Gundam Wars Online   作:魚盛丼

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※注意
今回ではアンフの操縦席の資料が見当たらなかった為、多少の想像が入っていますがご了承下さい。


Mission 5

しばらくの間トレーラーを走らせた俺達は、街が見えないくらいの距離がある見晴らしのいい平地に車を停車させると早速MSの起動に取り掛かった。

コンテナに移動した俺は自分の機体を見て悦に浸っていたバルクに一声をかける。

 

「ほらバルク着いたぞ!」

「…へっ?」

「機体を出すから乗れって事!」

「………お、おお!」

 

俺の言った言葉が徐々に認識出来たのか、ぼ~っとしていたバルクの表情にさっきとは違う喜色が満ちていくとすごい勢いでザクに取りついていった。

それを見た俺自身もアンフの操縦席に乗り込む為、機体の元へ向かう。

安全の為に車内ではしゃがんだ状態で固定されていたアンフだったが、それでも搭乗口まではかなりの高さがある。

本来なら搭乗するのに昇降機でも使う場面だがこの車両に乗っているのはたったの三人、起動の際の接触も怖いので今回は機体から吊るされた梯子を上っていく。

そして梯子を登りきった俺は、さあいよいよと搭乗口を開けて

 

「………なんだこれ」

 

思わず、そんな言葉が口から零れ出た。

特に見ただけでわかる異常がある訳ではない。そもそも初めてこれを見た俺にそんなものがわかろう筈もないが。

狭い。ただ狭い。それがこの今目の前にある操縦席を見た時に出てきた感想だった。

それに搭乗口も小さく人によっては肩が引っ掛かりそうなサイズ、というかちゃんと乗り込めるのかコレ。

そもそもさっきから操縦席言ってるけど席なんて何処にも無いし。

 

「おーい!なにやってんのー?」

 

下から呼ぶ声がする。そちらに目を向けるとこちらに歩いてくるボルトの姿が。

 

「なんかこれ椅子も置けない位スゲー狭いんだけど!大丈夫なのか!」

「今更何言ってるの?!アンフは狭いのなんて当たり前じゃないか!人革製なんだし!」

 

なんかスゴイ台詞が帰ってきたぞオイ。人革製なんだからとか、意味わかんねーんですけど。

え、なに?コレってそれだけで通じてしまう話なのか?もしかして知らない俺がおかしいのか?

 

ーーーこの時の俺はまだ知らない事であったのだが、そもそも人革、人類革新連盟の機体が他のMSに比べパイロットへの配慮という物があまり考慮されていない事は作品である00を知っている人ならば普通に知っているべき事らしい。

その人革連曰く、『パイロットはパーツの一つ』とのことだ。

 

………俺、初っ端から機体選択をミスったかもしれん……。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

搭乗口の側で自分の選択を後悔していた俺であったが、固定具の取り外しをしていたボルトの声に急かされる事になり、ヤケクソ気味に体を搭乗席に放り込んだ。

未だに操縦方法などなにひとつ教わってなどいない俺だが、流石にそこの所はゲームらしく体の固定の仕方などが詳しく目の前の空中にヘルプとして表示されていた。

ヘルプに従いながら何とか体を固定、上半身を乗り出すような状態に傾けながらアンフ特有である(らしい)固定式のヘッドマウントディスプレイなる物に頭をのせる。

全ての作業を終えた俺は、ここでようやく起動スイッチを入れた。

 

入れた途端、無音だったその空間に音が響き始める。

 

「おっ」

 

機体に固定された体に振動が伝わりそれに伴い響く駆動音も徐々に大きくなって行く。

それからシステム起動し、目の前の画面が明るく表示された。

今映し出されているのはメインカメラの映像だろうか、コンテナ内の壁と床が見える。

 

『あーテステス。二人とも聞こえてる?』

 

突如、耳元からボルトの声が聞こえてきた。

突然の出来事に少々慌てたが、すぐさま気を取り直してこちらから返事を返す。

 

「こちらリード、ちゃんと聞こえてるぞ。こっちの声はどうだ?」

『OK聞こえてるよ、一応アンフの方は問題なく起動出来たみたいだね。バルクはどうだい?』

『………感動過ぎる、俺もうここでなら死んでもいいかもしれない』

『コラコラ早い早い、まだ乗ったばかりでしょーが。あと若干言葉おかしい』

 

………とりあえず、バルクの方も問題は無いらしい。パイロットの精神状態以外は。

 

『ま、まあ2人とも起動出来て良かったよ。それじゃコンテナを開放するからさっさと機体を外に出しちゃおうか。今回は僕が誘導するから、ゆっくりと転ばないようにね』

「各自の武器とかは?」

『武器はコンテナの右の壁にあるから、降りる時にでも持っていってくれ。見えるだろう?』

 

バルクに言われ慣れない操作をしてカメラを右の壁へ向けると、そこには何種類かの装備がかけられておりその中で攻撃性のありそうな物は二つ、残りはそれぞれ異なる部分があるものの盾っぽい形状をしていた。

その武器の一つには丸いマガジンに短い銃身、所謂ザクマシンガンって奴だな。これは流石に俺でも分かるしディスプレイにもデータが出てきたから間違いない。

 

「へー、武器の種類とか分かるんだな」

『ああ、遭遇した事のある武器は登録されて分かるようになってるらしいよ』

「俺、初めて乗ったんだけど」

『そこにあるのはどれも基本装備だからじゃない?もしくはノーラインから支給されたからとか』

 

ボルトの返してきた返答に成る程と納得する。

しかし、そういう物があるなら後でどれくらい登録されているのか調べなきゃならないな。

 

 

 

まあそれはともかくとして、一つがザクの装備となると自然俺の装備はもう一つの方となるな。

 

もう一つはさっきの物とは違ってかなり大型の兵装だ。

こっちは銃というよりもどっちかって言うと大砲だな。砲身もかなり長い上に砲口も広い。

んで肝心の名前は……200mm×25口径長滑腔砲って言うのか、こっちもデータが出てきた。

 

「確認出来た。俺はこのデカいのでいいんだな?」

『そうそう。じゃあ始めよっか、コンテナを開けるよ』

「『りょーかい』」

 

コンテナの後部の天井と扉が音を立てながら開き、隙間から太陽の光が内部を照らしはじめる。

 

「よし、まず俺から出るぞ」

 

コンテナが開ききったのを確認するとそう言って俺はボルトの誘導に従いつつ、機体をゆっくりと立ち上がらせるとそのまま外へと歩を進めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『さて、いきなりでアレだけど2人にはこれからモブ狩りをしてもらいます』

 

それぞれの機体を降ろした後に行った多少の動作確認を終えた時、唐突にボルトがそんな事を言い出した。

…………いやホントにいきなりだな。

 

「いきなりなのはともかく、……今の俺達で大丈夫か?今の状態でいきなり戦闘って」

『大丈夫だよ。ここは比較的安全な地球の連邦領、ここで出るのは精々ゲリラの武装車両ぐらいだって集めた前情報にもある』

『それに前線に近いって言ってもここは領土の内側だ。正規軍やプレイヤーと鉢合わせする可能性も無いだろうさ。接している勢力もジオンじゃあ無いしな』

「………お前ら何で初日の今日でそこまで詳しいの?」

『リードにガンダムを見せてる間、僕らは比較的暇だったからね。最低限情報ぐらい集めるさ」

「……成る程ね」

 

ボルトの台詞で辛かった強制上映会の記憶が巡り、つい顔が引きつる俺。

確かに二人ともアレをやってる間、俺に解説を聞かせつつもPCで何か調べていたな。

俺なんか宿題とか言って大量の映像資料押し付けられたせいで公式サイトすらあまり見れてないというのに。

 

ここでのバルクの言う『ジオンと接して無いから心配ない』というのはゲーム内に於ける各勢力間の関係からくる台詞である。

このゲームには幾つもの勢力が存在しているが、その全てが対立している訳ではない。

明確に対立があるのは宇宙世紀の地球連邦とジオンなど、元々作品内で対立している勢力に限られている。それ以外とは明確な対立関係は無いが小競り合いがあり何かあれば対立する可能性がある状態、という設定なのだ。

つまり、開始間もない今ならば、ジオンとの境界線に近付きさえしなければ突然激しいMS戦闘になったりする危険も無いという訳だ。

因みに今居る場所から近いのはユニオンとの境界線である為問題は無い、筈。

 

『整備士希望の僕としては機体を存分に弄くる為にも、なるべく早く資金が欲しいんだよね』

『リードの不安も分かるけどゲームは習うより慣れろだと思うぜ?』

「うーん、資金が必要なのも確か何だけど」

『そんな事言って、このゲーム始めたぐらいなんだからお前だって戦闘してみたいだろ?』

「いやそうだけどさ……」

『なら問題無いな。はい決定!』

 

 

結局、2人に押し切られる形でゲリラ狩りをする事に決まった。

まあ実の所、こんな戦闘メインなゲームを始めた以上戦闘に興味が無い訳が無い。バルクの言う通りだ。

俺自身何だかんだ言いつつも、この決定には不安は有っても不満はないのである。

 

『今機体に出現ポイントのデータを転送したよ』

『それじゃあ出発だ!!俺が先行するぜ』

「了解、見つけてもいきなり突っ込んだりするなよ?」

『へへっ、わかってるって』

 

返事を返したバルクが自身の乗るザクを先行させ、俺もの後に続いて送られてきた出現ポイントにアンフを向かわせた。

その俺の後ろを多少の距離を空けてトレーラーが着いてくる。

 

 

歩行する度に揺れる機体の中で一人、俺はこれから発生するであろう戦闘に多少の不安と興奮を自覚せずにはいられなかった。




次回だ、次回こそ戦闘シーンを書いてみせる!(汗

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