コードギアス~陽炎たる影~   作:三戦立ち

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いよいよ最終回です。 我ながらここまでできたと思ってます。

ではどうぞ。


第30話

戦闘が終盤に差し掛かった所で突如現れた陽炎部隊によって黒の騎士団の被害が更に拡大した。

 

 

『8番隊、全滅!』

 

『5番隊、全滅!』

 

陽炎の小隊でのフォーメーション攻撃に黒の騎士団のKMFは次々にやられていった。

 

「っく。このままでは・・」

陽炎との戦闘で数機撃破できた藤堂であったが次第に数に押されつつあった。

 

ライフルをもっている敵には左腕のハンドガンで応戦したが弾切れになってしまい、藤堂は瓦礫に身を隠した。

廻転刃刀で応戦したいが敵はフォーメーションを取りキャノン、ライフルで距離を取り接近戦に持ち越せないようにし藤堂は迂闊に懐へは入れずにいた。。

 

『藤堂さん! エナジーフィラーを交換しなければこれ以上は。』

 

「くぅ・・朝比奈、ゼロからの連絡は?」

 

『まだ、何も。』

 

「千葉、残存部隊は?」

 

『後方にいるト部。それと紅月の零番隊。 あとは全滅した部隊の生き残りの寄せ集めだけです。』

 

千葉の報告に苦渋の顔を浮かべる藤堂に後方にいるキョウトの皇 神楽耶からの通信が入った。

 

『藤堂、ゼロ様からの連絡は?』

 

「神楽耶様、まだ何も・・・戦局は・・」

 

『存じております。 陽炎らしき部隊が現れたと。』

 

「はい、被害は拡大しております。」

 

『藤堂、時間は・・・』

 

「・・・作戦終了予定時刻を大幅に過ぎています。」

 

藤堂は唇を噛み殺した。

 

 

 

 

 

 

陽炎の戦果が次々と耳に入りギルフォードは改めて陽炎がレッド・ショルダーと呼ばれる所以がわかった。

 

(イレブンでありながらこの操縦技術は驚く。しかし・・・)

 

1機に対して集団戦法での戦闘。戦闘不能になり脱出装置が作動しなかった機体に対してコックピットを押し潰す、銃器で破壊。 戦い方が自分達とはかけ離れている事に気づかされた。

 

「彼らは騎士ではない!」

 

『ギルフォード卿。』

 

「どうした?」

 

『実は・・・』

 

部下の報告にギルフォードは顔が真っ青になった。

 

「それで姫様の容態は!?」

 

『命には別状はないようです。意識もあります。この事を伏せろとの総督のご命令です。それとギルフォード卿には自分の事は気にせず今、やるべき事を果たせと伝えてくれと。』

 

「そうか・・・姫様のご命令通りこの事を広めるな。 レッド・ショルダーにいつまでも任せておくわけにはいかない、我々も押し進む。 それと敵の負傷者を見つけしだい捕虜にするんだ。」

 

「イエス・マイ・ロード。」

 

 

 

その頃、アキラのほうにも陽炎の手が及んでいた。

味方の機体が1機、2機と撃破されていく中1人、アキラは孤軍奮闘していた。

 

槍を持ったKMFに対しライフルで撃破、次にMVSを装備してあるグロースターに先程撃破したKMFが持っていた槍を拾い槍投げの要領で槍を敵に突き刺した。

 

だがまだ陽炎の部隊は健在、軍の部隊の攻撃でアキラも一歩二歩と後退していった。

 

『黒の騎士団、総員に告ぐ!!』

 

通信から藤堂の声が響き渡った。

 

『各自近くの逃走ルートを使って撤退!! もしくは後方の神楽耶様と合流し、撤退する。繰り返す!! これより黒の騎士団はトウキョウ租界より撤退する!!』

 

 

撤退。 ゼロが戻ってくる気配もない、今の戦力で戦い続けるのは困難であろう。アキラもこの撤退には妥当であると思った。

 

カレン、アキラには彼女の事が気がかりであった。スザクを追ってから彼女からの連絡は途切れたままであった。

 

 

『零番隊、応答しろ!』

 

藤堂の呼びかけにアキラは答えた。

 

「こちら零番隊。」

 

『その声流崎、君か! 無事なのは君だけなのか?』

 

「あぁ、他のやつらはやられた。」

 

『そうか、君も聞いたはずだ。 我々は殿で敵の足止めをする。 早くここを離脱するんだ。』

 

 

「・・・了解した。」

 

アキラはライフルで弾幕を張りながら後退していった。

 

後退する道中アッシュフォード学園の校舎が見えた。

もう2度とあそこへは戻ることはない。アキラはそのような予感がした。

 

 

神楽耶達がいるGー1ベースに合流したアキラであったが合流できたのは僅か少数であった。

アキラは四聖剣の中で1人ここにいるト部に連絡をとった。

 

「ト部、聞きたいことがある。」

 

『流崎、貴様生きていたのか?』

 

「あぁ、残念だな。」

 

『今はお前と口論する暇はない。 すぐにでもここを離れる。準備をするんだ。』

 

「扇達は?」

 

『ここにはいない。 捕虜になったか、あるいは・・・』

 

「そうか・・・今から隊長に連絡をとる。」

 

アキラはレーダーでカレンの機影を確認した。 どうやら神根島から離れているようだ。

 

「隊長、応答してくれ。」

 

アキラは呼びかけたがカレンからの応答はない。電波が乱れているのかチェックしたが異常は見受けられなかった。

 

「隊長、無事なら応答しろ!・・・カレン!!!」

 

 

アキラの怒鳴るような声にカレンは反応した。

 

『っ!! ア、キラ・・・?』

 

応答したカレンの声は震え、弱々しく聞こえた。

 

 

「無事なんだな。 残念だが俺達は撤退することになった。  それとゼロはどうした?」

 

『ゼロ?・・・ルルーシュ・・・』

 

カレンの言葉からルルーシュの名前が出てアキラは神根島であったことが想像できた。

 

「・・・俺が今から送るポイントまで来てくれ。 カレン行けるな?」

 

『っ!・・・了解。』

 

低い声でカレンは応答し通信を切った。

 

 

ゼロの正体がルルーシュだとバレてスザクによって殺された、もしくは捕まった。

カレンの弱々しい口調でアキラは確信した。 俺達の負けだと。

 

 

神楽耶がいるGー1ベースと数両の大型トレーラーだけになった黒の騎士団はシズオカのある港を目指した。 そこはゼロが拠点の一つとして置いた場所として運用していた。

そこからエリア11から脱出する事にしたのだ。

 

 

 

 

 

‐午前3時50分‐

カレンとの合流ポイントにさしかかりアキラは無線でカレンと連絡をとった。

 

「カレン、応答してくれ。」

 

『・・・こちら、カレン・・・』

 

「・・・もうすぐ合流する。 敵は近くにいるか?」

 

『大丈夫。』

 

どこか疲れきった様子の口調な返事にアキラは気掛かりであったが急ぎ合流ポイントへと向かった。

 

道路から少し外れの林の前へトレーラーを止めたアキラは林の中へと入っていった。

そこまで深い林ではないためしばらくしてすぐに紅蓮の姿が確認できた。

 

「カレン! 俺だ。」

 

アキラの呼びかけにカレンは銃を構えて現れた。

 

「カレン、無事のようだな。」

 

「ア、・・キ・・・ラ・・・」

 

アキラの姿を見てカレンは銃を落としアキラのもとへ走り彼の胸に飛び込んだ。

 

「カレン!」

 

「アキラ!! 私・・・私!!」

 

顔が見えなかったが体が震えている様子で彼女が泣いているのだとアキラはわかった。

 

 

「神根島にいったらゼロとスザクがいて! そしたらゼロがルルーシュだってわかってそれでルルーシュがスザクに捕まって・・・わ、私どうしたらいいかわからなくなって・・・」

 

たどたどしい口調で伝えようとするカレンにアキラは彼女を落ち着かせようと彼女の肩に手を置き優しくつぶやいた。

 

「わかった、もういい。 戦いは終わった。」

 

 

 

 

 

 

租界のほうは黒の騎士団の撤退もあり落ち着きだしアッシュフォード学園では学生の1人が何か騒ぎを起こしたらしいが解決したらしい。

 

政庁にいる井ノ本に高山が報告を告げに部屋に入った。

 

「閣下、藤堂達と黒の騎士団の副司令の扇 要及び各団員を拘束しました。」

 

「高山、奴は?」

 

「・・捕虜、死体の中に流崎らしき人間はいませんでした。 おそらく奴は・・・」

 

「高山、すぐに追撃部隊を編成させ黒の騎士団の残党を探し追討しろ。」

 

「その事ですがシズオカで黒の騎士団らしきトレーラーを見つけたとの報告が入りました。」

 

「・・・・そうか。」

 

ドアからノックの音が聞こえ2人はドアのほうを振り向いた。

 

「シュナイゼル宰相がお見えになりました。」

 

「通せ。」

 

2人の側近と共にシュナイゼルは穏やかな笑みを浮かべながら入った。

 

「急ぎ、本国から駆けつけましたがどうやら私が来るまでもなかったようですね。」

 

「ご足労かけたな、宰相。」

 

「いや、皆のおかげでゼロを捕らえ、戦いは終わりました。 ダールトン将軍を失ったのは大きいですが、妹が生きているのは不幸中の幸いです。」

 

 

「すまないが、私達はこれから黒の騎士団の残党がシズオカにいるのを見つけた。これから追討部隊を率いてシズオカへ行く。」

 

「そうですか・・・でしたら私もご同行してもよろしいですか?」

 

「貴殿が?」

 

「ここの処理はギルフォード卿に任せられます。 それに噂のレッド・・いや失礼、陽炎を1度この目で拝見したいと思いまして。」

 

レッド・ショルダーと口にしそうになったシュナイゼルを睨みつけた高山であったが井ノ本はサングラスをかけている為表情は伺えないが静かな口調で答えた。

 

「好きにすればいい。 今、いる部隊は隣にいる高山自身の直轄の部隊の1つだ。」

 

「ほう。それは楽しみだ。ますます、興味が湧きました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運転しているアキラの横でカレンは疲れ切った表情で外の景色を眺めていた。

 

「カレン、わかってると思うが俺達は日本を出る。 これからの事は日本を出てから考えよう。」

 

 

 

トレーラーを進めていると上空から眩い光がアキラ達を照らした。

 

「見つかったか!?」

 

上空には軍らしきヘリ数機が飛んでおり停まったGー1ベースから無頼数機出撃し、上空のヘリを撃墜したがGー1ベース及び大型トレーラーは道を逸れ停車した。

 

神楽耶の指示でG-1ベースのブリッジに集まったのはト部、カレン、アキラ、ラクシャータなど数名の幹部であった。

 

 

ト部は広げた地図を指さしながら説明をした。

 

「目的地の港まであと約40km。 G-1ベースで進むには目立ちます。 申し訳ありませんが神楽耶様はこれからトレーラーで行くことになります。」

 

「仕方がありませんね。」

 

「それから武器、弾薬も捨てて必要最低限の物しか載せない。 紅月、流崎達も他のみんなと協力してあたってほしい。もう時間がない急いでくれ。」

 

 

「敵の足止めはしないのか? 敵に見つかったんだおそらく追撃に来るぞ。」

 

黙って聞いていたアキラは口を開いた。

 

「殿か。 だが今の戦力で足止めできる余裕もない。」

 

「俺が残る。」

 

アキラの言葉にカレン、ト部、皆驚きの表情を浮かべた。

 

「捨てる武器を使えば30分は持つ。予備のエナジーフィラーを1つ2つ用意してくれたらいい。」

 

そう告げG-1ベースのブリッジを出たアキラをカレンは慌てて追った。

 

「アキラ、待って!!」

 

カレンはアキラの肩を強く掴んだ。

 

「無茶しないで! たった1人で何ができるの! 死に行くようなものよ!」

 

「俺は死ぬつもりはない。」

 

「バカ!! 死ぬんだよ。 軍だけじゃない、陽炎もいて今の私達だけでも戦えないのにそれを1人で相手するなんて・・・」

 

「誰かがやらなければ皆やられるんだ。」

 

カレンの手を振りほどきKMFの格納庫へ行こうとするが背後から人の肌の感触を感じた。

 

「カレン・・・」

 

「お願い・・・行かないで。ゼロだけじゃない、扇さんみんながいなくなってあなたまでいなくなったら私・・・」

 

カレンは抱きつくようにアキラの体に手をまわした。

 

「あなたが残るなら私も残る!」

 

「カレン!?」

 

「これは隊長命令よ! 命令に背くならあなたを処罰する!」

 

しばらく沈黙が流れたがアキラはカレンの手を優しく触れた。

 

「わかった。 命令に従う。」

 

アキラはカレンのほうへ振り向いた。アキラの顔を見てカレンは微笑を浮かべた。

 

「ありがとう。 今からラクシャータさんに頼んで出撃準備を・・・」

 

カレンはブリッジへと戻ろうとアキラに背を向いたがアキラから呼び止められ振り向いた瞬間、自分の体に強烈な衝撃が襲った。

 

「うっ!?」

 

アキラの拳がカレンの腹部にめり込んだ。

 

「ア・・キラ・・・?」

 

「出来の悪い部下ですまない、カレン。 あとで俺も必ず合流する。」

 

「そん・・・なぁ・・・」

 

気絶するカレンを腕で支え、アキラは彼女の顔を見て胸が詰まる思いがしそっとカレンの頬を優しく触れた。

 

 

気絶したカレンを抱きかかえアキラはブリッジへ戻った。

 

「流崎、お前!?」

 

「ト部、こいつを連れて行ってくれ。暴れるなら縛り付けてでも構わない。」

 

「・・・わかった。」

 

「ラクシャータ、紅蓮のエナジーフィラーを抜き取ってくれ。」

 

「それはにいいけどさぁ。 あんた、レディの扱いちょっと乱暴じゃない。」

 

「・・・・みんなを逃がすためだ。」

 

アキラの言葉にラクシャータはキセルを口から離し煙を吐いた。

 

「みんなの為じゃなくて、この娘の為じゃないの?」

 

「・・・・・あとは頼む。」

 

 

‐自ら引き受けた殿、だがそれは決して死ぬためじゃない、生きるために戦う。 この時俺はカレンを逃がす為に自ら地獄へ向おうとした。 カレンの為・・・そう、俺は初めて誰かの為に戦おうとしている。‐

 

 

 

 

 

 

 

‐午前4時45分‐

 

『・・・発見ポイントにてG-1ベースを発見、動いていない模様。 引き続き辺りの周辺を捜索します。』

 

軍の戦闘ヘリが黒の騎士団の残党が発見された地点を散策している中近くにG-1ベースを発見した。

 

ヘリは近づこうとしたが地上から対空砲の銃弾が飛んできて撃墜された。

地上では軍の装甲車とKMFに対しアキラは雷光の超電磁式榴散弾重砲で進攻を防いだ。

 

アキラは周辺に仕掛けた地雷、対空砲を遠隔操作しながら状況を確認した。

 

「空、地上に・・・結構な数だな。」

 

 

 

 

後方で待機しているアヴァロンから前線の戦局が伝えられた。

 

「黒の騎士団の反攻により進軍できず。」

 

この報告にシュナイゼルは手を顎に当てた。

 

「ここを死に場所・・・でもなさそうだ。 っとなると・・・」

 

「殿による抵抗。」

 

井ノ本は静かにつぶやいた。

 

「そうでしょうね。 それに一見派手な抵抗だがおそらく味方を逃がす為に。残党はエリア11を出るつもりでしょう。」

 

「宰相、ここは我々に任せてくれないか。」

 

「陽炎に? 構いませんが。」

 

井ノ本は高山のほうを見た。 サングラス越しであったが井ノ本の目を合わせた高山は井ノ本に敬礼しブリッジを出た。

 

 

 

高山が入ったブリーフィングルームには十数名の日本人と数名のブリタニア人がいた。

 

「諸君、これより作戦を開始する。目的は黒の騎士団の残党追討。 その中におそらく元陽炎だった人間がいるはずだ。  それと貴様らブリタニア人でありながら共食いに生き残り、厳しい訓練に耐えた。 我々と共に参加することを誇りに思うのだ。」

 

「「はっ!」」

 

 

 

 

軍と戦闘に入り30分が経過した。 地上、空の敵に対して1人で応戦しているアキラであったが次第に押されつつあった。

アキラは雷光を乗り捨てカスタマイズされた軽装の無頼に乗り込み応戦した。

 

 

上空から爆撃機が数機を飛んできた。対空砲で1機撃破できたが残った爆撃機から爆弾らしきものが投下された。

投下された爆弾の中から数百個の子弾が辺りに散布されアキラが設置した対空砲、地雷などが爆発を起こした。

 

爆発から逃れたアキラが上空を確認すると輸送機から右肩を赤く染めたKMF十数機がこちらへ投下されてきた。

 

 

「陽炎、きたか。」

 

アキラは遠隔操作で残った対空砲で降下する敵KMFを撃破していった。

 

 

 

 

 

「味方の数を確認せよ。」

 

部下と共に降下した高山は部下に無事降下に成功した味方の確認を命じた。

 

高山のグロースターは共に漆黒の外装に赤く塗られた右肩、武器は軍で使用するライフルとは少し銃身が長く、左腰にMVSの他、腰の裏に短剣の形をしたMVSを装着してある。

 

 

『隊長、敵のG-1ベース、トレーラーがこちらへ向かってきます。』

 

黒の騎士団で使われたG-1ベース、トレーラー数台がこちらへ突入するのが確認された。

 

「各機、散開し撃破せよ。」

 

こちらへ来るトレーラーを爆破させるがG-1ベースは巨体故にスピードは落ちずこちらへと向かっていき数機のKMFを巻き込み爆発を起こした。

 

「敵が近くにいるはずだ。 周囲に注意せよ。」

 

周囲を警戒している中大破したトレーラー越しからライフルの銃弾が飛び数機撃破された。

アキラは勢いよく飛び出し弾幕を張りながらまたビル群の中へと隠れていった。

 

「出たか! 私と共に追撃を開始する。 残りは仲間が潜伏しているか探れ。」

 

高山は部下を率いてアキラを追った。

 

 

 

 

アキラは静かな繁華街の一角に隠れた。

「今ので3機潰した。」

 

しかし、あの場ではまだ敵はかなりの数があった。少なくとも10機はあった。陽炎と軍、あれから30分以上経過したとはいえカレン達が無事目的地に到着できたのか分からない。

 

ここにきてアキラに不安と焦りが見えはじめた。

 

 

ライトの灯りに照らされ敵が自分を発見したことに気づいた。

 

 

 

『敵無頼1機発見!』

 

高山達が見た無頼は先程奇襲をかけた普段見る無頼とは外装が異なる機体であった。

 

(先程の無頼以外の敵をみない・・・まさかたった1機なのか!?)

 

たった1機で自分達と戦おうとしている。高山の脳裏にある男が過ぎった。

 

「たかが無頼といえども侮るな。 確実に仕留めろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

アヴァロンにて井ノ本とシュナイゼルは戦況を見守っていた。

 

「報告を聞く限り敵はたった1機。 殿にしても数が少ない。」

 

「だがその1機で我々は30分以上の遅れをとった。」

 

「たった1機の抵抗。 このようなこと確かシンジュクのゲットーでもあったはず。」

 

シュナイゼルは井ノ本の横顔を見たが相変わらず表情を変えてはいなかった。

 

 

「だが敵も崩れつつある。 敵の攻撃を突破し進軍を進めている。」

 

「抵抗している敵の動きは?」

 

井ノ本からの指示で部下が情報を集めた。

 

 

「報告します。 ヤイヅの市街地にて戦闘を行っております。」

 

「どうやら、残りの残党もすぐに見つかるでしょう。」

 

シュナイゼルの言葉をよそに井ノ本は真剣な眼差しでモニターを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

「ハァ ハァ ハァ」

 

ビルの物陰に隠れアキラは様子を伺っていた。汗を流し疲労の顔を浮かべた。

 

(そういえばシンジュクではあいつが助けに来たな。)

 

カレンの顔を思い浮かべアキラは苦笑いをした。

 

(こんな時にあいつの事考えて・・・俺はどうかしている。)

 

その時モニターからアラームが鳴った。

 

「!!」

 

 

 

 

軍はアキラが陽炎と戦闘に入った隙に進軍を再開した。

軍のG-1ベース、装甲車両の部隊を瓦礫の上から進める中瓦礫の中から赤い点滅のランプが隙間から見える。 そこを装甲車両が上を通過した瞬間アラームが鳴り辺りは大きな爆発を起こした。

 

 

 

「何だ!?」

 

突然、聞こえた爆発音に高山達は爆発が聞こえた場所から立ち込める硝煙に目がいった。

その隙にアキラは高山の前に現れライフルで敵2機を撃破した。

 

 

「っく。 あれも貴様が仕掛けたのか流崎!!」

 

「その声、高山!?」

 

「流崎、1年前、あの時の続きだ。 今度こそお前を殺す!!」

 

 

 

高山は腰の裏に装備してある短剣のMVSを取り出し大型ライフルの銃身の下に装着し銃剣にして構えた。

 

「全機、流崎を囲み追いこめ!」

 

アキラはスラッシュハーケンをビルの屋上へ突き刺しワイヤーを巻き上げ上昇した。

敵2機はアキラを追いスラッシュハーケンで上昇したがアキラが待ち構えライフルを2機とも撃破した。

 

アキラは10m程離れたビルの屋上にスラッシュハーケンを突き刺しビルの間を渡った。

 

ビルから降りたアキラを待ち構えていたのは高山達だった。

高山達の一斉射撃にアキラは急ぎビルに身を隠したが次に槍、薙刀を構えたKMFが接近してきた。

 

槍は回避できたが振り落とされた薙刀で持っていたライフルが切断された。

 

「この武器、枢木と同じ。」

 

光るブレードの薙刀に対しアキラは廻転刃刀で応戦をした。

 

高山は銃剣を構えアキラへと向かっていった。

アキラは高山の存在に気づきライフルに装着してある短剣を避けようと無頼の左腕を上げて回避したが短剣が前へとスライドし、無頼の脇腹を通り過ぎコックピットへ突き刺さった。

 

「ぬおぉ!?」

 

アキラは右腕に持っていた廻転刃刀で高山のライフルを払い落とした。瞬時に体を反らし無事であったがコックピットに風穴があき計器をやられてしまった。

 

武器をなくした高山にアキラは懐に飛び込もうと進もうとしたそれに対し高山はスラッシュハーケンで応戦した。

片方は切り落としもう1つのハーケンで左腕を失ったがアキラはスピードを緩めず、高山の懐に飛び込み残りのハーケンごと高山のグロースターの胸部に廻転刃刀を下から切り上げた。

 

「くっ!」

 

斬られた衝撃で高山は後退しアキラが更に追撃をしようとしたが別の3機がアキラの前に立ちふさがりこれ以上の攻撃はできなかった。

 

「流崎ぃ!!」

 

高山は腰のMVSを引き抜き構え、部下と共にアキラの追撃を行った。

 

身を隠したアキラは無頼のチェックを行った。各関節部が剥き出しになっているため回線のショートが発生し、エナジーフィラーももうすぐ底をつこうとしている。

 

これ以上の戦闘は難しい、だがここからどうやって脱出できるのか。 アキラは周辺にあるもので今できることは何か探った。  モニターが確認するとここから少し離れたところに小さな港があることに気づいた。

 

 

 

 

「まだ近くにいるはずだ。探せ!」

 

高山と部下達は市街地でアキラの捜索を続けていた。

その時、部下からの通信が高山へ入った。

 

『無頼を発見、敵は街の外れの港へと向かっています。』

 

その連絡を聞き急ぎ高山達は港へと向かった。 

 

 

 

 

港には倉庫が立ち並び、小型艇数隻が停まっていた。

静寂な港でランドスピナーの回転音が鳴り響いた。

 

部下達2人は音を頼りに辺りを探りアキラの無頼の後姿を見つけた。 その後を追いかけ狭い倉庫街を彷徨い2機がたどり着いた先は行き止まりであった。

 

見失ったのかと2機は立ち止まり確認をしようとした時、隣の倉庫の壁越しからスラッシュハーケンが出現し1機を突き刺した。

アキラは壁を破壊し残り1機のグロースターを廻転刃刀で突き刺した。

 

 

「流崎!?」

 

爆発音に高山は周囲に警戒しながらゆっくりとした足取りにMVSを構え周りを捜索した。

 

無頼を停止し待ち構えたアキラは高山の姿を見て無頼の起動キーをまわした。

 

 

 

「!?」

 

背後からの音に振り向こうとした瞬間、アキラの無頼が高山のグロースターの背後を取り付いた。右腕のMVSはアキラが無頼で抑えられ動かせなかった。

 

「りゅ、流崎!!」

 

アキラはランドスピナーで急加速である倉庫へと入っていった。

 

「っ!」

 

アキラは脱出装置を作動させコックピットと無頼本機から離脱した。

 

 

「っく・・」

 

倉庫では高山のグロースターが衝突した衝撃で粉らしき物が舞っていた。

高山は倉庫にある製品に目をやった。

 

「小麦粉・・・?」

 

そして倉庫内には大量の酸素ボンベが並び、関節部が剥き出しになっているアキラの無頼のから回線がショートが発生していた。

 

「っ!! 流崎ぃぃぃ!!」

 

大きな爆発を起こし他の倉庫を巻き込み辺りは炎に包まれた。

 

 

 

 

 

「ハァハァハァ」

 

粉塵爆発による爆発を見届けたアキラは港にある小型艇に乗り込んだ。 目の前に広がる海の沖に点滅する光が見えた。 アキラはそれが黒の騎士団の潜水艦だと思った。

 

「っ!!・・・カレン。」

 

ゆっくりと小型艇に乗り込んだ直後、右肩を撃たれアキラは艇の上で倒れた。

 

「ぐあぁ!」

 

振り向くとそこには銃を構えた高山が立っていた。 体の所々から流血しており右腕は金属の義手が露になっていた。

 

「流崎貴様だけは、貴様だけは!!」

 

「高山ぁ・・」

 

 

その時、炎に包まれた鉄塔が高山のところへと倒れてきた。

 

 

「ぬおぉぉ!!」

 

 

高山は鉄塔の下敷きになり周りが爆発を起こしその衝撃でアキラは後頭部を打ちそのまま意識をなくした。

 

 

 

 

 

 

「高山大佐の部隊、ロストしました。」

 

井ノ本はブリッジから出ようとした。

 

「どこへ?」

 

「現場へ向かう。 敵の死体を確認しなければ。」

 

「今から? 敵の残党はまだ健在ですが。」

 

「それは君達に任せる。」

 

井ノ本はブリッジから出ていった。

 

(部下達がやられたというのに顔色変えず・・・そこまでして彼のことが)

 

シュナイゼルはある1枚の写真を取り出した。

右肩を赤く染めた無頼の下で敬礼している1人の男性が写っていた。

 

「流崎 アキラ、何故彼がこの男に執着するのか気になるところだね。」

 

穏やか笑顔を浮かべながらもその目は鋭い視線で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆらりゆらりと揺りかごのように動く小型艇、海の潮の香りが鼻を刺激しアキラは目を覚ました。

 

ゆっくりと体を起こし撃たれた右肩を押さえながら周りを見回し今、自分が沖へと流されていたことがわかった。

 

爆発の衝撃で計器は破損し操縦は不能になっている。 陸のほうを確認すると爆発による硝煙が立ちこみ火災が発生していた。

 

自分では操縦ができない今この船に身を委ねようと椅子に腰をかけ窓に映る海を眺めた。

 

戦闘を始めてからだいぶ経つ、もうすぐ日が昇るはずだが未だに闇夜に包まれていた。アキラは目を閉じ子供のように身を縮まらせた。

 

 

ー何も見えない漆黒の闇に俺は言い知れぬ恐怖を感じ、人の温もりを求めた。 誰かこの体の震えを止めてくれ・・・カレンー

 

 

アキラの意思に反し船はゆっくりと暗闇に消えるように流されて行く。

 

 

ゼロ達黒の騎士団による後にブラックリべリオンと呼ばれるこの反乱はブリタニアの勝利により幕を閉じた。 多くの血が流されて・・・




終わりました~ あとがきもあるのでそれも読んでいただけたら幸いです。
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