普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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24.「勇人のLIMEグループ」

「小鳥遊君どこ行っちゃったんだろう」

 一緒にお昼食べる約束をしたのに彼は待ち合わせ場所に現れなかった。

 心配になってLIMEでメッセージを送ってみると『僕は大丈夫だよ。お昼は一緒に食べらせそうにないかも……』と返事が返って来た。

 多分何かトラブルに巻き込まれているんじゃないかなと思う。

 約束を反故にするのは許せない行為だけど小鳥遊君は後でちゃんと謝ってくれるからいつまでも怒ってはいられない。

 あたしは二人分のお弁当を手に持ったまましばらく立ち尽くす。

 

「これどうしようかな」

 流石に二つも食べる事はできないし、かと言って捨てちゃうのはもったいない。

 私は仕方なくLIMEで相倉さんに連絡した、小鳥遊君を通じて彼女と知り合ったけど色々話してみると意外と波長の合う相手だとわかった。

 LIMEグループは小鳥遊君と相倉さんとそしてあたしの三人だけ。

 夜の遅くまでメッセージのやりとりをしているんだけど、大抵はあたし達の女子トークに小鳥遊君が付き合ってくれる形になるかな。

 相倉さんはあたしのメッセージにこの前三人でお昼を食べた場所に集まらない? と返事が来た。

 小鳥遊君に用意したお弁当を持ってあたしは彼女が来るまで整備された芝生の上に座る。

 

 

 **

 

「お待たせー。あれ? 小鳥遊君とは一緒じゃないんだ」

「うん。教室で彼からお昼を一緒に食べようって誘われたんだけど、まだ来てないみたい。なんかトラブルに巻き込まれてるっぽい……」

「そうなんだ、心配だよね」

 相倉さんはスカーフを広げてその上に座る。あたしはお弁当を彼女の前に置いてちょっとだけ身を寄せた。

 

「プロジェクトの目的が明かされてから強引な手段に出る子もいるみたいだよ」

 お弁当箱の包みを開けながらあたしに話かける相倉さん。

 

「すごい! どれも美味しそうだねー。御崎さんって料理得意なんだ」

「まあ、一応わね。自信はあんまりないんだけど……」

「本当に美味しそうで食べるのが楽しみ。でも、これは小鳥遊君の為に作ってきたんだよね?」

「えっ……ちょっと! 何言ってるのよ」

「彼には言わないから教えてよ。御崎さんって小鳥遊君の事好きなの?」

「そんなことはー。自分の気持ちがなんなのかまだわからないの」

「そうなんだ。まあ、無理に聞き出すつまりはないんだけどね。私も彼のことほとんど知らない訳だしさ」

「でもね、私達に残された期間は三年間っていう短い時間だけなの。自分の将来を考えて行動するのは難しくて学生の私らには想像も出来ないかもしれない。それでも私は前向きになって努力していこうと思う」

「あなた、色々考えてるのね」

「もちろんだよ。まずは彼のことを知って、それから小鳥遊君に自分を好きになって貰わなくちゃ!」

 いつだって明るい相倉さんと接するとこっちまで元気を貰える気がした。

 小鳥遊君のいないお昼はいつもよりなんだか長く感じたけどあたしらはお互いに作ってきたお弁当の感想を言いながら休み時間を過ごした。相倉さんのお弁当はすごく可愛くてどれも美味しかった。あたしらは今度料理を教えあう約束をして別れた。

 気兼ねなく話せる相手ができた事は素直に嬉しい。彼女とはこれからも仲良くなりたいなと思う。

 玲さんと昼休みを過ごしたせいで御崎さんとお昼を食べる約束をすっぽかしてしまった僕は気まずそうに教室まで戻る。

 

 〈御崎さん怒ってるだろうなあ〉

 

 自分から誘っておいて約束を破るなんて最低な行為だし、彼女が怒るのも無理はない。

 そろりそろりとAクラスの教室は入ると自分の隣の席を見る。

 するとこっちを見た御崎さんと目があってしまう。

 彼女は表情を変えずに僕を数秒見ると視線を横に流した。

 言い訳なんてしないできちんと謝ろう、そう決心して自分の席に向かった。

 座る前に「ちゃんと理由を説明するから」と、一言伝えて椅子に座る、午後の授業がゆっくりと過ぎていくなか僕はいつまでも心を落ち着かせることができないでいた。

 放課後になってそれぞれの時間を過ごす子たちを見送りながら僕らは教師に残った。御崎さんはスマホをいじりながら頬杖つく。

 

「今日はごめん……僕から御崎さんをお昼に誘っておきながら約束をすっぽかして」

 彼女は僕の言う事を黙ってきいていた、正直にあった出来事を話した。

 教室を出てから藤森玲さんという女の子と一緒に過ごしていた事、それでお昼を御崎さんと食べれなかったという事実を伝える。

 

「本当にごめん」

 頭を下げてその姿勢のまま数秒の間沈黙が続く——僕はなかなか頭を上げることができずにいた。

 

「小鳥遊君、頭を上げてよ」

 先に沈黙を破ってきたのは彼女の方だった。

 

「事情はわかった、あたしは別に怒ってないから。小鳥遊君も大変だったろうし」

 女の子に気を遣わせるなんて情け無い……母さんが見たら間違いなく叱責されそうな場面だ。

 

「今日の穴埋めはきっとするから」

 僕は両手を合わせながら謝罪のポーズをする。

 

「じゃあ、明日は一緒にお昼ご飯食べよ? あたし頑張って作ってくるからさ。あと相倉さんも呼んでね、三人で食べましょうか」

「うん、そうだね」

 LIMEに登録されている二人の女の子の名前。彼女たちともっと仲良くなりたいと思う。

 明日の約束を取り付けてから男子寮の自分の部屋に戻る。

 どうやら御崎さんは今日は相倉さんとお昼ご飯を食べたみたいで後からLIMEのチャットで知ることに。

 二人共それぞれお弁当を準備しておくらしい、僕はそれが楽しみに感じてついつい長い時間三人でメッセージのやり取りをする。

 トイレに行って戻ってくるとスマホにはLIMEのメッセージ通知が表示される。

 僕はすぐに画面のロックを解除すると見覚えのないアカウトから友達登録の申請が来ていた。

 

『やあ、小鳥遊君。私の事は忘れていないだろうね? 今日はなかなか面白い話を聞かせてくれてありがとう。LIMEは初めて使ったんだが、ちゃんとメッセージは届いているかい?』

 

 僕宛に送られて来たメッセージを読み終えてすぐに誰が送信してきたのか分かった。

 今日初めて出会った女の子【藤森玲】さんだ。だけど、どうして彼女は僕のLIMEを知っているんだろう? 

 気になって僕は彼女のメッセージにすぐさま返信をした。

 

『玲さん? メッセージはちゃんと届いているよ。それよりどうして君が僕のLIMEを知ってるのさ』

『私の部屋で話した時にちょっとだけ君のスマホを触らせて貰っただろう? それでちょいと調べてみたのさ』

『そうだったんだ……いきなりメッセージが来たからかなりびっくりしたよ』

『はっはっは、それはすまないね。だけど、私は小鳥遊君に興味があるんだ。こうやって誰かに私からコンタクトを取ったのは実は初めてなん』

 

 メッセージのやり取りをしていると玲さんのLIMEのアカウントのアイコンが変わる。キャラクターとかじゃなくてシンプルな画像を設定しているのが実に彼女らしいと感じた。

 僕のアイコンは神秘的な風景のもので眺めていると、とても心が落ち着くようなものだ。

 相倉さんや御崎さんのアイコンは可愛い感じでそれぞれに個性がある。

 僕は玲さんを僕らのLIMEグループに追加した。すぐに彼女のアイコンが僕らの会話に登場し相倉さんと御崎さんは驚いてチャットを飛ばしてくる。

 

 

『えっ? 誰? 小鳥遊君が追加したの?』

『見たことない名前だけど……』

『ああ、彼女は藤森玲さん、今日知り合った子なんだ。これから僕らのLIMEグループでメッセージのやり取りをすることになるよ』

『1-C所属の藤森玲だ。気軽に玲と呼んでくれていいよ。私は個人的に小鳥遊君に興味があってね、だけど。LIMEは初めて使うからわからないことは皆に聞くとするよ』

『1-Cってことはあたし達と同い年?』

『ああ、そうだ。まあ、私は事情があってあまり校舎のほうには顔を見せないんだ。同じクラスの子たちも私の存在を知っているのは少ないと思う』

『実は今日、御崎さんとお昼を一緒に食べられなかったのは玲さんと過ごしていたからなんだ』

『そうなんだ、ていうか小鳥遊君は藤森さんを名前で呼んでるんだね』

『私が彼にそう呼んでほしいと言ったんだ。君たちも遠慮しないで呼んでもらえたら嬉しい』

『じゃあ、玲さんで。呼び捨てにするのは失礼な気がするしー』

『別に構わないよ。私はこうして誰かとやりとりをする機会が無かったからね。お互いに気を遣わない関係でいよう』

 

 僕たちは玲さんとメッセージのやりとりを続ける──夜の遅くまで何の変哲もない会話をする。

 女子たちのトークに僕は時々相槌を入れないがら彼女たちと気持ちを共感する。

 こうやって少しでも仲良くなれるといいなあ。僕がここにいる本来の目的を考える、だけど、彼女たちの気持ちを蔑ろにして恋人関係を築くなんていうことはできない。

 あくまでも学園に通う女の子たちには僕の事を好きになってもらわないと──僕との将来を真剣に考えてもらえるように、そのために自分ができることは精一杯やっていこう。

 しっかりとした態度で彼女たちと接していこう。三年間という限られた期間で僕が必要とされる証を残すために。

 穏やかに過ぎていく夜、明日また彼女たちと出会えることを楽しみにしつつ僕はベッドに横になる。

 おやすみなさい。また明日。

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