では10話です。
あの一件以来、アキラはますますクラスから孤立した。だがアキラは相変わらずの態度にいた。カレンはあれから毎日弁当をつくってアキラに渡そうとしたがアキラは弁当を食べようとはしなかった。
「ライ、これ」
カレンはこの日もつくった弁当をアキラに渡そうとした。
「・・・・・」
だがアキラは弁当を貰おうとはせず校舎の外へと出た。
「ライ君!」
アキラの態度に腹が立ちシャーリーが後を追おうとした。
「シャーリー、いいの。」
「でも、カレン。」
カレンは笑って返したがシャーリー納得できなかった。
「大丈夫だから私。それに・・・」
「それに?」
「ライ、周りの環境に慣れてないからあんな風なの。だから私はあきらめない。」
「カレン・・・わかった。私でよかったら何か手伝うよ。」
「ありがとう、シャーリー」
「なぁにしてるの?」
ミレイが2人の後ろから出てきた。
「会長!」
「ライ君、相変わらずね。」
「そうなんです。会長」
「う~ん カレン、彼を放課後生徒会室に呼んでくれない。」
「え?会長一体?」
「ふふ、カレン、ライの歓迎会をかねてちょっとやりたいことがあるの」
ミレイの不敵な笑みにまた悪い癖がでたとシャーリーは思った。
アキラは学校にある庭園のベンチに座っていた。最近アキラは1日の授業が終わったらこうして1人で佇んでいるのである。
こうして数日ここの学校にいて俺は自分の過去を思い出そうとした。軽い頭痛を起こしたがやはり思い出せなかった。俺が過去に学校にいたことがあるのかだが俺がこうして学校に行き皆と勉強をした憶えがなかった。
やはり俺はここの人間とは違う世界に生きていたことを改めて思った。
1人で佇んでいる時後ろから車輪の音が聞こえた。
「あなたは!?」
振り返るとルルーシュの妹ナナリーそして彼女の世話をしている篠崎咲世子がいた。
「咲世子さん、誰かいるのですか?」
「えっ・・とライ・バートラーさんがベンチに・・」
「ラ、ライさんですか・・・」
あれからナナリーも今だにアキラのことが苦手だった。
「あぁ・・」
「ナナリー様、場所を変えたほうが」
咲世子もこの得体の知らないアキラを怪しく見ていた。一方ナナリーは庭園で花の香りを楽しみたかったのだがアキラがいて場所を変えようと考えたが先日、兄ルルーシュから言われたことを思い出した。
(いいかいナナリー、カレンから聞いたけど彼は学校でいじめに遭って引きこもって、人と接するのが嫌みたいなんだ。だからナナリーが怖がるのと同じで彼もナナリーのことを怖いと感じているんだ。せめて俺達生徒会だけでも彼とは友達として接しようと思うんだ。)
(お兄様の言う通り私が怖がっていたら向こうも心を開いてくれない!)
「あ、あの!」
ナナリーはアキラのほうを見て口を開いた。
「・・・・・」
「お隣、いいですか?」
「・・・・・」
口に出したもののアキラから何も返事が返って来なかった。ナナリーは怒らせてしまったのかと思ったがしばらくしてアキラが口を開いた。
「・・・好きにしろ」
「え・・・?」
たった一言であるがアキラから返事が来てナナリーは呆気にとられた。
「あの・・ナナリー様・・?」
「えっ?・・・あぁ咲世子さん大丈夫です。」
ナナリーはアキラが座っているベンチの隣に車椅子を動かした。
それから3人は口を開くことなく佇んでいたが先にナナリーが口を開いた。
「あ、あのライさんはお花お好きですか?」
「・・・・好きじゃない」
「えっ?あぁ・・そう・・ですか・・・」
この会話でまた2人の間に沈黙が流れた。(か、会話が続かない)
「で、ではここで何を」
そう言われアキラはナナリーを睨んだ。ナナリーも一瞬寒気がして身を縮んだ。
「ここで何かしないといけないのか?」
「い、いえそういうわけでは・・・」
「ライ様、ナナリー様はお話をしたいと思って・・・」
「・・・・・」
「あ、あの!ライさん!お聞きしたいことがあって」
ナナリーは顔をアキラのほうへ向けた。
「・・・何だ。」
「まだお兄様達とは仲良くできていないと聞いています。」
「・・・・・」
「それとカレンさんがつくってくれたお弁当を捨てたみたいですね。どうしてそんなひどいことを」
「・・・・・」
ナナリーの問いにアキラは答えなかった。
「カレンさん、言ってました。あなたは自分の世界しか知らないとだから教えてあげたい、学校の生徒の皆様、そしてお兄様生徒会の皆様達と触れ合ってあなたの知らない世界を知って欲しいと」
「・・・・・」
「・・・・・」
俺の知らない世界、紅月は以前にも似たことを言った。戦争以外の生き方を知って欲しいと、あいつは本当に俺のことを心配していると俺は感じた。気づけば俺から口を開いた。
「・・・・俺は・・その知らない世界を知りたいと思いあいつの誘いを受けた。」
「でしたら・・」
「だが、俺はわからない。俺はいつも1人だった。だからここの連中の考えがわからない。」
「怖いのですね。あなたは人が」
「お前は怖くないのか?」
「え?」
「目が見えないお前のほうがまだ怖いじゃないのか?」
「ライ様それは・・・」
「いいんです。咲世子さん」
ナナリーの目ことを聞こうとしたアキラを咲世子が制しようとしたがナナリーは構わず続けた。
「見えなくなったころは怖かったです。私にはお兄様しかいませんでした。でも日本にきてスザクさん、そして生徒会の皆さんと会っていつも楽しく過ごせてます。たとえ目が見えなくても」
「・・・・」
この時、俺は紅月とは違う強さを持っているとナナリーを見て思った。
「ライさん、少し楽にしたらどうですか?」
「?」
「何もしなくてもいいのです。カレンさん達の傍にいてください。一緒にいるだけで嬉しく思うのです。そしてまずは・・・」
「ん?」
「まずはカレンさんのお弁当を食べてください。」
ナナリーは優しく微笑んだ。ナナリーの笑顔にアキラは苦い顔をした。
「ライ、こんなところにいたのね。あ、それとナナリー」
アキラを探していたカレンがやってきた。
「こんにちは、カレンさん。ライさんに何か?」
「うん、ちょっと生徒会室にきてほしいけど、いいかな?」
「・・・・・」
「ライさん。」
ナナリーはアキラに優しい笑みを浮かべた。
アキラはしばらく考え込んでいたが
「・・・わかった。」
「え!?」
「生徒会室だな。」
そう言うとアキラはクラブハウスへ行った。
また断られると思ったカレンはアキラの返答に呆気にとられた。
「ふふ」
ナナリーと咲世子はアキラの後ろ姿に少し微笑を浮かべた。
「ナナリー、ライと何してたの?」
「少し楽しいお話を」
「話・・・?って、ちょっと待ってよ!」
カレンはアキラの後を追った。
ライさんは不器用な人間なのかもしれない。ナナリーはアキラの見方を少し変えようと思った。
「あっ!きたわね。」
生徒会室に入るとミレイをはじめルルーシュ達生徒会のメンバーが集まっていた。
「ライ君~。ちょっと座って。」
アキラは椅子に座された。するとリヴァルとスザクが着ぐるみを着た人の両腕を引っ張ってアキラの前まで運んだ。
「ほら、ルルーシュ前を向いて」
着ぐるみを着ているのはルルーシュらしい。
「し、しかしスザク」
「もう、覚悟決めなさいルルーシュ」
ミレイがルルーシュの顔を無理矢理アキラの方に向かせた。頭には猫耳がある帽子、顔にはマジックで髭が書かれていた。
「い、痛い。か、会長、もういいです。」
ルルーシュは正面を向いた。猫の着ぐるみにを着た。なんともおかしな格好であった。
「・・・・・」
アキラは口を半開きにしてルルーシュを見た。
「え・・っとライ君?」
ミレイはアキラの顔を覗いたが何も変化はなかった。
「あ~あ、ルルーシュこりゃすべったな。」
「リヴァル!これでライが笑うわけないだろ!」
「・・・一体何だ?これは」
「いや~ライ君生徒会の歓迎会をやろうと思って」
「それでこの格好はこの前した猫祭で使った着ぐるみを使った物なの。」
「じゃあ今度はこのお面とイレブンが昔祭りで使っていた衣装を着て」
口をすぼめて曲げたような表情の男性のお面と法被をルルーシュに渡した。
「い、いやなんですかこれ?こんな変な面をつけたくないですよ。」
「ひょっとこか。いいじゃないかルルーシュ、ライ笑うと思うよ。」
「ま、待てスザク。」
「もうルル大人しくして」
ルルーシュを捕まえミレイ達4人で着替えさせようとした。
ミレイ達のやり取りをアキラはただ呆然と見ていた。
(こいつらは何がやりたいんだ。)
「びっくりした?」
隣にいたカレンが話しかけてきた。
「みんなあなたと仲良くなりたいって思ってこういうイベントを開いたのよ。」
「・・・・・」
「あなたがいつも1人でいるのを見てあなたを生徒会に入れて仲良くなりたいって」
「俺は・・別に・・・」
「ライ君、私達あなたと友達になりたいの。」
シャーリーも笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「確かに無愛想なところがあるけどカレンから優しいところもあるって聞いているから私達も友達になりたいなぁって」
「まぁ少しずつでもいいからここ(生徒会)に顔を出してくれよ。なぁスザク」
ひょっとこのお面を頭の横にずらしルルーシュは相槌を打った。
「うん、そうだよライ。これからは僕らも友達だ。」
友達。今までの俺にはまるで縁がなかった言葉だった。戦場では隣にいた奴が気が付いたら死んでいた。1人、2人、3人。いつも俺は1人だった。だがここではそんなことはない。その時の俺はそう思った。
「失礼します。」
その時2人の女子生徒が部屋に入ってきた。
「あら、どうしたの。」
「放送部の者です。すみません会長。放送部で使っているスピーカーが壊れちゃって、修理をお願いしたいのですが」
「あぁそうなの。・・・わかった。じゃあとりあえずこっちで預かっておくから」
「はい、お願いします。」
女子生徒はスピーカーを部屋に入れ退室した。
「う~ん弱ったわね。」
リヴァルが電源を入れたがまったく動かなかった。
「会長、これ買い換えるしかないですよ。」
「経費は抑えたいところだけど仕方ないわね。」
アキラはスピーカーを触りながらまわりを見ていた。
「ん?ライ、お前どうした?」
「リヴァル。ここに工具あるか?」
「え?あぁそんないい物はないけど」
リヴァルは工具をアキラに渡した。アキラはドライバーなどでスピーカーを分解しはじめた。
ミレイ達はそれをただ見ていた。
アキラは分解した部品を見た。
「こいつを交換すれば直るはずだ。」
「ライ君。できるの?」
「あぁだが会長、部品は買わないといけないぞ。」
「わかった。じゃあこれはライ君にまかせるわ。」
「じゃあ俺は買いに行く。スピーカーはこのままにしてくれ。俺が明日直す。」
アキラは部屋を出た。
「ライ君、すごいね。カレン、ライ君機械詳しいの?」
「シャーリー・・・あのね・・ライ、知り合いの人にいろいろ教えてもらってたみたいで彼、手先も器用だし」
その頃アキラは学園を出てゲットーに向かっていた。
「アキラ!」
後ろから呼ばれ振り向くとカレンが走ってこちらへきた。
「どこに行くの?」
「坂口のとっつあんのところだ。」
「坂口さんのところ?」
「あそこならまだ使える部品があるはずだ。」
「あ、そっか。・・ふふ」
カレンがアキラの顔を見て微笑んだ。
「なんだ?」
「みんな、あなたのことすごいって言ってたよ。」
「・・・・そうか」
だがアキラは相変わらず無表情だった。
「もう、少しは喜んだらみんなから褒められたのだから。」
「俺は修理を任されたからやるだけだ。」
(もう、素直に喜べばいいのに。)
「あっ!そうだ。少し寄り道しよう。」
「俺には用事がある。」
「坂口さんのところはあなたが寝床にしてるから今帰らなくてもいいでしょ。クレープでも食べてゆっくりしましょ。」
カレンが指さしたところにクレープの移動販売車があった。
「・・・食べたらすぐ行くからな。」
「そうこなくちゃ。ほら行くよ。」
カレンはアキラの腕を引っ張っていった。
「アキラは何がいい?」
「・・・何でもいい」
「何でも?じゃあ私が選ぶからあとで文句言わないでよね。」
しばらくしてカレンは2つのクレープを持ってやってきた。
「はい。これがあなたの。」
渡されたクレープは生クリームやアイス、フルーツなどたくさん入っていた。
「ここのクレープ結構有名なのよ。」
アキラは渡されたクレープをしばらく見ていたがゆっくりと口へ運んだ。しかしアキラは眉を歪め渋い顔をした。
「あれ?どうしたの?美味しくなかった?」
「・・・・甘い。」
「え・・・?」
「・・・・・・」
「もしかしてアキラ、甘いもの苦手?」
「・・・あぁ」
「・・・っぷ。ふふふ」
アキラの反応にカレンは思わず吹き出してしまった。
「?!何がおかしい?」
突然笑われアキラは怒った。
「いや、アキラにも苦手なものがあるんだなって。」
「・・・・行くぞ。」
「あぁもうちょっと待ってよ。」
これをきっかけにみんなと仲良くなることができればカレンはアキラの背中を見ながらそう思った。
翌日、生徒会室
アキラは坂口の工場で手に入れた部品でスピーカーを修理しようといつもより早く学園へきて修理をしていた。
「アキラ?」
カレンが部屋に入ってきた。
「教室にいなかったからここかなって思ってきたけどやっぱりいた。」
「何だ?」
「もうすぐ先生が来るよ。早く教室に戻らないと」
アキラは時計を確認し作業を止めた。
「わかった。」
「・・・アキラ!」
カレンはアキラのまえに弁当箱を差し出した。
「・・・あの・・」
「・・・・・」
アキラはカレンの弁当箱を取りそのまま部屋を出た。
「・・・え・・?」
また断られると思ったカレンはアキラの行動に唖然として立ち尽くした。
その後アキラは1人で昼食を取ろうとしたがルルーシュ達に見つかってしまった。
「ライ君、お昼一緒に食べようよ。」
「・・いやいい」
「まぁまぁそう言わずに」
シャーリーとリヴァルに両腕を掴まれアキラは食堂へと行った。
仕方なくアキラは弁当箱を開けた。ご飯に唐揚げなどのおかずなんてことはない普通の弁当であった。
アキラは弁当を口に運ぼうとしたがシャーリーとリヴァルがニヤニヤしながらこちらを見ていた。
スザクはその様子を見て少し笑っていた。ルルーシュはチラっと見たがあまり興味はないのか食事に集中していた。
「・・何だ?」
「いやいやライがカレンの弁当を食べるから」
「ほら、ライ君はやく食べてあげてカレンが感想を聞きたがっているよ。」
カレンを見ると何かそわそわしていた。
シャーリー達の視線が気になったがアキラは弁当を口へ運んだ。最近まで食べていたものと違ってどこか温かみのある味だった。
「どう・・かな・・?」
カレンは味の感想が気になっていた。
「・・・うまいな・・」
「カレン、よかったね。」
カレンはホットしたのか肩の力を落とした。
「なんだよライ、もっと美味しそうに言えよ。」
リヴァルはアキラの肩をつついた。
「ホントに美味しい?」
カレンは確認するように聞いてきた。
「・・・あぁ」
その後皆食事を終え教室へ戻ろうとした時カレンは皆に聞こえないようアキラに話しかけた。
「アキラありがとう。食べてくれて」
「・・・・」
アキラは教室へ行こうとしたが途中立ち止まった。
「・・・アキラ?」
「また、作ってくれないか・・・」
「え・・?」
カレンはアキラの言葉に驚いた。アキラはカレンの返事をまたずに食堂をでた。
「・・・ふふ わかった。」
何も言わないアキラの背中にカレンは優しくつぶやいた。
相変わらずの駄文でした。
少しでも文才があればといつも思ってます。