Choose thy LOVE.Love thy choice 作:ぴぽ
「光くん。お疲れ様。大丈夫かしら?」
「すみません。あまり大丈夫じゃないかもです。安心したら気が抜けちゃって。」
2人はPastel*Palettesの事務所から帰って来て、光の部屋にいた。
「ゆっくり休んで頂戴。ほら?」
千聖はポンポンと自分の膝を叩いた。
「え?良いんですか?」
「もちろんよ。ほら、早く。」
千聖は光の頭を優しく抱くと、自分の膝に誘導した。
「し、失礼します。ふぁ~。気持ちいい…。」
「ふふっ。光くん、顔が緩んでいるわよ?可愛い。…光くん。本当にごめんなさい…。迷惑、かけたわね。」
「い、いえ。千聖さんは何も悪くないですよ。僕が勝手に悩んでただけで…。まぁ、あまりに悩んでて、ウジウジしてたら、あーちゃんにかなり怒られましたが…。でも、そのお陰で前向きになれた気がします。」
光が苦笑いしながら言った。
「そうなの?なら、あーちゃんにお礼言わなきゃね。」
千聖は光の頭を撫でながら言った。
「ところで千聖さん、初詣に行きませんか?実は、今井さんからあまり人が来ない神社を教えて貰って。夜は間違いなく誰もいないらしいのですが…。」
「良いわよ。私も行きたいわ。」
「良かったです。えっと…。集合場所とかどうしましょうか?」
「そうね。光くんが良ければ明日の夕方くらいからうちに来ない?…誰もいないのよ。」
千聖は嬉しいのか微笑みながら言った。
「え?そうなんですか?明日、大晦日なのに?」
「そうなのよ。皆、おじいちゃんの家に行ってるのよ。私はレッスンとかがあったから、行けなかったのよ。年越しそば作るわよ?」
「えっと、なら、宜しくお願いします。」
光は千聖の膝の上で、ペコっとお辞儀をした。
「遠慮しなくて良いのよ。あと、光くん。そのまま泊まってくれたら嬉しいわ。」
「へ?」
「あ、あのね。さ、寂しい…のよ。正月を1人で迎えるのは…。」
千聖は恥ずかしいのか、頬を赤く染めて言った。光は少し「う~ん。」と考えた。
「えっと、千聖さんの家にお泊まりはさせて頂きます。朝はうちに来ませんか?おせちとかありますので…。」
「良いのかしら?」
「多分、大丈夫です。千聖さんなら。」
光はそう言うと、大きな欠伸をした。
「なら、お邪魔するわ。後でお母さんにお礼、言うわね?…光くん。寝て良いわよ?無理しないで。起きるまでいるから。」
千聖は光の頭を再び、撫でた。始めは「いえ。大丈夫です。」と言っていた光だったが、ゆっくりと瞼を閉じ、深い深い夢の世界に旅立って行った。
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光が目を覚ますと、太陽が光の部屋に差し込んでいた。
「……あれ?今、何時だ?」
光がスマホを見ると、8時20分と表示してあった。
「何時間…寝てたんだろ?あれ?千聖さんは?」
光が首を左右に首を振るも、千聖の姿は見えなかった。しかし、その変わりに、机の上に手紙が置いてあるのを見つけた。
“年越し蕎麦の準備があるので、帰ります。本当は起きるまでいたかったのだけど…。ごめんなさい。夕方、楽しみにしているわ。ゆっくり休んでね。”
読み終わった光は苦笑いし、謝罪のLINEを打つのであった。
「さて、夕方まで、何しようかな?お店、手伝い、いるかな?」
う~んと伸びをし、窓から外を眺める。すると、外に見知った人物がこちらに向かっているのに気付いた。
「あれ?あーちゃん?何か用かな?」
光はリビングに向かう為に、下に降りた。
「光!?いる?って、目の前にいたわ。」
予想通り、茜が光の家にやってきた。茜は光を呼ぶ為に叫んだが、本人が目の前にいて目を丸くした。
「おはよ。2階から姿が見えたからね。」
「そっか。って、今起きたの?寝癖凄いよ?」
茜は苦笑いし、光の家に上がった。
「マジ?まぁ、後で直すよ。…あーちゃん、今日はどうしたの?」
「大晦日だし、こんな年の瀬に言いたくないけど、まぁ、座ろう?」
光は茜にそう言われ、ソファーに腰かけた。
「何処に座ってるの?床でしょ?正座!」
茜は床を指しながら言った。
「わ、分かったよ。何に怒ってるのさ?」
「あのさ!私に昨日怒られてから何してたの!?パスパレの事務所に行って、何も無いわけないじゃん!?普通、連絡しない!?気になって、こんな朝から来ちゃったじゃない!」
「ご、ごめん。昨日、帰ったらすぐ寝ちゃって、安心したら急に睡魔が来ちゃって…。」
光は正座をしていた為、そのまま土下座して謝った。
「安心?何があったのよ?」
光は茜にパスパレの事務所の事を話した。
「まぁ、一応、社長さんにも千聖さんとの仲を認められたみたいだから安心しちゃって。ずっと、千聖さんと付き合うのが迷惑だったらどうしよって思っていたからね。…まぁ、だからと言って、スキャンダルに載る訳にはいかないけどね?」
光は最後は苦笑いしながら言った。
「良かったじゃない。あのマネージャーも認めざるをえないね。」
「だね。まぁ、あのマネージャーさんも千聖さんとかパスパレの事が心配だったんだと思うよ。」
「それだけじゃないんじゃない?」
茜はソファーに座り、足を組み変えながら言った。光はまだ正座中である。
「多分だけど、嫉妬もあったんじゃない?ちーちゃんをこんなちんちくりんに取られて。」
「…マジ?」
「さぁ?私の勝手な想像よ。」
茜は肩を竦めながら言った。
「なんだ。想像か。」
「まぁ、良いじゃない。ところで、光、来年の目標は?」
「え?何だよ。藪から棒に。…そうだなぁ。千聖さんと仲良くするかな?」
光は頬を緩ませながら言った。
「はぁ。私は来年から光とちーちゃんから惚気話を聞かないとダメなのか…。」
「惚気話なんかしないよ!」
「どうだか…。私の来年の目標は、彼氏を作るかな。」
「彼氏?あーちゃんが?」
光は驚きながら言った。今まで、茜がそう言った話をほとんどして来なかったからだ。
「良いじゃない!別に…。」
プイッと横を向いて、茜は言った。
「誰か、候補はいるの?」
「…いない…よ?」
「いるみたいだね。」
「うっ…。じ、実は、中学2年からずっと告白されている男子がいて。始めは興味なかったし、断っていたんだけど…。これだけ一途に思われるとね?」
茜は頬を赤く染めて言っていた。光は初めて見る幼馴染みの表情に驚いていた。
「誰なの?あーちゃんをずっと思っているのは?」
「隣のクラスの…。パンの原材料みたいな名前の…。」
「あいつか!?てか、全然気付かなかったよ。」
2人の他愛ない話は結局、昼を過ぎても続くのであった。光と茜、2人ともスッキリとした表情で過ごす、12月31日であった。
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「寒くないですか?」
「えぇ。大丈夫よ。」
光は約束通り、千聖の家にて、年越しそばに舌鼓を打ち、その後、カウントダウンもテレビを見ながら行っていた。そして、今、2人はリサに教えて貰った神社に初詣に出ていた。本当に、あまり人が来ない神社なのか、殆ど、人にすれ違わず、ゆっくりと歩いていた。
「ち、千聖さん。その、綺麗です。似合ってます。」
「ふふっ。ありがとう。」
カウントダウン終了後、すぐに初詣に出掛けようとした光だったが、千聖が「準備があるから」と言い、自室に入っていった。30分ほど待って、出てきた千聖は着物を着ていたのであった。
「本当に、ビックリしました。」
「ふふっ。作戦成功ね。あら?ここかしら?」
千聖が言うと、光はコクッと頷いた。2人の目線の先には鳥居と石段があり、その石段の両サイドには提灯がぶら下げられており、申し訳程度の明かりが点いていた。
「千聖さん?石段、着物だと登りにくいですよね?」
光はそう言うと、手を差し出した。
「ふふっ。ありがとう。しっかりエスコートしてね?」
千聖は微笑むと、光の手にそっと手を重ねた。そして、石段を20段ほど登るとだだっ広い場所に出た。目の前には立派な神社が建っていた。
「こんな所に、こんな神社があるなんて知らなかったわ。」
「僕もです。早速ですが、お参りしますか?」
光は引き続き、千聖の手を引いて、賽銭箱の前まで来た。そして、お金を投げ入れ、2人同時に手を合わせた。
「(これからも、千聖さんと仲良く過ごせますように。パスパレの人気が出ますように。)」
光は心の中でしっかりお願い事をする。「よし。」と呟き、合わしていた手を解くと、千聖が光の方を見ていた。
「お願い事、早いですね。」
「ええ。だって、お願い事してないもの。」
「へ?」
「私は感謝だけ伝えたわ。私に恋を教えてくれてありがとうって。」
千聖はふふっと笑いながら言った。
「そうなんですね。僕はばっちりお願い事しちゃいました。」
「私と仲良くいられますようにとパスパレの人気が出ますように、かしら?」
「な、なんで分かったんですか!?」
「ふふっ。私は光くんの彼女よ?それくらい分かるわ。」
ビックリする光に千聖はふふっとまた微笑んでいた。
「さて、光くん。せっかくだからおみくじ引かない?」
「いいですよ。」
2人は数メートル移動し、「おみくじ」と書かれた箱の前に来た。そして、お金を入れ、それぞれ、クジを引いた。
「(どれどれ?あっ。中吉か。)」
光はクジの内容も読んでいくが、流石中吉と言ったところか、当たり障りのない事ばかりが書いてあった。チラッと、光は千聖の方を見ると、千聖は熱心に内容を読んでいるようだった。
「千聖さん?どうでしたか?」
「大吉よ。」
「凄いじゃないですか!僕は中吉でした。」
「光くん、ここ読んで?」
「え?恋愛ですか?え~と、選んだ恋で間違いなし…ですか?」
「私、光くんを選んで正解みたいね。良かったわ。」
そう言うと、千聖はおみくじを畳み、財布の中にしまった。
「あれ?結ばないのですか?」
「ええ。いい結果のおみくじは持って帰った方が良いのよ?知らなかった?」
千聖は柔やかにそう言うと、おみくじを入れた財布をポンポンと叩いた。
「そうなんですね。…僕は結んで来ます。」
光は、そう言うと、急いで、おみくじを結んだ。2人はまた手を繋ぎ、来た道を戻って行くのであった。
─────────────────────光は千聖の家に泊まると決まってから一抹の不安を抱えていた。そして、今、その不安は的中しているのであった。
「光くん?寝ないのかしら?」
「いや…。あの…。できれば、布団を敷いて欲しいのですが…。」
「あら?布団ならあるじゃない。」
千聖は当然のように、自分のベットを指して言った。光の一抹の不安が的中した瞬間であった。
「えっと…。千聖さんのベットで、2人で寝るのですか?」
「それ以外、何があるの?さぁ、早く!」
モジモジとする光を千聖は引っ張り、布団の中に招いた。
「え、えっと…。ほ、本当に良いんですか?」
「良いに決まってるわ。」
千聖がそう言うと、光は覚悟を決め、布団に入った。そして、入った瞬間、千聖は光に抱きついていた。
「(や、やっぱり…。てか、あちこちから千聖さんの良い匂いが…。これ、寝れる…かな。)」
光は悶えたいのを必死に押さえていた。
「光くんはいつになったら緊張しなくなるのかしら?」
楽しそうに千聖は言う。まるで、修学旅行の夜のようなテンションだった。
「い、いつでしょう?そ、そのうち。ですかね?」
「ふふっ。始めは早く慣れて欲しかったけど、今はそんな光くんが可愛く思えるわ。」
千聖は光の頬を人差し指でツンツンしながら言った。
「は、恥ずかしいですよ…。ち、千聖さん。ぼ、僕、もっと強くなって、千聖さんを守れるような男になります。い、今は頼りないかも知れませんが、頑張りますので!」
「光くんは本当に真面目ね。頼りない事なんて無いわ。私は光くんにたくさん頼っているわよ。でも、嬉しいわ。ありがとうね。」
電気も、消えており、豆電球だけの明かりだったが、光は千聖の嬉しそうな表情を感じる事ができた。
「私からも良いかしら?」
「なんですか?」
「私と付き合うって選択してくれて本当にありがとう。何処かに出掛けたり、人目を避けないといけない事が多くなって、普通にデートとかできなくてごめんなさい。」
「それは大丈夫ですよ。僕は千聖さんと一緒に過ごしたり、お喋りするのが楽しいんです。それだけで満足なんです。何処かに出掛けるのは千聖さんがアイドルを卒業するまで待ってます。でも、アイドルをしている千聖さんも大好きなので、できる限り、続けて下さいね。僕も一生懸命、支えます。」
光は暗闇で見えないと思ったが、伝わるだろうと、笑顔で言った。
「…ありがとう。私は本当に幸せものね。」
「まだまだ幸せにできるように頑張ります。」
「ふふっ。期待しているわ。」
そして、2人は唇を近づけ、その距離をゼロにした。軽いリップ音が千聖の部屋に響いた。
「光くん。1つだけ、お願いしても良いかしら?」
「何ですか?」
「私のこと、さんを付けるの、辞めてくれないかしら?呼び捨てで良いわよ?いえ。呼び捨てで呼んで欲しいわ。」
「へ?ま、マジっすか?」
「…ダメ?」
千聖は布団に顔を半分埋めて、目だけ出してお願いをした。暗闇に目が慣れてきた光は千聖が照れながら上目遣いで言っている事に気付いていた。
「うっ…。ち、千聖?」
そんな表情をしてお願いされたら断るという選択肢はなくなった光は意を決して呟くように言った。その瞬間、千聖はガバッと起き上がり、光の上に覆い被さった。
「ち、ち、ち、千聖さん!」
「…さん?」
「ち、千聖…。ど、ど、どうしましたか?」
「ごめんなさい。光くん。私、待つって言ったけど…。無理みたい。」
ニコッと千聖が微笑みながら言うと、光はキョトンとした。
「もう一度言うわ。ごめんなさい。」
言葉は謝罪だが、全然、謝る気がない千聖。そのまま、光の首筋にキスを落とした。
「ひゃっ!…って、待って下さい!そ、そう言う意味!?り、理解した。今、理解しました。ちょっ、ち、千聖!ま、待って!」
光は叫んだが、千聖が待ってくれるはずもなく、光の断末魔だけが響くだけであった。
Choose thy LOVE.Love thy choice
完
長らく、この拙作を読んで頂きありがとうございます。
まずは感謝の気持ちでいっぱいです。
色々と反省したい所ですが、長くなりそうなので割愛させて頂きます…。
評価を下さった方、感想を下さった方、本当にありがとうございました。
ちなみにですが、茜ちゃんの好きな男の子の名前ですが、あまり気にしないで下さいね?
1人だけ、茜ちゃんの大ファンがいるもので…笑
次回作です
「明日ありと思う心の仇桜」
ヒロインは「戸山明日香」となります。
詳しいアップ情報はTwitterの方で、よろしくお願いします。
最後に、本当にありがとうございました!