普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった! 作:南雲悠介
〈学園の雰囲気が変わって来たみたいね〉
小鳥遊君がうちの学園に通うことになってから園内の雰囲気も独特なものへ変化した。
女子生徒達はそれぞれが自分のアピールポイントを理解して長所を伸ばしている。
私は理事長として学園を任されている立場。歩美さんから大事な息子さんを預かっている
プロジェクトの事を全校生徒に伝えてからこの学園を去る事を選択した女の子はいない。
他校への編入の手続きを迅速に進めるのは私の仕事の一つでもあるのだけれど。
生徒たちが選んだ事を支えてあげるのは他の先生たちの役割。
私の仕事はあくまでも学園に関わる事務的な処理からプロジェクトの進捗状況の報告などデスクワーク中心。経営や学園の運営の事もしっかりと考えなくてはいけない。
歩美さんが今度学園を訪れる事になっている。都合を合わせて何度も訪問すると言っていた。
息子さんの事が気になるのかしら?
母親の想いを彼がどの程度理解しているのかは分からないけれど、少なくとも歩美さんは勇人君を大事に思っている。
本人はなかなかそう言った事を自分の口から彼に話そうとしない。
親子なんだから気を遣わずにいればいいのに。歩美さんは仕事ばかりで息子と向き合う時間を取れなかった事を悔やんでいるみたい。
赤の他人の私から見ても心配になるくらいかなり複雑な親子関係。
今日も一日の仕事を始める為にコーヒーを準備する。モニターに映し出された勇人君からの報告書に目を通しながら「ふぅ」と一息ついた。
*
テストが近いから放課後は部活動は休みで教室に残って勉強するクラスメイトの姿を見かける。
僕の午後からの予定は特に無い。これから自分の部屋へ戻っても良いのだけど、昨日夜あった出来事を思い出していた。
名前も聞かなかった女の子、彼女は僕に会いに来た何て言ってたっけ。
部屋で聞いた物音もきっとあの子が僕に会う為に行動したからなんだろう。
同じ学園に通っているのならもしかしたらまたどこかで会えるかもしれない
クラスに残る女の子たちからの視線が気になるけれど僕はタブレットを取り出してテスト範囲を確認した。
「小鳥遊君。良かったら私達と一緒に勉強しない」
タブレットを机の上に置いて頬杖をつくとクラスの女の子に声をかけられた。
僕は彼女がついさっきまでいたグループの方へ目線を移すと何人かの女の子と目が逢う。
「お邪魔じゃないのなら」
そう返事をして女子グループの輪に入る。これからはこういう機会も増えて来るだろうから慣れなくちゃいけないなあ。
僕はバッグを床に置いて僕を誘いに来た女の子の隣に座った。
彼女ははにかんだ笑顔を見せてくれた。
ふわりと香る良い匂い。女の子って本当に良い匂いがする。
タブレットを操作して勉強を教え合う。殆ど初めて話す子ばかりで少しだけ緊張した。
彼女達が今の僕をどういう風に思っているのはわからないけれど、こんな僕とコミュニケーションを取ってくれるのはありがたい。
クラスメイトの名前は覚えておかないといけないや。
時刻は十八時になろうかとしていた。ホームルームが終わってから教室で勉強を三時間くらいやってた事になる。
「今日は勉強に誘ってくれてありがとう。また機会があれば遠慮なく声をかけてね」
誘ってくれた女の子にお礼を言ってから教室を後にした。こんな時間まで学園にいるのは珍しい。
僕は軽やかな足取りで真っ直ぐ自分の部屋へ向かった。
「ふぅ」
髪の毛をドライヤーで乾かして一息つく。僕の部屋には風呂が付いているのがありがたい。
さっきまで長風呂していたから体はポカポカと暖かい。
スマホをベッドの上に置いて寝転んだ。これからこの間みたく女の子達がこの部屋を訪ねて来る機会も増えていくんだろうなあ。
相倉さんや御崎さんとは仲良くやれているけど、まだ特定の誰かと深い関係になった訳じゃない。
彼女らにはそれぞれに僕と関わる目的があるんだろう。
そうだ、分かっているさ。
プロジェクトに関係しているのは僕だけじゃない、この学園に通う女子が対象なんだ。
今年卒業する上級生は必死になっているのだろう。
将来の事を考えて自分達がどう行動するべきなのか皆知っている。
僕からもっと積極的に関わっていかなくちゃいけないんだ。
すぐにやってみよう。明日からクラスメイトの女の子達とちゃんと接していこう。
そう決意した僕はクラスメイトの名前と顔を覚える為に夜の遅い時間までパソコンに向き合う。
結局、寝るのは二十三時を過ぎた頃だった。
LIMEにメッセージが届いていたのに気がついたのは翌日になる。