そうよね。」

千聖は眉を八の字にしながら言うと、ゆっくり立ち上がった。そして、階段をゆっくりと降りる。

「そうそう。送ってくれるって言ってたけど、大丈夫よ。」

「え?」

「あっ!勘違いしないでね。私も、少しでも長く一緒にいたいわ。でも、記者とかいると困るから…。」

千聖が困ったように言うと、光は納得した表情をする。

「そう…ですよね。分かりました。」

「ごめんなさい。普通の付き合いが出来なくて…。」

「いえいえ。大丈夫ですよ。僕は全然気にしません。」

光がニコッと笑う。2人は喋りながら階段を降りていたが、当に降りきっており、1階で会話を続けていた。

「あら?千聖さん?いらっしゃい。」

リビングから廊下にひょこっと光の母親が顔を出した。

「あっ。光君のお母さん、お邪魔してます。あの私…。」

「光と付き合う事になったみたいだね。光の事よろしくね?」

ウインクをしながら光の母親が言う。2人はキョトンとした表情を浮かべた。

「あぁ。会話、ぜーんぶ丸聞こえだったわよ?あれだけ大きな声で喋ってたら嫌でも聞こえるわ。いやぁ~。若いって良いわね。」

ニヤニヤしながら言う光の母親に対して、2人は顔を真っ赤にした。

「お、お母さん。よ、よろしくお願いします。」

照れながらも、千聖は頭を下げた。

「もぅ、そんな堅苦しくしなくても。そうだ。千聖さん、あっ。千聖ちゃんって呼ぶわね。帰りたくないって雰囲気で合ってるかしら?」

「え?あっ。はい。そ、そうです。」

矢継ぎ早に飛ぶ質問に流石の千聖も、タジタジになっていた。

「千聖ちゃんが良ければ泊まる?」

「はい?母さん、何言ってるの?ダメに決まってるじゃん!」

「よろしくお願いします。」

「千聖さん!?」

光を置いてけぼりにして、話がどんどん進む。

「光君、嫌なのかしら?」

「へ?い、嫌じゃないですよ!?」

「なら、決定ね!千聖ちゃん。夕飯の支度、手伝ってくれるかしら?」

「はい!」

2人は台所に向かって行った。そんな2人を見ながら光はため息をついた。

「これって…。僕は将来、父さんみたいになるのかなぁ…?」

光は小さくなっている父親の姿を想像していた。

 

─────────────────────

「ねぇ。光君。」

「な、な、な、なんですか?」

晩ご飯を食べ、入浴(もちろん、別々)を終え、2人は今、光のベッドに入っていた。光は別の部屋に布団を敷こうとしたが、母親に阻止され、この状況になっていた。

「なぜ、背中を向けているのかしら?」

「は、恥ずかしくて…。」

「そう。」

千聖は小さく呟くと、2人にかかっていた掛け布団を全部自分の方に手繰り寄せた。

「ち、千聖さん!?さ、寒いですよ。」

光は慌てて、千聖の方を向く。すると、チャンスとばかりに光に抱きついた。

「やっとこっちを向いてくれたわね。」

「ち、千聖さん…。は、恥ずかしい…です。」

「あら?光君と私はお付き合いをしているのよね?なら、慣れて貰わなきゃ。」

ふふっと笑いながら、まるでイタズラが成功した子供の様な表情で千聖は言った。

「が、頑張ります。で、でも、恥ずかしいけど…う、嬉しいです。」

「私もよ?とっても幸せよ。」

千聖は光の胸に顔を埋めた。光は擽ったさを感じながらも、微笑んだ。

「千聖さん。えっと、年下で頼りないかも知れませんが、あ、甘えたい時は思いっきり甘えて下さい…ね?」

「言われなくてもそのつもりよ?光君にくっついてると安心するもの。…そうだわ。少しだけ真面目な話をしても良いかしら?」

千聖が顔を上げて言った。光と千聖の顔は物凄く近かったが、暗闇のお陰で、光は冷静に「何でしょうか?」と返事をすることが出来た。

「さっきも、チラッと言ったけど、普通の子と違って、なかなか普通のデートとかするのは難しい時もあるわ。」

「それなんですが、出会ったばっかりの時に買い物に一緒に行ったじゃないですか?あれは平気だったのですか?」

「…危なかったわ。あの時はまだ友達として仲良くしたいと思っていただったから、そこまで思っていなかったのよ。」

苦笑いをする千聖に光は「なるほど。」と呟いた。

「あれ?でも、マフラーを2人でカップルみたいに巻いて帰ったような…。」

「…ごめんなさい。あれも、私の気が動転してて…。」

「なる…ほど?」

「私は光君といると、普段なら気をつけて出来る事が出来なくなるみたいなのよ。だから、外で、デートとかは暫くは難しいわ。…本当にごめんなさい。」

「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。…でもいつかは色々な所に行きましょうね?」

光が言うと、千聖は「もちろんよ。」と言った。そして、千聖は光の胸の辺りにあった顔を伸ばした。「チュッ」と言う軽い音が光の部屋に響いた。

「ち、千聖さん?今のって…。」

光が自分の唇を触りながら言った。

「キスね。」

暗闇のせいで光には千聖が淡々と答えたように聞こえたが、千聖は顔を赤く染めていた。

「ふ、ファーストキス…でした。」

「私も…よ。」

2人が言うと、静寂になった。しかし、光は千聖の顎を軽く掴み、顔を上げると、自ら唇を落とした。今度は軽いキスではなく、深くて、長いキスだった。

「ぷはっ。」

「…ふう。光君。驚いたわよ。」

「す、すみません。」

「でも、嬉しいわ。ありがとう。」

機嫌良く言う千聖に光はホッとした。

「そうそう。前にも言ったけど…。」

「はい。何ですか?」

「私はいつでも大丈夫だからね?」

何が大丈夫か理解が出来なかった光だったが、その意味を理解すると、顔を真っ赤にした。

「ま、まだ無理です…よ…。」

「ふふっ。そう言うと思ったわ。あんなキスは出来るのに。…不思議ね?」

「うっ。それを言われると…。で、でも、無理なものは無理です。」

「ふふっ。いつまでも待ってるわ。告白の返事を待つ事を思ったら、これくらい、いくらでも待てるわ。」

光をギュッと抱き締めながら千聖は言った。光は千聖には絶対に適わないと思うのであった。ちなみに、その後、千聖は「すーすー」と可愛らしい寝息を幸せそうな表情をしながら立てていたが、光はそんな千聖を見て、寝れない夜を過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 




遅くなって申し訳ありませんでした。
やっと2人が付き合うことになりました。
しかし、まだ物語はもう少し続きます。
タイトル通り2人は汝の愛を選び、汝の選びを愛しました。さて、この選択は正しいのか、それとも間違っているのか…。

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