コードギアス~陽炎たる影~   作:三戦立ち

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第28話

ユーフェミアにより突如発表された行政特区日本宣言。

反対されると予想されたがブリタニア行政府は計画を具体的に進め、既に特区へ参加を希望している日本人もかなりの数に増えていった。

黒の騎士団でもそれに対する議論が交わされていた。

藤堂、扇達が話している中アキラは黙々と銃の手入れをしていた。

 

「おい流崎、お前はどうなんだ?」

玉城が話しかけてきた。

「・・・参加をしたら俺達はブリタニアに取り込まれてそれで終わり、拒否すればブリタニアが俺達を討つ大義名分が立つ。 どっちについても俺達は終わりだな。」

「なんだよお前、他人事みたいに言いやがって。」

「どうするか、リーダーのあいつが決めることだ。」

他の団員の1人がアキラに声をかけてきた。

「流崎、ゼロがお前に用があるそうだ。」

 

 

アキラは部屋の前でノックをした。

「ゼロ、俺だ。」

「流崎か、入ってくれ。」

部屋に入るとマスクを脱いだルルーシュとC.C.がいた。

「どうした? 疲れているみたいだな。」

「黒の騎士団の団員からも特区へ参加すると言っている奴らが出てきた。」

「人気だな行政特区日本は。っでどうするつもりだあの女からの返事は?」

「それでお前を呼んだんだ。」

ルルーシュはアキラにある書類を渡した。

「これは・・・」

「当日、式典が開催されるスタジアムだ。」

「結構大きい会場だな。」

「当日は治安警察が会場外の警備を担当することになった。」

「奴らが?」

「情報では副署長だった藤浪が代理で指揮をしているようだが実質軍が指揮権を握っている。 警察内部もほとんど元ブリタニア軍人で編成されているようだ。 だが・・・」

「なるほど、俺を呼んだのはその藤浪達のことだな。」

アキラも呼びだれた真意がわかったようだ。

 

「藤浪達は生き残った少数派の日本人、いや元陽炎の人間達と共に式典当日何か仕掛けるという情報を手に入れた。」

 

「奴らの狙いはおそらく・・」

アキラはC.C.のほうをむいた。

「C.C.だ。 お前の話しで今まで奴らはC.C.を狙って俺達に攻撃を仕掛けていると思っている。 当日は俺と一緒にガウェインで会場へ行く予定だったが奴らがいる以上この障害を排除する。」

 

「お前、行政特区に参加するつもりなのか?」

「お前には聞かせよう。」

ルルーシュはユーフェミアに仕掛ける作戦を話した。

 

 

「ルルーシュ、あの女はただお前と・・・」

「わかってる! だがユフィはわかっていない! 彼女は昔のように俺やナナリーと一緒にいられる、そんな戯言に付き合うつもり気はない。 もう俺は過去を懐かしむ事はしない!」

 

アキラはルルーシュの話しを静かに聞いていた。

「・・・わかった。 手伝おう。」

「ありがとう。 カレンには俺から伝えておく。」

「だが俺からの要求も聞いてもらう。」

「ん?」

アキラはルルーシュにある事を要求した。

「なるほど、抜け目無いなお前も。」

「以上だ。 頼んだぞ。」

 

 

アキラは立ち上がり部屋を出ようとしたがドアの前で立ち止まりルルーシュに背を向けたまま喋った。

「ルルーシュ、黒の騎士団のリーダーはお前だ。

どうしようがお前の勝手だがカレン達はお前を信じて戦ってきたんだ。 それを裏切るような事はしないでくれ。」

「・・・どういう意味だ。」

アキラは振り向き鋭い眼光をルルーシュに向けた。

 

「お前の戦う理由はわかる。だがそのために死ぬのは御免だ。」

アキラの言葉に部屋に張り詰めた空気が包み、アキラは部屋を出た。

 

 

(信じてるか・・・・)

「どうした? 」

ルルーシュの様子を見てC.C.が声をかけた。

「いや、なんでもない。」

アキラが仲間を思いやる姿を見て彼の心境の変化に少し驚いたがルルーシュはカレン達を利用していることに今更感傷に浸るつもりはなかった。

 

(どんなことをしてでも勝たなければナナリーを守ることはできない。それで大事な人を利用することになっても!)

 

 

 

 

 

 

ーエリア11租界 空軍軍事基地ー

ジェット機のタラップから男女2人が降りてきた。

男性は黒髪のショートスタイルで眼鏡をかけており女性のほうは長い黒髪を三つ編みでまとめこちらも黒の眼鏡をかけている。

 

「ドリー・バーネットです。 高山大佐、わざわざの出迎え感謝します。こちらは妹のジョディです。」

「大佐とはお初にお目にかかります。」

「遠方からご苦労だった。」

「そりゃもう、僕らの作品ためですもの。 ここエリア11であろうともどこへでも行きますよ。 それで・・・・」

「わかってる。付いて来い。」

 

3人は実験体2号が眠っている保管室へと入った。

「う~ん、完璧だ。外傷はちらほらあるが実験には支障はない。」

「兄さん! こっちには大脳があるよ。」

ジョディはおもちゃを見つけたように保管されている脳を見てはしゃいでいた。

 

「それはこちらへ運ばれて暫くして死んだ11号の脳だ。 他の兵士のもある。」

「そりゃあ助かる。 生きているのはこの2号だけですから。 でなければ今回の反省もできない。 えっと大佐、今回の作戦でこの子達は軍にも攻撃を加えたと?」

 

 

「そうだ。与えられた命令に忠実すぎるところがある。 もっと臨機応変な対応ができる兵士が必要だ。」

 

「そうは言ってもそれってもっと人間らしくってことですよね。 そうなると戦闘では邪魔な感情も出てくるから結構やっかいだね。」

「でも兄さん仕方ないよ。  また軍といざこざを起こしたら私達も睨めれるし。」

 

「まぁ、閣下からの命令もあるし、ダールトンのとこに行く前に調べてみるか。大佐、ここの部屋しばらく借りますよ。」

 

2人を残し高山は部屋を出た。

(面倒な2人が来たものだ。 奴らはこちらのことを考えずに実験だと作戦に割り込む。)

 

高山は傍にいた部下にある指令を出し廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐行政特区日本 記念式典当日‐

 

会場となったスタジアムは大勢の日本人でごった返していた。

式典の時間が刻一刻と迫る中軍と治安警察は日本人に不審な行動、特に黒の騎士団がこの中に紛れ込んでいないか入念なチャックを行っていた。

 

「藤浪副署長、何か変わったことは。」

「ダールトン将軍、何も・・・」

「これだけのイレブンの数だ。 何かあれば大変なことになる。 だがここへ空爆を行わない限りそのようなことはないと思うがな。」

 

ダールトンの見下すような言葉を藤浪はただ黙って聞いていた。

 

「ふっ。 そう固くなるな。今は治安警察、軍と手を取り合ってこの式典を乗り切ろうではないか。 ではあとは頼むぞ。」

 

 

ダールトンの背中を見て藤浪は苦々しく睨んでいた。

高山によって生かされたとも言うべき自分、署長の安永が死んで治安警察の上層幹部は藤浪他数名の日本人以外は全員死亡し急編成を余儀なくされ、そこへ軍が割り込み幹部を元軍にいた人間が占めることになってしまった。

このことを井ノ本に報告したが現状維持を最後に特になにも進展はない。

藤浪はただのお飾りの役職に座らされているだけであった。

 

 

「っく。」

藤浪は部下の運転で会場から少し離れた治安警察本部へと向かった。

 

高山から与えられた実験体奪還作戦の為本部となっている大型車両へと入り数少ない日本人の部下と作戦の打ち合わせをしようとしたが本部へと入った藤浪は目を疑った。

 

「こ、これは!?」

 

中は部下達の死体が転がっていた。 鮮血により床一面に血がこびりついていた。

それと部下の手には拳銃が握られていた。しかし、敵と銃撃戦をした痕はどこにも見当たらず鮮血以外は荒らされた痕跡はなかった。

 

「待ってましたよ。藤浪 義辰。」

「お、お前は!!」

椅子が回転しそこに座っていたのはゼロであった。そして隣からアキラが銃を構えて現れた。

 

「りゅ、流崎 アキラ!! 何故、お前達がここに?」

「彼が君に用があってこうして会いに来たのだ。」

「私に?・・・まさかこれは!!」

 

ゼロのマスクの左目部分が開き、ルルーシュの左目が露わになった。

 

「この男、流崎 アキラを私、ゼロと思い彼の命令に従え。」

 

「あっ!!」

気づいたときにはすでに遅く藤浪はルルーシュの目を見た瞬間、藤浪は力が抜けたように近くにあった椅子に座り込んだ。

 

「これでいい。」

「恐ろしい力だな。コイツは。」

「さぁ これでお前の願い通り奴らにギアスをかけた。この男をどうするかはお前の自由だ。」

 

その時、ルルーシュは左目を抑えるような仕草をした。

「どうした?」

「い、いやなんでもない。」

いつもどおりの調子に戻りルルーシュはマスクの左目のほうを閉じた。

 

 

「開始時刻までには戻れよ。」

そう言うとルルーシュは車両から出て行った。

 

 

藤浪と2人きりになりアキラは試しに藤浪に声をかけてみた。

「俺を誰だかわかるか。」

「・・・ゼロ。」

 

藤浪の様子を見てギアスが効いているのだと実感し、本題へと進もうとした。

 

「聞きたいことがある。半年前、日本開放戦線の第8調査部隊の施設を襲撃した作戦、あれは何が目的だったんだ?」

 

「実験体C.C.の強奪。そして研究施設の壊滅。」

 

「あの女を使って何をしていたんだ。」

 

「実験体の不老不死、そしてギアスについての解明、調査。」

 

「井ノ本達はあの女をブリタニアに渡そうとしたんだな。」

 

「そうだ。 だが施設の責任者で同志でもあった木場 光雄(きば みつお)が実験体を自分だけのものにしようとした。 そして木場は日本開放戦線の片瀬と共謀し陽炎の中にスパイを送り今まで陽炎が参加した作戦の詳細を記したファイルを入手した。 

それを片瀬に渡し、閣下を失脚させ陽炎を自分のモノにしようとした。 それを知った閣下は当初の予定を早め作戦を開始させ作戦終了後実験体をクロヴィスに渡し我々はブリタニア本国へと向かった。」

 

 

「井ノ本とブリタニアはどんな関係なんだ!」

 

「・・・・・」

 

アキラの質問に藤浪は黙ったままだった。どうやら藤浪にもそれは知らないようだ。

 

「質問を変える。 流崎 アキラを何故殺そうとしたんだ。」

 

「流崎 アキラの抹殺は作戦の中に含まれていた。」

 

「な、何故だ?」

 

アキラは何故、C.C.の強奪作戦と並行して自分を殺そうとしたのか気になった。

 

「流崎 アキラ、この男が生きている限り我々の障害となる。 閣下と高山大佐はそう仰っていた。」

 

「俺が・・・!」

 

アキラは陽炎にいた頃の記憶が蘇った。

 

 

 

‐お前は私が探し求めていたモノだ‐

 

‐貴様は死ぬんだ!! 死なないはずがない!!‐

 

‐教えてやる。お前の過去を‐

 

 

「っく!」

おもむろにアキラは腰のホルスターに収めていたダブルバレルのショートショットガンを取り出し藤浪に向けた。

 

銃を向けられているのにも関わらず藤浪は平然とした様子でいた。

アキラは銃の引き金をゆっくりを引こうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなった。」

しばらくしてアキラは黒の騎士団が隠れているエリアへと戻ってきた。

 

「アキラ、ゼロとの準備はできたの?」

「もう終わった。」

カレンとの会話を流すように返し何事もなかったかのようにガウェインへと乗り込んだ。

 

 

『流崎、準備はいいか?』

 

ゼロが無線から連絡をしてきた。

 

「こちらはいつでも行ける。」

 

『そうか。それで用事は済んだのか?』

 

「・・・・あぁ。」

 

ゼロからの問いに特に慌てた様子もなくアキラは各計器のチャックを行う。

 

 

『黒の騎士団! これより作戦を開始する!!』

 

ゼロはガウェインの肩に乗り、アキラはガウェインを起動させた。

 

 

ガウェイン1機でスタジアムに向かった。スタジアムには大勢の日本人が詰めかけていた。

 

 

「ゼロ、お待ちしてました。」

「ユーフェミア副総督、2人だけで話がしたい。」

 

そう言うとゼロとユーフェミアは2人だけで式典の裏へと入っていった。

 

 

 

 

 

「これは!?」

藤浪からの連絡がなく本部へと向かった高山の目に写ったのは死体が転がっている中で一人佇んでいる藤浪の姿であった。 

「藤浪!!何があったんだ?」

「ここで大人しくしてろとの命令で・・・」

「命令?」

藤浪には周りの様子が何事もないような感じであった。

この藤浪の姿を見て高山は一つの答えに辿り着いた。

 

「貴様、ギアスをかけられたか。」

高山は本部のモニターでゼロが姿を現したのを確認できた。

「先に先手を打たれたわけか。」

 

高山は苦々しい表情を浮かべ懐から銃を取り出し藤浪に向け引き金を引いた。

撃たれた藤浪は頭部を撃ち抜かれ、力無く倒れた。

 

「藤浪 義辰は黒の騎士団により暗殺された。 これより、作戦は我々だけで行う。実験体を見つけしだい行動を開始する。」

 

 

 

「そこに乗っている者、機体から出てもらおう。」

警護の兵士からそう言われアキラは黒の騎士団が使用しているバイザーで顔を隠しコックピットから出て武器等がないかチェックを受けた。

 

「ライ・・・」

 

アキラの姿を見てスザクは駆け寄った。

 

「君も来ていたんだ。」

「あぁ。」

 

「今日はブリタニアと日本お互い大事な日になる。 うまくいけば君やカレンと戦わなくて済むかもしれない。」

 

 

その時、ふとスザクはガウェインのほうを見て驚いた表情をした。

 

「おい、どうした?」

アキラの問いにも答えずスザクただガウェインのほうを凝視していた。

するとガウェインのコックピットからC.C.が姿を現した。

 

「やっぱりあの時の!」

「知っているのか?」

 

 

C.C.はコックピットから降りスザクに問いただした。

 

「一つだけ答えろ。お前は・・・っ!!」

 

突如、C.C.は顔を押さえ蹲った。

「まさか!? もう・・」

「おい、どうした?」

C.C.の様子を見てスザクは彼女の肩に触れた瞬間、スザクも頭を抱えて倒れ込んだ。

 

 

 

 

『大佐、実験体を発見。流崎 アキラも一緒にいます。』

「2人とも捕獲しろ。 特に実験体のほうは慎重にな。」

 

 

 

「な、なんだ・・」

2人が倒れアキラは困惑した。 幸い会場からは見えてはいないので騒ぎにはなっていないがいつ気づかれるかわからない。

 

「枢木、どうしたんだ?」

アキラはスザクを摩ってみたが起きる様子はなかった。

次にC.C.の様子を見ようと彼女を触れようとした時、全身黒に統一された戦闘服を着た特殊部隊らしき集団、3人がアキラ達を囲った。

 

「なっ!?」

アキラは瞬く間に数人に拘束された。

「なんだ!お前達は?」

「流崎 アキラ確保。続けて実験体も確保します。」

「お前達、高山の!!」

 

彼らがC.C.を拘束しようとした時、ゼロと会談していたはずのユーフェミアが姿を現した。 

彼女はアキラや隊員達に目もくれずステージへと走っていった。

「日本人を名乗る皆さん。お願いがあります。死んでいただけないでしょうか?」

 

多くの日本人が集まっているスタジアムのステージでのユーフェミアの発言にアキラは驚愕し、アキラを拘束していた彼らも驚きの声をあげていた。

 

 

ユーフェミアからしばらくしてゼロもアキラの前に姿を現した。

「流崎!」

「ゼロ!! こいつらは高山達の回し者だ。」

 

「ゼロだ。 実験体と一緒に捕獲しよう。」

 

「流崎、目を閉じてろ!」

 

ゼロの言葉を理解したアキラは目を閉じた。

 

「お前、隣にいる仲間を殺せ!」

 

ギアスを掛けられた彼はアキラの拘束を解き、躊躇なく銃を隣にいる仲間に銃をかざし引き金を引いた。

 

 

拘束を解かれたアキラは立ち上がり彼の背後を取り首に手をまわし、首を折った。

「コイツ!」

 

残った隊員がアキラにライフルを向け撃とうとしたがアキラは死んだ隊員を盾にし隊員が手にしていたライフルを持ち相手に向けて撃った。

全員死んでいるのを確認したゼロはスザク、C.C.が倒れいているのを気づいた。

 

「スザクとC.C.はどうしたんだ?」

 

「あの女が突然倒れて、触れた枢木も倒れた。 それよりも・・・」

 

その時、ステージから銃声が鳴り響いた。

「兵士の方々、皆殺しにしてください!虐殺です!!」

 

ユーフェミアの呼びかけで兵士達が日本人に向けライフルを発射した。

 

 

「お前・・・・」

「俺のせいだ。」

ゼロ、いやルルーシュは弱々しい口調でつぶやいた。

 

「俺はギアスをかけるつもりはなかった・・・なのに・・・」

 

ルルーシュの言葉にアキラは舌打ちをし、バイザーを外した。

 

「流崎、お前はC.C.のところにいてくれ。 まだ高山達がいるかもしれない。」

 

「ルルーシュ、あの女をどうするつもりだ?」

 

 

「・・・・彼女を止める。それでもダメならせめて俺の手で・・」

 

そう言うとルルーシュはステージへと走っていった。

 

その後ろ姿をアキラは黙って見つめていた。

 

 

 

「うぅ・・・」

かすかにC.C.から声が聞こえてきた。

 

「起きたか。」

「ど、どうしたんだ?」

「話しは後でルルーシュにでも聞いてくれ。 お前はKMFに乗って奴を助けろ。」

 

「お前は?」

アキラはガウェインのコックピットから愛用のショットガンを取り出した。

「ユーフェミアを殺す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐ブリタニア領 ハワイ島 軍事基地‐

 

一人の初老の男性が数機の輸送機とともにエリア11へと向かうジェット機の機内に設置してあるモニターで行政特区日本の式典の様子を見ていた。

 

「閣下、エリア11の高山大佐からの通信です。」

 

モニター越しから高山の姿が映し出された。

「閣下、実は・・・」

「こちらでも確認された。」

「申し訳ございません。 実験体のほうは・・・」

「C.C.は諦めるしかない。 それよりお前達も早くそこから撤退するんだ。 この様子では巻き込まれる。」

 

「はっ、では。」

 

 

高山との通信を切った。閣下、井ノ本 寛司は機内越しから見える空を見上げた。

 

(ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、C.C. ギアス そして流崎。 やはりお前は王の力に相反する存在なのだな。)

 

 

 

「どうやら彼にも暴走が始まったみたいだね。」

井ノ本が振り返るとそこには10歳前後の少年らしき子供がいた。

 

「流崎 アキラ。奴も会場にいた。」

 

「なるほどね。 彼がいたとなるとこの状況も納得できるよ。」

 

少年はソファーに腰を落とした。

 

「久しぶりにあの子の顔を見てみるよ。 もうあの頃の面影はないけど。」

「・・・頼む。」

「弟の親友の頼みを聞くのも兄の役目さ。それに・・・」

 

少年は怪しい笑みを浮かべた。

 

「彼が生きていたら僕らの障害になる。 彼はいてはいけない存在なんだ。」

 

 

 

 

 

ルルーシュから少し遅れてステージへと来たアキラが見た光景は無抵抗の日本人がブリタニアの兵士達に殺され死体が次々に競技場一帯に転がっていた。

血の匂いがし、銃声、怒号が鳴り響いていた。

先程までの式典の雰囲気とは真逆の光景であった。

 

 

(ユーフェミアはどこだ。)

ユーフェミアを探すアキラの前に兵士が2人現れた。

 

「黒の騎士団だ! 副総督の命令だ。 日本人は全員殺す。」

アキラは素早く腰からショットガンを取り出し2発、敵に向け撃ち倒した後、身を隠し次の弾を装填しながら辺りを見廻った。

 

 

 

『アキラ、応答して。』

通信からカレンの声が聞こえた。

 

「俺だ。」

『よかった、無事なのね。 今、どこに?』

「スタジアムの中だ。」

「ゼロから聞いた。行政特区日本は私達を誘き出す為の罠だって。」

 

カレンの話でルルーシュはユーフェミアを殺すつもりだとアキラは理解した。

 

「私も今からそっちに行くから。」

「おい、待てここは・・・」

アキラはカレンを止めようとしたが兵士達がアキラを発見した。

 

「黒の騎士団だ!!」

「っく・・!」

アキラはカレンとの通信を切り応戦した。

 

 

 

軍からの攻撃を掻い潜りスタジアムの外へと出た。アキラはユーフェミアを探しているが未だ見つからない。

 

そんな中、アキラはカレンの乗る紅蓮が敵KMFと対峙しているのを発見した。

 

 

 

「日本人ですか?無礼でしょ。私はユーフェミア・リ・ブリタニアですよ。」

対峙している相手がこの騒動の張本人ユーフェミアだとカレンは気づいた。

 

「!! そうか、ここにいたのかお人形の皇女様」

「あら、あなたあの島にいた。」

「みんなの敵、ここで!!」

 

カレンが攻撃をしようとした時、一発の弾が2機の間を掠めた。

2人が銃弾が飛んだ方向を見るとそこにはショットガンを構えたアキラが立っていた。

 

「アキラ!!」

「ユーフェミア、そこのKMFを相手するより俺を殺すほうが楽だぞ。」

 

「そういえばあなたは日本人でしたね。だったら・・」

 

ユーフェミアが乗るグロースターはアキラにライフルを向けた。

 

「アキラ!!」

「カレン!! 手を出すな。」

 

『日本人は虐殺で・・・ダメ。』

グロースターからライフルが発射されない。

『ダメ・・・この人は・・・シュとナ・・リーの大事な・・・』

 

ユーフェミアの苦しそうな声はアキラにも聞こえた。

 

(ユーフェミア・・・・お前。)

 

『ぎゃく・・・・ダメ!!』

 

グロースターの右腕がアキラのいる場所とは別の方向へとむけライフルを発射させた。

 

その動きにカレンは紅蓮を動かした。

「!! カレン、よせ!」

 

グロースターから発射された弾は近くで大破されたKMFへと跳弾し、その弾はユーフェミアが乗っているグロースターのコックピットへと貫通した。

 

 

「!?」

『え!?』

 

この出来事にアキラは驚き、カレンも紅蓮の動きを止めた。

 

被弾したためグロースターのコックピットは脱出機能が作動し機体と分離した。

コックピットは近くへと落ち、ユーフェミアが姿を現した。

返り血で赤く染め上がっているドレスから彼女の血が流れてきた。

 

「日本人は・・・」

ユーフェミアは力無く倒れた。

 

 

 

この姿にアキラはただ呆然を見ていた。

 

「ユフィ・・・・」

ガウェインからこの光景を見ていたルルーシュは唇を噛み殺していた。

 

(さようなら、ユフィ。たぶん・・・初恋だった)

 

 

 

 

「ユフィィィィィ!!!」

スザクのランスロットが急加速でこちらへと近づいている。

 

「!! アキラ、掴まって!!」

差し出された紅蓮の左腕にアキラは乗った。

 

 

 

 

‐流崎さんありがとうございました。トカゲ意外と美味しかったですよ‐

 

‐あなたや日本人が幸せになれる方法を思いついたのです‐

 

 

離れていくユーフェミアを見てアキラは彼女との話が記憶に蘇った。

 

 

 

 

 

 

虐殺の場となったスタジアムへと戻ったアキラは生き残った日本人と黒の騎士団が集まっていた。

 

「日本人よ!ブリタニアに虐げられた全ての民よ!!私は待っていた、ブリタニアの規制を影から正しつつ、彼らが自らを省みる時が来るのを。しかし、私達の期待は裏切られた。虐殺という蛮行で!!」

 

ゼロの言葉に同調するようにユーフェミア、ブリタニアを誹謗する言葉があちこちから聞こえた。

 

「ユーフェミアこそブリタニアの偽善の象徴。国家という体裁を取り繕った人殺しだ! しかしそのユーフェミアは死んだ。それも自らの銃弾によって。」

 

 

「天罰が下ったんだ!」

 

「マヌケな魔女め!!」

 

 

 

「私は今ここにブリタニアからの独立を宣言する!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーフェミアが治療を受けている部屋から医師たちが出てきて、スザクは急ぎ部屋へと入っていった。

 

 

「セシル君、医者はなんて?」

「もう・・手遅れだと。」

「そう・・・」

ロイドはスザクとユーフェミアがいる部屋を見た。

 

 

「君、ランスロットが記録した映像見た?」

「はい・・・まさか撃った銃弾が自分に返って、それもコックピットに被弾するなんて。」

 

「こんな、偶然あるんだね。」

しばらくしてスザクの泣き叫ぶ声が部屋越しから聞こえた。

 

 

 

 

 

 

このままトウキョウ租界へと進攻することになり皆士気が高まっている中アキラはゼロのいる部屋へと向かっていった。

 

「アキラ、どうしたの?」

 

「カレン、今はほっといてくれ。」

カレンはアキラの様子を見て声をかけたがその鋭い眼光あの目は初めて会った時の目のようだとカレンはアキラにこれ以上追求できなかった。

 

アキラはノックもせずゼロのいる部屋へと入っていった。

 

「ルルーシュ。」

ルルーシュは今だゼロの仮面を被ったままでその姿にアキラはイラついた。

 

「お前!! 何故あんな命令を。」

アキラはゼロの仮面に手をのばそうとした。

 

「よせ!」

「C.C.・・。」

「今、外せばお前もギアスをかけられるぞ。」

「なんだと・・・?」

「ルルーシュはもうギアスの力を制御できないんだ。 あのマオのようにな。」

 

 

「ふっ。わかっていたはずなのにな。この力がどんな恐ろしいものかって」

ルルーシュは項垂れるようにソファーへと座った。

 

「ルルーシュ、あの女苦しんでいたぞ。」

「あぁ、ユフィは俺のギアスに、命令に逆らおうとした。

能力が落ちたのかとも思ったが、それはたぶん彼女にとってとても許せないことで、とても当たり前のことで・・・・流崎、俺の役目をお前にやらせてしまったな。」

 

ルルーシュの様子を見て、アキラはこれ以上の追求をやめた。

 

「俺は何もしていない。それに・・・汚れ仕事は慣れている。ルルーシュ、覚悟するんだな。 次、枢木は本気でお前を殺す気で来るぞ。」

 

 

「・・・あぁ、そうだろうな。」

 

そう言うとアキラは部屋を出て行った。

 

 

 

 

‐愛、未来、望み、すべて血と硝煙で消えていった。 これから更に血が流れる・・・その血が流れた結果どうなるのか・・・そして俺は・・・・‐




ユーフェミアの最期を変えてみました。
ちなみにこのシーンは小説版ペールゼン・ファイルズのラスト、ザキの最期をモチーフにやりました。
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