ーナリタ連山ー
俺はゼロの率いる黒の騎士団とナリタ連山の山道をKMFで登っていた。
ここには日本開放戦線の本拠地がある。俺が尋問から逃げて以来約半年振りだった。
『なぁ流崎、お前ゼロから今回の作戦のこと聞いてるか?』
無頼の通信から玉城の声が聞こえた。
「いや。」
『やっぱりか扇やカレンに聞いても同じ答えだったし今回の作戦どうなってるんだろうな?』
俺は先日のゼロとの会話を思い出した。
-10日前-
「ナリタのことを知りたい?」
「そうだ。元日本開放戦線である君にならあそこの地形のことは詳しいはずだ。」
俺はゼロに呼び出されて2人で話すことになった。どうやら近いうちにコーネリア率いる軍が日本開放戦線の本拠地であるナリタ連山に掃討作戦を行うらしい。
そこでゼロは元日本開放戦線であるこの俺に本拠地の詳細を聞こうとしたのだ。
「あいにくだが俺はあそこにはいなかった。」
「何?だが君は・・」
「確かに俺は日本開放戦線にいたが俺が所属してた部隊はナリタの本部ではない。」
嘘は言ってなかった。陽炎にいた時から俺はナリタの本部には一度も行ったことがなかった。俺があそこにきたのはあの尋問の時が初めてだった。
「本当かね?」
「あぁ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・わかった。ではナリタのことは私が調べておこう。手間かけてすまなかった。」
そう言われアキラは部屋を出た。
『・・・ざき、流崎!』
先日のことを思い出していた時、玉城の声が聞こえた。
「何だ?」
『何だよ。ボケっとして』
「考え事してただけだ。それで何だ?」
『お前日本開放戦線にいただろ。ここのことよくわかってるんじゃねぇのか?』
玉城は先日のゼロと同じこと聞いてきた。
「俺はここの本部とは違う部隊に所属してたんだ。詳しいことは知らない。」
『へぇそうなのか。どこの部隊にいたんだ?もしかして陽炎か?』
陽炎の言葉にアキラは眉をしかめた。
『玉城、陽炎ってあの?』
先程まで話を聞いていたカレンが紅蓮の通信で割って入ってきた。
『日本開放戦線の特殊部隊陽炎。赤い肩をした無頼に乗って日本にいくつもあるブリキ野郎達の基地を壊滅したって話だ。ブリキ野郎からレッド・ショルダーって恐れられているんだ。かっこいいぜ』
『うんその話なんか聞いたことがある。』
『まぁ実際、俺も噂程度にしか詳しいことは知らないけどな。扇、お前何か知ってるか?』
『いや、俺も日本の切り札だとか言われているのは聞いているが詳しいことはしらない。最近目立った動きは聞いていないしな。それより玉城、彼はまだ子供なんだ。そんな部隊にいるわけないだろ。』
『まっ、そりゃそうだ。』
『よし、もうすぐ目的地だ。みんな気を抜くなよ。』
扇の言う通りゼロとの合流地点までもうすぐであった。
‐ブリタニア軍 Gー1ベース‐
「・・・そしてナリタ連山は我らが完全に包囲しました。これで逃げ道はありません。」
ダールトンは今回の作戦の説明をしていた。
「しかし、包囲網の外から敵が現れることはないのでしょうか?」
作戦の参加しているユーフェミアが聞いてきた。
「それは問題ありません。作戦開始と同時に公共道路等のあらゆる場所を封鎖します。しかし・・」
ダールトンは苦い顔をした。
ユーフェミアはどうしたのかと頭を傾げた。
「その封鎖、及び警備を治安警察が行うことになったのだ。」
コーネリア総督も苦い顔をして答えた。
「治安警察?しかしあの方達は租界とゲットーの治安を目的としたはず。それが何故?」
「そうだ。だが今回封鎖、警備を奴らに任せることになった。本国からの命令でな。」
「本国?」
また本国からの命令。あの治安警察は、いやあの署長は一体何者なのか?ユーフェミアは治安警察に対する疑惑は大きくなっていた。
「え?治安警察が?」
後方で待機している特派達スザクは今回の作戦に治安警察が関わっていることを聞かされた。
「そう。なんか今回、封鎖、警備を彼らに全て任せるみたいだよ。」
ロイドが楽しそうに答えた。
「あの治安警察の署長は確かイレブンだったはず。その署長は何か怪しい噂があるようですね。」
ロイドの補佐を務めるセシルも治安警察のことは怪しく感じていた。
「あぁ陽炎のこと。」
「ロイドさん、あの治安警察の署長は陽炎にいたのですか?」
スザクも陽炎のことは何度か聞いたことがあった。
「らしいよ。ここイレブンからは切り札だとか言われているけど僕達から見ればあれは殺人部隊だよ。その人間によく租界の警備を任せられるよね。」
殺人部隊、赤い肩をした悪魔。軍に入ったスザクは陽炎のよくない話を何度か聞いたことがある。直接目にしたことはないがそれが事実なら許せないことだとスザクは思っていた。
‐ナリタ市街地‐
治安警察が街で待機していた。
署長の安永は副署長の藤浪と作戦の確認をした。
「まさか我らが片瀬達を捕らえる片棒を担ぐとは思いませんでしたよ。」
「これも任務のうちだ。いいか、あのじゃじゃ馬が作戦を開始させたら我々も行動を開始する。全員準備を怠るな。」
‐ナリタ連山山頂‐
山頂に到着したアキラ達は堀削機械を設置し待機した。コーネリアを攻撃し日本開放戦線を助け協同戦線を行うのか、そうなると裏切り者である陽炎の部隊にいた自分はまた日本開放戦線に引き渡されるかもしれない。そうなる前にこの戦線を抜けたほうがいいのかもしれない。アキラはそう考えていると大きな爆発音とともに黒い煙が立ち込めたのを山頂から確認できた。
上空から大編隊が現れKMFを次々と降下させた。ナリタ連山はたちまち包囲された。
「なんだよありゃ?ゼロ!あんなのきたんじゃ完全に包囲されるじゃねぇか!逃げ道もねぇぞ」
ブリタニア軍の大編隊を見て玉城は吠えた。
「そうだ。ここは完全に包囲された。生き残りたければここで戦うしかない。」
ゼロは冷静に答えた。
「正面から戦って勝てるわけないだろ!」
「そうだな。これで勝てたら奇跡だな。」
ゼロはリーダーとは思えないことを発言し扇達は唖然とした。
「メシアでさえ奇跡を起こせなければ認めてもらえなかったのだ。だとすれば我々にも奇跡は必要だろう。」
「あのな奇跡ってのはそんな安売りしてねぇんだよ!やっぱりお前はリーダーには・・」
その時ゼロは玉城に銃を向けた。ゼロは撃つのかと思ったが銃を回しグリップを玉城のほうへ向けた。
「私抜きで戦えるのなら誰でもいい撃つがいい。だが黒の騎士団に入ったからには選択枝は2つだ。私と生きるか私と死ぬかだ!」
「・・・・・」
「・・・・・」
両者の間に静寂が包んだ。
「けっ、好きにしろ。」
「玉城ありがとう。感謝する。」
玉城が先に折れた。
このやり取りをアキラはただ黙って見ていた。不利な状況から巧みな駆け引きで有利な状況へと運んだ。こいつはかなりの詐欺師だとアキラは思った。
だがゼロがここまでブリタニアと戦う理由がアキラには気になった。自ら退路を絶ってコーネリアに戦いを挑む、そんなにブリタニアを憎んでいるのか、それともコーネリア個人に恨みを持っているのか、どちらにせよこのゼロは本気でブリタニアと戦争する気だと感じた。
周りが落ち着いたところでアキラは自分の無頼に乗り計器を確認した。
「これより黒の騎士団はコーネリア軍に奇襲を仕掛ける。私の指示に従い一気に第3ポイントまで駆け下りろ。我々の目的はコーネリアの確保だ。突入ルートを作るのは紅蓮弐式だ。」
ゼロの指示で作戦が開始された。カレンは紅蓮を起動させ紅蓮の頭部が出てきた。
‐ダールトン部隊‐
「ダールトン将軍、敵本拠地はどうやらあの山荘だと思われます。」
「こういう時ビンゴっと言うべきかな?」
「いえ・・あの・・」
「合わせろよ。この正直者が、総督に知らせろ。」
部下が信号弾を出した。
(しかし呆気なかったな。陽炎が出てくるかとおもったがな。もし噂が本当なら井ノ本達は・・)
前総督のクロヴィスが手を焼いていた陽炎、その陽炎が最近姿を表していないのだ。井ノ本 寛司イレブン達がブリタニア本国へ来た時期からだ。コーネリアは井ノ本達がその陽炎ではないかとの噂が耳に入りコーネリアは井ノ本の部下であろう治安警察の署長安永を密かに調査しているのだ。
「ん?」
ダールトンは山道を走る装甲車らしきものを発見した。
「カレン、準備はいいな?」
「はいゼロ。大丈夫です。」
紅蓮は打ち込んだ装置に右腕の輻射波動機構を置いた。
「輻射波動機構 最大出力!」
アキラ達の周りに水蒸気が立ち込めて大地が揺れだし地割れがおこった。。
輻射波動機構の威力をナリタ連山の地下水脈に直撃させ土砂崩れを発生させたのだ。
「なんだあの装甲車は?」
ダールトンは山道を走る装甲車を発見した。
「あれは我らのものではないな。」
「もしや日本開放戦線のでは?」
「逃走中の車両かもしれんな。よしあの車両を止めろ。」
ダールトン達は装甲車のもとへ行こうとした時地響きが起こった。
「なんだ?」
山頂から大量の土砂がこちらへ雪崩れこんできた。
「すぐにここから離脱しろ!」
ダールトン達はスラッシュハーケンを使い脱出を図った。
土砂崩れによって孤立したコーネリアを狙いゼロ達は山道を駆け下りた。
「コーネリアの部隊への援軍は限られている。今のうちに突き進め!」
アキラは立ちふさがるサザーランドを狙い撃ちコーネリアを狙いに突き進んだ。
その時現れたサザーランドの部隊がゼロ達を攻撃し2機やられた。
「ゼロはいるか!いるならこのジェレミア・ゴットバルトと戦え!」
ジェレミア・ゴットバルト。アキラがゲットーに行く前にあったことで、スザクがクロヴィス暗殺の実行犯として逮捕され軍事法廷へ送られる際、ゼロが現れ軍はゼロにスザクを渡した。その時の責任者が純血派のこのジェレミアであったことはアキラも耳にしたことはあった。
「ほう、久しぶりですね。まだ軍にいたのですね。しかし、今はあなたの相手をする暇はないのですよ。オレンジ君。」
「オ、オ、オレンジだと!? 死ぃねぇぇぇ!!」
ジェレミアはゼロが乗る無頼に突っ込もうとしたがカレンの紅蓮がジェレミアのサザーランドのライフルを小型ナイフの呂号乙型特斬刀で弾いた。
ジェレミアはスタントンファで応戦したがカレンは攻撃をうまく避けた。
(初めての実戦投入にしてはいい動きをする。)
アキラはカレンが初戦で無事を紅蓮をうまく乗りこなしているようだと感じた。
カレンはサザーランドを右腕で捕えて輻射波動機構を起動させた。ジェレミアのサザーランドは膨張していき爆発を起こした。
同じ純血派のヴィレッタ・ヌゥは愕然とした。
「ジェレミアがやられた。黒の騎士団こいつらは一体・・・っつ何だ!?」
突如攻撃を受けて見たところ1機の無頼が自分達に攻撃を仕掛けたのだ。
「応戦しろ!こちらまでやられたら私達の立場が」
ヴィレッタ達は応戦したが無頼は銃弾を避け1機のサザーランドに体当たりをした。
「っつ、こいつ!」
もう1機のサザーランドは無頼に向けて引き金を引いたが無頼は倒れたサザーランドを無理矢理起こし盾にしたのだ。味方の銃弾を浴びたサザーランドは爆発をおこした。
「な!?」
味方を撃ってしまったことに気を取られてしまい無頼が側面にいるのを気づかず、もう1機も無頼の銃弾を浴び爆発をした。
「グラスゴーもどきに」
ヴィレッタはライフルを無頼に向けて発泡したが無頼はランドスピナーで回転しながら銃弾を避けサザーランドに銃弾を浴びせた。
「くっ、私まだ死ぬわけには」
ヴィレッタは脱出機能を作動させ脱出した。
(さすがだな。軍にいただけはあるな。おそらくカレンより操縦技術はあるようだな。)
アキラの乗る無頼の戦闘を見てルルーシュは感心していた。
飛び交う銃弾、爆音と硝煙、懐かしい匂いがここにはあった。俺は今戦場に戻っていた。
次回にあの人をだそうかと思います。