「状況はどうなっている?」
総督府では今の事態の状況の確認をおこなっていた。
「黒の騎士団と思われるKMF2機はゲットーに潜り込んでからに姿をくらましています。混乱のほうは少しずつですが落ち着いた箇所はありますが依然続いている地域もあります。」
「そうか・・・ご苦労。」
ダールトンはユーフェミアの方を向いた。
「副総督、私は署長の安永の所へ出向いて衝突の鎮圧を行いたいと思います。」
「この混乱した状況にですか?」
「だからこそです。私が出向き衝突を早急に鎮めなければ黒の騎士団どころではありません。混乱が長引けばエリア11の中枢であるここ租界の脆さを世界に見せコーネリア総督の顔に泥を塗るようなことになります。」
「・・・・分かりました。ダールトン将軍お願いします。」
「イエス・ユア・ハイネス」
ダールトンは部下を率いて司令室を出た。
(お姉さま・・・・私がもっとしっかりしていればこんなことには・・・・)
「失礼します。」
下官が入ってきた。
「ゲットーの住民達が租界のほうへ避難して来ている模様です。それもかなりの数です。」
「!! それはどこですか?」
「ゲットーで言うところの第3地区と租界の境目のところです。今、軍のほうでこれ以上租界へ入らないよう止めています。」
「止めている?何故です?」
「はい・・・百数人のイレブン達が一挙に租界へ入れば暴動がおこる危険がありますので・・・」
「今すぐ、避難者を手当するために救護班をそちらへ送ってください!それと必要なら租界の病院へ送る準備も!」
「し、しかし大量のイレブン達を租界へ入れることは・・・」
「今、百人以上の日本人を見殺しにしてたらそれこそ暴動に繋がります!まだ混乱が収まっていない時にこれ以上火種が起きれば取り返しのつかない事になります。これは副総督である私の命令です!」
「い、・・イエス・ユア・ハイネス」
ユーフェミアの強気の発言に押され下官は素直に従った。
「それと・・・特派を警護に当たらせて向かうよう特派の方々にも伝えてください。」
(スザク・・・・今の私にできるのはこれだけです。・・・・どうか1人でも多くの人々を・・・・)
総督府の窓からはゲットーでの戦闘による煙が立ち込めている。
『これ以上の戦闘を行ったものは軍法会議に送る!治安警察もこれ以上租界で戦闘を続けるようならば国家反逆罪として処罰する!』
ダールトン各地域で発生していた警察と軍の衝突の鎮静化を図ろうと呼びかけていた。
だが警察のKMFはその呼びかけにも応じなかった。
「やむを得ない。」
ダールトン達部隊は警察のKMF部隊の前に立ちふさがったが警察達は構わずライフルを発射した。
ダールトン達は冷静に対応し相手のKMFを撃破した。
『戦闘中止、戦闘中止!これ以上の命令違反は処罰の対象とする!』
治安警察の北尾も呼びかけで衝突の収束に努めた。
『将軍、ここの地域もひとまず収まりましたね。』
「あぁ、しかし・・・」
たかが治安警察のKMF部隊で軍と渡り合える操縦者がいることにダールトンは疑問に思った。
事実ダールトンの部隊も無傷ではなく数機治安警察との戦闘で撃破された。
(やはり奴らも陽炎、レッド・ショルダーの1人なのか・・・?)
「私はブリタニアのダールトン。この部隊の隊長、責任者は?」
ダールトンは無線で治安警察に呼びかけた。
『はっ・・・北尾と申します。』
少し弱々しく北尾は応答した。
「安永署長にお会いしたい。至急連絡をお願いしたい。」
『はっ・・・しばしお待ちを』
(さぁ、安永この騒動の顛末をどうするか聞かせてもらおう。)
「さぁあ!順番ずつ診察する。騒がないように。」
シンジュクゲットー第3地区。ここは治安警察の爆撃から逃れたゲットーの住民達で溢れていた。
ユーフェミアの指示で重傷患者は租界の病院に運ばれ、避難民はテントの下で家族、知人との再会を喜んび少しずつであるが落ち着きを取り戻しはじめた。
だが助けらなかった命もあり近くでは遺体の安置所が設けられ遺体での再会となり悲しむ声も聞こえ避難所を中心に警護しているスザクはその光景を悲痛な面持ちで見つめていた。
この騒動を引き起こした治安警察に対して不信感を募らせ、また突如現れた肩を赤く染めた黒の騎士団のKMF。
(今、ゲットーで何が・・・・)
「お待ちしておりました。ダールトン将軍、わざわざゲットーまでお越しいただきお礼を申し上げます。」
安永達が乗る大型トレーラーのコンテナに設置してある司令室に今、ダールトン達軍が安永達と対面していた。
「その原因をつくったのはどこの誰か・・・此度の騒動で租界では大損害を受けたのだ!それだけならいい、だがおかげで総督の顔に泥を塗るような結果になってしまった。」
「・・・お怒りはごもっとも、我々も今、事態の終息及び黒の騎士団の捜索に全力を注いでいます。」
「当たり前だ!貴様らには聞きたいことがあるがこの混乱が終わってからゆっくりと聞く。これより租界、シンジュクゲットー一帯に戒厳令を敷く。その際、治安警察も我々軍の指揮下に入る決まりだ。以降我々の指示に従ってもらう。」
「・・・・了解しました。」
安永は苦い顔をして頭を下げた。
ダールトンはトレーラーの司令室から出て行った。
「署長・・・・」
「言うな、藤浪!こうなれば流崎、黒の騎士団を捕らえる。もしくは殺さねば我らに道はない。北尾達に伝えろ。例の部隊を再編成し黒の騎士団の捜索を再開させろ。」
これ以上長引けば軍のいいように利用される。なんとしてもアキラ達を始末しなければならねばと安永は焦っていた。
その頃、アキラとカレンはこれからの事について作戦を立てていた。
「・・・・っで今、軍と治安警察の衝突が拡大していっているの。」
「衝突がここまで広がっていたのか・・・」
「ゼロも軍と警察が連携していると思っていたから。」
「軍もゲットーの周りを囲むように租界に部隊が配置されている。」
「逃げ道はない・・・・」
味方からの増援が望めない今2人だけでどうやって租界から脱出するか、ゲットー、租界の地図を広げアキラはある箇所に目がいった。
「紅月、ここは?」
「ん?・・・あぁそこは治安警察が使った流体サクラダイトの廃棄場よ。」
カレンが言う廃棄場は第27地区の地下数百mに流体サクラダイトを各ブロック別に保管しているのだ。
「ここからKMFで廃棄場まで行けるルートはあるか?」
「何言ってるの!そんなところに逃げて戦ったりしたらいくら廃棄されたサクラダイトでもに引火して爆発を起こすわ。」
「だからこそだ。」
「え?」
「奴らもそんなところで戦闘をするようなマネはしないはずだ。爆発でも起こしてみろ。地下の爆発でここゲットー一帯が壊滅する。そうなると地上にいる部隊も巻き添えになる。」
「・・・言われてみたらそうだけど廃棄場にいくには・・・」
ここから廃棄場までに行くにはKMF、装甲車部隊が集結している治安警察の本陣を突破しなければいけない。
「紅月、ゲットーに詳しいお前に聞きたいことがある。」
「?」
「どこか廃棄場まで敵を避けて行けるルートはあるか?」
「う~ん」
カレンは地図を見て頭を唸ったがあることを思い出した。
「ここなら、警察の目がいってないはず。」
カレンが指さしたところは第9地区のある場所であった。
「アキラ、ここにはね・・・・」
カレンの話を聞きアキラも納得し行き先が第9地区へと決定した。
アキラは無頼のコックピットに乗り込んだ。アキラの姿を見てカレンも紅蓮のほうへ向かったが突然アキラから声を掛けられた。
「紅月!」
「何?」
「・・・・・助けに来てくれたことに感謝する。・・・・ありがとう。」
その一言だけ述べるとアキラは無頼のコックピットを閉じた。
「・・・・もう、直接顔出して礼を言えばいいのに。」
機体の影でアキラの顔が見えなかったが普段、礼を言わないアキラがこの時どんな顔をしていたのか。そう思いカレンは笑みを浮かべながら紅蓮に乗り込んだ。
『こちら第18地区、黒の騎士団発見できず。』
『こちら第7地区、異常なし。』
軍と治安警察の合同でアキラ達を捜索しているが未だ見つかっていなかった。
「紅月、治安警察を発見した。今から作戦を開始する。」
『わかった。こっちは任せて。アキラ・・・無理しないでね。』
「・・・行くぞ!」
アキラが乗る無頼は隠れていた廃墟のビルから出てきた。
「黒の騎士団、発見!これより追跡する!」
治安警察のKMF3機はアキラの無頼を追いかけた。
治安警察が通り過ぎるのを確認したカレンは紅蓮を出しアキラが行ったルートとは違うルートへと向かっていった。
「黒の騎士団を見つけたか!」
安永達にもその知らせが届いた。
「無頼1機を発見。今追跡しています。」
「もう1機の赤いKMFは?」
「まだ発見しおりません。」
「近くにいるはずだ。探させろ!軍に仕留められる前に我々で流崎を始末するのだ。」
この知らせは軍にも伝えられ第3地区にいる救護班、特派のもとにも伝えられた。
(黒の騎士団が動いた!)
スザクは手当を受けている住民達を見た。
(投降してくれたら・・・・これ以上戦火を広げたらたくせんの犠牲が・・・)
「スザク君!」
「セシルさん。」
「話は聞いたでしょ。万が一の為ランスロットも出撃準備できるようにさせるわ。」
「・・・・分かりました。」
その時、ゲットーの市街地に当たる地区から爆発らしき音と煙が立ち込めているのを見ることができた。スザクはその煙を見て拳を強く握った。
アキラは治安警察の追撃をかわしながら部隊が集結してある本陣へと進もうとした。
前方からサザーランド数機が待ち構えていた。
「軍か!」
アキラは左90度へ迂回しビル群の中へと逃げ軍と警察の部隊はアキラの無頼の後姿を見てライフルを構えたが突如背後から衝撃が襲った。
カレンの紅蓮が背後から攻撃したのだ。右手の輻射波動で1機撃破し敵が紅蓮に気をとられている隙にアキラは旋回しカレンの紅蓮に流れ弾が当たらぬようライフルで狙い撃った。
「アキラ、今警察と軍が・・・」
「混乱が収まったのか・・・・急ぐぞ、軍と警察を相手にする余裕はない。」
通信を終える2機は発進し暗い廃墟の中へと入っていった。
『ダールトン将軍、黒の騎士団を第6地区にて発見したと別部隊からの連絡がありました。』
「出たか。部隊を第6地区へと向かわせろ。ん?・・・・確かこの地区の近くに・・・」
「はい、ユーフェミア副総督が設けさせました避難所があります。」
「確か特派もいるはず・・・よし、枢木にも伝えて援護に行かせろ。しかし・・・」
ダールトンは第6地区の周辺を確認した。ほぼ全区域に軍と警察がいる状況で黒の騎士団は何をするつもりなのか・・・租界へ行くルートは軍によって全て閉鎖させた。
そして未だにゼロが出現したとの情報もない。治安警察による突然のゲットーへの空爆。そして赤い肩をしたKMF、レッド・ショルダーの出現。この混乱は一体何なのか、ダールトンは全身がぞくぞくとする不快な寒けがした。
アキラ達を追撃しようと軍のサザーランド数機がアキラ達の前に立ちふさがっていた。
「ライフル持ちは俺が相手をする。紅月、進め!」
『わかった!』
アキラの援護射撃でライフルを持ったサザーランドを撃破しカレンはランスを持ったサザーランドを相手に輻射波動で撃破した。
軍と治安警察の追撃を逃れながらアキラとカレンは第9地区の近くの第3地区に入っていった。
「アキラ、もうすぐよ。」
「ここには敵はいないようだが・・・・」
アキラは第3地区から見える租界のほうに人だかりらしきものが見えた。アキラは不審に思い租界のほうへと近づこうとした時横にあった廃墟の建物が大きな音がして煙が立ち込めた。煙の中から白いKMFが現れた。
「白兜!枢木か!」
「スザク!!」
「赤いKMF、カレン! それと・・・」
カレンが乗る紅蓮と一緒にいる無頼、肩は赤く染めてはいないがおそらく今回の騒動に関係してるのだろうとスザクは推測した。
『カレン、僕だ。枢木 スザクだ。お願いだ。投降してくれ。今なら命は助けられる。』
「あんたまだそんな事言ってるの。ゲットーを見たでしょ!治安警察の奴らが無差別に罪のない人達を殺してそれで命を助ける?笑わせないでよ。」
『あれは治安警察の暴走だ。今は落ち着いてきている。頼む、君達が動けばこれ以上の被害が広がる。ここの近くには僕ら軍が保護したゲットーの住民達がいるんだ。ここで戦闘を行えば避難してきた人達にも被害が及ぶ。』
「じゃあ、あれは避難してきた人達?」
カレンは租界にいるゲットーの住民達を見た。遠くからではっきりと見えないがどれも体に包帯を巻かれたり、憔悴している人達が見えた。
『頼む!君達が投降すればこの騒動も収まる。』
「枢木。」
『ライ?そのKMFには君が乗っていたのか?』
「俺達は治安警察には借りがあるんだ。もちろんお前達軍にもな。」
『まさか、さっき現れた赤い肩をした無頼・・・・君が!?』
「俺達は投降する気はない。邪魔するなら例えお前でも撃つ!」
アキラの無頼はランスロットにライフルを向けた。
『ライ・・・!』
「行くぞ」
アキラは後退しながらライフルを発射した。スザクはブレイズルミナスの弾を全て防いだがライフルによって煙幕が発生した。煙が晴れた時には既にアキラとカレンの姿はなかった。ファクトスフィアで機影が確認されここ第3地区を出ようとしていた。
しかし、スザクは追おうとはしなかった。
「カレン、ライ・・僕は・・・君達とは戦いたくはない・・・・」
「どうやら、ダールトンは安永達を配下に入れたようだな。」
事態を見守っていた高山もゲットーに設けらえたカメラを凝視していた。
「まだ、衝突が続いている部隊はありますがほぼ落ち着いたところです。」
「さすがだな。ダールトン。」
「流崎の他、黒の騎士団の赤いKMFも現れて警察と軍も手を焼いてるようです。。奴らはどこへ向かっているのでしょう?」
「治安警察は軍と合同で流崎を始末する。たった2機で相手をするはずがない。おそらく味方と合流するだろう。」
「しかし、ゼロは姿を見せてはいません。」
「ゼロが既に何か仕掛けてあるかもしくは・・・(さて流崎、どうする)。」
第9地区へと入った2人はある場所へと向かった。
「アキラ、あのトンネルに入れば廃棄場に行ける。」
そこはKMFがギリギリ入れる高さと幅のトンネルだった。
「敵はいないようだな。」
2人がトンネルへ入ろうとした時後方から銃弾が飛んできた。軍のKMFが追ってきたのだ。
「来たか。トンネルに入ったら入口を潰せ。」
アキラの次にカレンがトンネルに入りカレンが副射波動でトンネルの入口を崩した。
「地下へ逃げた?」
現場の部隊からの通信を聞きダールトン達はモニターの地図を確認した。
「ここは旧日本軍が使用していた運搬通路で使用されていたトンネルに入る場所です。しかしここから先は崩落しており行き止まりのはず。」
「・・・・安永署長を呼べ。おそらく奴のことだ何か知っているはずだ。」
軍の無線を傍受したゼロは扇達と一緒にここへ逃げた坂口を呼びアキラ達の行き先を予測していた。
「坂口、この先は行き止まりなのだな?」
「ははは、ゼロもここまではわからないか。違うなここは数ヶ月前治安警察が新しく穴を掘ったんだ。」
「治安警察が?」
坂口は持参している地図にアキラ達が入ったトンネルからある地点まで線を引いた。
「ここだ。治安警察が使った流体サクラダイトを廃棄するための貯蔵庫だ。」
「・・・・ふふ、なるほど。」
「ゼロ?」
ゼロから笑い声が聞こえ扇は戸惑った。
「考えたな。廃棄されるとは言えサクラダイトが保管してある場所では奴らも簡単には手が出せない。ここなら時間稼ぎもでき脱出方法もいくらでも考えられる。」
「いいや、ここには簡単にゲットー、租界から脱出ができるんだ。」
「何!?」
「いいか、ここにはな・・・・」
「流体サクラダイトの廃棄場?」
『はっ・・・そこには廃棄されるサクラダイトが大量に貯蔵されています。』
「なるほど、あのトンネルには廃棄場まで通っているのか余計なものを作ってくれたな。」
ダールトンの言葉に安永は額から汗が一滴落ちた。
「その廃棄場まで案内してもらおうか。」
『はっ、おまかせを』
ダールトンとの通信を終えた安永はすぐに別の部隊に呼びかけた。
「これより我々は第27地区の廃棄場へと向かう。お前達は別ルートで廃棄場に入れ。あれをダールトン達にバレる訳にはいかない。」
『アキラ、もうすぐ廃棄場へつくわ。』
「敵がいなかったらいいがな。」
アキラを先頭に進んでしばらくして左側に厚いドアが現れた。
『アキラ、ここよ。』
カレンは輻射波動でドアを破壊し入った。
人はいないようだ。第1ブロック、第2ブロックと各ブロックごとに別れていた。幸いKMFが動けるだけの広さはあった。
『敵はいないみたい。』
「よし、さっきのトンネルを潰すぞ。」
アキラとカレンは先程通ったトンネルの穴を崩落され侵入させないようにし、入口を二重の防御壁で外から潜入できないようにした。
「今からブロックの中の様子を見てくる。」
アキラは無頼を降りブロックの中へと入っていった。
緊張の糸が途切れたのかカレンも紅蓮から降りその場で腰を落とした。
(なんとかここまで着くことができたけどこれからどうすれば・・・・)
「疲れたか?」
「え?」
「まだすべて見てないが流体サクラダイトが大量に置かれている。これで奴らも手を出せないだろう。紅蓮の無線使えるか?」
「さっきやってみたけどダメ。多分ここじゃあ無理みたい。」
「そうか・・・」
そう言うとアキラもその場に座った。
「・・・」
「・・・」
お互い無言になり辺りの静寂が2人を包んだ。最初に口を開いたのはアキラのほうだった。
「紅蓮に異常はなかったか?」
「・・・・うん、大丈夫。輻射波動はまだ使える。」
「・・・・そうか。」
「・・・・アキラは疲れてない?」
「・・・・俺は平気だ。」
この一言二言の会話だけで2人はまた無言になったが2人はこの空間が居心地がよかった。誰もいないこの場所で2人だけ、それだけだが2人はこの時間がしばらく続くことを願っていた。
「・・・・だ。」
「・・・・・・・か?」
厚い壁越しから人の声が聞こえてきた。
それ以外にもKMFの足音など外が騒がしくなってきた。
「来たようだな。他のブロックをまわるぞ。」
「わかった。」
2人は別れて各ブロックの中を見て回った。
第4ブロック、第6ブロックとカレンが見て回ったが流体サクラダイトのタンク以外怪しいものは見当たらなかった。
「来てくれ。」
アキラに呼ばれカレンは第12ブロックに入った。
「これは!?」
カレンがブロックでみたのは流体サクラダイトのタンクではなく扉があった。
アキラが扉のロックを解き開けるとどこへつながったいるのだろうか広く長い通路、大型トラック、トレーラー10数台置かれていた。
「ここって一体・・・?」
「こっちきたらわかる。」
アキラは次に第15ブロックへと連れて行った。
そこには流体サクラダイトのタンクが並んでいたがアキラがその一つを乱暴に倒した。
中からサクラダイトが流れると思われたが中から別のモノが出てきた。
「これって!」
「武器の密輸!?」
坂口の話を聞きゼロ達は驚いた。
「そうだ。奴ら軍の目を盗んで中華連邦やEUの国々に武器やKMFを密輸してたんだ。」
「し、しかしそんなことをして一体彼らは何を?」
「そんなことは知るか扇。奴らリフレインも世界中にバラ撒いてるんだ。」
「腐ってるな。」
ここまで治安警察が腐敗しているとは思ってもいなかった。この組織を野放しにしているブリタニアも腐ってるとルルーシュは腸が煮え返る思いだった。
「んで今、流崎達が向かっている廃棄場には旧日本軍が極秘裏に使われた港までの運搬路があるんだ。」
「藤堂、これは本当か?」
「確かにここにはブリタニアに見つかないよう地下通路を掘った。だが降伏の直前に爆破して穴を埋めたと聞く。」
「おそらく、治安警察が新たに掘り起こしたのだろう。坂口、この地下通路はどこの港に通じている?」
「アキラ、こっちには分解されたKMFがあるよ。」
「こっちにはリフレインがある。どこもEUや中華連邦に輸出するみたいだな。」
伝票らしきものに中華連邦、EUのフランスなど明記されていた。
「じゃあさっきの地下通路は・・・」
「これを運ぶためだろう。」
その時、廃棄場の入口のほうから爆発のような大きな音がした。
「向こうも必死のようだな。」
「あいつら、ここで戦う気?」
「こんなもの見たんだ。俺達を生かすはずがない。急いだほうがいいな。」
高山のほうにもアキラの近況が知られた。
「流崎は廃棄場まで辿り着いたようです。」
「これで安永は簡単には手は出せないな。」
「こんな結果になるとは思いませんでした。しかし、ここは治安警察の密輸倉庫でもあります。」
「その通りだ。安永のことだ。ダールトンに感づかれる前になんとして流崎を殺したいはずだ。奴ものんびり籠城はできない。」
その時、部屋の電話が鳴り部下の1人が受話器を取った。
「大佐、閣下からお話が。」
「閣下から? ・・・わかった。」
高山は部下から受話器を受け取った。
「今、代わりました。はっ・・・やはりご覧になっていたのですね。・・・・・よろしいのですか?・・・・・わかりました。それで奴が死ぬのなら。・・・はっ、失礼いたします。」
受話器を置いた高山はコートを身につけた。
「これから皇帝代理として命令を伝えにダールトンのもとへ行く。各員は引き続き作業を続けろ。」
その頃、キュウシュウで先日の事件の処理を行っていたコーネリアは急ぎトウキョウ租界へ戻る準備をしていた。
(こちらはまだ処理が済んでいないというのに安永め・・・・)
「コーネリア総督。」
「何だ?」
「皇帝陛下からお話が。」
「皇帝陛下から!?」
私室に入りコーネリアはモニターでシャルルと対面した。
『トウキョウ租界は大混乱しているようだな。』
「申し訳ございません。すぐに私が戻り事態の収束を・・・」
『それには及ばん。既に高山 昌克大佐に私の代理として命令を与えた。』
「あの男に!? 一体何故!」
『あの男が適任だと判断したからだ。貴女は現場のダールトンに高山に従えと伝えるんだ。』
「し、しかし・・・」
『これは命令だ!』
「・・・・イエス・ユア・マジェスティ・・・・」
シャルルとの通信を終えコーネリアは拳を机に強く打ち付けた。
(これでは総督としての面目がない。これは井ノ本、あの男が絡んでいるに違いない。)
ここは何かの神殿なのか、この世のものとは思えない不思議な空間に2人の男性が立っていた。
「これでよいのだな?」
「手間をかけさせたな。シャルル。」
軍服を着用し、サングラスをかけた。初老の男性が後ろにいた。
「まさか、貴公があの男を匿っていたとはな。」
「匿っていたのではない。君達の手助けをしようと思い彼を私の下で育てた。だが・・・・」
「井ノ本、貴公もわかっただろう。あれは我々とは違う存在だと。」
井ノ本は階段を降りていった。
「確かにな。だからこそ私は奴の死を見届けなければいかんのだ。」
これからすぐに次話は事情でまたしばらく時間がかかるかも知れません。
すみません。
こんな作品ですが首を長く待っていただけたら幸いです。