Choose thy LOVE.Love thy choice   作:ぴぽ

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前回のセルフコラボの続きです。

4作、同時投稿しました。



2話

GWのある日、潤とりみは光の家に招待されていた。以前、お互いのカップルで会おうと約束をしており、今日、その約束が果たされていた。

「光!今日はありがとうね。こちらが彼女のりみだよ。」

「初めまして。牛込りみです。え、えっと、これ、良かったら…。」

おずおずとりみはやまぶきベーカリーと書かれた袋を光に手渡した。

「あ、ありがとうございます。頂きます…ね!」

「光くん?鼻の下伸びてるわよ?りみちゃん、このだらしなく鼻を伸ばしているのが私の彼氏の橘光くんよ。」

千聖に指摘され、光は焦ったように顔を隠していた。

「…可愛い。」

「りみ?」

「ふぇ!な、なんでもないよ!」

りみはわたわたと手を振ると顔を真っ赤にした。

「光くん?りみちゃんは確かに可愛いけど、彼女の前で鼻なんて伸ばすかしら?」

「そ、そ、そんなつもりは無かったです!ぼ、僕が好きなのはち、千聖だけ…です。」

「本当かしら?」

「まぁまぁ。白鷺さん落ち着いて下さい。この部屋見てた光が千聖さんの事が大好きって伝わってきますから。」

潤が部屋を見渡すと、何枚もの千聖のポスターに目がついた。全て千聖のサイン入りで、ファンが見たら本当に欲しがるんだろうなと思っていた。

「…まぁ、潤君の顔を立てて許しましょう。今はね。」

千聖はニコッと笑みを零す。その表情を見て光は震え上がり、潤は苦笑いをした。

「りみちゃん?その荷物は何かしら?」

千聖は未だに恥ずかしがっていたりみに声をかけた。りみの横には紙が丸まって筒状になった物が3本、紙袋の中に入っていた。

「あっ。え、えっと…。ち、千聖さん!サインを下さいっ!」

りみはギュッと目を瞑りながら言うと紙袋を前に出した。千聖は必死なりみに驚きながらも、筒状になった物を広げた。そこには綺麗に千聖が映っていた。つまりは千聖のポスターだった。

「ふふっ。良いわよ。書くわね。」

光からペンを渡されるとなれた手つきでサインを書き始めた。キラキラとした目でりみはサインをしている千聖を見ていた。

「潤さん。ちょっと良いですか?」

「ん?」

潤は壁に飾ってあるポスターを眺めている時に光に声を掛けられた。

「あ、あの。潤さんと牛込さんはどうやって付き合うようになったんですか?」

「あぁ。聞きたい?」

「私も聞きたいわ。」

サインを書き終わったのか、千聖も会話に入った。潤はりみを見ると、りみも頷いた為、ゆっくりと喋り始めた。話し始めると、約1年前の事なのに、ずっと前のように感じていた。

「潤君、そんな過去があった…のね。知らなかったわ。」

「てっきり、日菜姉さんが喋ってたかと思ってました。」

潤とりみが付き合う過程で絶対に話さないといけない秋帆の存在に、千聖は悲しそうな表情をした。

「じ、潤さん~…。…っ。」

「ち、ちょっと!光!な、なにも泣かなくても!?」

潤の話しを聞いた光はポロポロと涙を流していた。そんな泣いている光に千聖は手を伸ばすとぎゅっと抱き締めた。

「ほら。泣かないの。」

千聖が呟くように言った。

「…おーい。ありゃ。2人の世界に入っちゃったね。りみ。…りみ?」

返事がないりみに潤は不思議に思い、チラッと見ると、りみは両手を頬に当て、顔を赤くしていた。

「…ちょっと待つか。」

潤はそう呟くと、再び、ポスターを眺めていた。

 

「す、すみませんでした。」

光は潤とりみに頭を下げた。その横では千聖は光を抱き締めたからか、満足そうな表情をしていた。

「大丈夫だよ。ね?りみ?」

「…良いなぁ。」

「りみ?」

「ふぇ?あ、うん!だ、大丈夫!」

光の家に来てから、すっかり落ち着きが無くなったりみはずっと、頬を赤くし、わたわたしていた。

「潤君?りみちゃんは潤君とイチャイチャしたいみたいよ?」

「…そうなの?りみ?」

「へ!?は、恥ずかしい…です。そ、そうだ!私達の馴れ初めを話したので、次は千聖さん達の馴れ初めを聞かせて下さい!」

りみはポンッと手を叩くと慌てながら言った。

「話しをすり替えたような気がするけど、良いわよ。」

「僕達の馴れ初め…。どこから話しましょうか?」

「光くんが何回もアタックして来て、大変だったわ。」

「はい?千聖!過去をねつ造しないで!」

光が叫ぶように言うと、千聖はプイッと横を向いてしまった。

「へ?ち、違うの?」

「その様子だと、きっかけって、白鷺さんからなの?」

てっきり、光が頑張って千聖を落としたと勝手にイメージしていた潤とりみは驚きながら言った。

「違いますよ。先に告白したのは千聖からですよ?」

「…そうだったかしら?」

「千聖。惚けないで。」

光はそう言うと1から全て、馴れ初めを語り出した。かなり詳しい事まで光は話してしまった為、千聖は罰の悪そうな表情をしていた。

「なんか…意外かな?」

話しを聞き終わったりみは率直な感想を言った。潤も横で大きく頷いた。

「今、思い返すと私、相当、暴走しているわね。」

「でも、千聖が暴走していなかったら多分、付き合ってないよ?」

「そうかも知れないけど…。やっぱり恥ずかしいわ。」

「…良いなぁ。」

光と千聖の馴れ初めや、2人のやりとりを見て、りみはまたボソッと呟いた。聞こえないふりをしていた潤は心の中で「(恥ずかしがってる場合じゃないな…。頑張らなきゃ。)」と思っていた。それからは、2つのカップルがお互いの話しで盛り上がった。時に笑ったり、時に羨ましがったりと、お互い、参考にしようと密かに思うのであった。

 

─────────────────────

光を紹介して貰ってから数日後、りみは日常となっている、チョココロネの買い出しに、やまぶきベーカリーを訪れていた。トレイを持ち、トングを持って、真っ直ぐチョココロネ売り場に向かうと、チョココロネの前に男の子が立っている事に気付いた。

「…光君?」

「はい?って牛込さん!この前はありがとうございました。」

光は丁寧に挨拶をすると、りみも「こんにちは。」と挨拶をした。

「牛込さんはよくここに来るのですか?」

「うん。チョココロネを買いに…。光君はどうしたの?ちょっとだけ遠いよね?」

光の家のコンビニからやまぶきベーカリーまでは歩くとそこそこ距離がある為、出会った事に驚いていた。

「ですね。でも、前に来て貰った時に、お土産でやまぶきベーカリーのパンを頂いたじゃないですか?その時に食べて、とても美味しかったので、買いに来ちゃいました。」

「そうなんだ。美味しいよね!」

「はい!特にこのチョココロネが!」

光はチョココロネが3つ並んでる自分のトレイを上げながら言った。

「そうなの!少しだけビターなチョコが周りのパンに合ってて、いくらでも食べられちゃう!」

新しく、チョココロネ友達を見つけたりみはニコニコしながら喋っていた。

「牛込さんは本当にチョココロネが好きなんですね。」

「へ?あっ、わ、私、またやっちゃった…。私ね、好きな事になっちゃうと、つい喋り過ぎてしまって…。」

「良いことじゃないですか。ちなみに、他は何が好き何ですか?」

「あとは、ホラーかな?」

りみはそう言うと、光は心の中で「(聞くんじゃ無かった。)」と思っていた。

「ほ、ホラー…ですか?」

「うん!映画も小説も大好きなの!ゾンビとか沢山出てくるのとか大好きだよ!光君はホラーとか苦手かな?」

光は確かにホラーは苦手であった。しかし、この場面で、苦手と言うのは男として恥ずかしさを覚え、つい「あまり見ませんが、苦手じゃないですよ。」と言ってしまっていた。

「そうなん!?なら、また4人で会った時に鑑賞会しよっ!」

嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねながら言うりみに、光は心底、後悔をしていた。

「わ、分かりました。潤さんとはホラー見ないのですか?」

「潤くんは、一緒に見てくれるよ?言わないけど多分、苦手なんだと思う…。」

りみは苦笑いをしながら言った。

「え?潤さん、苦手なんですか?それなのに見ているのですか?」

「うん。多分、怖いって言うのが恥ずかしいんだと思う。」

光はブルブル震えながらホラー映画を見ている潤を想像し、心の中で「(大変…だなぁ。)」と思っていた。

「あれ?牛込さん、潤さんが怖がっているのを知ってて、ホラーを見てるんですか?」

「そうだよ?だって、ホラー映画とかってね、怖がっている人と見たら、何倍も楽しくなるから!」

悪びれる様子も無く、興奮しながら言うりみに「(牛込さんって…ドSなの?)」と光は目を丸くしていた。

「4人で見るホラー映画、楽しみだなぁ。」

「そ、そうですね。」

そんな日は2度と来て欲しくない、いや、絶対に阻止しようと密かに、光は誓っていた。

「そ、そう言えば、本当に潤さんには学校でよくして頂いて、助かってるんですよ!」

これ以上、ホラーの話しが続き、ホラーの映画鑑賞会の日時まで決めそうな勢いであった為、光は話題を変えた。

「そうなんだ。」

「あれ?聞いてませんか?」

「潤くんって、あまり自分の話をしないから。」

りみは苦笑いをした。

「そうなんですね。この先生は、板書している時間が長いから寝て平気とか、この先生は宿題を出すけど、宿題を出したことを忘れるからしなくて大丈夫とか色々教えて頂いて助かってます!」

「…そう、なんだね。潤くんの成績が悪い理由が分かった気がするよ。」

りみはそう言いながら、スマホを取り出した。

「牛込さん?どうしましたか?」

「千聖さんにLINEを送るんだよ?私の彼氏が光君に迷惑をかけましたって。」

りみはニコッと笑いながら言ったが、光は「余計な事を言っちゃった」と苦笑いをした。りみの笑顔は光がよく知っている笑顔で、千聖が光を叱る時にする笑顔とソックリだった。この後、光が千聖にこの笑顔を向けられ、怒られるとは、この時の光は気付かないのであった。

 

─────────────────────

「いらっしゃいませ。あっ。白鷺さん!こんにちは。」

「こんにちは。今日は、自主練に来たわ。」

千聖は背中に担いだベースを潤に見せるように言うと、ペンを握り、カウンターに置いてある紙に必要事項を明記していた。

「ありがとうございます。今日は空いてるので何時間でもどうぞ。」

「ありがとう。」

千聖は書き終わると、潤からスタジオの鍵を受け取った。

「練習に入る前に、少し良いかしら?」

「なんですか?」

潤は千聖が書いた紙をバインダーから外して、横にあるパソコンに必要な情報を入力しようとしていた。千聖はポケットからスマホを取り出すと、画面を潤に向けた。

「…あっ。」

潤は画面に表示されていたりみから千聖に送られたLINE、正確に言えば、光が口を滑らした内容が丁寧に説明されてあった文章を見て、背筋から嫌な汗が溢れていた。

「これ、どういう事かしら?光くんの事を貴方にお願いしたのは確かだけど、こんな事を教えてとは頼んないわよ?」

千聖はニコッと笑った。これが光が怒られている時によく見る、目が全く笑っていない笑顔である。

「えーと。えーと。そ、それはちょっとしたジョークで。」

「ジョーク…ねぇ?」

「す、すみませんでした!」

潤は嫌な汗が止められず、早くこの時間が終わって欲しいと心から思っていた。

「全く…。でも、光くんの仲良くしてくれているみたいで有難いわ。そこには礼を言うわ。ありがとう。」

「い、いえ。」

「でも、これからはこういうのは辞めてね?」

意外にも説教が短く終わり、潤はホッとしていた。

「潤君?ホッとしているみたいだけど、多分、りみちゃんも怒ってると思うから、覚悟して帰った方が良いわよ?」

千聖は「ふふっ。」と笑いながら言うと、潤は顔を青くして、受け付けの椅子にガクッと項垂れるように座った。

「最悪…だ…。」

「自業自得よ?」

「分かってますよ。素直に謝ります。」

潤はそうは言ったが、帰りたくない気持ちでいっぱいになっていた。

「ところで、4人で会った日なのだけど。」

「はい。とても楽しかったです!ありがとうございました。」

「私も楽しかったわ。その時に、りみちゃん私達を羨ましいって思ってなかったかしら?」

「白鷺さんはよく見てますね。そうですよ。良いなぁ~って言ってましたよ。」

潤はそう言うと、千聖は顎に手を当て、考え始めた。

「白鷺さん?」

「潤君、前もりみちゃんから話しを聞いたのだけど、あまり甘えたりとかしてないの?」

「え?…えっと、くっついたりとかって意味ですよね?」

「そうね。」

千聖は顎に手を置いたまま、潤を見つめながら言った。流石は女優、一つ一つの動作が綺麗だなと潤は呑気に考えていた。

「まぁ、あまりないですね。」

「なぜかしら?」

「僕もりみもなんだか恥ずかしくて…。でも、この前のりみを見てて、そういう事をもっとしたいんだなぁって知ったので、恥ずかしがってる場合じゃないって思いました。」

「あら?分かってたのね?安心したわ。」

千聖はそう言うと、背負っているベースをよいしょと持ち直した。

「分かってるなら良いわ。練習に行くわね。」

「白鷺さん?」

「お仕置きが必要かと思ってたけど…。頑張ってね?」

千聖はステージで見せるようなウインクを潤にすると、練習の為に、スタジオに向かって行った。

「た、助かったぁ~。」

千聖のお仕置きを回避した自分を褒めたいと潤は思いながら、その日の仕事を終え、帰宅した。怒っているりみが潤の家で待っている事もすっかり忘れ、ルンルン気分で商店街を歩くのであった。

 

 

 

 




おそらく、セルフコラボはこれで終わります。

ありがとうございました!

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