普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった! 作:南雲悠介
「いくつか候補はあるんだが、勇人にも話は聞いておこうと思ってな物件を下見に行ってもいいぞ。今後長く住むことになるかも知れないからな家は大事だ」
「ちゃんと決めておこうと思うよ。と言ってももうしばらく時間がかかるかもしれない。今は学園での暮らしで精一杯だから」
「お前の時間がある時に考えればいいさ。新しい寮でも一人部屋なんだろう? 寮に戻ってきてからいくらでも暇はあるさ、とりあえずは勇人のパソコンにメールにデータを添付して送っておくよ。目を通しておいてくれ」
「わかった」
通話ボタンをタップして電話を終える──僕はブラウザを立ち上げていつも使っているフリーメールのページを読み込んでログインした。
基本的にメールなんてゲームサイトや動画サイトの登録をするくらいにしか用はないけど、父さんとやりとりするようになってからは頻繁にメールを送るようになった。まあ、こういうのは僕はLIMEでも別にいいだけどね。
父さんからすぐに住居の候補画像が添付されたメールが僕のPCに届く。
いくつか検討をしている物件があるらしくて、僕が一人で住むのも良いんだけど、もしも誰か結婚相手と暮らすことになっても不自由のない位の広さの家を探しているみたいだ。
一枚目の画像に写る新しく建てられたマンションは高原に佇む別荘みたいな建売住宅──選択肢は十分に用意されているんだな。
何十年も会ってなかったはずなのに僕の中では父さんはあっという間に母さんの順列を追い抜いて大事な家族になった。
まずはプロジェクトを成功させてからその先に進みたい──学園に通う子達がどういった選択をするにせよそれには僕が関わってくるのだから。
こうやって寮でみんなと一つ屋根の下で暮らすようになったこと、自分からアクションを起こして生活に変化をもたらしたのは成長した面でもある。
彼女達と過ごす度に僕は新しい発見ができる。何気ないように思える毎日が退屈なんかじゃなくて、日々訪れる小さな変化に心を躍らせながら僕は夏休みが来るのを待ち遠しく感じていた。
*
「ねえ、御崎さんどうしよう!」
「相倉さん、どうしたの? 何だか慌ててるみたいだけど」
「だって! 緊張しない? 小鳥遊君のお父さんに会うんだよ?」
「……そうね、あたしもなんか緊張してきた」
「まだ、彼のお父様が来る日ではないだろう? 二人とも今から緊張していては当日大変じゃないのかい?」
「藤森さんは冷静ね」
「なーに、こう言うことはなるようしにかならないさ。変に振る舞って相手に不信感を抱かせるのは良くないからね」
「わたしは楽しみにしてるわ、まだ夏休みではないのだけれど、勇人のお父様がどう言う人なのか気になっているの。それに、もしかしたらこれから先、顔を合わせる機会が増えれ来るかもしれないわ」
「メルア様はルークランシェ王国の事も小鳥遊殿のお父様にお話しされるようですよ。私たちも身分を隠す必要はないですしね、姫様が決めた事でしたら特に言うべきにではないですし」
「この寮で暮らすのを選んだったって言うことは、みんなも勇人とステディな関係になりたいわけでしょ? それはわたしも同じ気持ちだわ」
「まあね、メルみたいに素直に気持ちを伝えられたらどんなに楽か」
「あら、難しい事じゃないと思うわ。みんなそれぞれに個性があるのだから、表に出しても損は無いんじゃない。それに勇人が気に入らないのならとっくに自分から意思表示しているだろうし」
「彼はあまり自分の事をペラペラと話すような人ありませんから……」
「牧野さんは小鳥遊君とは中学生の頃、同じクラスだったんだよね? 昔からああいう人なの」
「私も、特に仲が良かったわけじゃ無いんですが、小鳥遊君はいつも一人でいる事が多かったですし、クラスメイトとは距離を置いているように見えました。正直こうやって一緒に寮で過ごすなんて言うのは夢なんじゃ無いかと思うくらいです」
「あのー、提案があるんですけど」
「姫城さん?」
「女の子で服を買いに行くっていうのはどうかなって思ったんですが」
「良いわね! ショッピングならまずは外出許可を理事長にお願いしなくちゃいけないけど、問題ないと思うわ」
「女の子同士でのショッピングか、うむ、それは実に興味深い、親睦を深めるにはもってこいじゃないか。同じ寮に住んではいるがお互いにまだ遠慮はあるだろうと見ていたんだが、わだかまりがあると今後の生活に支障が出る、相互理解を深めるのは良いアイデアだ」
「姫城さんも加わった事だし、これから先賑やかになりそうだしね! 女の子同士で気を遣わずに遊ぶって言うのも大事かも」
「遊びに行くんじゃなくてお洋服買いに行くんじゃなかったの?」
「はっはっは、御崎さんは相変わらず真面目だね。まあ、目的はその通りだが、女の子同士気兼ねなく時間を共有するのはその目的にもマッチしているんじゃないか?」
「小鳥遊君はどうするんでしょう……?」
「牧野さんの? どうかしたの」
「いえ、小鳥遊君は私達と一緒に過ごすのをどういうふうに感じているのかなって言うのが気になっているんです。彼は昔から本音は話すような人ではないですし」
「そういえば、あなたは勇人と中学生の頃のクラスメイトだったのよねね? 三年間も同じ教室で時間を共有してるなら多少は彼に理解があるのかもしれないわね」
「いえ、実は私もそんなには仲が良いってわけじゃなかったですし、むしろ今の方が小鳥遊君とちゃんとお話ができています」
「女子で遊ぶのも確かに良いけど、ちょっとでも長い時間小鳥遊君といたいって感じているのはみんなも同じなのかしら」
麻奈実の問いかけに“小鳥遊班”のメンバーはゆっくりと頷いた──自分達がここにいる意味、それを再度確認してからみんなで勇人の部屋に向かうのだった。
寮でゆったりと自分の好きな事をしている時は時間が流れるのが早く感じる、休日はいつもより遅い昼前に起きてからPCを立ち上げる。ものの数秒でOSのアイコンが表示されてディスプレイにデスクトップアイコンが並んでいく、最新型のノートPCは起動早い、無駄なソフトやアプリがインストールされていないけれど、最低限の仕事はしてくれる優秀なマシーンだ。
チェアにもたれかかりながらマウスを動かしてブラウザを起動──検索エンジンに興味のあるワードを打ち込んで検索ボタンを押す。
瞬間的に表示されるネットのページをスクロールさせながらトップビューの内容にぼんやりと目を通す。
いくつかの大手の掲示板ではここ最近に話題になっている芸能ニュースのスレッドが立てられていて、自分くらいしか住人がいないだろうゲームの掲示板へ飛んで立てられているスレッドを巡回する。
インターネットを使えば世界中の人と交流ができる──同じ趣味を持った相手とスレッド内で会話をしながらモニター越しでのやりとりにどこか安心感を覚えてしまう。僕がパソコンを使えるようになったのは中学に入学する前、基本的に一人で遊ぶことが多かったからゲームやパソコンとかの娯楽は僕にとっては学校の友達よりも大事なものだった。
ノートパソコンはキーボードを叩く音が聞こえないから気に入っている。一応寮内はWi-Fiがあるから理事長に頼んで僕の部屋のPChネットに繋がるようにしてもらった。玲さんも同じようにしているらしいけど、彼女は有線で接続している為、多分僕よりもネット環境は快適なんだろう。
一旦パソコンをスリープモードにして椅子に座って寛いでいるとドアがノックされた。
「はい」
僕は鍵を開けてドアノブに手をかけてゆっくりと扉を引いた。
「小鳥遊君、おはよう! 今って時間あるかな?」
声の主は相倉さんで僕は「大丈夫だよ」と返事をして部屋から出る──彼女の後ろに目がいくと他の女の子達もいて何やら神妙な様子だ。
一体何事だろう? ドアを閉めて扉を背にして廊下に立つ。
「あのね、今度みんなで街にお買い物に行く事にしたんだけど、もしも
良かったら小鳥遊君も一緒にどうかなあって」
「それは構わないけど……。そういった連絡ならLIMEでも良いんじゃない? わざわざ部屋を訪ねてくるからもっと重要な事かと思っていたけどね。けど、来てくれたのは嬉しいよ。うん。僕も丁度寮のみんなと親睦を深めたいと考えてたからちょうどよかったよ」
「じゃあ次のお休みの時に街まで出かけましょう。私が外出届けを申請しておくから」
「動きがスピーディーだね相倉さんは、けど、確か外出許可はそれぞれクラス毎に申請する必要があるんじゃなかったかい? まずは担任教師に用紙をもらうところから始めないとだが」
玲さんは怪訝そうな顔をしながら外の風景に視線を移す。
「玲さん? 何か気になることがあるの」
「ああいや、私は普段あまり教室に行くことがないんだ、担任の名前くらいは覚えているのだけど、直接的な面識は少ないんだ。だから頼みづらくてね」
「ああ、そっか。玲さんは教室で授業を受けている訳じゃないからね」
「どういうこと?」
「私は学園から特別な空間を与えられていてね、そこで生活する事がほとんどなんだ、この寮に引っ越してきて活動拠点は寮内に移りはしたけれども自分から学びやに行くなんていうのはよっぽどのことがない限りはあり得ない」
「そういえば藤森さんが登校しているの見たことないかも……」
「理事長から仕事は寮の部屋でやっても良いという許可はもらってあったからねここは快適だし無理に動きたくはない、それに小鳥遊君と同じ空間を共有できるのは私にはすごく刺激的なんだ」
「だったら、理事長に直接頼んでみたら良いんじゃないかな? 玲さんなら神崎理事長とも日頃からやりとりはしているだろうから頼みやすいと思うけど、担任に寮まで用紙を持ってきて貰うとか」
「なるほどね。確かにそうかもしれない。それならば私自身がわざわざ教室まで出向く必要も無さそうだし、うん。早速頼んでみるよ」
玲さんがスマホから業務メールを送信する──彼女の入力スピードはとても早くてあっという間に要件を神崎さんに伝えてその後担任へ伝達、今日中に用紙を持って寮へ訪ねて来るそうだ。
来週の予定は相倉さんがLIMEで教えてくれるらしい。僕は女の子たちと数分廊下で話し込んだ後、自分の部屋に戻るのだった。