普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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114.「邂逅」

「わかったよ。父さん、うん、じゃあ次の金曜日に、ああ、学校を終わった後になると思う」

『それじゃあな、勇人、勉強を頑張るんだぞ、金曜日に会えるのを楽しみにしておこう。ほしいものがあれば買ってもいいぞ』

「うん、僕も父さんとの買い物楽しみにしておくよ。じゃあね。父さんの方こそ仕事頑張ってよ」

 父さんとの通話を終えて携帯をベッドに置いてからふぅと息を吐く。今週の金曜日に父さんと出かける予定ができた。

 仕事の合間にちゃんと息子と過ごす時間をとってくれる父親には頭が下がる。ずっといなかったはずなのに、僕にとって母親よりも父親の方が大事な存在だと思える。

 そういえば家族で買い物をするのなんていつぶりだろうか? 思い出そうとしても思い出せないや……。きっと小さな子どもの頃の思い出なんだろう。

 あの頃は母さんもいて、僕は二人が大好きだった。愛情がない家庭に育ったわけじゃないけれど、僕にとってはあの瞬間が一番幸せだったのかもしれない。

 父さんが海外に赴任してから母さんは家を空ける機会が増えてきた。もちろん仕事だというのはわかっていたつもり、それども、幼い自分は一人で家で過ごす寂しさを感じていた。

 それからというと僕は一人でいるのが当たり前になって、学校でも友達すら作らずに放課後は誰とも遊ばずにまっすぐに家に帰る生活を送る。

 家でゲームをして勉強して、パソコンを使って、一人で過ごす時間が習慣になった頃、たまたま、母さんが早く帰ってきたことがあった。

 

 *

「ただいま」

 部屋にいる僕に母さんの声は届かない──ゲームのコントローラーを握りじっと画面を見ながら操作する。ゲームのキャラクターが優しい笑顔でほほ笑むと僕はまだ読めない漢字の意味を考えながら会話を進めていく。

 たまに早く帰ってきたからといって何か変わることもない。淡々と過ぎていく時間の中で僕は自分だけの空間と世界に入り込んでいくのが心地良い。

 そうさ、息子が家にいるのは知っているはずなのに気にも留めないそれがあの人だ──家族としての愛情なんて遠い昔にどこかに置いてきた……。

 母の笑顔を最後に見たのはいつだったかな? 思い出そうとしても記憶が曖昧過ぎて上手く思い出せない。そんな過去のことをぼんやりと邂逅するように目を閉じる。

 

 **

 

 帰国した父さんとはやり取りを続けているけど母さんの話題を出してこないのはおそらくは僕に気を遣ってくれているんだろう。

 親としてできることはなんでもしてやりたいとも言ってくれているのだけど、僕自身これまで父さんと過ごした時間は少ないから正直なところどういう風に接したらいいのかまだ悩んでいた。

 LIMEでのチャットや通話で少しずつ関係を改善しているつもりなんだけどね……。親子関係は難しいね、うちがごく普通の家庭だったらこんなに苦労することもないと思うけれどね。

 母さんも仕事仕事の人だったし息子の成長にすら興味がない──あの人の手料理なんて最後に食べえたのも思い出せない。家にいるお手伝いさんは端的な会話と業務的な笑顔を見せて接していた。

 ああ、この人も仕事で仕方なくやっているんだろうなっていうのが幼いながらに感じ取ることができた。

 子どもの方が案外人の心の変化とかに敏感なのかもね、僕も周りの人間をよーく観察するようにしていたし、成長してもそこは変わらない。

 今はこうして女の子たちと普段通りに会話して毎日に幸福を感じながらすごしているけれど、これは期限付きの時間──三年間というに短い間のお話。

 だからこそ、一日に一日を大事に過ごしていきたいと思うんだ。

 父さんとの予定を考えながら僕は少しだけ高揚感を覚えながら部屋の天井を見上げていた。

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