「・・・うぅ」
気が付くと、アキラはベッドに寝かされていた。
朝、8、9時頃だろうか辺りはカーテン越しから眩しい陽の光が部屋をさしていた。。
アキラは辺りを見回し、鼻を突くかすかな薬品の匂いがしてここが病院の病室だとわかった。
(あれからどうなったんだ?)
とにかくアキラはナースコールを押した。
その後診察を受けたアキラは主治医の話を聞くと自分がここへ運ばれたのが2日前、学校で足を踏み外し外へ落ちて脇腹を強打したためだった。ルルーシュがうまくごまかしたのかと思いながらアキラはベッドで横なった。
「ライ、元気か?」
ミレイ達生徒会のメンバーが来たのは夕方頃だった。
「リヴァル、声が大きい。ここ病院よ。」
「あ、すみません。会長。それよりどうだ?」
「あぁ 少しは楽になった。」
「驚いたぜ。学園に救急車がやってきて何があったんだろうって見たらお前が運ばれていたからビックリ。」
「カレンなんか大慌てで病院に行って手術が終わるまでいたもんね。」
「シャ、シャーリーそれは・・それとライこれ食べて。」
カレンは果物の盛り合わせのバスケットをアキラの横のテーブルに置いた。
「ナナリーと咲世子さんに感謝しろよ。2人がお前を見つけて連絡したんだぞ。」
「い、いえ。そんな大したことは・・・」
ナナリーはどこか気まずそうに答えた。
「思ったより、良さそうね。もうすぐ文化祭もあることだし早く戻ってきなさい。」
「文化祭?」
ミレイの言葉にアキラは頭を傾げた。
「再来月ごろ行う学校行事よ。生徒会総動員で働いてもらいますかね。」
ふとアキラはスザクの顔を見た。スザクは笑みを浮かべているがどこか覇気がなかった。
「すまない。少し眠くなった。」
「そう、じゃあ私達はもう帰るわ。」
「それとルルーシュ。」
「ん?」
「寝る前に一口何か飲みたい。買ってきてくれないか。」
「・・・・あぁ、わかった。じゃあみんな先に帰ってもかまない。」
ルルーシュは何か察したかのように答えた。
「そうか、それじゃあな。」
ミレイ達は先にエレベーターに入っていった。
「お兄様・・・」
ナナリーは不安そうな顔をしていた。
「大丈夫だ。俺がちゃんと説明する。」
「はい・・・」
「ナナちゃん、スザク君行くよ。」
「わかった。じゃあナナリーは僕が」
「あぁ頼む。スザク」
エレベーターで皆と別れたルルーシュはアキラの病室へ戻っていった。
「待たせたな。」
「あぁ、聞きたいことがある。あれから何があった?」
「それはだな・・・」
話によるとルルーシュは部屋に閉じ込めれた直後学園に戻る途中の咲世子に連絡し鍵を開けてもらい急いでナナリーのもとへ来たのだった。
「それであのマオは?」
「死んだよ。死体はちゃんと回収した。」
「扇達にでも頼んだのか?それともC.C.か?」
「!!」
アキラの言葉にルルーシュは強ばった表情でアキラを睨んだ。
辺りは張り詰めた空気になった。
「どこまで知っている?」
「お前達兄妹の正体。そしてお前が黒の騎士団のリーダー、ゼロ。」
「・・・・!!」
アキラの言葉にルルーシュは額から一筋の汗が滴り落ちた。
「よくそこまで」
「さぁお前達のことを知っている俺をどうする、殺すか?」
「殺すならいつでもできる。その前に聞きたいことがある。お前、ブリタニアのスパイか?」
「スパイ?」
ルルーシュは懐から1枚の写真を取り出した。写真は右肩を赤く染めた無頼の傍で敬礼しているアキラの姿が写っていた。
「・・・! どこでこれを?」
「お前のことを調べていたら見つけてね。『日本解放戦線第13戦略特殊任務班 陽炎』 流崎 アキラ曹長。」
「なるほど、お前も俺のことを・・・」
「日本解放戦線の中で極秘の部隊、エリア11の中のレジスタンス組織の中でも最強のKMF部隊。だがここ半年は目立った活動は見られていない。俺が聞いた情報によると治安警察の署長、そしてその側近達が日本解放戦線にいた人間だという噂らしい。」
「よくそこまで、あのディートハルトにでも調べさせたのか?」
「そして、奴らが日本解放戦線の特殊部隊出身だということだ!」
ルルーシュの言葉にしばらくアキラは沈黙したがゆっくりと口を開いた。
「・・・お前は俺が治安警察の犬だと言いたいってことか。」
「そうだ。黒の騎士団の情報を得る為に潜入し逐一情報を流した。同じ部隊にいたお前が疑われるのは当然だ。」
「そう思われても仕方がないか・・・だが俺はスパイなんかじゃない。」
「ならこの写真はなんだ?」
ルルーシュはさらに2枚の写真を取り出した。1つは拘束されているC.C.、そして幼い頃のルルーシュとナナリー、スザクが写った写真だった。
「!」
「悪いがお前の鞄を物色したらこういうものを見つけたよ。」
「・・・・わかった。俺の身に起こったことを教えてやる。」
アキラは自分が謎の作戦に参加し味方から裏切られ日本解放戦線を抜けゲットーを彷徨いその中で治安警察の中に元陽炎だった安永達を見つけた。ということをルルーシュに説明した。
「するとお前は・・」
「俺はその作戦の目的、俺を陥れた奴らを追うために俺はお前の所に身を置くことにした。」
「その話を信じろと?」
「これ以上俺から言うことは何もない。」
(この前のマオからもスパイじゃないと言われたが・・・)
ルルーシュは先日、治安警察のことを調べされていたディートハルトとある会話を思い出していた。
ディートハルトによると治安警察の上層部は黒の騎士団のある人物をマークしていたようだった。ディートハルトが買収した警察の人間によると噂では署長達と同じ部隊にいた人間だと言うらしい。
「わかった。お前のことは俺の胸に納めておく。」
「?いいのか?」
「お前の今までの動きでキョウトの謁見の時を除けば怪しい行動は見られない。それにお前はカレンと同じくらい貴重な戦力だ。今いなくなるのは困るしな。」
「なるほど、俺は治安警察を追うためにお前を利用する。」
「そして俺はお前を戦力として利用する。」
「お互いの利害は一致してるということか。」
「だがもう一つ聞きたい。この前の埠頭での戦闘、お前、俺の顔を見たのか?」
「・・・・・・あぁ見た。」
「やはり!」
「シャーリーもじゃないのか?」
「!?お前、彼女を見たのか?」
「やはりな、あの女はシャーリーだったか。」
「お前!」
「ゼロであるお前がたかが傭兵に出し抜かれたか。」
アキラは不敵な笑みを浮かべた。ルルーシュは初めてアキラの笑顔を見たが何とも言えない不気味さを感じていた。
「お前、あいつに何かしたのか?」
「どういうことだ?」
「お前にだけまるで他人行儀になっているだろ。それもギアスとかに関係しているのか?」
「マオから聞いたのか?」
「あぁ、お前も契約者だと言っていた。何だギアスは?」
「それは・・・・」
「私から話そう。」
アッシュフォード学園の制服を着たC.C.が部屋にやってきた。
「お前!外に出るなと言ったはずだ!」
ルルーシュが慌てた様子で怒鳴った。
「だからこうして変装したんだ。文句はないだろ。」
C.C.はアキラの顔を見た。
「マオの事でお前を巻き込んでしまった。悪かったな。」
「珍しいなお前が他人に頭を下げるなんて。」
ルルーシュはC.C.の態度に少し驚いた。
「私も一応礼儀ってものは心得ている。」
「それで一体何なんだギアスは?」
「あぁギアスは・・・・」
C.C.の話によるとギアスとは王の力と呼ばれる人の思考に干渉できる特殊能力でルルーシュやあのマオに持っている力みたいだった。
「簡単に言えばエスパーみたいなものか。じゃあマオが俺達の考えていることが読み取れたのも」
「あぁあいつが幼い時に私と契約した。」
「幼い時?お前は一体・・・」
アキラはC.C.の姿を確認した。どう見ても自分と同世代の人に見えた。
「お前は魔女か何かか?」
「いきなり不躾だな。どう見える?」
アキラはナリタで初めて会った時のことを思い出していた。
「普通の人間には見えないな。だからあの基地にいたのか?」
「なるほど、基地を襲撃したのはお前達だったのか。」
「答えろ。あそこで何が行われていたんだ?」
「答えられない。っと言うより分からないのほうが正しいかな。私の体をいろいろ弄り回して結局何を調べてたのか・・・」
「その不死の体、もしくはギアスの事を調べていたんじゃないのか?」
ルルーシュが割って入ってきた。
「さぁな。こっちがメシがマズイだの色々言っても奴らは無視していたからな。まったく話していない。」
アキラの顔を見たC.C.言った。
「悪いがお前の知りたい事は私も分からない。」
「そうか・・・・」
アキラは顔を沈めたがルルーシュのほうを見た。
「ルルーシュ。」
「ん?」
「もうここまで知ったんだ。どうする?そのギアスで俺を操るか?」
アキラの言葉にルルーシュは沈黙したがおもむろに口を開いた。
「さっきも言ったはずだ。お前は貴重な戦力だ。それにお前が突然俺の命令に素直に従うようになったらカレン達が怪しむ。お前はそのままでいい。」
「そうか・・・」
「お前はどうなんだ?」
「ん?」
「俺の正体をネタにブリタニアに寝返ることだってできるぞ。」
「そんなことして何になる。言ったところで俺も捕まる。それに・・・」
「なんだ?」
「自分の祖国に反旗を翻したんだ。それなりの理由があるんだろ?」
「・・・・・」
「今は聞かない。だがお互い向こうに敵がいる。その為に手を組みのも悪くはない。」
「・・・・わかった。その言葉を信じよう。じゃあな。」
ルルーシュは病室のドアに手をかけようとした手を止めた。
「最後に聞きたい。」
「なんだ?」
「あの時何故ナナリーを見捨てなかった。お前、その気になれば手錠を外して逃げれたはずだ。」
アキラはすぐには答えず長い沈黙が続いた。
「妹が死ぬかもしれないんだ。お前が来ないはずがないと思った。それと俺は・・・」
「・・・・」
「女を見捨てるほど腐ってない。」
「・・・そうか。」
ルルーシュはドアを開けた。
「一応礼は言っておく。ナナリーを守ってくれてありがとう。」
ルルーシュと一緒にC.C.も病室をでた。
アキラはベッドに横になり目を閉じた。
「あいつの言う通りだな。」
病院を出て学園に戻る途中、C.C.が口を開いた。
「何故あいつにギアスを使わなかった?わざわざ爆弾を抱えるようなマネをして。」
「言っただろ。あんな人間に使ったらかえって周囲から怪しまれる。だったらこちらへ引き込むほうがいい。」
「だが奴の場合ただの爆弾じゃない。いつ爆発するか分からない不発弾みたいなものだ。何かあってからじゃあ遅いぞ。」
「お前らしくないな。何故そんなに恐れる?」
「そんなんじゃない。ただ・・・」
C.C.は不安げな表情を浮かべた。
「いや・・・・忘れてくれ。」
C.C.はこの不安をうまく説明できなかった。C.C.の様子を見てルルーシュは少し怪訝に思った。
「・・・とくかく今あいつに下手に手を出さないほうがいいそれに・・・」
「それに?」
「ナナリーを助けてくれた。恩を仇で返すのは気分が悪い。」
C.C.は溜息を吐いた。
「妹のことになるこうだ。だから甘い。」
「黙れ!」
‐翌日‐
あれから黒の騎士団はキョウトからの支援で新しい大型車両、そして艦船が支給された。地上では引き続き大型車両を移動用のアジトとして使用した。
「なんだこれは?」
「一体どんな整備をしたんだ?」
紅蓮の周りに見慣れない者達が触っていた。玉城達はその様子を黙って見ていた。
「なんだあいつらは?」
「流崎?」
後ろからアキラの声がして玉城は振り返った。
「おう、しばらくだったな。いやこの前言ったインドから来た整備班みたいだぞ。」
「インド・・・」
アキラは近くにいたある集団にも目が入った。日本開放戦線の軍服を着た4人がいた。
ゼロからの連絡で逃亡していた藤堂鏡志朗がブリタニアに捕らえられたとの情報が入り今回、藤堂の部下の四聖剣の4人と協同で救出する作戦を聞いた。
(あれが藤堂鏡志朗の懐刀の四聖剣・・・)
「一体誰?紅蓮の整備をしていた奴は?」
長いキセルを咥えた女性がアキラのもとへ来た。
「えっ・・と」
玉城達はアキラを指差した。
「あんた?紅蓮をこんなピーキーにしたのは。それに装備させた憶えがない武器が左腕に装着させたのも?」
「あんたは?」
「あたしはこの子、紅蓮の母親。」
「あんたがコイツの開発者か。」
「アキラ?」
振り返りカレンと扇がいた。カレンは見慣れない赤い服装をしていた。
「退院したの?ケガは?」
「もう大丈夫だ。」
「流崎、彼女はラクシャータ。インドから来た整備班の責任者。」
扇の説明でアキラはまたラクシャータのほうを見た。
「へぇあんたが流崎 アキラ。話は聞いてるよ。カレンって子と並ぶくらいの腕前を持ってるみたいじゃない。」
ラクシャータの言葉を無視しアキラは紅蓮の様子を見た。
「こいつに異常でもあったか?」
「何も、健康そのもの。まぁ見ない内に色々いじられていたけどね。」
「迷惑だったか?」
「まっ、おかげでいい戦闘データが集められそうだし整備もよくできてるし手間が省けたわ。」
「俺は紅月に合わせて調整しただけだ。」
アキラは自分の無頼の調整をしようと機体のほうへ向かったが後ろから声をかけられた。
「おい、ちょっと待ってくれ。」
アキラは振り向いた。眼鏡をかけた日本開放戦線の1人がアキラのほうへ歩み寄った。
「扇さん、こいつですか?」
「あっ?あぁ流崎、君も知っているだろ?」
「知ってる。藤堂中佐の部下の四聖剣だろ。」
「そうだ。そして彼はその1人の・・・」
「朝比奈だ。君の事は扇さんから聞いてるよ。でも君みたいな少年が俺たちのところにいたなんて初耳でね。君どこの所属?」
朝比奈の質問を無視しアキラは無頼のメンテナンスを始めた。
「おい!所属と階級を言え!」
アキラの態度に腹を立てた朝比奈はアキラの肩を強く掴んだ。
「待ってください!アキラはいつもこんな感じで悪気はないんです。」
カレンが慌てて2人の間に入り朝比奈の腕を掴んだ。
「ふん!所属も言えないのか。お前本当に日本開放戦線にいたのか?」
「忘れたな。そんなの。」
「何?」
「日本開放戦線はもうないんだ。今更どこにいたのか、階級がどうだとか言っても意味がない。」
「貴様!」
「よさんか、朝比奈!」
四聖剣の中で年長の仙波が大声を張った。
「しかし、仙波さん!」
「我々がこのような状態で中佐を助けることができるか?彼の事は作戦が終わってからも遅くはない。
」
「・・・・わかりました。」
朝比奈はアキラから離れていった。アキラは無頼のメンテを続けた。
「ねぇアキラ、四聖剣の人達と一緒に戦ったことは?」
「ない。今日初めて会った。」
「そう・・・なんだ。」
なら、あなたは今までどこで戦っていたの?そう言おうとカレンが口を開こうとした時、ラクシャータがアキラに声をかけてきた。
「ねぇあんた乗って欲しいのがあるんだけど。ちょっと来てくれない。」
アキラとカレンはラクシャータについていき大型トラックの前にきた。
貨物の扉が開けられ中にあったのは見たことのないKMFだった。その中でアキラの目にいったのは
青いKMFで左腕には紅蓮の輻射波動に似た武器が装備されていた。
「これは『月下』って言って紅蓮弐式の量産機。っでこの青いのがその月下の試作機。でも機能は問題なし、十分戦える機体よ。あんたにはこれに乗って欲しいの。」
「必要ない。使い慣れた無頼でいい。」
「言ったでしょ!試作機でも十分・・・」
アキラの意外な返答にラクシャータは驚いた。
「俺にはいらない。他の奴らでも乗せればいい。」
「あんたが結構できるって聞いてるからこうしてお願いしてるの。この子の戦闘データも欲しいから。」
「戦闘データ?」
「そっ。初めて出すからどんな戦果を出すか確認したいのよ。」
「・・・・わかった。乗ろう。」
「そう。だったらあんたもこの服に着替え・・・」
「だからコイツは俺の好きに使わせてもらう。」
「はっ?」
アキラの言葉にラクシャータは口を半開きにして間抜けな声をだした。
「時間がない。紅月手伝ってくれ。」
「う、うん。」
作戦が2時間前になりゼロも合流し周囲が慌ただしく動いている中青い月下ではアキラとカレンの2人が整備を急がせていた。
「でもいいの?」
「何がだ?」
「せっかくの輻射波動を外して」
アキラは月下に装備されていた輻射波動を外し無頼の腕と交換したのだ。
「俺は自分が使いやすいようにやっただけだ。あれは紅蓮のスペアパーツにでも使えばいい。」
「せっかくラクシャータさん達が来てくれたのにあの人達に任せればいいじゃない。」
「自分の機体は俺が整備したいだけだ。」
「じゃあ私は?」
「ん?」
「あなたの機体を一緒に整備している私はどうなの?」
カレンの質問にアキラの手が止まった。
「アキラ?」
だがすぐにまた手を動かし作業を続けた。
「お前とやれば作業がはかどる。・・・・それだけだ。」
「え!?それってどういう・・・」
アキラの言葉にカレンも手が止まってしまった。
「こっちは終わった。お前は?」
「え?あっあぁもうすぐってところかな。」
「そうか・・・あとは任せる。俺は少し寝る。」
アキラがアジトの大型車両のほうへ向かった。
「ちょっちょっとアキラ!」
カレンの声を無視しアキラは歩いて行った。
「もう・・・」
仕方なく、カレンは残りの部分の整備を行った。
「はかどるか・・・・」
先程のアキラの言葉を思い出しカレンは少し笑みをこぼした。
‐2時間後‐
黒の騎士団は藤堂が収容されている基地の近くにいた。
「流崎、君は四聖剣と共に基地の正面ゲートを突破し基地内の敵戦力を叩いてくれ。私とカレンで藤堂を救出する。」
ゼロの説明を聞きアキラは月下を起動させた。
アキラの月下は四聖剣の乗る月下と比べて装備を変えていた。右腕にはライフルそして左腕には先端に穴の開いた鉄製の短い杭が装着されていた。
『さぁてお手並み拝見って行こうか流崎。』
無線からの朝比奈の言葉を無視してアキラは計器の確認を行っていた。
『相変わらず無視か。』
『やめろっと言っただろ朝比奈!』
同じ四聖剣の千葉が割って入ってきた。
『はいはいわかったよ。』
『時間だ行くぞ!』
仙波の言葉に各機が準備を開始した。
「まさか貴様がブリタニアにいるとはな。」
今、藤堂が収監されている監獄の前にある日本人が立っていた。
「高山久しぶりだな。」
「少しやつれたな藤堂。どんな気分だこれから死ぬ気分は?」
「覚悟してここまで戦ったんだ。悔いはない。」
「相変わらずだな、お前のそんなところ。そんなお前だからこそ皆ついていきそして奇跡を期待する。」
「奇跡か・・・・厳島の戦いではお前達陽炎・・・いやあの時は第8調査部隊と呼ぶべきかあれは井ノ本中佐の部隊の情報があったおかげで勝てたのだ。」
「懐かしいな。」
「何故だ?」
「・・・」
「何故我々を裏切ったのだ?高山!」
藤堂の怒声が監獄の中に響き渡った。
「KMFの操縦技術が高い操縦者が多い陽炎がいたからこそ我々もKMFの事を知ることができ戦ってこれた。それが半年前の突然の失踪、あれから我々は劣勢に強いられてしまった。」
藤堂は顔をしたに向け口惜しそうな表情を浮かべた。
「何故だ?何故ブリタニアと手を組むような真似を・・・」
「何を勘違いしてる藤堂。」
高山は表情を変えることなく藤堂を見下ろしていた。
「我々はシャルルの配下についた憶えはない。」
高山の言葉に藤堂は顔を上げた。
「我々が仕えるのは井ノ本閣下ただ1人だ。閣下について行くのは当たり前だ。それが日本を裏切ることになろうともな。」
「なっ!?」
高山の言葉に藤堂は驚いた。
「中佐は・・・井ノ本は一体何が目的で・・・」
「閣下は日本開放戦線も自分の目的の為の手段に利用したに過ぎない。もちろんブリタニアに対してもな。そして閣下の障害になる者は私が殺す。」
高山は右腕から奇妙な音を出しながら強く握った。
「藤堂、お前の死刑執行人変更らしい枢木スザク、憶えているだろう。」
「枢木・・・・!」
「私は帰る。死に顔を見せてもらうぞ。」
高山を収監室を出た時側近が急いで高山のもとへ駆け寄った。
「大佐、実は・・・」
「そうか黒の騎士団が来るか。」
その直後大きな爆音が聞こえ硝煙が立ち込めてきた。
「予定変更だ。基地を出る。基地が見渡せる場所まで移動する。」
「はっ!」
(来たか流崎、お前の姿確かめてもらう。)
アキラと四聖剣が正面ゲートから突破し基地内の敵KMFが出てきた。
「よし、敵を叩くぞ!」
『承知!』
仙波の合図で四聖剣の4人はフォーメーションを組み敵KMFに攻撃を仕掛けた。
アキラもライフルで敵を攻撃した。サザーランド1機がアキラの月下に向かって突進してきた。
アキラはそれを回避し月下の左腕に装備されている杭をサザーランドの胸部にむけてボクシングのアッパーの要領で突き刺した。
突き刺した杭の穴から弾が発射され弾は敵のKMFを貫通させ、左腕の杭から薬莢が出てきた。相手のKMFは力なく倒れ爆発をおこした。
「へぇやるじゃんあいつ・・・でも」
「どこか」
「我々とは」
「何か違う。」
朝比奈をはじめ四聖剣皆アキラの操縦技術に感心したがどこか違和感を感じていた。
敵の背後をとりコックピットを狙って撃ち、ランドスピナー狙い撃ち転倒した相手に止めを討つ。
戦いにおいて敵の命を奪うのは当たり前のことだがアキラの戦い方がどこか荒々しいと彼らは感じていた。
「やり方が気に食わないな。」
「卜部さん、もしかしたらあいつ陽炎じゃないのかな?」
「まさか・・・」
「朝比奈、奴らは我々を裏切って姿を消したんだ。それに彼はまだ子供だ。」
千葉を始め四聖剣も陽炎の噂をよく聞きはしたが所詮噂でどこまでが真実なのかわからなかったのだ。
「でも千葉、あの歳であんなに戦えるんだ。井ノ本の所にいてもおかしくはないだろ。」
「お前達そこまでだ。たった今ゼロが中佐を救出したとの連絡がきた。」
アキラ達は藤堂の機体を載せたトレーラーの周りに集合し、ゼロの無頼に乗った藤堂が姿を現した。
「皆、すまなかった。」
(あれが奇跡の藤堂か・・・)
アキラは藤堂を直接見るのは初めてであった。
藤堂は自分の月下に乗り込み敵を迎撃しようとした。
その時敵の中にサザーランドとは違う機体がこちらへ向かっていた。
(あれは・・・白兜!)
『各機、私の指示で動け。』
アキラはカレンと共にランスロットを迎え撃つことになった。
アキラは1枚のディスクを取り出し計器に入れた。
「これでどこまで奴と戦えるか。」
スザクはカレンの紅蓮に攻撃を仕掛けたが回避された。続けてアキラにも攻撃しようとMVSをアキラの月下に振り下ろしたがアキラは難なく回避した。
(奴の動きを予測できた。データを取ったのは無駄じゃなかったな。)
スザクはまた次の行動を起こそうと移動を開始した。
(あいつの指示通りだな。奴も白兜を調べたな。)
ランスロットが移動した先には朝比奈が待ち構えていた。朝比奈の攻撃をスザクは寸前で回避し別のところへ移動したが今度は藤堂が待ち構えて廻転刃刀を振るった。3段の攻撃をスザクは回避したが
最後の攻撃は回避できずコックピットハッチの一部が斬り落とされた。
コックピットハッチが斬られパイロットの姿が確認できた。
「!?」
ランスロットのパイロットを見てアキラは驚愕した。
「枢木・・・スザク・・・!」
先日、自分のお見舞いに来てくれたスザクがそこにはいた。
『ゼロ、指示を!』
無線から声の震えているカレンの声が聞こえていた。
だがゼロからは何も応答はなかった。
(ちっ、動揺してる場合じゃないぞルルーシュ。)
そう思っている自分も戦場で突然クラスメートが現れて動揺していた。
だがスザクはこちらへ攻撃を仕掛けてくる。藤堂達四聖剣はフォーメーションを組んで応戦をする。
「っく」
いつまでもこうしてはいられずアキラも藤堂達に続けてスザクを囲もうとしたがランスロットから発射されたスラッシュハーケンで陣形が崩れてしまった。
アキラは左腕の杭をスザクに向けて突き出したがランスロットのブレイズルミナスで塞がれてしまったがその直後アキラは弾を発射させた。その衝撃で左腕は損傷したがランスロットの右腕も故障を起こしブレイズルミナスが作動できなくなった。
「右腕が!」
スザクが右腕に気を取られている隙にアキラはスザクの背後を取り基地の壁にスラッシュハーケンを
突き刺しそのままの状態でランスロットに突進をした。
2機は壁に激突しランスロットは左右をハーケンのワイヤーで挟まれ月下に押さえられ身動きできなくなった。
「紅月!俺ごと奴に輻射波動を叩き込め!」
『で、でもスザクが・・・』
「これは戦争だぞ!」
しかしカレンは動こうとはしなかった。
「っく・・・朝比奈!」
『ったく。ちゃんと脱出しろよ流崎。』
朝比奈の月下は落ちていた廻転刃刀を拾いアキラの月下に目掛けて進んできた。
「自分も道連れに?」
スザクは組合っているKMFから離れようと動かそうとした。
朝比奈の月下の廻転刃刀がアキラの月下を貫く寸前にアキラは脱出装置を作動させコックピットハッチが機体から切り離された。
廻転刃刀が月下を貫きランスロットを貫く寸前スザクは機体を少し傾かせた。廻転刃刀は壁を貫通させランスロットには届かなかったがスザクの左肩を少し掠った。
「っくぅ!」
左肩から出血をしたがスザクはその隙に無人となった月下を払い脱出をした。
朝比奈はさらに追撃をしようとしたがゼロが撤退の指示をだした。
「目的は達成した。これ以上の戦闘は無意味だ。」
アキラのコックピットハッチはカレンが回収し撤退した。
「藤堂及び黒の騎士団、撤退しました。」
基地から離れた位置に高山を乗せた1台の車があった。
「悪運が強いな藤堂。」
「しかし大佐、あの中に流崎はいたのでしょうか?」
「あの青いKMFがおそらくそうだろう。あの動きは奴に違いない。」
高山は右腕を強く握った。
「このまま安永の所へいく。発進させろ。」
車は夜の闇の中へと消えていった。
今回アキラが使用した武器はボトムズのATで言うパイルバンカー、スパロボのある機体からヒントを得て出してみました。
アキラが言うにはどんなKMFでも所詮兵器です。乗り捨てる物です(笑)