普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった! 作:南雲悠介
全校生徒は理事長からの呼び出しで集められる。
学園側から生徒達に大事な話があるらしい。クラスの子達は「何の話だろう?」とあれこれ予測を立てていた。
女子生徒しか通えないはずのこの学園にどうして男子がいたんだろう?
私はその事で頭が一杯だった。
(さすがの人数だなぁ)
全校生徒が一つの場所に集まる──クラス毎の人数が多いからかなり窮屈に感じる。
周りは少しざわついているけれど、私達は準備された椅子に座おって理事長の話を聞く。
なんとも言えない雰囲気の中理事長は学園が遂行するあるプロジェクトについて説明を始めた。
〈ハーレム・プロジェクト〉 (正式名称自然繁殖推奨プロジェクト)
近未来の人口増加を目指す一大プロジェクト。
この学園に通う私達生徒はその計画の一端を担っているらしい。
理事長の言葉に周りが騒がしくなる。その反応も当然だと思う。私達は入学する時にそんな事は聞かされてないし……。
学園側に不信感を抱く子が出ても不思議じゃない。理事長はプロジェクトの意味を生徒達に伝える。
半信半疑で話を聞いている子がほとんどだけど中には逆な反応を見せる子もいた。
生まれや家柄でお嬢様達はそれぞれプライドを持っていた、自分よりも立場の下な子達を奴隷のように扱っているのを見かける。
私はああいうのは大嫌いで注意した事もあるんだけど、彼女らは聞き入れてくれなかった。
そんな私達が女子生徒が皆同じ状況に置かれているという事、プロジェクトに関われば約束された未来が待っていると言う説明に目を輝かせる子がいる。
その日を境に学園内の雰囲気がちょっとずつ変わっていく。
まずは生徒たちが皆身嗜みに気を遣い始めた、制服を着崩していた子も胸元のリボンを結んでしゃんとした格好をする。
メイクをして来てる子もちらほらと見かける。皆Aクラスにいると言う意中の人が気になるみたい。
プロジェクトに関わる気の無い生徒には学園側が新しい編入先を手配してくれるみたいで近いうちに全校生徒にヒアリングをして今後の自分の身の振り方を選択する。
私はどうしようかな? 親元を離れてこの学園に進学して将来の事なんてまだまだずっと後の事だと思ってた。
周りの子たちがアクションを起こす中、私自身も今後どうするべきなのか考えてみよう。
あの時、偶然出会った男の子がきっと【小鳥遊勇人】君なんだろうなぁ。
彼は初対面の私にどんな印象を持ったのかな?
もしかしたらあのやり取りを覚えてすらいないかも……。
第一印象で大方のイメージが決まるって言う話を聞いた事があるけど、私も彼の事を知らないからこれから少しずつ分かるようになればいっか。
放課後の校舎は静かな時間が流れる──部活に精を出す子もいれば真っ直ぐに自分の部屋に帰る子もいる。
皆、それぞれが自分の時間を過ごす中で、私は入部希望届に視線を向けた。
「……何の部活に入ろうかなぁ」
部活は強制じゃ無いんだけど、せっかくの学園生活だからハリのあるものにしなくちゃね!
夕暮れに染まる教室で一人まだ何も書いていない一枚の紙を眺めながら放課後を過ごす。
「今日も疲れちゃった」
自分の部屋に戻ってからは制服も脱がずに真っ先にベッドに倒れ込む。
(ちょっとくらいなら寝ちゃっても大丈夫だよね?)
さすがに眠気には勝てないから十分だけでも良いから眠っちゃおう。
十分後にアラームをセットしてうつ伏せのままゆっくりと目を閉じた。
ピピピ
時間通りに鳴るアラームを止めてベッドから体を起こして軽く伸びをする。
欠伸が出るのを我慢しつつ着替えを持って女子寮の大浴場へ。
お風呂に入る時間は特に決まりが無くて生徒たちが自分の良い時間に入浴する事ができる。
お嬢様たちの通う学園なだけあって女子寮の大浴場はかなりの広さがある。私の実家のお風呂もそれなりに大きかったけれど、比較するとそれほどじゃない。
脱いだ下着を洗濯機に入れてスイッチを押す。この時間帯だと誰も使っている子はいないみたい。
女湯には最新型の洗濯機が何台も備え付けてあってそれを使って服を洗濯する。
時々、他の子下着を自分のと間違えちゃいそうになる事もある。
それから自動販売機もあって冷たい飲み物が売られていて百円あれば全部買えちゃうのはお得じゃないかなぁ
ワンコインで買えるのはすごくありがたいし、意外とドリンクの種類も豊富。
シャンプーやボディーソープは事前に注文すれば購入できる。
一応寮の購買部でも売っているから困った時は使ってみるのもありかも。
チャポン!
「ふぅ」
体を洗ってお湯に浸かる。お風呂に入るとさっきまでの疲れは抜けて温かいお湯が体を解していく。
じっくり一人で考える時間も欲しかった私は長い時間入浴する。
「そろそろ上がろうかしら」
お風呂から出ようとすると浴場の扉が空いて誰か入って来た。
「あ、誰か入ってたみたい。こんな時間に珍しい。私だけかと思ってた」
顔も知らない女の子がお風呂に入って来た。彼女は体を洗ってシャンプーを済ませて私の方に近づいて来る。
(せっかく一人で考えてたのにこれじゃあ台無しじゃない)
「待って! もし良かったら少しお話ししない?」
「えっ……?」
この子は何を考えているんだろう……。顔見知りでも無い相手にいきなり話しかけるなんて。
「私、もう上がろうと思ってたんだけど……」
「そうなんだ? それじゃあ引き止めちゃってごめんね」
そう言ってあっさりと引き下がる彼女の様子を見て私はちょっと面をくらう。
「別に少しだけならいいよ」
私は彼女の隣に座る。
「そう? 迷惑だったらすぐに言ってね」
パッと明るい表情を浮かべると彼女は目を輝かせて話始める。
「あのね。実は私クラスの友達とあまり上手くいってないんだ」
「たはは」と笑うけど、その顔はどこか寂しい雰囲気を漂わせていた。私は黙って彼女の話を聞く。
「あなたは今の学園の状況をどういう風に捉えてるの?」
「分かんない。理事長から説明された事も正直あまりピンと来てない」
「そうだよねー。うん、私その気持ち分かるよ。いきなりだったもんねー。私らが学園に通っている理由がまさかあんなプロジェクトの為だと聞かされた時はびっくりしたよ」
「将来の事なんて今までちゃんと考えて来なかったからこれから自分で選択できるのはまだ恵まれているんじゃないかなって思うの。もちろん最終的には彼に選んで貰えるような女の子にならなくちゃいけないんだけね」
彼女はプロジェクトに対して真剣に考えていると分かる──私が学園に通っている意味をもう一度よく考えさせられる。
嫌なら他の学校へ転入もできるし結局自分の事は自分で決めるしかない。
私のなりたい私って何だろう?
未来のビジョンなんてすぐには浮かんでこないし、ましてや今はまだ自分の中でもこれからどうすればいいのか答えすら出ていない。
名前も知らないこの子はしっかりと決断したんだろう。私にできることは──
彼女と話してお風呂を出る。私は部屋に戻った後にもう一度自分自身に問いかける。
今後のこと、未来の情景を描いて眠りについた。