Choose thy LOVE.Love thy choice 作:ぴぽ
光の住む街を襲った大寒波の影響は凄まじく、2日間も雪を降らせ続けた。結果、交通網はストップし、月曜日であったが学校は休校となっていた。本来なら学生は喜びを爆発させるところだろうが、光は店番をしながらため息をついていた。店を見回すとガランとしていた。お客がいなくてガランとしているのもあるが商品も少ない、いや、食料品はゼロに近いぐらい無くなっており、棚だけが並んでいる状態だった。この雪で、補充されるはずだったトラックが来れなくなり、さらに雪のせいで皆考えることは同じと言わんばかりに一気に買いに来たのである。そうなると光は店番をしているが、売る物もない為、レジに立ちボンヤリするしか無かった。
「(暇だ~。)」
何回同じ事を考えただろうか。なかなか進まない時計を睨み付けながら過ごしていた。
「光?」
バックヤードで仕事をしていた父親が一段落したのか出てきた。
「なに?」
「暇だろ?もう良いから家にいていいぞ?」
「あぁ~。そうしよっかな?何かあったら呼んでね?」
光はお言葉に甘え、エプロンを外しながら家に戻って行った。しかし、家に戻ったら戻ったで暇なのは変わらず、あまり操作できないスマホを眺めていた。
「光?暇そうね?」
こちらも家事が一段落したのか、光の母親が声をかけてきた。
「まぁね。この雪だから何処にも行けないしね。」
ちなみにだが、光のコンビニは日中、バイトが出勤しているが、この雪の為、全員休みになったのである。
「私もする事がないのよね~。」
そう言いながらテレビを点ける。どのチャンネルもニュースで、未曾有の大雪のことばかりやっていた。そのニュースを見ながら光は「これは大変だなぁ。」と被害にあっている身ながらもどこか他人事のように呟いた。
「そう言えば。母さんに聞きたいことがあるのだけど。」
「なに?」
「この前さ、父さんが風呂に乱入してきた時にさ、父さんが「男ならドーンと行け!」みたいなことを言った時に「よく言うわよ。」って言ったよね?あれって何があったの?」
光はずっと気にはなっていたが、自分の事、千聖へのLINEの返事に精一杯だった為、すっかり聞くのを忘れていたのだった。
「あぁ。あれね。光にはまだ話してなかったわね。お父さん、あんな図体で意外と緊張しいなのは知ってるわよね?」
「うん。知ってるよ。人前に立つ時とかガチガチになってるよね?」
「そうそう。では光に問題です。あの動物園に入り立てで、人に慣れてない熊みたいなあの人と、お母さんはどうやって結婚まで出来たのでしょうか?」
突然始まったクイズに光は「う~ん。」と考えた。しかし、こんな難問に答えられるはずもなく「分からないよ。」と肩をすくめながら言った。
「正解は全部、お母さんから言った。でした!」
「ん?どういう事?」
「だから、告白も、プロポーズも全部!」
「マジ?全部母さんから…なの?」
衝撃の事実に光はビックリしていた。
「マジよ?プロポーズなんて綺麗な夜景が見えるところで、指輪を出しながら言ってやったよ。」
あはは。と笑う母親に、光は苦笑いを浮かべながら「父さん…。」と呟いた。
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「本当にゴメンね。2泊もしちゃって…。」
「大丈夫よ。花音。もし、花音がいなかったら絶対に暇だったもの。」
花音は土曜日、つまり雪が酷くなる前に千聖の家に遊びに来ていた。しかし、雪がどんどん積もっていき、帰れなくなってしまった為、こうして千聖の家に2日間も泊まっているのであった。しかし、千聖は心の中で「(この雪の中、花音が迷子になったら洒落にならないわ。)」とも思っていた。
「本当に助かったよ。私も、千聖ちゃんと色々な話しが出来て楽しいよ。」
花音は笑顔で言うと、千聖も「私もよ?」とスマホを眺めながら言った。
「最近、お仕事の方はどう?」
「お陰様で順調…かしらね?来週にRoseliaの主催ライブにゲストで出させて貰えるから今はその練習ね。」
千聖はそう言いながらスマホをチラッと見ていた。
「ねぇ。千聖ちゃん?スマホをずっと気にしてるみたいだけど、どうしたの?また光君にLINEしたの?」
「……してないわよ。」
「なら、なんでそんなにスマホを?」
「光君、こんなに大雪が降ってるのに「大丈夫ですか?」くらいLINEがあっても良いんじゃないかしら?」
少し拗ねたように千聖が言う。
「へ?ち、千聖ちゃん?」
「何かしら?」
「そんなに光君が心配ならLINEしてあげたらどうかな?」
花音が苦笑いしながら言う。
「………それもそうね。」
千聖はスマホのロックを解除し、文章を作成し始めた。その間、花音はこの2日間の事を思い出していた。
「(まず、遊びに来た初日はずっと光君の話を聞いたなぁ。好きじゃないって言ってたけど、絶対に大好きだよね?話してる最中もなんだか嬉しそうだったなぁ。千聖ちゃんが幸せなら良いんだけど…。)」
「花音、お待たせ…。何を考えていたの?」
「え!?あっ。うん。ち、千聖ちゃん、ってどういう男性がタイプなのかな?」
「私?う~ん。あまり分からないわね。」
「そ、そっかぁ。」
花音は千聖が光の事が好きであると確信。いや、最早ゾッコンであると確信した為、その気持ちに気付いて欲しい一心で色々と言ったが、結果は言うまでもなく、気付かないのであった。
「恋は盲目…かぁ…。」
花音がボソッと呟いた。
「花音?ごめんなさい。何て言ったのかしら?」
「う、ううん。何でもないよ。」
花音は苦笑いしながら手をパタパタと振った。そんな花音を見て千聖はクエスチョンマークを浮かべた。
「と、ところで!光君には何て送ったの?」
「あぁ。これよ?」
千聖は花音にスマホを手渡した。
“こんにちは。
雪大丈夫?
お店はやっているの?
ところで光君?
あなたは私が心配じゃないのかしら?
私はあなたからのLINEを待っていたのよ?”
読み終わった花音は「ふぇ~…。」と言い、困った表情を浮かべた。
「ひ、光君がまたビクビクしちゃうよ~。」
「そ、そんな事ないわ?」
「そんな事あるよ…。」
花音は困った表情のまま言った。千聖が再びスマホの画面をみると既に既読が着いていた。
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暇を持て余していた光は自室に戻り、本を読んでいた。
「やっぱりこの本は何回読んでも面白いなぁ。」
光が読んでいるのはシリーズ物の推理小説で、猫が登場し、その猫と刑事が難事件を次々に解決するというものだった。
「確か、新刊出てるよね?買いに行かなきゃ。」
光は思い出すと、すぐに読みたくなってしまったが、雪のせいで出掛けられない。窓から雪を睨んでみるのであった。
「さて、続き、続き!こっから面白くなるんだよね!」
そう言いながら目線を本に戻そうとした時、スマホがLINEの着信を伝えた。
「ん?え゛…。ち、千聖さん?…うわ…。」
内容を確認し、光は顔を青ざめた。
「これはマズい!非常にマズい!」
明らかに、「私、怒ってるんだけど?」みたいな内容のLINEに光は読んでいた本など忘れて部屋をウロウロしていた。
「光?洗濯物持ってきたから片付けて…。何してるの?」
光の奇行を目にした光の母親は顔を顰めていた。
「か、か、母さん!ど、ど、どうしよ!?」
「どうしたのよ?」
「こ、これなんだけど…。」
光は持っていたスマホを母親に見せた。LINEの内容を確認した光の母親は声を大にして笑った。
「ひ、光?あなた凄いわね。」
「は?」
「大ファンの白鷺千聖さんから好意を持たれるなんて。」
母親は尚もお腹を抱えながら言った。
「へ?うん。仲良く…して貰ってるけど?」
「そうじゃないわ。白鷺さんは貴方の事が大好きみたいね。」
「え?うん。弟みたいで可愛いって言われたけど?」
「だからそうじゃないわ。白鷺は貴方の事を1人の男性として好きだって言ってるの。」
光の頭をくしゃくしゃに撫でながら母親が言うと、光は固まった。そして少し間があり、
「いやいやいや!あり得ないから!」
と叫んだ。
「まぁまぁ。落ち着きなさい。このLINEの文面を見て、貴方はどう思ったの?」
「…千聖さんが怒っているって思ったよ?」
「じゃあ、なんで怒っているの?」
「え?僕がLINEしなかったから?」
「そうね。なんで光がLINEしなかったら怒るのかな?」
母親からの質問に順調に答えていた光だが、最後の質問になると、止まってしまった。
「なんでだろ?」
「ふふっ。とりあえず電話したら?LINEより電話の方が謝罪もちゃんと伝わるし、それに、白鷺さんも喜ぶはずよ?」
「え?最後の質問の答えは?」
「自分で考えなさい。貴方の成長を母さんは嬉しく思うわ。」
再度、頭を撫でた母親は「頑張って。」と言いながら光の部屋を出て行った。残された光は母親に言われた通り、電話をしようと電話帳を開いた。しかし、LINEの返信だけで「どうしよ?」と悩む光にとって、電話をかけると言うことがいかに難度が高い事か、母親は理解していなかった。
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「(ふ、ふぇぇ~…。ど、どうしよ?こ、こんな千聖ちゃん見たことない…。)」
楽しく会話をしていた千聖と花音だったが、今はなりを潜めていた。花音はわたわたと焦り、千聖は机に伏せていた。光にLINEを送った後、花音に「光君がビクビクしちゃう」と言われてから、ずっとこうなのである。
「ち、千聖ちゃん?…そ、そんなにショックだったのかな?」
花音が恐る恐る言うと、千聖はゆっくりと顔を上げた。
「花音…。私、光君に嫌われた…かしら?」
「ふぇ?」
「冷静になって考えてみたら、光君からLINEが無いだけであんなLINE送ってしまって…。ひょっとしたらお店が忙しかったからかも知れないのに…。」
はぁ~。とため息をつき落ち込む千聖に花音は「(恋って凄いなぁ…。人をこんなに変えるんだ。)」と思っていた。
「千聖ちゃん。大丈夫だよ。光君から返信が来たら、千聖ちゃんも言い過ぎたって謝れば良いよ。」
「そうね。そうするわ。花音、ありがとう。」
「ううん。…千聖ちゃん。本当に光君の事、好きじゃないのかな?」
「…分からないわ。これが好きって感情なのか…。本当に恋って何なのかしらね?」
千聖が苦笑いしながら言うと、スマホから電話を知らせる着信が鳴り響いた。
「誰かしら?」
千聖が机に置いてあるスマホを見る。花音もスマホの画面をつい見てしまった。そこには「橘光」と表示してあった。
「千聖ちゃん!光君だよ!早く出ないと!」
「わ、分かったわ。花音。」
千聖は急いでスマホを操作して耳に当てた。
「もしもし。千聖です。」
先程とは違い、柔らかい表情を浮かべた千聖を見て、花音はホッとしていた。しかし、ホッとしたのも束の間、千聖の表情は真顔に変わってしまった。
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意を決して、光はスマホの電話のする為にタップした。それまでの間15分で光は喋りたい内容を箇条書きし、ノートにまとめていた。無機質なコール音が光の耳から脳に届いていた。そして3コール目、コール音から人の声に変わったのであった。
「もしもし、千聖です。」
「も、もしもし。橘光です。ご、ご多忙のところ申し訳ありません。い、今、お時間よろしいでしょうか?」
「…えぇ。良いわよ。この雪だもの。暇しているわ。」
「あ、ありがとうございます。えっと、この度は、僕の気が回らず、千聖さんに不快な思いを…。」
「ち、ちょっと光君!?す、ストップ!」
「へ?」
光は自分で書いた台本通りに喋っていたが、突然ストップをかけられた。しかも、千聖じゃない人に…。
「この声は…松原さん?」
「こ、こんにちは。」
「こんにちは。あれ?なんで松原さんが?」
「スピーカーにしたのよ?光君。花音は遊びに来てるの。光君。前に言ったこと覚えてないのかしら?」
千聖の表情は見えないが、光は千聖がニコニコはしているが目が全く笑っていない表情しながら言っている事が手に取るように分かり、背筋がゾクッとしていた。
「ま、前ですか?」
「そうよ。私、もっと気軽に接してと言わなかったかしら?お友達みたいに。」
「お、覚えています。す、すみません…。」
「ち、千聖ちゃん。お、落ち着いて!光君も謝ってるんだし…。」
「…そうね。でも…。」
千聖が続けて言いかけると、花音はムッとした。
「光君?ごめんね。一旦、電話切るね?またすぐにかけ直すから!ごめんね?」
「え?」
「ちょ、ちょっと花…。」
千聖が言いかけたところで、電話が切れたのであった。
「えっと…。待ってれば良いんだよね?」
光はボソッと呟き、スマホを机に置き、正座しながら待つのであった。その頃、千聖の部屋では…。
「千聖ちゃんの意気地無し!!」
と花音の叫び声が響いていた。
我が家には大型犬と猫がいます。
二匹ともとっても仲良しさんです。
先日、二匹が丸まって、引っ付いてソファーで寝てました。
そんな光景をみて「紗夜と日菜みたいだなぁ。」と思いました。
ただ、そこは僕の座るソファーだ。いつも座ってると、「どけ」と言わんばかりに隙間に入り込んでくる二匹に困ってます。
以上、関係ないお話しでした。
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