黒の騎士団が使用している潜水艦に団員達が使用している居住区の外れにある1室。 流崎 アキラはその部屋に1人佇んでいた。
部屋に鍵が掛かっており簡易な洗面所、便所、そしてベッド。それ以外は何もない部屋であった。
あの日アキラはこの部屋に監禁されて数日が経っていた。ゼロや扇、藤堂達の尋問でアキラは自分の身に起こったこと、そして陽炎を抜けた経緯をC.C.の件以外は隠すことなく漏らした。
それからというもの呼び出しを受けることもなく1日、1人でこの部屋で過ごしていた。
今日もアキラはベッドの上で横になっている時扉をノックする音がしアキラは目を開いた。
「流崎、ゼロがお前に用がある。出るんだ。」
団員の1人が扉を開けた。 アキラは素直に従いついて行った。
ゼロがいる部屋の扉の前につき団員がノックをした。
「ゼロ、流崎 アキラを連れてきました。」
「わかった。流崎を部屋に入れてくれ。」
部屋に入るとゼロとC.C.の2人だけがいてC.C.は抱き枕を抱いてソファーに横になっていた。
「君はもういい。ご苦労だった。」
団員が部屋に出るとゼロは仮面を外した。
「流崎、すまなかった。お前を自由にするのに5日も掛かった。」
「っと言うと俺の問題は解決したのかルルーシュ?」
「まぁな。」
ルルーシュはアキラが拘束されていた間に起こった事を告げた。
あの事件により治安警察の署長の安永が爆発に巻き込まれたことにより死亡したことがわかった。
治安警察も今回の事件により大半が壊滅し警察としての機能がマヒし現在再編成をを急いでいる。
事件の現場となったシンジュクゲットーは地下の爆発により多くの地区で地下の陥没、ビルの倒壊が発生した。
これにより多くの住民が他のゲットーへの移住を余儀なくされた。クロヴィス前総督により行われた掃討作戦からまだ間もない時もありシンジュクゲットーはほとんどの住民が離れると思われる。
軍は今回の事件でゲットーの住民達が怒りの矛先を軍にも向けられるのではないかと思われたが住民達は大きな騒動を起こすことなく移住を始めた。
それはユーフェミアがゲットーの住民達を手厚く保護したことが幸いし政府、軍に対する不審の目を向けることはそれほどなかった。
政府はそれを利用し死んだ署長の安永 忠道に全ての責任を押し付けることで事件の終息を図った。
黒の騎士団からはカレンの紅蓮を事件でかなり酷使したため今ラクシャータ達が今急ピッチで修理が行われている。
「学園の学園祭も予定より3日ずらすことになった。」
「開催させるつもりなのか?」
「学園の周りはそれほど被害はなかった。それにこういう時だからこそ派手な事やったほうがいいと会長が言ってたよ。」
「あの女らしいな。」
「それと・・・」
ルルーシュは机の上に黒の騎士団の制服を置いた。
「お前にこれをやる。これでお前も黒の騎士団の一員だ。」
「・・・・どういうことだ?」
話は2日前まで遡る。
「アキラの話の通りです!彼は仲間に裏切られてゲットーを彷徨い、偶然私達と会ったのです!」
カレンはテーブルを叩き身を乗り出していた。
今、アキラの処遇に対する会議が行われていた。
朝比奈をはじめ四聖剣達は口を揃えアキラの身柄を自分達に引き渡すよう要求してきた。
「アキラは今までの戦いで何度も私達を助けてくれました。 それなのに彼を処罰するのは間違っています!」
「でもね。俺達は陽炎の人間を仲間として受け入れたくないんだよ。あんたらは日本開放戦線の人間じゃないから知らないだろうけど陽炎って俺達の間で何て呼ばれているか知らないだろ。」
朝比奈はアキラのことを信用できない男だと思っている。
陽炎だからとの理由もあるがあの男は何か危険を感じがすると。
「な、なんです?」
「吸血部隊。 敵の軍事基地を襲撃する作戦で日本開放戦線の部隊がほぼ全滅。生き残って帰ってきたのは陽炎の部隊だけだった。 それからだ、奴ら自分達が生き残るために作戦成功のため味方を見殺しにするという噂が広まっていった。それだけじゃない陽炎にはよくない噂もたくさんある。そんな部隊にいた人間を我々の味方に入れるのは私達は反対だ。」
「自分も千葉の同意見です。」
「右に同じ。」
ト部と仙波も千葉の意見に頷いた。
「紅月君、私は流崎君には我々に対する悪意はないと感じている。しかし、例え彼の言うことが本当だとしても彼がいた陽炎は我々を裏切った事に変わりはない。 その部隊にいた人間を入れることで組織の中で不協和音が生じることもある。」
藤堂はアキラが自分達の敵ではないと感じているが組織としては彼をこのままにする訳にはいかないと考えている。
「扇さん・・・・」
カレンは扇のほうを見た。
「カレン・・・・藤堂中佐の言う通りだ。俺達は何度も彼に助けられた。彼の事は信じてあげたい。だからっといって陽炎の事を無視するわけにもいかない。もう陽炎のことはほとんどの団員にも知れ渡ったんだ。」
「でもよぉ。だとしておたくらは流崎をどう処罰するつもりなんだ?」
同席していた玉城は藤堂達に問いた。
「もちろん、これでしょ。」
朝比奈は自分の右手を首の前に出し、首を切るポーズをした。
「それにあいつはあんた達が雇ってる傭兵なんだろ? 別にあんた達と手が切れてもいいんじゃないのか?」
「そんな・・・・」
「ゼロ、あんたはどうするつもりだ?」
朝比奈はゼロのほうを見た。仮面を被っているため表情を伺えないがゼロ=ルルーシュも皆が協議している間アキラの処遇を考えていた。
(日本開放戦線を裏切った陽炎・・・・確かにそんな部隊にいた人間がいたらかえって組織に支障をきたす恐れもある。しかし、特殊部隊出身のあいつの技術は大きな戦力だ。このまま手放すのは惜しい。それに・・・・)
無愛想ながらも生徒会の中で縁の下の力持ちの存在になりつつあり、そして妹のナナリーを助けてくれたアキラを殺したくはないとルルーシュは思っていた。
「皆の意見はわかった。」
ルルーシュは自分の考えを述べようとした時、カレンが声をあげた。
「ゼロ!」
「どうした、カレン?」
「私に提案があります。」
「何だ?」
「彼を・・・流崎 アキラを私の部下として零番隊に入れます。」
カレンの言葉に一同は驚いた。
「カレン、流崎を黒の騎士団に入団させるつもりか?」
「はい! 」
「おいおい、正気かよ。」
カレンの発言に朝比奈は苦笑いした。
「彼を私の指揮下に置きます。もし彼が不審な行動、黒の騎士団に対する反逆行為が見られた場合は・・・・・」
カレンは一度呼吸をし口を開いた。
「私が彼を処罰します!」
「では我々の要求はどうなるんだ?」
千葉がテーブルを叩いた。
「ゼロ、お願いします。流崎 アキラを入団させてください。」
カレンの申し出にゼロは暫く黙っていたが口を開いた。
「カレン、隊長として部下を処罰する。先程の言葉偽り無いのだな?」
「はい!」
「君に彼を討てるのか?」
「・・・・覚悟はあります!」
ゼロ=ルルーシュはカレンの瞳を見て苦笑いした。
(っふ。 これはてこでも動かないな。)
「・・・・わかった。 この件は私が責任を持つ。 彼、流崎 アキラを紅月カレン隊長の零番隊に編入させる。」
「ゼロ!!」
朝比奈、千葉 四聖剣は抗議の声をあげた。
「これは黒の騎士団の人事だ。必要なのは結果を出せる能力だ。人種も過去も関係ない。」
ゼロの言葉に四聖剣達は黙った。
「扇、玉城、お前達はどうだ?」
「いや・・・俺は別に・・・なぁ扇。」
「だ、だが 玉城・・・」
「あぁもういいじゃねぇか! あいつは仲間に裏切られて俺達のところへきたんだ。面倒はカレンが見れくれるしよ。」
「・・・・まぁ そうだな。 ゼロがそう決めたなら俺は何も言わない。」
「決まりだな。黒の騎士団は流崎 アキラを団員として迎え入れることに決定した。 藤堂、お前達に異論は?」
四聖剣達は藤堂の顔を見た。藤堂は目を閉じ少しうつむき加減に考えていた。
「ゼロ、黒の騎士団のリーダーは君だ。君が彼を必要なら私は人事に口は出さない。」
「藤堂さん!」
四聖剣達は声をあげた。
「しかし、我々も彼に不審な行動を確認したらこちらでも処罰する。」
「わかった。カレン、異論は?」
「はい。わかりました。」
「あいつ、勝手にそんなことを。」
「カレンはお前を守ろうとしたんだ。 っふ、それにしても、まさか俺が考えていたことを彼女が先に告げるなんてな。」
「お前も同じことを?」
「それしかないだろ。 いつでも切り捨てられる傭兵を庇うには正式に組織に加入させるしかない。」
ルルーシュは右手を差し出した。アキラはその手をじっと見つめていたが自分も右手を差し出し握手をした。l
「どうやら、俺には選択枝はないようだな。」
「ふふふ、これでお前も黒の騎士団の一員だな。 流崎、学園祭は3日後だ。」
アキラは渡された制服を手に取り部屋を出ていこうとした。
「流崎、カレンならKMF保管庫にいる。ラクシャータ達と紅蓮の修理を手伝っている。」
「・・・・わかった。」
そう言うとアキラは部屋を出た。
「ふぅ、素直に応じてくれたか。」
「少し丸くなったみたいだな。シンジュクで何かあったな。」
「さぁな。まだ不安要素はあるが藤堂達以外はなんとかなるだろう。」
カレンはラクシャータからの要請で来たインドからの応援チームと共に紅蓮の修理を行っていた。
「だいぶ進んでいるようだな。」
この声を聞きカレンは振り向いた。
「アキラ!」
アキラは上は薄汚れた作業用のTシャツを着ているが右腕には黒の騎士団の制服の上着が握られていた。
「俺も手伝う。」
「アキラ、その制服・・・」
「誰かのおかげで着るハメになった。」
「えっと・・・それは・・・・」
「別に怒ってない。 ゼロから話は聞いた。」
「う、うん。」
カレンと共に紅蓮の修理を行おうとした時ラクシャータから声を掛けられた。
「あれ?レッド・ショルダー、その様子だと自由の身になったようだね。」
「まぁな。」
「ちょうどよかった。 この娘が乱暴に扱っちゃったせいで紅蓮はボロボロ。インドからの応援だけじゃあ足りなかったから人手が欲しかったのよ。」
「時間が掛かるのか?」
「輻射波動は修理できた、けど左脚はなくなっちゃったし、どこも修理が必要なの。 こんなに乱暴に扱ってこれじゃあ紅蓮だけじゃなく私達ももたないよ。 レッド・ショルダーの操縦テクニックが移っちゃったんじゃない。」
ラクシャータの言葉にカレンは苦笑いを浮かべたがすぐに真剣な顔に戻った。
「ラクシャータさん、そのレッド・ショルダーってアキラのまえで言わないでください。」
「わかった。 でもね噂のレッド・ショルダーの人間と会うのは初めてだからついそう呼んでしまうのよ。 それにご本人は特に気にしてないようだし。」
アキラはラクシャータの言葉に気にすることなく紅蓮の修理をはじめた。
その姿にカレンは呆れた。
アキラ達が作業していると藤堂、四聖剣達が保管庫にやってきた。
「誰かと思えば陽炎。そういえば黒の騎士団に入団したんだったな。」
朝比奈の嫌味をアキラは無視し作業を続けた。その態度にイラついたのか朝比奈はアキラに近づき紅蓮の脚部に手を置いた。
「ゼロはお前のことを信用してるようだが俺達はお前のことを認めてないからな。 陽炎と戦うのはまっぴらゴメンだ。 自分が生き残る為には味方を殺すような奴だからな。」
「心配するな。お前を殺す暇があれば敵を相手にする。」
「なんだと!貴様!」
朝比奈はアキラの肩を掴んだ。
「やめるんだ朝比奈!」
藤堂が朝比奈の腕を掴みアキラから離した。
「しかし!」
「彼のことはゼロに任せたそう決めたはずだ。 お前がそんな調子でどうする。それこそ戦場で死んでしまうぞ。」
「・・・・わかりましたよ。」
朝比奈はそう言うと保管庫から出て行った。
「部下の無礼を許してくれ。」
藤堂の詫びを聞きアキラは何も言うことなくまた作業に戻った。
その態度に千葉、ト部が詰め寄ろうとしたが藤堂が左手で遮った。
「しかし、覚えておいて欲しい。陽炎であった君がここで信頼を得るには君の行動次第だと。 このままでは隊長の紅月君が安心して君に背中を預けられない。」
アキラはチラっと藤堂を見るとまた紅蓮のほうへと視線を戻した。
藤堂達も話を終えると保管庫を出て行った。
「アキラ・・・」
カレンが心配そうにアキラに声をかけた。
「わかってる。お前には迷惑かけない。」
「そうじゃなくて・・・」
「それに・・・・隊長を守るのが部下の役割だ。 それぐらいのことは果たしてやる。」
アキラの言葉にカレンは苦笑いした。
「それだったら私は隊長として部下を守る。それも隊長としての役割よ。」
カレンはニコッと笑顔をアキラに向けた。
「・・・・」
カレンの笑顔におもわず顔をそむけ修理作業に戻った。
(なんだ。結構かわいいところあるじゃない。)
カレンに対するアキラの反応見てラクシャータはほくそ笑んだ。
「・・・・以上が今回の事件の報告です。」
その頃、高山はモニター越しで井ノ本と通信連絡を行っていた。
「申し訳ございません。 流崎どころか実験体も見つけられず、私の責任です。」
「・・・今回は安永達の暴走もある。大佐は引き続き実験体の捜索を続行を。」
「はっ。」
「それと回収した兵士の再調整でバーネット達を派遣することにした。」
「あの者達を?」
「バトレー達で保管している生体の調整ついでだ。」
「左様ですか。」
「・・・高山、わかっているはずだがアキラはお前達を狙うだろう。」
「はい、その時は・・・・」
「頼んだぞ。」
通信を切った高山はある部屋へと入った。そこは何かの実験室のようであった。
部屋の中央には長方形の棺桶のようなカプセルには培養液が入っておりその中である人間が入っていた。
成人ほどの体型、肩まで伸びた髪 体の辺りにはやけどや傷が所々確認できる。
(実験兵士2号・・・・作り物の兵士でどこまで成果を出せるのか・・・・)
高山はカプセルの中を冷ややかな目で見つめた。
アッシュフォード学園祭 当日
当日、アキラは紅蓮のメンテもありカレンとは少し遅れて学園へ来た。
(人が多いな)
学園の生徒だけではなく一般の来場者も大勢参加しておりこのようなイベントに参加するのは初めてなアキラは右往左往の状態であった。
とりあえず、
「ここか。」
アキラは設営された部屋に入った。部屋にはシャーリー、ミレイ、ルルーシュの3人がいた。
「あ、ライ君。 おはよう。」
「遅い! 遅れた分きっちり働いてもらうわよ。」
「あぁ、すまない。」
アキラはミレイに素直に謝ったがアキラの言葉にミレイ、シャーリーは口をあんぐりと開けていた。
「・・・なんだ。・・・どうしたんだ?」
アキラは2人の様子を見て首を傾げた。
「いや・・・いつまなら軽くスルーするかなって思ってたから。」
「そうですね・・・まさか素直に謝るって思ってなかったから。」
自分はそんなにおかしなことを言ったのか。2人の態度にアキラは困惑した。
ルルーシュはその様子を見て苦笑いをした。
「それより、俺はこれから何をすればいい?」
「そうそう。今から巨大ピザの材料を切って欲しいけどライできる?」
「わかった。」
「今、スザク君がやってるから一緒に手伝って。」
「枢木?」
アキラはミレイの言葉に聞き返した。
「えぇ、そうよ。 どうしたの?」
「いや・・・なんでもない。」
「そう。材料は調理室にあるからわからないことがあればスザク君に聞いて。」
「ライ、俺が案内するよ。」
アキラとルルーシュは部屋を出た。
「枢木の様子は?」
「特に変化はない。カレンにはスザクと接触させないよう別の作業をやらせている。 」
「そうか・・・」
「わかってると思うが今騒がれたら・・・」
「テレビ局も来てるんだ。あいつを殺すなら時と場所を考える。心配するな。もっともあいつの出方次第だがな。」
2人が調理室に入るとそこには作業をしているスザクとカレンがいた。
「ライ、来てくれんだ。」
スザクは笑顔で迎えてくれた。
「スザク、人手が足りないと思ってな。 ライに来てもらった。」
「ありがとう。じゃあ一緒に野菜を切ってくれないか。」
「わかった。」
アキラは調理の準備をはじめた。
「カレン、さっきの話はこれで終わりだ。 今日だけはそういうのは忘れて楽しもう。」
「・・・えぇ、わかったわ。」
カレンはアキラと目を合わせた。アキラも何か感づき何も言わなかった。
「じゃあ、2人あとはよろしく。」
ルルーシュとカレンが出ていき調理室にはスザクとアキラの2人だけになった。
アキラは特に何も話すことなく玉ねぎを取り出し包丁で切りはじめた。
「手伝いに来てくれてありがとう。それと僕が言うのもなんだけどキミもカレンも無事でよかった。」
スザクの言葉に耳を傾けながらもアキラは作業を黙々と続けていた。
「今日の学園祭もみんなで参加できて嬉しいよ。 2人来ないと思ってたからさ。」
「・・・さっき、あいつと何話していたんだ?」
「今日は、軍とか黒の騎士団を忘れて学生として学園祭を楽しもうって話したんだ。」
「・・・お前、俺達を捕らえないのか?」
「さっき、カレンにも言ったけどここでは説得したいんだ。 軍とか黒の騎士団、陽炎とか関係なくここではクラスメイトとして接したいんだ。ホントはいけないことだけど。」
アキラは包丁を持っている手を止めスザクのほうを見た。スザクの顔を見て今の言葉に嘘偽りはないとアキラは感じた。
「・・・・お前バカだろ。」
スザクは思い出し笑いのように笑った。
「やっぱりそうだろうね。 でも僕は君達とは戦いたくはないんだ。」
‐今まで枢木と戦場で戦い俺が感じたのはあの白兜のパイロットに殺意は感じなかったことだ。 枢木と話しわかったことはこの男は軍人としては失格だということだ。こういう人間が戦場では先に死ぬ。 俺とは戦いたくはないと言っては戦場にでて俺達と戦う。 枢木の言ってる事とやっている事の矛盾に俺は思った。 こいつはただ死にたいだけじゃないかと。‐
しばらくしてアキラの携帯が鳴り発信元はルルーシュからだった。アキラは携帯を取った。
『流崎頼みたいことがある。』
「なんだ?」
『人手が足りないんだ。すぐに第2校舎の音楽室へ来てくれ。』
「・・・わかった。」
アキラは携帯を切った。
「用事が出来た。あとは頼む。」
「ここももう少しで終わる。あとは僕だけでやるよ。ありがとう。えっと・・・。」
「・・・好きに呼べばいい。 だがここでは。」
「わかってる。ライ、ありがとう。」
学園祭で出店などが立ち並んでいる広場では多くの来場者で賑わっており親子連れも見受けられた。
「ママ、風船欲しい。」
小さな男の子はガス風船を指さした。
「じゃあ、あのクマさんからもらおうか。」
ちょうど茶色の大きな目をしたクマの着ぐるみが風船を持っているのを見かけた。
子供は嬉しようにクマに近づいた。
「クマさん、風船ちょう・・・」
風船ちょうだいと言おうとしたが子供は最後まで言えなかった。
「あぁ・・・あぁ。」
子供は風船を受け取ろうとしてクマが風船を差し出した。
「!?」
子供は気がついた。 この年でこの感情をどう表現したらいいのか分からなかった。見た目は可愛らしいクマだが何かが違っていた。風船を渡そうとしているが手を差し出しているだけで何もない。愛嬌もなくどこか不気味な雰囲気をだしていた。
子供は風船を取り母親のもとへ足早にその場をあとにした。
(・・・・暑いな。)
アキラは視界の狭い着ぐるみの中で汗をかきながらは風船を配っているが中々受け取ってくれる人はいなかった。
ルルーシュから頼まれ音楽室へ行くと教室にいた生徒達から有無も言われずこの着ぐるみを着せられた。
不慣れな格好のせいで息があがりアキラは校舎裏へと行き着ぐるみの頭を脱いだ。
「なってないな。 皆怖がってお前に近づこうとしないじゃないか。」
アキラのまえに現れたのは学園の制服を着たC.C.だった。
「お前、何故その格好を?」
「それはだな・・・」
「おい、待て!」
C.C.を追ってきたルルーシュもやって来た。
「流崎、お前ここで何を?」
「休憩していたんだ。それよりどうしたんだ?」
「ちょうどよかった。付いてきてくれ。」
3人はある倉庫へと入っていった。
話しを聞くとC.C.はイベントの巨大ピザを食べたいらしい。
「わかった。持って行ってやるから部屋にいろ。」
ルルーシュはなんとかC.C.をクラブハウスの部屋へ戻したいようだ。
「お前は嘘つきだからな。」
「こんなことで計略は使わない。軍人やマスコミがいるんだぞ。見つかったらどうする!」
「焼きたてが食べたいんだ。・・・・そうだ。」
C.C.は不敵な笑みを浮かべアキラを見た。まさかとアキラは訝しげな顔を浮かべた。ルルーシュもアキラを見て顎に手を当て考えた。
「流崎、悪いが・・・」
「断る。」
ルルーシュの言葉を最後まで聞かずアキラは即答で返した。
「レディの頼みも聞けないのか?」
「知らん。 あとはお前らだけでなんとかしろ。」
「薄情だな。優しいのはカレンって女にだけか?」
C.C.の言葉にアキラはキッと睨みC.C.は嘲笑うように笑った。
「とにかく、俺はまだやることあるんだ。ピザはルルーシュに任せるんだな。」
着ぐるみの着たアキラは倉庫を出ようとした時別のところからカレンの声が聞こえた。
「どうして学校の中まで」
「あっ、私が・・・」
「誰ですか、あなた?イレヴンじゃありませんよね?名前は?」
「カレンか?ここは関係者以外は立ち入り禁止だから早く外に・・・」
そこにはカレンにの他に男女1組がいた。。1人は扇だが帽子を被った女は見たことが無かった。
「ルルーシュ!えっと・・・それとそのクマは?」
カレンはルルーシュの隣にいるクマに目がいった。
(あれは扇、それと一緒にいる女は・・)
顔立ちからして日本人には見えなかった。ここは立ち入り禁止なのですぐに追い出そうとルルーシュは扇に声をかけようとしたがアキラがルルーシュの前に歩き小声でルルーシュに告げた。
『俺が追い出す。その隙にあの女を連れて出ろ。』
着ぐるみを着たアキラが扇達に近づいた。
(中にいるのは誰? ど、どうしよう。)
着ぐるみに入っているのが誰か分からずカレンは困惑した。
「す、すみません。この人達間違ってここに・・・」
『ここは立ち入り禁止だ。出て行ってくれ。』
「「えっ!?」」
着ぐるみ越しではっきりとは聞こえなかったがカレンと扇はこの声に聞き覚えがあった。
「もしかして・・・」
カレンは中にいる人の名前を言おうとした時、また別の人の声が聞こえた。
「バーナー用のボンベでしょ、予備は確か奥のほうに・・・」
(シャーリーと枢木?)
どうやら何か探しにここへ来たようだ。スザク達もアキラとカレンに気がついた。
「あれ?カレンに、えっと・・・誰?」
シャーリーもアキラが着ているクマに目がいった。
(ッチ。面倒なことなった。)
「そっちに予備のボンベない?リヴァルが探してて。」
「えっと、ボンベは・・・」
カレンは隠しナイフを忍ばせ扇に何かつぶやいた。ルルーシュは隠れて何かをしているみたいだがまだC.C.はここにいる。
「っ!!お前は今の状況を!」
「ルルーシュ?」
ルルーシュの一言が聞こえシャーリーが反応した。
「いるの?だったら話したいことがあって。」
「あ、あぁ。悪いけどまた今度に。」
「あぁ!!」
カレンが突如大きな声をあげあるところに指をさした。
ここにいる皆カレンが指さした場所を見た。
その隙にカレンは隠しナイフでパネルを止めていたロープを切った。
「パネルが倒れる!!」
アキラは倒れるパネルを支えようとしたが突然煙が発生した。
(み、見えない。)
着ぐるみからの視界ではよく見えず何が起こっているのか分からなかった。
歩いていると誰かの体にぶつかりアキラは倒れてしまった。煙のせいで誰とぶつかりどこに倒れたのかも分からなかった。
「っく・・・」
次第に煙が消え視界もはっきりし今自分の視界にある人物の顔が浮かび上がった。
「大丈夫?・・ってあれ!?」
「カ、カレンか。」
「シャーリーがさっきここに。」
シャーリーはというとアキラが倒れている近くで尻餅をついていた。
「私、誰かにぶつかってそれで・・」
自分がぶつかったのはシャーリーだったのを理解し今自分は着ぐるみの顔が抜けているのを気づいた。
ルルーシュとスザクが倒れるパネルを支えていた。
「クマの中にいたのライだったんだ。・・痛っ!」
スザクの足下には生徒会で飼っているアーサーがスザクの足に噛み付いていた。
扇達の姿を見えずここを出たらしい。
「ふぅ~。よかった~。」
「あぁ、それよりカレン。」
「え、何?」
アキラ目線をずらし言った。
「はやく、どいてくれないか。」
「え・・・っ!?」
今、アキラが仰向けになって倒れていて自分がその上から見下ろしている状態で周りから見れば自分がアキラを押し倒しているように見える。
それもお互いの顔もかなりの至近距離で近づいていた。
「ご、ごめん!」
カレンは慌てて上体を起こした。アキラはゆっくりと立ち上がりぬいぐるみに着いたホコリ、汚れを叩いた。
あの時、ホコリ被った部屋の匂いとは違うどこか甘美な匂いがアキラの鼻孔をくすぐった。
事故とはいえ女性の匂いを嗅いでしまった事にアキラは少し罪悪感を感じた。
「・・・ケガはないか?」
「私は大丈夫。・・・っぷ、それにしても。」
カレンはアキラの姿におもわず吹き出してしまった。
「頼まれてやってるんだ。」
「わかってる。ふふふ。」
はじめは怒りがこみ上げたがカレンの笑顔を見てその気がなくなった。
「2人が無事なのはわかったからさ。」
スザクの声に2人は振り返った。
「これ手伝ってくれないか。」
ルルーシュの言う通り辺りは器具が散乱していた。
倉庫の中を片付けルルーシュ達は倉庫を出て行った。
「あっ! ちょっと待って。」
カレンが着ぐるみの背中に着いた汚れをはたいた。
「顔も汚れてる。」
「す、すまない。」
カレンはハンカチでアキラの頬の汚れてをふき、アキラも少し恥しながらもカレンに吹いてもらった。
「ねぇ、スザク君。」
先程から2人の様子を見ていたシャーリーはスザクに話しかけた。
「2人少し雰囲気変わった?」
「えっ?そうかな。」
「うん、なんかライ君、カレンといる時表情が柔らかくなっていうか、ほらライ君今までカレンと話している時なんかぎこちないなぁって感じてて・・・けど今日のライ君を見てたらなんか角がとれて丸くなったような。」
「そうなんだ。ルルーシュわかる?」
スザクに話しを振られたルルーシュも返答に困った。
「そ、そうだな。 そう見えなくもないな。」
「じゃあ、行ってくる。」
アキラはクマの顔をかぶり歩き出した。
「頑張ってね、クマさん!」
カレンの声にアキラは特に反応することなくまた広場へと戻っていった。
また広場で風船配りを続けたが相変わらず誰も風船を受け取ろうとはしなかった。
そろそろ潮時かと思いはじめた時どこかで見た人物をアキラは見かけた。
「おい。」
「うお!? な、なんだよお前?」
突然着ぐるみのクマから声をかけられ驚いた。
「俺だ。とっつあん。」
「お、お前、流崎か?」
「ここじゃあマズイ。付いて来い。」
アキラは坂口を校舎裏へと連れて行った。
「ははは、ちゃんと学生やってるじゃねぇか。」
アキラは着ぐるみの顔を脱いだ。
「どうしたんだこんな所に何か用があるのか? それに・・・」
坂口の格好はスーツ姿に鞄、旅行バックと荷物を抱えていた。
「どこかへ旅行にでも行くのか?」
「旅行じゃなぇが日本を離れようと思ってな。 まぁその前にお前らに挨拶をしようと思ってな。」
「突然だな。」
「どこかの誰かが治安警察と派手にドンパチしたおかげでゲットーはメチャメチャになるわ。俺の家はぶっ壊れちまったし、お得意様の治安警察も軍が再編入に介入するもんだから商売できなくなっちまってな。 いっそ海外に出て新しい商売でもしようて思うんだ。」
「日本人のあんたがここを出られるのか?」
「へへへ。万が一のため政府のお偉いさんとのパイプも太くしてたんだよ。そのコネを使えば簡単さ。」
「頭がいいあんたならどこへでも生きていけるさ。」
アキラからそう言われ坂口は大笑いをした。
「どうだ、俺と一緒に組んで一儲けするか? お前となら大成功間違いない!」
「いや、遠慮する。 俺はまだここでやることがある。」
「ははは。ホントはカレンちゃんにもあいさつしたかったがあの娘はここじゃブリタニア人だったな。日本人の俺といるのはマズイか。」
「俺が呼ぼうか?」
「いいさ。お前から伝えてくれ。 おっともうこんな時間か。」
坂口は帽子を被り荷物を押した。
「じゃあな。流崎、結構楽しかったぜ。 死ぬなよ。」
離れていく坂口の背中を見てアキラは言った。
「とっつあん、世話になったな。」
アキラの言葉に坂口はびっくりしたかのように振り向きへへへっと苦笑いした。
「お互い生きてたらどこかでまた会おうぜ。」
アキラは人混みに消えるまでアキラは坂口の背中を見つめていた。
着ぐるみを返却し生徒会のメンバーと合流しようと広場を歩いていた。
その途中、後ろから足に何かがぶつかった感触がしアキラは振り向いた。
「す、すみません。」
振り向くと車椅子に乗っているナナリーとそれを押しているサングラスをかけた女性がいた。
「ナナリー・・・・お前は!?」
「あ、あなたは!?」
お互いの顔を見て2人は驚いた。
「りゅ・・・」
「その声ライさんですね?」
「えっ?」
その女性がアキラの名前を告げようとしたがナナリーの言葉に口が止まった。
「ライさんは今からどこへ?」
「生徒会のみんなと合流しようと思ってな。」
「ちょうどよかった。私達もこれからお兄様のところへ向かうところです。 あっ紹介しますね。この人は・・」
「知ってる。ユーフェミア副総督だろ。」
「・・・初めまして。・・・ライさん。」
ユーフェミアはぎこちなくアキラをライと呼んだ。
「あの・・・学園祭本部まで案内してくれませんか? ライさん。」
「・・・・わかった。付いて来い。」
アキラはナナリー、ユーフェミアと生徒会本部まで向かうことにした。
(なぜ彼女がここに?)
わざわざ変装してまでユーフェミアは学園へ何しに来たのか。ふとユーフェミアと目が合い彼女もニコッと微笑んだ。
(ルルーシュに会わせたら何かわかるだろ)
「ところでライさん、さっきまでどこに?」
「別のクラスの手伝いをしてた。風船を配ってた。」
「ライさんが? ふふ。」
「何がおかしい。」
ナナリーが笑い出しアキラはムッとした。
「いえ、少し前のライさんでしたらお断りすると思って。」
「目の悪いお前にわかるのか?」
ナナリーはアキラの手をそっと握った。
「少し前のライさんは他人を寄せ付けないところがありましたが今はお兄様達と一緒にいるのが楽しんでいるように感じます。」
「・・・・・」
ナナリーの言葉にアキラは何も言えなかった。
(だからこいつは苦手なんだ。)
2人の様子を見てユーフェミアはふふふと手を口にあて笑みをこぼしていてた。
ナナリー達を送ったアキラはイベントの様子を伺っていた。
自分達がほんの数日前ゲットーや租界であれだけの騒ぎ起こしたにも関わらず学園の連中や来場者は何もなかったかのように笑顔で楽しく過ごしている。
「少し、よろしいですか?」
アキラに声をかけたのはユーフェミアだった。
「無事な姿が見れて安心しました。」
「ここへ何しに来た?」
「スザクに伝えたいことがあって、偶然ナナリーと会ったのです。」
少し離れた場所でルルーシュとナナリーが一緒に座っていた。
ルルーシュはこちらの様子を見ていた。
「でもここであなたやルルーシュに会えて本当によかった。それもスザクの友達だったなんて。」
「ただのクラスメイトだ。」
「スザクやナナリーから聞きました。 普段は無口で無愛想だけど本当は優しい人だと。」
「・・・余計なことを。」
「ふふふ。 なのに、何故あなたはスザクと・・・」
「俺は兵士だ。 敵がいたら倒す、その敵が枢木だった。 ただそれだけだ。」
「戦いをやめることはできないのですか?」
「兵士は人殺ししか何も知らない。」
「でもそれ以外のこと、他の世界を知るために学園にいるんじゃないのですか?」
「・・・・・」
「まだ成功できるかわかりませんが、あなたや日本人が幸せになれる方法を思いついたのです。」
ユーフェミアの発言にアキラは彼女の顔を見た。彼女は笑った顔をこちらへ向けた。
「今日はそれをスザクに伝えたくてここへ来たのです。 いずれお伝えします。」
そう言うとユーフェミアはルルーシュのところへ戻った。
ユーフェミアの言葉に意味がわからず頭を傾げたがいつまでものんびりとしてられずアキラはスザク達の手伝いをしようとイベント会場へと向かった。
「すまない。遅れた。」
先にイベントの手伝いをしていたカレンと咲世子がステージの後方で外部供給動力ケーブルを持っていた。
「俺が代わろう。」
「それでしたらライ様、申し訳ありませんが私はこれから別のところへ行かなければいけませんので。」
「・・・わかった。」
咲世子の代わりにケーブルを持ったアキラは無線を通してガニメデに乗っているスザクと連絡を取った。
「枢木、どこか異常はないか?」
『ライか。みんなから聞いたけどキミが整備したんだろ。 すごいよ軍のKMFに負けないくらい動きが靭やかだよ。』
このガニメデの動きを見てアキラは無線を切った。
「無事、終わりそうだな。」
溜息を吐いたアキラにカレンは怪訝そうな顔で見つめた。
「どうしたの、疲れたの?」
「少しな。」
「アキラには慣れないことばかりだったから。」
「あぁ、でも・・・悪くはないなこういうのも。」
「ふふふ。 アキラがそう言うなんて思わなかった。」
カレンやナナリーから同様の事を言われ果たして自分は変わったのか?
気づかない間に自分はこの学園での生活を楽しんでいるのか、アキラが考え込んでいる時会場が騒いでいた。
-あれ、ユーフェミア様じゃない?-
‐えっ嘘?‐
アキラは皆の視線が集まっているところにユーフェミアがいるのを気づいた。
「えっ何で?」
カレンもユーフェミアの姿を見て驚いた。
「どうやら無事に終わりそうにないな。」
ユーフェミアの周りには生徒の他テレビ関係者などが押し寄せてきた。
近くにいたルルーシュとナナリーの姿は見えなかった。どうやらどこかへ隠れたようだ。
「ん? おい、枢木!」
スザクはユーフェミアに気を取られガニメデの手元からピザの生地が落ちてしまった。
「・・・失敗だな。」
スザクは急ぎユーフェミアのところへ向かった。
アキラはステージから離れていった。
「アキラどこに?」
「ピザを回収する。 いつまでもあのままにはできない。」
「神聖ブリタニア帝国エリア11副総督、ユーフェミアです。今日私から皆さんにお伝えしたいことがあります!」
ガニメデの手の上でユーフェミアが唱えた行政特区日本をアキラはピザの回収を行っている時に聞いた。
学園祭が終了し撤去作業が開始され気づけば夕日が沈みかけていた。
「みんな、今日はご苦労様。ちょっとしたサプライズもあったけどまぁ無事終了っということで。」
ミレイが生徒会の皆に労いの言葉を述べている中アキラの脳裏にはユーフェミアの言葉が過ぎった。
‐この行政特区日本ではイレヴンは日本人という名前を取り戻すことになります。‐
総督ならともかく彼女は副総督、今の彼女の地位でこの政策が実施できるのか政治に詳しくないアキラでも難しいことはわかっている。そもそもブリタニアには何の利益もない。 所詮絵空事だとアキラは思った。
黒の騎士団のリーダーであるゼロ、当のルルーシュはと言うと先程から難しい顔していた。
彼の事だ。リーダーとしてユーフェミアのあの発言に対し黒の騎士団がこれからどうするべきなのか思案しているのだろうと。
「じゃあみんなで祝杯やろう。」
リヴァルが手にはボトルが握られていた。
「あっ!リヴァル、学園に持ち込んじゃいけないでしょ。」
「まぁまぁシャーリー、こういう時ぐらいいいじゃないか。会長、いいでしょ?」
「ん~、よし、許す! 今日ぐらいは大目に見ます。」
「さすが会長。」
そう言うとリヴァルはグラスを1人1人に渡しワインを注いだ。
「じゃあ、学園祭の終了を祝して」
「「乾杯!!」」
皆がワインを口に運んだ。
「あっシャーリーもう顔が赤くなってる。」
「もう、会長見ないでください。」
皆はワインの味を楽しむより雰囲気を楽しみたいそうやって皆飲んでいた。
皆の様子を見てアキラもワインを口へと運んだ。
「!? ゴホッゴホッ!」
「大丈夫?」
隣にいたカレンがアキラの背中を摩った。
「どうしてお前達こんなもの美味しそうに飲んでいるんだ?」
え?っと皆唖然とした表情をした。
「ライ、お前もしかして。」
リヴァルは何かと察した。
「ワインを飲むのは初めてだ。」
皆が顔を見合わせて声を押し殺したように笑いはじめた。アキラはどうしたのかとキョトンとしていた。
「はっはは。」
リヴァルは大声を出して笑った。
「ライ、見かけによらず優等生だな。よし俺が飲み方を教えてやる。」
リヴァルが更にアキラのグラスにワインを注ごうとした。
「リヴァルだめだって、彼が酔ってしまう。」
カレンも笑いを堪えながらもリヴァルを制した。
「でも意外ね。」
「そうですね。ライ君、こっそり飲んでいるイメージですから。」
ミレイとシャーリーもアキラの意外な姿を見て笑っていた。
先程まで難しい表情だったルルーシュ、そしてスザクも皆に釣られて笑っていた。
「・・・・っふ。」
皆、笑いを止めた。
皆が笑っている姿を見て気づけばアキラもうっすら笑っていた。
「おいおい、今度は笑ったぞ。」
リヴァルからの指摘に自分の顔が崩れているのを気づいた。
「ははは、ライもう一回その顔見せてくれよ。」
リヴァルはアキラの頬を無理矢理引っ張った。
「や、やめろ。」
「私達に見せてよ。そのかわいい笑顔♪」
ミレイもアキラのところへ寄ってきた。
「お、おいカレン、こいつ等止めてくれ!」
しかし、カレンもアキラの姿を見て笑っていた。その笑顔にアキラは見とれてしまった。
‐騒がしい連中だ。それは初めて会った時から変わらない。 だが今は皆とこうして一緒にいる時間を楽しんでいる自分がいた。 この時の俺は陽炎や行政特区日本事は忘れていた。 皆に俺の事を紹介し、ここで自分の居場所をつくってくれたカレン。彼女が俺の心の中でとても大きな存在になっていた。‐
アキラの着ぐるみシーンは第3次Zでキリコがフルメタルパニックのポン太くんでイベントデモの時に登場したシーンをネタにやってみました。
ガニメデでのユーフェミアが唱えた行政特区日本は原作通りの内容なのでここでは省きました。
最後のシーン皆未成年なのでこの描写は無理かなっと思ったのですがどうしても入れたい自分の我侭で書きました。
さてもうすぐこの作品もラストに近づいています。今年までには終わらせたいと思っています。