コードギアス~陽炎たる影~   作:三戦立ち

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第29話

‐アヴァロン‐

 

ユーフェミアの遺体が安置されいる部屋でスザクは1人佇んでいた。

「ユフィ・・・どうしてあんなことを・・・」

 

彼女から授与された騎士の勲章を見ながらつぶやいていた。

 

「教えてあげようか?」

 

誰もいないはずの部屋に聞こえた声にスザクは振り向くとそこには年端のいかない子供がいた。

「子供? どうしてここに?」

「初めまして、枢木スザク。僕の名前はV.V.。」

「V.V.?」

「君に伝えたいことがあって会いにきたんだ。」

 

 

 

 

 

 

エリア11で潜伏しているレジスタンス組織と合流し黒の騎士団は大勢力となった。トウキョウ租界への進攻を開始している中、アキラは紅蓮のメンテを終えたカレンと共に無頼の整備、カスタマイズを行っていた。

 

アキラはスザクのランスロットに対抗するため無頼の装甲を極限まで削る事で軽量化を図ろうとした。

そのため各部装甲の関節部が剥き出しの状態であった。

武器もライフル一丁と月下で使われている廻転刃刀を短くしコンバットナイフのような形に仕上げそれを1つ用意している。

 

 

 

 

作業も一段落しカレンはふと窓の外を見た。

 

「学園のみんな。 ちゃんと避難したかな。」

 

「今、軍が租界の周りを固めているんだ。 あいつらにも避難指示は出ているはずだ。」

 

 

アキラも手を止めカレンと並び外を光景を見た。

 

 

「カレン、もうすぐ俺達も出る。 今は戦いに集中しろ。」

 

「わかってる。 ここまで来たらもう立ち止まらない。    ねぇアキラ、最初に会った頃、言ったよね。今の俺には日本がどうなろうが知ったことじゃないって。 それって今でもそう?」

 

 

「・・・あぁ。」

 

「それって陽炎のみんなから裏切られたから。」

 

「それだけじゃない。・・・物心ついた時から銃を握り日本からブリタニアを追い出せと言われ毎日戦っていた。 いつか日本が開放されると信じて・・・・だがいくら戦っても戦争は終わらなかった。 毎日戦場で戦い、隣にいた奴が死んで帰ってこない。 それが俺の日常だった。 いつになれば終わる、ブリタニアを追い出したところで戦争は終わるのか。 陽炎をでても俺にできることは戦いしかなかった。もう・・どうでもよくなった。」

 

 

初めて聞いたアキラの本音にカレンは神妙な面持ちで聞いていた。

「こんなこと誰かに言うのはお前が初めてだ。」

 

いつもより饒舌な自分にアキラは苦笑いをした。そんなアキラにカレンは笑顔で応えた。

「ありがとう。あなたの話を聞けてよかった。」

 

2人は黙って外の風景を眺めていた。

アキラは空いている左手をそっとカレンの近くへと動かしカレンの手の甲に軽く触れた。

 

「・・!」

 

「っ・・!」

 

相手の手を握らずお互いの指が軽く触れる程度のものである。 

 

お互いの顔を見るわけでもなく言葉をかけることもない。外では銃声、爆音が鳴り響いている中静寂な空間が2人を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐ チバ ヨコスカ基地‐

高山は部下を引き連れ井ノ本の到着を待っていた。

 

「大佐、黒の騎士団は各防衛ラインを突破。現在、最終防衛ラインにてコーネリア総督とにらみ合っています。」

 

 

「慌てるな。 黒の騎士団の租界進攻に本国からシュナイゼル宰相が来ることになり閣下はそれに先立ちエリア11へと来る。」

 

「では・・・」

 

「閣下が到着次第我々も出撃準備もする。 閣下は我々のKMFも用意している。」

 

「相手は黒の騎士団。 血が騒ぎます。」

 

「流崎だけじゃない、安永達を手こずらせた赤いKMFもいる。 油断するな。」

 

 

高山はトウキョウ租界がある方向を睨んだ。

(流崎、今度こそ殺す。 閣下の目の前で!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

‐23:58 トウキョウ租界 最終防衛ライン‐

 

ゼロは最終通告としてブリタニアに突きつけた時間午前0時まで間もなくのところまできた。

 

アキラはカスタマイズされた無頼で待機している。

 

(この中に高山達はいるのか・・・)

 

自分たちと対峙しているサザーランド、グロースターの大群を近くにアキラは神根島で再会した高山が脳裏を横切った。

 

 

アキラは時間を確認し作戦開始時刻の0時まで数秒まで近づいた。

 

 

午前0時

 

0時になった瞬間対峙していたブリタニア軍の足場が突如崩れ始めた。

 

ゼロが仕掛けたトラップにブリタニア軍は混乱に生じた。

 

『全機発進せよ!』

 

「了解、アキラ行くよ!」

 

「わかった。」

 

カレンに従いアキラも出撃した。

 

「私は正面の敵を叩く! アキラ、援護を。」

 

「了解した。 遠方からの敵は任せろ。」

 

敵陣へと突っ込むカレンに対しアキラは追従しながらライフルで援護射撃でカレンの進軍をフォローし時には背後からの敵を撃破しながら進んでいった。

 

『零番隊は特務隊と共に学園地区を制圧。 そこにある学園を司令部とする。』

 

 

『えっ!?』

 

「!!」

 

ゼロの指示にカレンとアキラは戸惑いながらもアッシュフォード学園に向かった。

 

 

「流崎は学園の外でここの生徒がいないか確認。カレンは私と共に来るんだ。」

 

カレンは合流したゼロ、扇達とクラブハウスの中へと入っていった。

 

 

 

 

 

ー 「咲世子さん、誰かいるのですか?」

 

「それにしてもカレンにこういう人がいるなんてね。」

 

「まさかあのカレンお嬢様に男の影があるとはこれはビッグニュースだ。」ー

 

 

 

カレンの忘れ物を届けようと学園へと入りそこでナナリーと咲世子と会った。ちょうど今、その場所にいた。

 

(何故今、あいつらの事を思い出すんだ。)

 

生徒会のみんなと初めて会い質問責めにあったことを思い出した。

本音では皆を巻き込みたくはないと思っているのだろうか。

ここへ行く前の自分ならそんなこと考えなかったであろうとアキラは心境の変化に違和感を感じた。

 

 

一通り見て回り、ゼロと合流するためクラブハウスへと入っていきゼロ達がいる生徒会室へと入っていった。

 

ニーナを除く生徒会の皆が部屋におり黒の騎士団に怯えている中カレンが皆の前でバイザーを外している姿が目に映った。

 

「カレン、お前・・・」

 

「うん、もういいのアキラ・・・」

 

「・・・・そうか。」

 

アキラはバイザーに手をかけ外した。

 

「「ライ!?」」

 

アキラの顔を見て生徒会の皆が驚愕の声をあげた。

 

「カレンの次はライ? 一体どういうことだよ!」

 

「それにアキラって・・・・まさかライ、あなた!」

 

ミレイの問いにアキラは頷いた。

 

「すまない、会長。」

 

「そう・・・そういうことだったのね。」

 

「騒ぐようなマネをしない限り我々は君達に危害は加えない。 約束しよう。」

 

ゼロがミレイ達にそう告げた直後、団員の1人が部屋へと入りある報告をした。

その報告にアキラ、カレンは目の色を変えた。

 

 

 

 

 

「ゼロはどこだぁああ!!」

 

途中から戦線へと加わったスザクのランスロットは凄まじい勢いで黒の騎士団のKMFを2機、3機と撃破し、ゼロの行方を追っていた。

 

突如横からの攻撃にスザクはブレイズルミナスで防御した。

攻撃がきた方向を見るとそこには1機の無頼がビルの瓦礫の上からライフルを構えていた。

 

「邪魔をするなぁ!!」

 

スザクはヴァリスを撃ったが無頼は瓦礫の下へと隠れていった。瓦礫をヴァリスで崩れたため辺りが煙に包まれた。

 

フロートユニットで空から確認しようとした時背後から衝撃が襲ってきた。

 

「後ろ!」

 

致命傷にならなかったがライフルの銃撃で機体が揺れた。 その隙に無頼はナイフ状の短い廻転刃刀を逆手に構えスザクのランスロットに近づいていった。

 

スザクは無頼の攻撃を回避しMVSを構え斬ろうとしたが無頼はランドスピナーを利用し素早い動きでランスロットと距離をとった。

 

「はやい!・・・・まさか。」

 

普段みる無頼と違い関節部が剥き出し、そして地形を利用した戦い方。スザクは感づいた。

 

「ライ!! 君はライなんだろ!!」

 

 

 

 

スザクの問いにしばらく沈黙したがアキラはゆったりとした口調で答えた。

 

「・・・・よくわかったな。」

 

『・・・ゼロはどこだ?』

 

「お前に教えると思うか。」

 

『何故彼を庇う! 利用されているにも気づかず。』

 

「・・・そうかもな。 利用されている俺達は馬鹿だろうな。」

 

『・・・・っ!! 君は知っているのか? ゼロの正体を!』

 

「・・・・・」

 

アキラの沈黙にスザクは怒りの形相へと変わった。

 

『知っているなら何故だ!!』

 

「俺達も奴を利用しているからだ。 それに井ノ本達の背後にブリタニアがいる以上俺にとってお前達は敵だ。」

 

スザクは出撃前のV.V.との会話を思い出した。

 

 

 

 

 

ー「ギアス?」

 

 「そう。ゼロは特殊な力を持っている。」

 

 「まさか。」

 

 「ユーフェミア皇女殿下は何故急に人が変わった?そして、ルールを遵守しようとした君は式根島で何をした?」

 

 「そんな・・・」

 

 「あと、流崎アキラ。 彼にも気をつけるんだよ。」

 

 「ライ・・・? 何故彼が? まさかライも。」

 

 「いや、彼にはギアスはない。 けどギアスに匹敵する力を持っている。 彼女もそのせいで。」

 

 「ユフィがっ!?  それはどういう事なんだ?」

 

スザクが振り向いた時には既にV.V.の姿はなかった。ー

 

 

『レッド・ショルダー・・・!!』

 

スザクの言葉にアキラは眉を動かした。

 

『ライ・・いや、流崎 アキラ!! お前みたいな人間はいてはいけないんだ!! お前みたいな人殺しがいるからユフィは!!!』

 

「っ!! それが本音か。」

 

『そこをどけ! でないと殺す!!』

 

 

アキラの無頼は左手に廻転刃刀を逆手に構えた。

 

スザクはMVSを構えランスロットを急加速でアキラの無頼に近づいた。

 

アキラは廻転刃刀で防ぎスザクは次の攻撃を予測しランスロットのフロートユニットで空へと回避した。

カレンから聞いてはいたが空中戦が可能になったランスロットにカスタマイズされた無頼、そしてメモリーディスクでどこまで通用できるのかそれがアキラの不安であった。

 

降下していくランスロットにアキラはライフルで弾幕を張りながら廃墟の中へと隠れていった。

 

辺りが静かになりスザクは空からアキラの動向を探った。

スザクはモニター、そして目、耳、己の五感を研ぎ澄ませていつ来る攻撃に警戒した。

 

廃墟の瓦礫が崩れ落ちる音がしスザクが音があったところを見た瞬間、別の方向からスラッシュハーケンがランスロットに向け発射された。

 

「!?」

 

スザクは寸前で回避しハーケンはランスロットの背後にあったビルへと突き刺さった。

ワイヤーを巻き上げる形でアキラの無頼が姿を現しライフルを発射しながらランスロットへと近づいた。スザクは横へと回避し無頼にヴァリスを放った。

 

ヴァリスを回避するのに精一杯の無頼はビルに激突した。

 

追撃でスザクはMVSで斬ろうとしたがアキラはスラッシュハーケンで地上へと急降下した。

 

上から追撃してくるランスロットにアキラはハーケンのワイヤーを切断し攻撃を回避した。

廻転刃刀で斬りかかろうと廻転刃刀を振り上げたがスザクはMVSで防御し、アキラは空いた右手のライフルをランスロットの左腕に向け発射した。

ちょうどブレイズルミナスの部分が損壊してしまった。

スザクはMVSを力強く振り上げ振りバランスを崩した無頼に回し蹴りを放った。

 

蹴られた勢いで無頼は倒れてしまった。

 

 

『終わりだ。流崎!』

 

無頼にヴァリスを向けた時、別方向からの攻撃にスザクは回避した。

 

カレンが紅蓮の呂号乙型特斬刀を構えて現れた。

 

「カレンか!?」

 

『スザク! 戦場で会った以上、悪いけどここで死んでもらう。』

 

「君も流崎もみんなバカだ! あんな男に!!」

 

『その言い方ムカツクね。あんたにゼロの何がわかるって言うの?』

 

「教えろ! ゼロはどこにいる!!」

 

『言うはずないだろ!裏切り者!』

 

 

体勢を整えたアキラはカレンと通信をとった。

 

『アキラ、大丈夫?』

 

「なんとかな。」

 

『2人であいつを仕留める!!』

 

「あぁ。 カレン、俺の話を聞いてくれ。」

 

 

アキラの援護射撃からカレンの紅蓮はランスロットに接近戦をした。

空中戦ができるランスロットにカレンはスラッシュハーケンを利用し応戦をしたが空中に分があるスザクに次第に押されていった。 

 

スザクがカレンに気を取られている隙にアキラの無頼が物陰から現れ廻転刃刀を突き刺すようにランスロットにむけ振り上げた。

スザクはMVSで防御しアキラの攻撃は塞がれた。

 

「今だカレン!!」

 

アキラの言葉にカレンの紅蓮は輻射波動の右腕でランスロットの左腕を掴んだ。

 

『捕まえた!!』

 

「故障した左腕を狙った!?」

 

輻射波動により膨張する左腕を見てスザクはランスロットの左腕をパージさせた。

 

「パージ!?」

 

MVSによって廻転刃刀は折られスザクはMVSを捨て、右腕をヴァリスに持ち替え紅蓮の輻射波動の右腕を狙い撃ち損傷させた。

 

アキラはライフルを撃とうとしたがランスロットの蹴りでライフルが彈かれ手元から離れた。

 

 

『2人共、抵抗やめてゼロの居場所を教えるんだ。』

 

「しつこい奴だな。 会いたければその足で探しに行けばいい。いずれ会えるはずだ。」

 

「そうか・・・ならここで。」

 

スザクは2機にヴァリスを向けた。

 

 

「カレン、俺があいつの相手をする。今のうちに逃げるんだ。」

 

『アキラ!? 私はまだ大丈夫!』

 

「片腕で何ができる。 今の紅蓮であいつの相手はできない。」

 

『でも!!』

 

 

「まだ、抵抗するのなら・・・」

 

スザクがヴァリスの引き金を引こうとした時、ガウェインに乗ったゼロが現れ両者の間に入った。

 

「ゼロ!!」

 

「枢木スザク、君に対する執着が私の甘さだったようだ。断ち切るためにも一騎打ちで決着を付けたい。」

 

「望むところだ!」

 

 

2機がこの場から離れアキラは安心したように息を吐いた。

 

『大丈夫?』

 

「安心しろ。今の紅蓮よりマシだ。」

 

『でも・・』

 

スザクとの戦闘でやられたのか関節部が剥き出しのため各部系統が傷が入っているのがカレンから確認できる。

今は何事もないがいつ動けなくなるかわからない。

 

アキラは無頼を動かそうとしたが動きが固くどこかぎこちなかった。

 

『アキラ、扇さん達がいる学園に武器、弾薬が置いている。 修理のついでに補給も受けて。』

 

「だが今離れれば・・・」

 

『これは隊長としての命令よ。 部下は隊長の命令には従うこと。』

 

カレンの優しい口調の言葉にアキラはフッと苦笑いをした。

 

「わかった。隊長の命令なら従おう。 隊長の紅蓮も片腕なんだ。無理はするな。」

 

『わかってる、でも早く戻ってきてね。私の背中を預けられるのはあなただけなんだから。』

 

2人はお互い反対方向へと機体を進めていった。

 

 

 

 

 

 

「あぁ。なんてことだ・・・」

バトレーは項垂れるように膝を床についた。

ある研究施設のようだが辺りの研究機器等が破壊されていた。

 

「まぁいいじゃないですか。 折角の機会だ。 あの男がどこまで成果をだせるか見てみようじゃないですか。」

 

ドリー・バーネットはたのしそうな口調で話しかけた。

 

「し、しかしこの実験は貴殿らの協力があってここまで・・・」

 

「だから、ここでの実験の成果のためにこうやって外に出すのも実験のうちですよ。 ジョディ、ジークフリートは確認できてる?」

 

「バッチリだよ兄さん。 トウキョウ租界のほうへまっすぐ向かってるよ。」

 

「将軍、そう落ち込まないでくださいよ。 あの男、ジェレミアが死んでも代わりはこれから租界のほうでたくさん出てくるんですから。 のんびりと行きましょうよ。」

 

 

この兄妹は何を考えている。 実験体の暴走をまるで喜んでいるように見ている。

バトレーにはこの兄妹の考えが理解できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

遅い足取りで学園へと入ったアキラは整備班がいるコートへと機体を降ろした。

 

「あとは頼む。」

 

そう言うとアキラはクラブハウスのほうへと向かった。

外では沈黙したランスロットの周りをラクシャータ達が囲んでいた。

「枢木スザクは?」

 

「ゼロが捕獲したんだ。 今、ラクシャータ達がコックピットを開けようとしているんだ。」

 

 

スザクをどう捕えたのかと思ったが既にルルーシュはここにはいないようだ。

 

ふとミレイ達がいる生徒会室の窓を見上げた。 ミレイ達は大人しくしているのだろうかアキラは気になりクラブハウスへ入っていった。

 

 

 

生徒会室のドアをそっと開けたアキラであったが部屋の中を見たアキラは目の色を変え乱暴にドアを開けた。

部屋の中には誰1人いなかったのである。

 

「玉城! 応答しろ!」

 

『どうしたんだよ突然。こっちは白兜で忙しいんだよ。』

 

「人質にとっていた生徒がいない。 どこかに逃げたんだ。」

 

『はぁあ!? ったく面倒なことが起こりやがって。』

 

「車椅子に乗っている子もいる。 まだ遠くにはいってないはずだ。 ゼロから言われているが殺すなよ。」

 

『わぁかってるよ。 空いている奴に探させるからよ。』

 

 

 

アキラは急ぎクラブハウスの中を探った。

ルルーシュが皆に伝えてあるが決して皆が手を出さないとは限らない。 自分が早く見つけなければいけないと思いクラブハウスの部屋を探ったが誰も見つからなかった。

 

ここにはいないのかとアキラは外へでようと1階の裏口へと向かおうと階段を降りようとした時、階段の下から車椅子を押している音が聞こえた。

 

(ナナリー!)

 

裏口にミレイ達がいると思いアキラは急ぎ階段を降りた。

 

「おい、待て!!」

 

音を追いアキラが見たのはナナリーの車椅子を押している見たことのない後ろ姿の人間だった。

アキラはホルスターからショットガンを取り出し構えた。

 

「!? 誰だお前は! ゆっくりとこちらを向くんだ。」

 

アキラの言う通りゆっくりと振り向いた人物は10歳前後の少年のようだった。

見たこともない子供にアキラは呆気にとられた。

 

「子供!?」

 

「安心して。ナナリーは無事だよ。」

 

そう言うと少年は車椅子をこちらへ向けた。ナナリーはぐったりしているように見えた。

 

「少し眠っているだけだよ。」

 

「お前は誰だ!」

 

「流崎 アキラ、初めまして? いや僕は初対面じゃないから僕にとっては久しぶりかな。」

 

「な、何を言っている。」

 

アキラにはこの少年の言っていることが理解できなかった。そもそも自分はこの少年と会った憶えはない。

 

「僕の名はV.V.。 君の事は井ノ本から聞いてるよ。」

 

「井ノ本!? お前、奴の事知っているのか!?」

 

「ちょっと知り合いでね。 それにしてもちょっと面影が残ってるかな。」

 

V.V.はアキラの顔をじっと見た。

 

「特に目つきとか。 君は赤ん坊の事からそんな目つきだよね。」

 

アキラは驚愕の顔を浮かべた。

 

「ど、どういうことだ・・・?」

 

「憶えていないのは無理ないか。 君が赤ん坊の頃面倒見てたのは僕らだからね。」

 

「!?」

 

V.V.の言葉にアキラは顔が真っ青になり銃を握っている手も震えていた。

 

「僕は君が知らない君自身の事、知ってるんだよ。」

 

「!?」

 

アキラの脳裏に井ノ本達の言葉が過ぎった。

 

「や、やめろ。」

 

「せっかくだから教えてあげる。 君は正体は・・・」

 

「やめろー!!!」

 

アキラはショットガンの引き金を引き弾はV.V.の額に命中した。 対KMF用徹甲弾のためV.V.の体は後ろへと飛ばされるように倒れた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。」

 

息を荒くしたアキラは膝を床についた。

これ以上奴の言葉を聞きたくはなかった。 アキラはゆっくりと息を整えようとした。

 

 

「ふぅ。 また、君に殺されるなんてね。」

 

アキラは頭を上げた。そこには額から血を流しながらも平然とした様子で立っていたV.V.の姿があった。

 

「なんだいその顔。 君が驚くことないだろ。」

 

「なっ・・・」

 

V.V.はゆっくりとアキラに近づいているがアキラは金縛りにあったかのように動かなかった。

 

 

「安心して君はもうすぐ永遠の眠りにつくんだ。」

 

V.V.がアキラの肩にそっと添えると今まで見たことのない光景がアキラの目に映った。

 

この世のものとは思えない恐ろしい何かがアキラには見えた。

 

「!?」

 

アキラはそのまま倒れてしまった。

 

 

「おやすみ・・・」

 

V.V.はアキラのショットガンを拾い彼に銃口を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロォォォ!!!」

 

「えぇーい!邪魔をするな!!」

 

その頃ルルーシュは突如謎のKMFに乗って現れた死んだはずのジェレミアと対峙していた。

 

「ルルーシュ、急げ。でないとお前の妹が。」

 

「わかってる! だが何故わかるんだ?」

 

「私にはわかるんだ。」

 

「また意味のわからんことを・・・・扇?」

 

扇からの連絡にルルーシュは携帯をとった。

 

『ゼロ!!』

 

「その声、南か。どうした?」

 

『扇が撃たれたんだ。 まだ意識がない。まだ犯人は見つかってない。』

 

「わかった。 ならお前に聞く。車椅子の少女はどうした?」

 

「はっ? それよりも扇が・・・」

 

「代わりならあとで用意する。それよりも今は車椅子の少女がどこにいるかが先だ!」

 

代わりとのゼロの言葉に南は憤ったが返答した。

 

『拘束していた学生達は逃げたよ。 扇が撃たれたどさくさに紛れて・・・それと流崎が・・・』

 

アキラのことも報告しようとしたがゼロは学生の件を聞きすぐに携帯を切った。

ゼロの態度に憤慨しながらもこの状況でこれからどうすればいいのか迷った。

 

治療を受けている扇の傍で意識を失って横になっているアキラの姿があった。

 

 

 

 

 

 

「うん、ごめんよ。 騒ぎを聞きつけた連中がやってきて仕留め損なった。 相変わらず健在だね彼のあれは。 うん、あとは君の部下達に任せるよ。君にはそれがいいかもしれないよ。 あとはこちらの仕事をやらせてもらうよ。」

 

V.V.の隣では眠っているナナリーがいた。

 

「さぁ ルルーシュ、待ってるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・」

 

「流崎!!」

 

目が醒めたアキラの周りは団員達が騒がしく動いていた。

 

「南・・・俺は一体・・・」

 

「銃声が聞こえたから裏口のほうまで来てみたらお前が倒れていたんだ。 近くに血痕もあって、何があったんだあそこで?」

 

アキラは自分の腰のホルスターに触れた。愛用のショットガンが収められていた。

 

「よく憶えていない。 それよりどうしたんだこの騒ぎは?」

 

「扇が撃たれたんだ。 命に別状はないが動けない状態だ。 それと動けるなら急いでKMFに乗ってくれ。 俺達はここを出る。」

 

「何があったんだ?」

 

「ゼロがどこかへ行ったんだ。 それと敵の増援が現れてもう防ぎきれないんだ。」

 

「ゼロが!? おい、どういうことだ?」

 

南は怒鳴り散らすように答えた。

 

「聞きたいのは俺達も一緒だ!! とにかくお前はKMFで戦ってくれ!」

 

ゼロの突然の失踪、そして戦況の不利。今の事態を飲み込めないままアキラは目覚めたばかりの体を動かし自分のKMFがある場所へと向かった。

 

 

 

外へと出て上空ではアヴァロンの姿が確認された。無頼がある庭は整備班が撤収準備に追われていた。

 

「おう、来たか。 お前何やってたんだ!!」

 

「すまない。 終わったのか?」

 

「あぁ、エナジーフィラーも交換を終えている。 さっさと行ってくれ。」

 

 

 

無頼に乗り込んだアキラに通信が入った。

 

『流・・崎・・。』

 

「扇?」

 

撃たれたせいか弱々しい声であった。

 

「撃たれたんだろ?」

 

『あぁ・・すまない・・』

 

「何があったんだ?」

 

『俺も目覚めたばかりで・・・全体を把握してないが俺達が不利みたいだ。 カレンに・・・ゼロを追わせている。』

 

「カレンに?」

 

『ラクシャータが白兜に付けた発信機で奴は神根島に向かっている。恐らくゼロはそこに・・・』

 

神根島。ユーフェミアと初めて会いそして高山と再会したあの島。あそこになにかあるのか。そしてナナリーを連れ去ったV.V.という謎の少年、あの少年がゼロの失踪に何か関係があるのかも知れない。 アキラはそう思った。

 

「扇・・・カレンに俺の事は伝えたのか?」

 

『心配するな・・・お前の事はうまく・・誤魔化した。』

 

「・・・そうか。」

 

『カレンが離れた持ち場をお前が代わりに行ってくれ。』

 

「だがここは・・・」

 

『ここは俺たちで何とかする。 ・・・行ってくれ。』

 

「・・・・わかった。 死ぬなよ。」

 

『ふっ、お前からそんなこと言われるなんてな。』

 

扇との通信を切ったアキラは学園の裏口へと周り学園を出た。

学園を出てすぐに敵KMFを発見し交戦を開始した。

 

(ここに敵が。どうやら盛り返されているようだな。)

 

しばらくして零番隊と合流した。

 

『流崎!』

 

「話は聞いた。状況は?」

 

『藤堂中佐達が政庁前で釘付けのままで敵の増援も増えている。』

 

やはり自分達が不利なのは間違いないようだ。 敵の攻撃に応戦するがサザーランドの他2機のグロースターはコーネリアの親衛隊とは違い背部にミサイルランチャーが装備されていた。

 

「隠れても埓があかない。俺が出て奴らを引き付ける。」

 

瓦礫の影から出たアキラはライフルで応戦しながら前進した。

 

「たった1機、仕留める。」

 

グラストンナイツの1人、デヴィッドはライフル、ミサイルで迎え撃ったがアキラはランドスピナーそして地形を利用し回避し、そしてライフルでサザーランド1機撃破した。

 

「生意気な!」

同じくグラストンナイツのバートはランサーを構えアキラの無頼に向かって突進した。

 

アキラは右脚のランドスピナーを軸に円を描くように回転し敵の突進を回避した。

 

「!?」

 

無頼が自分がいるコックピットを狙っているのを見てバートは咄嗟にグロースターを横へと動かし距離を取ろうとしたが無頼の射撃でグロースターは蜂の巣になりコックピットの脱出装置が作動した。

 

『バート!!』

 

「す、すまない、デヴィットやられた。」

 

『ここはまかせろ。お前は政庁へ撤退するんだ。』

 

「そうさせてもらう。」

 

寄せ集めの集団と思ったが自分達グラストンナイツと互角に戦える人間がいるとはデヴィットは驚いた。 バートの咄嗟の動きで直撃は回避されたものの遅れていればコックピットに直撃されるところであった。

 

「まさか・・レッド・ショルダー!」

 

先日あったシンジュクでの事件で現れたレッド・ショルダー。たった1機で治安警察を壊滅させたとの噂で黒の騎士団にレッド・ショルダーがいたことが軍にも知れ渡った。

他の無頼とは細部もどこか違い、動きも俊敏であった。もしパイロットがレッド・ショルダーなら油断はできないとデヴィットはトリガーに力を込めた。

 

 

 

 

「何としてもここを死守するんだ!!」

 

政庁前でギルフォード達と交戦している藤堂たちであったがゼロの突然の失踪、戦闘の長期化で少しずつであるが後退しつつある。

 

 

『3番隊、全滅!』

 

伝えられる戦況に藤堂は焦りを見せはじめた。 ゼロから指揮を任せられたが全てを把握するのは不可能であった。 副指令の扇も負傷し戦況は悪化しつつある。

 

『ん? 中佐、上空を。』

 

千葉からの通信で藤堂は上空を見上げた。上空には何十機のKMFの空輸機が飛んでいた。

 

「ここでまた増援か!」

 

藤堂は苦々しい表情を浮かべた。

 

 

「おぉ 味方か! これで我々が完全に有利に。」

 

味方の増援にギルフォードは喜びの表情を浮かべたが空輸機から降りてくるKMFを見てギルフォードの表情が曇った。

 

「あれは!」

 

 

 

 

「!?」

 

アキラのいる場所からも上空の空輸機の姿が確認された。

だが降下するKMFの姿を見てアキラは無頼の動きを止めた。

 

「あれは!!」

 

漆黒の外装に赤く染め上げた右肩、暗闇で怪しく浮かび上がる赤い肩にアキラは目を見開いた。

 

「陽・・・炎・・・」

 

 

 

政庁へと降りた漆黒のKMF。黒く染めているがKMFはグロースターであった。

 

一般機と違いマントなどの装飾は外され、武装も槍状のランス、大型ライフル、携帯型のロケット砲のハンディロケットガン、薙刀の形をしたMVS等様々な武装を施したある。

 

「大佐、全機政庁到着完了しました。」

 

『全機、確認次第作戦を開始しろ。作戦は黒の騎士団の壊滅。 奴らやギルフォード達に見せるんだ。 陽炎の力を。』

 

「了解。」

 

 

 

 

「これはまさかレッド・ショルダー・・・」

 

『ギルフォード卿、高山です。』

 

「高山大佐!?」

 

『遅れながら参上致しました。』

 

「ならこれは・・・」

 

『はい。我々の部隊陽炎です。』

 

陽炎。 コーネリアの指示で内部調査を行ったが結局何1つ情報を掴めないままであった謎の部隊。 ギルフォード、彼自身陽炎の姿を実際みるのは初めてであった。

 

 

「期待していいのだな?」

 

ギルフォードの問いに高山は表情を変えることなく返答した。

 

『お任せを。 シンジュクでの汚名を返上致しましょう。』

 

 

 

 

 

 

「陽炎だと!?」

 

怪しく浮かぶ赤い右肩に藤堂は驚きの表情を浮かべた。

 

『藤堂さん、降りてきたKMF約20機。 こちらへ向かってきます。』

 

『中佐、指示を!』

 

朝比奈、千葉の報告を聞き藤堂は焦った。 この状況からの敵の増援。それも陽炎らしき謎の部隊。 撤退するべきか藤堂は迷った。

 

(我々をどこかで見ているのか高山!!)

 

 

 

 

 

‐次々に降下する赤い右肩のKMF。 陽炎の出現は一つの戦いの終わりを告げるものだった。 だが俺個人の戦いがこれから始まる事を告げるものでもあった。‐




読んでおわかりだと思いますが今回アキラが乗っている無頼はライトスコープドッグをイメージしてだしました。 ただし赤くは塗ってませんw
ラストに登場したグロースターの陽炎仕様ですがATでいうブラッドサッカーをイメージしていただけたらいいと思います。


序盤のアキラとカレンの絡みはキリコとフィアナがウドの終盤、お互いの指を触れる描写があり初見でなんかドキッとしたシーンで印象に残ってました。
改めて見るとキリコとフィアナ、2人のシーンは大人な雰囲気が出てましたね。

終盤、だいぶ端折った場面も多々ありましたが各キャラクターの動向は原作通りだと思ってください。

いよいよ、残り1話となりました。 年末までには書き終えたいと思っております。
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