普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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28.「二人の時間が重なる前〜Before meeting〜」

 学園の雰囲気は相変わらずで僕は名前も知らない女子生徒から挨拶される。

 僕も「おはよう」と返してから教室へ向かう。

 ──廊下は賑やかで女の子達は友達同士で会話を楽しんでいる。

 その脇を抜けていく僕には自然と彼女たちからの注目が集まる。

 注目される事に慣れてはいないけど、自分に興味を持ってくれているのは少しだけ嬉しく感じる。

 入学した時とは違う学園内の空気に身を置いて僕は改めて自身が関わっているプロジェクトの意味を考えた。

 期間が決まっている事だからいつまでもぐずぐずとはしていられない。

 僕との未来に希望を持ってくれる相手を決めなくちゃ。

 ここに通っている女の子達の未来を僕が背負っているのだから。

 最初は戸惑っていたけれど、少しずつ自分の役割を自覚するようになった。

 

 希望した生徒には礼儀や作法を学ぶ特別なカリキュラムが組まれる事に、立派な女性になる為に努力を惜しまない子もいればあまりやる気が起こらない子もいる。

 それは人それぞれだから仕方ない事なんだろうけどちょっとずつ周りが変化するのを感じながら一生懸命なお嬢様たちを見ていると僕も彼女たちとつり合うような男になろうと思う。

 

 マナーとかは小さい頃から世話をしてくれているメイドさんにある程度のところまでは教え込まれた。

 だけど、僕とは違い華やかな世界で生きてきたお嬢様たちにはそんな礼儀や作法なんてごく自然に教わったものなんだろう。

 理事長の神崎さんは色々と僕を気にかけてくれていて、学園生活で苦労する機会が減っているのは頭が下がります。

 同じ歳の子とはちゃんと話せるようにはなったけど未だに歳上の女性と話す時は緊張する。

 だって家族である母さんとでさえ上手くコミュニケーションを取れてないんだから。

 

 プロジェクトのおかげで女の子達の僕を見る目は変わったけれど、ごく一部の生徒からはよく思われていないようだ。

 前みたいな問題が起こらないとは限らないし……。気をつけておこうと思う。

 

 Aクラスの教室では女子のグループが楽しそうに会話をしている。僕と目が合う元気に「おはよう」を言う子もいれば挨拶すらできない子もいる。

 自分の席に向かう途中で御崎さんの方を向いて彼女が登校して来てるのを確認する。

 相倉さんに御崎さん、玲さん。最近使い始めたLIMEの登録人数は増えてグループチャットに参加することが多い。

 僕自身が彼女らとの交友を望んでいる。

 ──だけど、学園を卒業した後はどうなるかなんて言うのはまだ分からない。先の事は考えると不安になるけれど……。

 

 授業中に困っていた御崎さんに周りに気づかれないように助け舟出す。

 定期テストが近いから皆真剣に勉強してる、僕はというと実はあまり勉強してない。

 男子寮に戻ってからスマホで色々な事を調べたり自分の時間を過ごしているからだ。

 学生の本分は勉強なんだけど子どもの頃からの英才教育のおかげか焦って勉強しなくてもテストで良い点を取る方法を知っている。

 

 まずは担当教師の性格を理解してテスト範囲を考察することだ。

 端的に言ってしまえばこの先生ならこう言った問題を出すんじゃないか? と予想する。

 棒大な範囲からある程度の予測ができればその場所を徹底的に勉強する。

 それだけで半分以上の点数が取れる。残りはいつもやるようなテスト勉強の方法でもいい。

 満点なんて取るつもりはないから平均点よりも高い点数が取れていれば良いんだか。

 学校ではテストの点数だけが全てじゃない。

 ──学力以外のところで判断するところも少なからずあるのだろうけど。

 この学園がどんな風に生徒を評価しているのかは知らないけれど自分が出来るだけの事は最低限やろう。

 

 お昼前にスマホを操作しているLIMEの通知アイコンが表示されるー僕はすぐにバックグラウンドにしているアプリを立ち上げてグループトークを開いた。

 

『テストも近いしみんなで勉強会なんてどうかな?』

 相倉さんから送られているメッセージに既読マークが付くと先ずは御崎さんから返信がある。

『いいね、あたしは勉強に苦労してるから誰か教えてくれたら助かります』

『ほう、君は勉強が苦手なのか』

 御崎さんのメッセージに玲さんが返信をする。

『僕も良いと思う。御崎さんはいつも勉強大変そうだからね。みんなで勉強会なんて初めてだからなんか新鮮だよ』

『小鳥遊君も賛成ね、玲さんはどう?』

『私も賛成だよ。こう言う機会はあまり無かったから貴重な時間になりそうだ』

『オーケー! それじゃあ全員参加って事で。けど、場所はどうしよう?』

『女子寮の相倉さんの部屋で良いのではないかな?』

『そうだね、私の部屋でも良いんだけどさすがに四人もいるとなると狭くなるかなぁ。どこか落ち着いて勉強できる場所が良いんだけどね』

『学園の図書館って使えないんだっけ? 勉強は静かな所でやりたいんだけど……』

『図書館は他の生徒もいるから落ち着いて勉強って言うのは難しい気がする』

『私の部屋は君達を招くには適切だとは言えない。力になれずに申し訳ない』

『あたしの部屋も相倉さんと似たような事情だしね。女子寮の個人部屋は二人くらいでちょうどいい広さなのよね』

『うーん。そうなると先ずは勉強会がやれそうな場所を見つけるのが最初かなあ』

『あのさ、僕、静かに勉強できる場所に心当たりあるよ』

『ホント? 小鳥遊君それってどこなの?』

『僕の部屋だよ。今は僕だけしか住んでいないんだけど、部屋の広さは結構あるんだ』

『ほうほう、小鳥遊君の部屋かそれは面白いな』

『それじゃあ理事長に男子寮へ行く許可を貰わないとね!』

 学園の女子生徒が男子寮へ行く事は理事長の神崎さんの許可が無いと許されていない。

 理由としては元々が女子校で男子寮なんて存在しなかったのが一つとして挙げられる、他には学園へ通う僕の負担を配慮した形で、プライベートが尊重されているからだ。

 僕が女子寮へ行くのに許可はいらないけど用もなしに彼女達の部屋を訪ねるのは良い事ではない。

 恋人を作ると言っても本来の目的にそぐわない様な行動は控えておきたい、ここに通っている間は彼女たちの意思を尊重しなければならない。

 

 

 閑話休題

 

 相倉さん達は放課後に理事長に男子寮へ行く許可をもらいに行くらしい。

 正当な理由を説明する為に僕も同席することになった。

 ちなみに玲さんも理事長に何かしらのコンタクトは取ってくれるらしい。

 僕らは待ち合わせ場所を決めてから理事長室に向かう事にした。

 

「緊張するなぁ」

 相倉さんは深呼吸して扉ノックした

 ──その様子を見ていた僕と御崎さんも同じように緊張してきた。

「どうぞ」と部屋の中から声がして僕達はアイコンタクトをして相倉さんがゆっくりとドアノブに手をかけた。

 

「あら、今日はみんなでどうしたのかしら?」

 僕らが部屋に入るとパソコンのモニターから理事長室にいるそれぞれに視線を移す神崎さんはすぐに僕の存在にも気がついた。

 

「小鳥遊君もいるみたいね、それでどういう用件かしら」

 神崎さんに座るように促された僕たちはソファに腰を下ろす。入学の時に座って以来だけどふかふかで座り心地が良いソファだなと思う。

 

「今日は理事長にお願いがあってきました」

「お願い? 何かしら」

 相倉さんは隣に座っている御崎さんと僕の顔を交互に見返してうんと頷く。

「私たちのテスト勉強の為に男子寮を使わせてほしいんです」

「あら、勉強ならちゃんとできる場所はあるはずよ。どうして男子寮を使いたいのかしら」

 

「確かに勉強の為だけなら他の場所でも良いんですが、私は小鳥遊君ともっと親密な関係になりたいと思ってまして」

 相倉さんはそう言うと僕とアイコンタクトを取る。彼女の言葉にゆっくりと頷いて返事する。

 

「あなたも同じなの?」

 神崎さんは御崎さんにも問い掛ける──彼女は一瞬だけ僕の方を見ると何も言わずに首を縦に振る。

 

「もう仲のいい女の子ができたみたいね小鳥遊君。いい傾向だわ。さっき藤森さんからも男子寮を使わせてほしいって言うメッセージが届いていたからあなた達が訪ねてくるのは分かってたの」

 神崎さんは椅子から立ち上がって僕らの側に寄ってくる。

 

「まあ、正確には男子寮ではなくて小鳥遊君の部屋って言う言い方になるわね」

「知っているとは思うけど小鳥遊君が学園を卒業するまでの間の限定的に男子の受け入れを許可しているだけで君が卒業したらうちの学園は元の女子校に戻るだけなの」

「あなたがいる意味は自分が想像しているよりも学園にとってプロジェクトを遂行するのに重要なの」

「だから私もできる範囲でなら協力するつもりよ。彼の部屋をテスト勉強の為に使う事に許可を出します」

「ありがとうございます」

「積極的に仲良くするのは良いことでもあるわ。いい? あなた達女子には残された時間が少ないのよ? それだけは理解しておいて頂戴ね」

 神崎さんとの話を終えた僕らは玲さんと待ち合わせして僕の部屋に向かう事に。

 ──女の子を自分の部屋に招き入れるなんて経験は初めてだから緊張するなあ。

 

 校舎を出た僕らは誰もいなさそうな場所を選んで玲さん待つ。「私はちょっとやらなくてはいけないことができてね、なーにそんなに時間はかかる事はないから君達は先に待ち合わせ場所で待っていてくれるかい?」

 

 玲さんからLIMEを確認してから三人で待ち合わせ場所で待つ。

 神崎さん許可を得て相倉さんと御崎さんに玲さんは僕の部屋に来られるようになった、あくまでもテスト期間中という条件付きだけれど。

 神崎さんは学園側はプロジェクトを完遂する目的の為に協力は惜しまないので、彼女達の中に僕と親しい関係になりたいという子がもっとたくさんいれば今後の事を含めて生徒ヒアリングをするらしい。

 転校を望む子にはここと謙遜の無いくらい条件の良い学校への転入だって可能だ。

 結局のところ選ぶのは生徒側であって今現在通っている女の子たちどういう風な選択するかに限る。

 

 相倉さんや御崎さんだって他の学校へ転入できる選択肢はあるのだから。

 彼女達が選んだ事に僕は口出しをしないし、できる立場でもない。

 けれども、こんな自分の為に残ってくれる子がどれくらいいるのかはわからない。

 僕は自分の責任を全うして僕との学園生活を選択してくれた女の子達の将来を考えていかなくちゃいけないんだ。

 

 十分もしないうちにLIMEに玲さんから『今からそっちに向かう』とだけ短いメッセージが届いて僕らは彼女と合流することに。

 これから僕の部屋に女の子を初めて向かい入れる。緊張もするけれどこうやって誰かと一緒に勉強するなんて今までに経験がなかったから何だか新鮮。

 

 玲さんと合流して四人でゆっくりと歩き始めた。僕と親しくなりたいと言ってくれた女の子らとちょっとずつだけど仲を深めていこうと改めて思った。

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