数日後 某工場
「なんだよゼロの奴、ブリタニアと戦うとか言ってやってることは警察と同じじゃねぇか」
今、俺と黒の騎士団はリフレインの取引場の近くで待機している。
今回イレヴンの間で蔓延している違法薬物《リフレイン》の取引現場を襲うというものだ。
リフレイン、これは俺もよく知っていた。陽炎でも捕虜にしたブリタニアの兵士の尋問によく使っていたのだ。そのリフレインの蔓延を食い止める手伝いをするとはなんとも皮肉なことだ。
「だが玉城、感謝されるのは悪い気分じゃないだろ。事実こういうことをすることで俺達支持されているんだからな。」
扇の言う通り最近黒の騎士団は日本人からの支持されつつある《英雄》《正義の味方》と呼ばれている。
俺はライフル、銃器の確認をし、ふと無頼に待機しているカレンの方を見た。顔にどこか覇気がなかった。カレンと目が合ったがカレンはすぐに目を逸らした。
俺はこの作戦の前日、扇との話を思い出した。
1日前
「カレンのことを聞きたい?」
「あぁ」
「どういうことだ?」
アキラは先日カレンの家であったことを話した。アキラはカレンが何故母親をあそこまで嫌悪しているのかわからなかった。そこで一番カレンと付き合いが長い扇に話を聞こうとしたのだ。
「そういうことか、あいつまだお袋さんのこと許してないんだな。」
「?」
「紅月のままでいるとイレブンとして扱われる。だがシュタットフェルト家にいればブリタニア人として扱われる。お袋さんはカレンを守るためにはあぁするしかなかったんだ。だがナオトとカレンにはそれが日本に対する裏切りに見えたんだ。」
「ナオト?」
「カレンの兄貴だ。俺の親友で俺が指揮する前のグループのリーダーだったんだ。まぁナオトのほうはお袋さんの気持ちは知ってたがな」
以前俺と話した時に出てきた兄の存在を思い出した。
「紅月はまえに兄の仇をとるとか言ってたな」
「あぁナオトはある作戦中に行方不明になった。遺体は確認されていないがもう随分経つ。おそらく死んでいるだろう。」
「俺にはわからない。」
「流崎?」
「紅月が何故あそこまでお袋さんを嫌っているのか」
「お前両親は?」
「知らん、顔もどんな人だったのかもわからない。」
「そ、そうだったのか」
扇は悪いことを聞いたと思い申し訳ない顔をした。
「カレンの場合親の心子知らずか。お袋さんの気持ちはカレンには伝わってないのかもな、親子って複雑だな。」
「そうなのか?」
「あぁ、血が繋がっているから尚更な。」
「・・・・」
「だがお前が他人に興味もつなんて驚いたよ。俺はてっきり人ぎら・・って?」
扇が振り返った時には既にアキラは部屋を出ていた。
「ゼロからの合図だ。」
どうやら突入の準備はできたようだ。
「しかし、毎回どんな手であんな首尾よくできるなあいつ」
「よし、行くぞ!」
アキラ、黒の騎士団は目的の倉庫へ突入した。
売人達は黒の騎士団の姿を見て銃を取って反撃してきた。
銃撃戦の中アキラは治安警察の姿を確認した。
(警察らしき人間はいない。奴らは絡んでいないのか?)
後ろからカレンの無頼が突入した。
「動きが軽快になった。流崎の修理のおかげかな。」
カレンの無頼はさらに奥へと突入した。
「治安警察はいないみたいだな。」
「残念だったな。流崎今回外れだったな。」
アキラは玉城の話を無視し辺りを捜索した。
「なんだよ。あいつ」
アキラは奥のほうをみようとした時カレンの無頼の腕に誰かが乗っていた。
(何してるんだ紅月は?)
奥へ行くとリフレイン中毒者の人間たちがいた。
「紅月何を・・っつ!」
カレンの無頼の腕に乗っている人間の姿を見た。
(紅月の母親!中毒者だったのか)
アキラはカレンに声をかけようとした時横からKMFの姿が見えた。
「紅月!敵だ!」
突然の銃撃でカレンの無頼の右腕が撃ち飛ばされた。
カレンの無頼は母親を左手に抱えて走り出しナイトポリスはその後を追った。
(白いKMF!やはり奴らが絡んでいたか!)
アキラはゼロ達とカレンの後を追った。
アキラ達が来た時カレンの無頼は転倒し、ナイトポリスはナイフを構えて格闘していた。
(このままではやられる!)
アキラはホルスターからショットガンを取り出しナイトポリスの背後にまわりコックピットに向けて発泡した。操縦者が撃たれたナイトポリスは力なく倒れ込んだ。
(操縦者を狙って撃った?まだ子供なのになんて技術を持ってるんだ彼は)
扇はアキラの狙撃に驚いた。
アキラの近くにいたカレンの母親が何かつぶやいていた。
「よかったねカレン。お前はブリタニア人になれるんだよ。そしたらもういじめられることはないんだよ。お前のためならお母さん頑張るからね。」
(カレンのため?・・・これが母親というものなのか?)
「流崎・・・ありがとう」
「はやくお袋のところへ行け」
カレンが母親のもとに駆け寄ってきた。
「お母さん・・・お母さん・・」
カレンは涙をながし母親を抱きしめた。
その2人の姿をアキラはただじっと見ていた。
今回は柴田達幹部の姿は見えなかったが自分達の収入源が潰されたのだ。奴らも黙っているはずはない必ず何か仕掛けてくるはずだ。その時は・・・・
数日後
アキラは黒の騎士団のアジトでKMFの整備を行っていた時カレンがアキラのもとへやってきた。
「流崎これ」
カレンはアキラに袋を渡した。中には先日カレンが買ったアキラのジャケットが入っていた。
「お母さんが洗濯してくれたの。」
「そうか」
「・・・お母さんに懲役20年の判決がでた。」
「・・・」
「それじゃあ・・」
カレンはアキラに背を向けて歩き出したが足を止めしばらくしてまたアキラのほうを振り向いた。
「流崎!私わかってなかった。お母さんが私のために今まで頑張っていて、いろんなことに耐えてきたことに・・・だから私!お母さんとまた暮らせるように戦う!必ず日本を取り戻す!」
アキラはカレンを見た。カレンの目から涙がでていた。
「・・・俺には親がいない。・・・・お前はお袋さんを大事にしろ」
「っつ!・・・うん・・絶対守る!・・・アキラ」
カレンは涙を流しながらも笑顔で頷いた。
何故俺があんなこと言ったのかわからなかった。だか紅月の涙をみたら何か言わなくてはいけない衝動に駆られた。
紅月は母親の為に戦うと言った。彼女の瞳は涙で溢れていたがとても強く、そして綺麗であった。戦う目的がない俺には彼女の瞳はとても輝いて見えた。
アキラにKMFを乗せようかと考えましたがせっかく出したショットガンを使ってみようと思い今回乗せるのをやめました。
次話は学園のキャラとの出会いを描こうと思います。