黒の騎士団とキョウトとの謁見の当日。
ゼロは扇達とは別行動でキョウトが用意した車で今はサクラダイトの産地として中腹地点までサクラダイト採掘プラントが建造されたフジサンへ向かっていた。ゼロの横にはプラントの作業員の服装をしたアキラがいた。
車はフジヤマプラントの内部へ入っていった。
(ここがキョウトの本部だったのか)
ブリタニアと協力関係の経済団体NAC。だがその実態は抵抗組織を協力する秘密結社キョウト。その詳細はアキラも知らなかった。
(だがゼロどうやって話を通したんだ?内部の人間を買収したのか?)
ここまでスムーズに事が運んでいることにアキラは疑問に思った。
「さぁ着いた。では作戦を開始する。私がここのKMFを乗り込む。その間警備をやり過ごさなければいけない。」
「その警備を少し黙られるのが俺の役目だろ。」
「そうだ。ここの内部は頭に入れただろ?」
「あぁ。じゃあな。」
アキラはゼロとは別の通路を通ろうとした。
「あとここの人間を殺すな。あとで尾を引くようなことは避けたい。」
「何故お前が俺にそんなことを言う?」
「いや・・・特別意味はない。」
「・・・わかった。お前の言う通りにしよう。」
「あぁ、頼む。」
ゼロと別れたアキラは管制センターに行く通路を歩いていた。アキラの前から警備員1人がこちらへやってきた。
「すみません。」
「ん?どうした?」
アキラから声を掛けられた警備員はアキラのもとへきた。
「ん?お前見かけない顔だな。」
「あの、実は・・・」
アキラは懐から銃を取り出し警備員に突きつけた。
「管制センターまで案内して欲しい。」
「っつ!」
「騒ぐな。大人しくしろ。」
「あ、あぁわかった。」
アキラは監視カメラに銃が見えないよう隠した。
警備員の案内で管制センターの入口まで着いた。
「開けろ。」
警備員はポケットからマスターキーを取り出し入口を開けた。
「ん?何かあっ・・なっ!?」
振り向いたオペレーターは警備員の首に銃を突きつけたアキラに驚いた。
「騒ぐな。お前ら全員向こうの壁に手をつけろ。」
アキラの言う通りオペレーターの3人は壁際まで行き手をつけた。
アキラは4人を手錠で拘束し監視モニターを確認した。
ゼロは無事KMFに乗り込むことに成功した。
(うまくいったようだが奴はどうやってあそこまでたどり着いたんだ?)
KMFの格納庫まで誰ともすれ違わないはずがない。何か根回しでもしたのか。
『こちらは成功だ。今から謁見会場へ向かう。君はそこから脱出してくれ。そのあと連絡をしてくれ。』
「わかった。あとはこちらの好きにやらせてもらう。」
『あぁ構わない。』
ゼロとの連絡を終えたアキラは謁見会場であろう場所にカレンや扇達がいるのをモニターで確認した。
謁見を様子を見ると警備のKMFが出てきた。
(ゼロの言う通り何か仕掛けていたか。)
扇がゼロのマスクに手をかけた。
(今、ゼロはKMFに乗っているってことはあのゼロはまさか・・)
扇がマスクを取るとナリタで会ったC.C.だった。
(やはりあの女がいたか。)
するとKMF1機が動き出しKMFの代表にライフルを構えた。ゼロはKMFを降り、キョウトの代表の前でマスクを外した。
モニターからはゼロの顔は見えなかった。
音声が聞こえず様子は分からなかったが謁見の様子を見るとどうやら成功したようだ。
(どうやら終わったようだな。さて・・・)
(まさかあの者と再び会うことになるとはな。)
黒の騎士団との謁見を終えた桐原泰三(きりはら たいぞう)は1人居間にいた。キョウトの当主皇神楽耶(すめらぎ かぐや)とキョウトの重鎮達に今日の報告をしようと先に部屋に入った。
重鎮達を待っていたが部屋に来たのは警備員1人だった。
「!?何だお前は?」
アキラは帽子を外し桐原に近づき銃を突きつけた。
「動くな。」
「何者だお前は?黒の騎士団か?」
「そんなところだ。あんたに聞きたいことがある。」
「すぐに他の者もじきに来る。」
「黙れ!あんた、ゼロの顔を見たはずだ。奴は何者だ?」
「・・・・・」
「答えられないか。」
「主が何者だろうとあやつのことを明かすわけにはいかぬ。」
アキラは桐原の顔を見てこれ以上しゃべることはないと思った。
「では質問を変える。」
アキラは桐原の前に1枚の写真を差し出した。桐原は写真を見て目の色を変える。
「この3人が誰かわかるか?」
「この写真をどこで?」
「質問に答えろ!」
アキラは桐原の頭の近くまで銃を近づけた。
「・・・この兄妹はブリタニア帝国第11皇子だったルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと妹のナナリー・ヴィ・ブリタニア。」
「皇子・・・」
何かあるとは思ったがあの兄妹の正体を知りアキラは驚いた。
「ではもう1人は?」
「彼は枢木ゲンブの息子枢木スザク。」
「スザク・・!」
(学校で仲良く見えたが奴はが前からあの兄妹とは知り合いだったのか。)
「この兄妹は何故ここへ?」
「日本とブリタニアとの外交目的として送られた。」
「それからこの兄妹は今どこに?」
「・・・知らん。ブリタニアとの戦争に巻き込まれ死んだと聞いた。」
この男、あの兄妹が生きているのを知らないのかそれとも隠しているのかこの時のアキラはまだ知らなかった。
「・・・わかった、もういい。」
「わしからも質問いいかな?」
「・・・?」
「この写真をどこで手に入れた?」
「・・・・・」
「・・・・・」
2人に沈黙が続いたが部屋のドアから女性の声が聞こえた。
「神楽耶です。どうなされたのです?部屋に鍵をかけて」
(誰か来たか)
「なんでもございません。すぐに鍵を開けます。」
桐原の対応にアキラは彼の顔を見た。。
「さぁこの写真をどこで?早く言わぬと他の者も来るぞ。」
桐原は不敵な笑みを浮かべた。
「・・・陽炎のデータの中に入っていた。」
「陽炎・・・では貴様は?」
「そうだ・・・。」
「くくく。あやつも厄介な者を味方に引き入れたな。」
「俺は味方に裏切られた。陽炎のことを調べたらこれを手に入れた。」
「井ノ本のいいように使われたということか。」
桐原はある扉を指差した。
「あそこから外へ出られる。」
「どういうつもりだ?」
「井ノ本 寛司。わしもあやつの真意を知りたい。お主ならたどり着けると思うとてな。」
「・・・・」
アキラは扉へ行こうとした。
「お主も修羅の道を行くか?」
アキラはその問いに答えず黙って扉を開け部屋を出て行った。
修羅の道。俺が今まで生きてきたすべてが修羅だった。繰り返される戦い日々、俺には安息の眠りなどなかった。キョウトの重鎮の1人であるあの老人が桐原泰三だと知るのはだいぶあとになってからだった。
「流崎、君はあれから何をしていた!」
あれからアキラはゼロ達と合流したが合流まで連絡1つなかったことを問われたのだ。
「あの施設から脱出してた。」
「なら、脱出した後すぐに連絡できたはずだ。だが君は謁見が終了してから2時間も経ってからだ。何をしてた?」
「俺は言ったはずだ。好きにやると。」
「(こいつ!)」
ルルーシュは仮面の下で舌打ちをした。
「俺は頼まれたことをしただけだ。」
(なんだ、こいつの反抗的な目は?)
ルルーシュは自分に向けられるアキラの鋭い眼光に何か恐怖を感じた。
「・・・わかった。だが以後スタンドプレーは許さない。」
「ゼロ、いいのか?」
「扇、今回の謁見は成功した。結果として彼の手伝いがなかったらできなかったことだ。」
「話は終わりか。なら俺は帰る。」
アキラは1人アジトを出て行った。
アキラが歩いていると後ろから誰かの足音が聞こえた。振り返るとカレンが走ってこちらへ来た。
「アキラ!ちょっと待って。」
「・・・何だ?」
「何であんな態度とったの?」
「・・・・」
「ゼロはあなたのことを信じて任せたのにあなたが勝手なことをしたらダメでしょ。」
「私達仲間でしょ?だから私達と協力していかないとこれから・・・」
「俺は黒の騎士団に入った覚えはない。」
「え?」
「俺はゼロに雇われた傭兵。それだけだ。」
「そう・・なんだ。」
カレンは下唇を噛んだ。
「あなたはまだ私達のこと仲間として見てないんだ。私のことも・・・」
そう言うとカレンはアキラに背を向けてアジトへと戻っていった。
アキラはカレンの背中をただ黙って見ているだけだった。
仲間・・・俺は自分を陥れた井ノ本、陽炎達を追おうとして黒の騎士団に入り込んだ。ゼロも他の奴らも利用しようとしただけだ。だがカレンは俺のことを仲間だと言った。
「・・・っく」
この時何故かあのカレンの沈んだ顔が頭から離れなかった。
翌日、アキラはアッシュフォード学園に登校した。教室に入ると何か騒々しかった。
「おぉ、ライ来たか。」
「リヴァル、何かあったのか?」
カレンもアキラの姿を見てこちらへ来た。リヴァルもそうだがいつもより落ち込んだような顔をしていた。カレンに至っては顔が真っ青していた。カレンがゆっくりと口を開いた。
「シャーリーの・・・お父さんが・・・・」
この時何故カレンがそんな落ち込んでいたのかをアキラは知ることになった。