Choose thy LOVE.Love thy choice 作:ぴぽ
光の家を出て、数分。真冬の街並みは思わず、身震いをする寒さであった。
「寒いわね…。」
「はい。今年の冬は寒くなるって言ってましたので…。」
ニュースで得た情報をマフラーに顔を埋めながら光は言った。
「白鷺さんは寒いの苦手ですか?」
「…。」
光の質問に千聖は押し黙った。
「白鷺さん?」
「…。」
光は再び、呼んでみたが、相変わらず千聖は無視を続けた。表情は先程と変わらず、寒そうであった。
「(流石、女優さんだなぁ…。綺麗だなぁ。…ってそうじゃなかった…。やっぱり呼ばないと返事してくれないのかな?)」
少し悩んだ光だったが、意を決して口を開いた。
「ち、千聖さん?」
「何かしら?光君。寒いのは得意でも苦手でもないわよ?」
「うぅ~。は、恥ずかしいよ~…。」
「ふふっ。ごめんなさい。でも、私は名前で呼んで欲しいから、ちゃんと呼んでね?」
「…はい。善処します。」
尚も恥ずかしがっている光に対し、千聖はニコニコしていた。
「光君は寒いのは苦手?」
「そうですね。どちらかと言えば苦手ですね。でも、冬は好きですよ。」
「あら?どうして?」
「この澄んだ空気が好きで…。朝だと特に気持ちいいなぁって。」
光がう~んと伸びをしながら言った。
「確かに、そうかもね。ところで話が変わるけど良いかしら?」
「はい。何でしょうか?」
「光君は中学3年生だったわよね?」
「はい。そうですよ。覚えててくれてたんですね!」
初めて会った時の会話を千聖が覚えていた事に光は喜んだが、千聖は表情を少し曇らせた。
「…連れ出しといて何だけど…。受験、近いんじゃなかった?」
「はい。でも、僕は推薦なので勉強とかは大丈夫ですよ?」
「そうなの?ちなみに、何処の高校かしら?」
「〇〇高校です。」
「そう。なら、花咲川と近いわね。あと…。知り合いがいるから困った事があったら頼ったらいいわ。今度、教えてあげるから。」
「ありがとうございます!」
光がペコリと頭を下げて言った。ちなみに、光の通う高校は、何処にでもあるような普通の共学の高校である。
「ところで、白…じゃなかった!ち、ち、千聖さん。」
「ふふっ。何かしら?」
恥ずかしながら名前を呼ぶ光を見て、千聖は微笑んだ。
「あ、あの!ど、何処に行くんですか?」
「何処に行きましょうか?」
「へ?き、決まってないんですか?」
「えぇ。でも、光君と一緒に歩いてて楽しいわよ?」
「ふぇ?」
千聖がニコッと光に向けて微笑む。その顔を見て光は「(テレビと全然違う!す、すごく綺麗!)」と照れていた。
「…今、テレビと違うって思わなかった?」
「ほへ?お、お、お、お、思ってません!」
「本当かしら?」
再び、千聖はニコッと微笑む。しかし、今度は照れる訳では無く、びっくっと肩を震わせた。「(え?さ、さっきと全然違う!)」と光は思っていた。
「ご、ごめんなさい…。お、思ってました…。そ、そうですよね。今はプライベートだからテレビと違うのは当たり前でした。で、でも!」
罰の悪い顔をしながら光は謝罪した。
「でも?何かしら?」
以前としてニコニコと光の話を千聖は聞いていた。
「す、凄く…綺麗でした。」
「ふふっ。ありがとう。光君も可愛いわよ?」
「ち、千聖さん!?」
からかわれていた事に気付いた光はビックリしながら叫んだ。
「ふふっ。ごめんなさい。…ところで光君は行きたい場所あるかしら?」
「ほ、本当に場所決まってないんですね。う~ん。僕も特には…。服が欲しいかな?くらいですね。」
「服?」
「はい。実はこれでも身長が伸びたみたいで、入らない服が多くなっちゃって。」
「そうなの。なら、買いに行きましょうか?」
「え?良いんですか?でも、ショッピングモールとかだと人混みとか…。大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。行きましょう。」
芸能人である千聖が人混みの中へ行く事に心配する光を余所に、千聖はショッピングモールに向けて足を向けた。
─────────────────────
Pastel*Palettesのボーカルであるふわふわピンク担当の丸山彩はコソコソと物陰からアイドルとは思えない驚愕の表情を浮かべながら見ていた。
「あれ…千聖ちゃんだよね?よ、横にいるのは…。誰?男の子?女の子?…。あれ?この前もこんな事あったような?」
ブツブツと呟きながら見ている先には千聖がニコニコしながら服を選んでいた。そして、選んだ服を横にいる可愛い子に当てて、吟味しているようだった。
「…千聖ちゃんってプライベートだとあんな表情するんだ。知らなかった。」
「あ、彩ちゃん?何してるのかな?」
「わぁぁあ!」
千聖を見る事に必死だった彩は後ろから声をかけられてビックリした。
「ふ、ふぇぇ~。ご、ゴメンね?驚かせるつもりはなかったんだけど…。」
声をかけたのはハロー、ハッピーワールド!のドラムであり、千聖の良き友人の松原花音だった。
「か、花音ちゃん?だ、大丈夫だよ。買い物?」
「うん。そうだよ。彩ちゃんは何してたの?」
「そうそう!花音ちゃん!あれ見てよ!」
彩が指をさして、興奮気味に言った。
「あれは…。千聖ちゃん?楽しそうだね。あれ?横にいるのは誰かな?」
「私も誰か知らないの。その様子だと花音ちゃんも知らないみたいだね。」
「そう…だね。そう言えば千聖ちゃんって妹がいたよね?姉妹で買い物とかじゃないかな?」
花音が思いつき、彩に言ったが、彩は驚いた表情をした。
「あの子って女の子なの?男の子じゃなくて?」
「ふぇ?」
「え?」
彩と花音はお互いの意見の食い違いに口をポカンと開けて固まってしまった。
─────────────────────
「光君。こんなのはどうかしら?」
「ち、千聖さん?」
ショッピングモールに着き、洋服屋の向かうとすぐに光は着せ替え人形となった。
「光君は可愛いからなんでも服が似合うわね。」
「えっと、千聖さん?」
「あら?私は一応、芸能界が長いからファッションも自信があるつもりなんだけれども…。気に入らないかしら?」
「いえ…。選んで頂けて、本当に嬉しいです。でも、ちょっと僕にはかっこ良すぎるかなって…。」
千聖が手に取っている服はいかにもメンズという物ばかりであった。
「そうかしら?光君、容姿について悩んでるみたいだから男性ぽいものを選んでるつもりなんだけど…。」
千聖はそう言いながら光の服装を見た。茶色いコートに下は黒に近いジーンズ、さらに靴はブーツであった。ちなみに、千聖が初めて光に会った時と同じ服装である。
「(女性に間違われるのを気にしてるって言ってたけど、その服装だと女性でも着てる人がいるから男性ぽい物を選んでるのだけど…。矛盾してるわね。聞いてみようかしら。)」
千聖がそう考え、光を見ると、光はキョロキョロと周りを見ていた。
「光君?どうしたの?」
「あ、はい。えっと、なんだか誰かに見られてる気がして。多分、気のせいです。」
光に言われ、千聖も周りを見渡して見た。すると見知った人物が2人いる事に気付いた。
「気のせいじゃないわ。」
千聖はそう言うと、2人、彩と花音の元に近づいて行った。
─────────────────────
「ふぇぇ~。彩ちゃんが男の子って言うから男の子に見えて来ちゃったよ~。」
「わ、私も花音ちゃんが女の子って言うから自信が無くなって来ちったよ。」
2人は「う~ん。」と頭を悩ませていた。
「彩ちゃんはなんで男の子って思ったの?」
「え?メンズのお店にいるからだけど?」
彩が戸惑いながら言うと、花音は
「なるほど…。」
と呟いた。
「それに、私は男の子だと思っていたから、千聖ちゃんは可愛い男の子がタイプだったんだなぁって思って驚いたの!」
「あら?別に可愛い男の子がタイプじゃないわよ?」
「そっか!私はてっきり千聖ちゃんは……。って千聖ちゃん!?」
彩が振り向くとそこにはニッコリ笑っている千聖がいた。
「覗き見なんて関心しないわね。お説教が必要かしら?」
「ち、千聖ちゃん?」
「花音もこんにちは。彩ちゃんに言われてしょうが無く一緒に見てたのかしら?」
「ち、千聖ちゃん!?花音ちゃんに甘くない?」
千聖の態度に彩は抗議をした。花音は「あはは…。」と苦笑いしていた。
「ところで、千聖ちゃん?あの子は誰なの?」
花音が首を傾げながら言った。
「一緒に来てた子かしら?あの子は橘光君って言って、私のファンみたいなのよ。」
「光君?男の子だったんだ。」
「ほら!私の言った通り!」
彩が得意気に言うと千聖は「はぁ~。」とため息をついた。
「彩ちゃん?この間、レッスンに向かう途中に話さなかったかしら?覚えてないの?」
「レッスン?…あっ!思い出した!千聖ちゃんが凄く興味を持ってた子だ!」
「彩ちゃん!?」
「え!?千聖ちゃんそうなの?この間、恋がしたいとか言ってたけど、あの子に?」
「花音?違うわ。」
彩と花音の猛烈な質問責めに千聖は困惑していた。
「ねぇねぇ。千聖ちゃん!光君だっけ?私もお話ししてみたい!」
「わ、私も良いかな?」
「分かったわ。ただ、光君は女の子にみられたりするのを嫌っているからあまりイジらないであげてね?」
千聖はそう言った後に「(私が言えた義理じゃないわね…。)」と思っていた。一方、光は3人が話している所を見て、「(あれが、ガールズトークというやつか…。)」と思いながら服を選んでいた。
─────────────────────
千聖を待っている間、光は鏡の前でハットを被っていた。
「(思ったより、変じゃない…かな?)」
新たなファッションを開拓でき、満足そうに微笑んだ。
「ハット似合うじゃない。」
「あっ!し…。ち、千聖さん。お帰り…なさい?」
千聖が声をかけると光はパッと後ろを振り返った。すると、先程、ガールズトークをしていた2人もいる事に気付いた。
「「こんにちは!」」
その2人が光に向けて挨拶をする。
「こ、こんにちは。」
「光君?こっちは私と同じクラスの花音よ。」
「松原花音って言います。ハロー、ハッピーワールド!ってバンドでドラムをしてます。」
花音がニコッと笑う。
「あっ。え、えっと、橘光です。中学3年生です。…ハロー、ハッピーワールド!知ってますよ!楽しいライブでした。」
「え!見たことあるの!?」
「はい!夏にあったガールズバンドパーティーの時に…。」
「光君?もう1人紹介していいかしら?」
花音と光の話が盛り上がりそうになったのを千聖が止めた。千聖の後ろではソワソワしながら彩が待っていた。
「ご、ごめんなさい!…えっと…。」
「うん!自己紹介だよね?まん丸お山に彩を!Pastel*Palettesのボーカル!丸山彩でーす!」
決めポーズと共に彩が自己紹介をすると光は目を見開いた。
「え゛!パスパレの…。ほ、本当ですか!?」
「…光君、やっぱり気付いてなかったのね?」
光の反応を見て千聖は苦笑いしながら言った。
「う、嘘!?ひ、光君、パスパレのファンなんだよね?」
「…ご、ごめんなさい。」
「光君?彩ちゃんは気付かれないのが普通だから気にしなくて大丈夫よ?」
「…みんなひどいよ~。」
彩が目をウルウルさせながら言った。
「え、えっと…。その…。ま、まさか丸山さんとは思わなくて…。えっと…。その…。」
「ううん。光君良いの…。気付いて貰えるように私、頑張るから!」
彩が手をぎゅっと握りしめながら言う。光は元気になった姿を見てホッとしていた。
「さて!じゃぁ。光君の服を探しましょうか。」
千聖が手をパンと叩く。
「私も一緒に見て良いかな?」
「私も!」
「ぜ、是非、お願いします。」
光の服探しに彩の花音も参戦することになり、光は喜んだが、ふと冷静になると「(パスパレのメンバー2人に、ハロハピのドラマーと一緒に買い物って…。とんでもないメンバーと買い物してるよね?)」と思ってしまい、その後はガチガチになりながら服を選ぶ光であった。
書きながら「いかにもメンズの服って…。何だろ?」と思いながらも、ファッションに詳しくない僕にはこれ以外思いつきませんでした…。
こんな事ならファッションも勉強しとけば良かった(;´д⊂)
ちなみにですが、普段の僕のファッションは友達に「今からパーティーにでも行くみたいな服装だね。」と言われた事が多々有ります。
そんなつもりは毛頭もありません笑
今回で3話です。
更新はかなりゆっくりになってしまいます。
読んでおられる方がいらっしゃいましたら、気長に待って頂けたらと思います。