普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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98.「ちょっとした違和感を抱いて」

 学園から外出許可が降りて僕たち“小鳥遊班”は街に出かけることになった。一応門限は午後21時までで、それまでに学園に戻って来ればいい。

 神崎さんに聞いたことなんだけど、学園に通う女の子達は夜に寮から出歩く際はIDカードを携帯しなくちゃいけないらしい。

 夜は安全の為、寮の扉は完全にロックされるらしくてIDカードをかざさないと外にも出ることができない、無断で出た場合はすぐにサーバーに情報が伝達されてペナルティが発生してIDカードにリミットがかけられて使えなくなる。

 カードのリミットは学園に申請して解除してもらう方法以外は無くて一度制限がかかってしまうと満足に学園での生活を送るのも難しくなる。

 IDカードは学園内の施設で使用する頻度が多いからだ。

 例えば図書館で本を借りる時も、PCを使って処理するんだけど、本の裏面のバーコードをバーコードリーダーでスキャンしてパソコンにIDカードを挿入すると貸し出した生徒の情報がサーバーに登録されて処理が完了。返却する時は図書館内に数台設置されているパソコンを使って自分で返却プログラムを起動させる。と言ってもIDードを挿入してから返却処理を実行するだけだからそこまで複雑っていうわけじゃない。

 学園は最先端の警備システムが導入されていて監視カメラで映像を記録して常に安全管理を行なっているみたいだ。一応女子寮の個別の部屋にはカメラが設置されていないようで生徒のプライベートを守られている。

 僕は月明かりに照らされた廊下の風景に視線を向けてぼんやりと考える。

「聖蘭寮」にも同じシステムが導入されているから僕たちは安心して寮での生活が送れてている。玲さんがプログラムを作成したようで不備の無い警備システムはセキュリティの向上に役立っている。

 これだけたくさんの生徒が通う学園では外出するのも一苦労だ……。

 名家のお嬢様達がストレスを溜めないような環境作り、不安なく学生生活を過ごせるように他の学校と比較すると未来のテクノロジーも採用されているんだ。

 生徒毎に割り振られたIDは学園を卒業するまでの間管理されて、学園のサーバーに共有のデータとして保存されてる。何万ものロックが張り巡らされているようで、それらを全て解除するのは並大抵はものじゃない。

 玲さんが神崎理事長にシステムの構築を頼まれた時に彼女はしっかりと仕事をこなし驚くほどに高品質なプログラムを完成させた。

 

 彼女は実は日本政府や海外企業からいくつもスカウトが来ているらしく将来はそう言ったところに勤務する可能性があるらしい。そんな子が僕に興味を持っているのが不思議なくらいだ。

 

 **

 

 部屋に戻ってLIMEのトークルームでチャットに返事を書く。

 

「外出許可が降りて本当によかったー」

「そうだね、理由をしっかりと書いてたし、理事長には僕からも色々と説明をしておいたよ。まあ、門限はきちんと守るって言うことを条件に許してもらったんだけどね」

「まあ、女の子が遅くまで遊び歩くなんて学園のイメージを損なう行動でもあるからね、理事長が厳しくなるのも納得さ。制服を着ていなくてもどこかで誰かが見ている可能性だってあるのだから、ここ最近では街中にも監視カメラが増えて来ただろう? ああいうのは街の治安を維持するのに一役買っているってわけ」

「気にしてみると監視カメラって意外と見つかるわよね」

「政府が国民を監視している様に感じて嫌がる人は未だに多いようだけどね、昔と比べたら凶悪犯罪は減ったんだ。女性が路上で襲われるなんていう事件を耳にしなくなっただろう?」

 

 男女の人口比が逆転してから暴力的な犯罪は減少している。ニュースでも女性が凶悪な犯罪に巻き込まれるっていうのは聞く機会がめっきり少なくなってきたけど、それと反比例するかのように近年ではネットを使った誹謗中傷や特定の相手に対する攻撃が過激になっている風潮がある。

 インターネットが身近になって来たからこそ起こり得る事件が増加していることで政府も問題提起を始めて、学校でもネットの使い方に関する授業が組み込まれている。

 LIMEやスマホのアプリ──便利な世の中に変化したのは喜ばしい事だけどそれに対する代償にもちゃんと向き合わないといけない。

 

「まあ、ウチの学園でイジメが横行しているなんていう話しは聞かないけどね、ああいうのは特定のグループで一人を徹底的に攻撃するなんていう卑怯な真似をする子がまともな学生生活を送れるとは思えないが……」

 

 玲さんは普段から大人と会う機会が多いからか彼女の思考や行動理念などはまだ学生の僕らと比べると卓越していた。冷静な分析力から来る根拠のある発言がそれを紐付ける。

 だけど、決して大人びた態度は見せずに“小鳥遊班”の女の子達と関係を築いていくことに努力する。

 

「三年間しかないんだよね……あたしたちには」

「うん、毎日がこんなに楽しいとあっという間に三年間が来ちゃいそうな気がするよね。気をつけておかないと」

「学園側は例のプロジェクトの成果を残したいという考えがあるから何も無しというのは許されないと思う。ま、最終的にはキミがどう判断するかだよ」

 

 玲さんからのメッセージを見て改めて自分の置かれた立場を再認識した。

 

「選ぶのは僕さ。だけど、将来の事もしっかりと考えてから決断したい。だって皆の未来に責任を持っていくわけだから、いい加減な気持ちで決めるなんて言うことはできない」

「決めるのは小鳥遊君だっていうのはわかっているよ。私たちは選ばれるように努力するだけだから誰が選ばれても恨みっこなしね!」

「……もちろん。あたしは『小鳥遊班』の全員がハッピーになれたら良いなと思うの」

「御崎さんも大分自分の気持ちを出す様になってほっとしましたよ。寮のお風呂でお話しした時はまだまだ遠慮があったように見えましたし」

「あら? お友達とお風呂に入るっていうのは面白いわね。ルークランシェでは経験したことがないわ」

「向こうだとメルア様はお一人では入らないにしても従者が一緒に入浴してお体を洗ったり入浴中のお世話をしますから」

「わたしはアイリスとも一緒に入りたいのだけれどね。あなたはいつも剣の稽古を理由に断るじゃない」

「それは! 姫様をお守りするのは私の仕事でもありますし、常に鍛えておかないといけないのです、お許しください」

「日本だと一人ではゆっくりとお風呂に入れるのはとってもありがたいことだわ。身の回り事はアイリスがしてくれるけれど、広いお風呂にゆったりと浸かるのは日本の良い文化だと思うわ。最初は入り方がわからなくてびっくりしたもの」

「ルークランシェでは湯船に浸かるなんていうことはしませんからね。浴場は広いですが、シャワー等で汗を流すことがほとんどですし、浴場は共有のものですから入浴時間も決められています」

「お姫様って大変なんだね……」

「生まれた時からそういう生活をすごしてきたのだからもう当たり前のものになったわ。日本に来てルークランシェとは違った生活を送れているはわたしには刺激になっているわ」

 メルの故郷はどんな国なんだろう? ネットでしか見たことがない北欧の王国は日本に住んでいる僕には想像を膨らませるしかないんだ。

 例えばだけど、これから先の未来に僕が彼女の故郷を訪ねるような出来事が起こるとすれば──

 

 ──彼女は日本にずっといるわけじゃない。いつかはルークランシェに帰ってしまうのだから、学園にいるうちは僕らと変わらない学生、けれど、メルはお姫様でもあるんだ。

 

 アイリスさんは僕の細やかな“変化”に感づくと楽しそうに話すメルに視線を向けた。そういえばアイリスさんは自分の事はあまり話そうとはしない。

 彼女はあくまでもメルの護衛という立場をしっかりと守り常にお姫様のそばに居る。王国でもきっとああいう風にアイリスさんが目を光らせてメルを守っていたんだろうなあ。

 日本に来ても彼女は肩に力が入っているのも当然だとわかる。だってお姫様に何かあれば責任問題に繋がる。

 同じくらいの年に見えるのに大人びていて落ち着いている雰囲気を出すアイリスさんに僕は興味を持った。

 だけど、彼女は僕たちの関係を少し離れた場所から見ている感覚だ。メルとの距離は近いのだけど、 他の子とはまだまだ親密な関係とはいえない。

 僕は微笑みながらメルを見ているアイリスさんのそばに寄って耳元で囁く。

 

「どう? アイリスさんもメルと同じようにたまにはハメを外しても良いんじゃない?」

「小鳥遊殿? 一体何を言っているんですか」

「キミがずっとメルの側にいるのは使命なんだと分かるけど。もっと自分を大切にしても良いんじゃない? 皆がメルを危険な目に合わせたりはしないと思うから」

「……。それもそうですね。小鳥遊殿この後時間はありますか?」

「特に予定とかはないけどどうしたの?」

「話しておきたことがあるんです。それでは午後に小鳥遊殿のお部屋に伺いますね」

 アイリスさんは何やらいつもと違い真剣な眼差しで僕を見つめていた。

 遊びの予定の調整をしてそれぞれが部屋に戻る。

 僕は午後からアイリスさんと会う約束をしたから彼女が訪ねてくるまで待つことに。

 

「小鳥遊殿? 今お部屋にいらっしゃいますか?」

 

 三回ドアがノックされた後にドアの外からアイリスさんの声が聞こえる。僕はベッドから体を起こして服装を整えて大きく深呼吸してドアノブに手をかけた。

 

「いらっしゃい」

「お邪魔しますね」

 僕は彼女を部屋に招き入れてドアに鍵をかけた──部屋の中を見渡すように視線を向けるとアイリスさんは僕と向き合うと綺麗な赤い瞳で捉えると真っ直ぐ向き直り喋り始めた。

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