Gundam Wars Online   作:魚盛丼

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Mission 3

少しの間機体を眺めた後、俺は職員に言われた通りMSの足下にいた作業員らしき人物に声を掛けた。

 

「すまない。この機体を注文した者なんだが」

 

俺の声に反応して作業員が此方を向く。

年の頃は50代前後に見えるツナギ姿、姿からして整備員か何かであろうその男性は俺を視界に捕えると向こうからこちらに歩いてきた。

 

「あん?お前さんがこいつの買い取り主か………また随分若いのが来たな。まあいい、登録を確認するから出せ」

「?」

「端末だよ、さっさと出せ」

 

男性作業員に急かされ、慌てて端末を手渡した。

男は端末を受け取ると片手に持っていたパネルに接続、手慣れた手つきでパネルを叩いていく。

 

「………うむ、確認出来た。登録名はリードっつうのか」

「何か?」

「いや別に。ただ自分からコイツに乗ろうっていう物好きに、ちょっとばかし興味が出ただけだ」

 

男はそういいながら、外した端末を此方に返してきた。

しかし物好きってどういう意味だ?

正直2人と違ってMSの好みなんてよく分からない俺は判断材料に乏しい為、偶々目についたこの機体を選んだに過ぎない。

アイツらに聞いても自分の趣味丸出しの機体勧めてするからいまいち宛にならんし。

 

知っている事だってあまり多くはない、精々登場作品がガンダム00である事位か。

………まさかそんなに扱い辛い機体何だろうか?

最初期機体で流石にそれは無いと思うんだが。

俺の思考を余所に男の話は続いていく。

 

「機体の整備自体はもう済んでるから今からでも動かせる状態になっとるぞ。安全の為に今は固定装備以外の火器や各々の弾薬はまだ積んではいないが、そっちに関してはこっから出す時に一緒に渡す手筈だ」

「何か、この機体に乗る時の注意点とかは?」

「そうさな………、一言言わせてもらうなら一応被弾箇所には気を付けとけって事ぐらいかね。なんせこのアンフは構造上、装甲が厚い割りに誘爆しやすいMSだからな。お前さんも知っとるだろうけど」

「……………えっ」

 

思わず、そんな呆けているような声が俺の口から漏れる。

というか、今何か凄い事をさらっと言われた気がするんだが。しかもしっかり聞いたら聞いたで恐ろしく不安になるような事を。

現に今、この男の台詞を聞いた俺の胸中は不安が大きくなりつつある。

 

「ん?急にどうした。……まさか、今さらビビってんのか?」

「……別に、そんなんじゃないさ」

「ふん、ならいいがな」

 

少々黙り込んだ俺に男は呆れたような態度で言葉を返してくる。

なんとか驚いたのを誤魔化そうとしたが、どうやらバレバレだったらしい。こりゃ完全に呆れられている。

 

男が俺に呆れるのも無理もない事だ、この男からしたら俺は自分で注文した機体の事をきいて今更ビビってる情けない奴にしか見えないのだろうし。せっかく整備した機体を渡す相手としては嫌だろう。

これは調べなかった俺も悪いので言い訳もできんしな。

………ま、それについては今はひとまず横に置いとくとして。

 

「もう機体には乗れるのか?」

「ここではダメだ。お前さんは新米だろう、事故でも起こされたらたまらん。どうしても乗りたきゃ町を出てからにしろ」

「ここに訓練所は---」

「無い。なんせ規模の小さい町だからな」

 

ここで乗れないと分かり少しテンションが下がる。

因みに今の会話に町中が出てこなかったのは慣れない内の町中は危険であるのと、加えてそれをやるとペナルティーをくらう事になるという理由からだ。

てか、非常時でも無けりゃ出す必要も無いので今それはどうでもいいか。

 

何にせよ自分で動かせない現状じゃ今俺に出来る事はほとんど無い、大人しく2人からの連絡を待つしかないか。

今頃はアイツラも自分の選択した機体と対面している事だろうし。

 

(そういやバルクは分かりやすい、っていうか自分からザクザク言ってたから知ってるんだけど、ボルトが何選んだが聞いて無かったな。初期選択の機体にアイツが好きそうな機体も無かったし)

 

壁に寄りかかって2人からの連絡を待つ間、俺はそびえ立つMSの巨体を見上げながらぼんやりとそんな事を考えていた。

 

あ~、暇だな………。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから十数分後、ボルトからの機体受領の知らせを受けて格納庫を後にした。

肝心の機体は後から輸送車両でMS用の別口に運ばれる手筈になっていたが、どうやらボルトが支部から運搬手段のトレーラーを貰えたらしいので俺とバルクの二人は最初に通った出入り口の前で待つことに。

 

「………ボルトの奴、なんか遅くねーか?」

「まだそんなに経ってない。俺達の機体も一緒に持って来るんだ、暇なのはわかるけどもう少し待てよ」

「俺のザクゥ……」

「変な声出すなよ気色悪い……、あといい加減その体を痙攣させんのも止めろ」

「あと少しであれに乗れると思うと、ハァ……ハァ……」

「俺の話を聞け」

 

実物に触れたせいでなにやら暴走気味なバルクとそんなアホなやり取りをしながらボルトの到着を暫く待つ。

というかコイツあれからずっとこんな感じか、よくそこまで興奮出来るな。もはや完全に変態だな。

信者って怖いわぁ………。

 

「オーイ!2人ともー!!」

 

しばらくして俺の耳に遠くからよく見知った男の声が届く。

そちらを向けるとその先にはこちらに向かってくる大型のトレーラーとその運転席から顔を出して手を振っているボルトの姿があった。

トレーラーは徐々にスピードを落とし、俺達の前に来ると完全に停止した。

 

「二人ともお待たせ」

「キターーーー!!」

「案外時間がかかったな。なんかあったのか?それにこの車は……」

 

隣でナニカ叫んでいる変態を意識から外しながら向けた俺の視線の先には、今さっきボルトが乗ってきたリアルでは見た事の無い大きさのトレーラーが。

この車を見た時、ふと俺の中で小さな疑問が浮かんでいた。

 

確かにこのゲーム内でノーラインに所属したプレイヤーがチームを組んだ場合、MSの運搬手段の少ないプレイヤーの為に最低限MSが乗せられるトレーラーが支給される事になっている。

が、あくまでそれは初期支給の域を出ない物でホームページで紹介されていたのもかなりボロい中古品だった筈だ。

それは俺も一度見て確認している。

 

だが今俺の前に停止しているこのトレーラーは紹介されていた物とは完全に別物だった。

所々に傷が見受けられる事から新品ではないんだろうが、全体的にきれいではある上に大きさも形状も違っていた。

初期支給の車は詰めてもギリギリ2機の搭載が限界であったのに対して、外から見た感じでもコイツは3機ぐらいならなんとか乗せられそうな気がする。

こんなの一体どうしたんだよ。

 

「ああうん、まあその辺の説明は後でするからさ。とりあえずここから移動しない?………バルクもそろそろ限界みたいだし」

「ハァハァハァ……こ、ここに俺のザクが」

 

チラリとボルトが視線を向ける。

その視線の先では先程よりもさらに息を荒げた変質者(バルク)が、MSが収納されているであろうコンテナにへばりついた状態で笑っていた。

ここがゲーム内で無かったら間違いなく警察のお世話になっていても可笑しくない姿だ。

というか今すぐ突き出したい。

コイツどんだけザクが好きなんだよ。

 

「……そうするか。ホラそこの変態!ここじゃMSに乗れないから移動するぞ!!いつまでもそんなとこへばりついてないでこっち来い!!」

「……ナヌ!?それを早く言えよ!!」

「さっきから言ってたよ!!」

 

機体に乗れると聞いて正気還ったのか、ようやくまともな返事をしながらバルクとその後に続いて俺がトレーラーに乗り込み、先に運転席に乗り込んでいたボルトがエンジンをかける。

 

「それじゃ出発するよー」

 

その掛け声とともにエンジンが音を立てて作動し始め、俺達とその乗機を乗せたトレーラーはゆっくりとしたスピードでノーライン支部を後にした。

そしてここから、俺達『フリーラン』のゲームが始まる。

 




トレーラーはこのゲームのオリジナルの物となっています。これくらいはないとノーライン所属の移動が厳しくなるので。
というか、ガンダム世界での地上のモビルスーツ移送手段が少な過ぎ。
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