普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった! 作:南雲悠介
「次の授業って何だっけ?」
「確か体育だったはず。私達は教室《ここ》で着替えるけど、どうする?」
「私もそうしよっかなぁ。どうせ女子しかいないんだし」
「だよねーあんたもさっさと着替えちゃいなよ」
クラスメイトの会話を聞いた僕はため息一つついてスポーツバッグに手をかけて立ち上がる。
僕が立ち上がるとクラスの女子からの視線が集まる。
女の子達は照れたように頬を染めている。男の僕が女子しかいない教室で着替えるのは苦痛でしかない。
まず目のやり場に困る……。
女子しかいない教室だと案外彼女達は大胆な行動をする事が多い、プロジェクトの件が全校生徒に知られてからは振る舞い方を変える子が増えてきた。
まず教室や廊下で女の子達に挨拶をされるようになったのが小さな“変化”の一つだ。最初の頃と比べたら男子の僕に対する接し方が柔らかくなった気がする。それでもまだ冷たい視線を感じる事はあるんだけどね。
「小鳥遊君がいても私達は気にしないんだけどねー」
「むしろ彼に私のプロポーションの虜になって欲しいくらい」
「あんたずるいわよ! 色仕掛けなんて!」
「だって女ならそう言うところも武器にするべきじゃない? ぐずぐずしてたらあっという間に三年間が過ぎちゃうからねぇ」
「言えてるー私らは彼に選ばれないと将来無いしね……」
「うちのお母様にプロジェクトの事話したらものすごい事になったの」
「うちもだよーチャンス貰ってるならそれを活かしないってうるさくて」
「どこの親も似たようなものなんだね。うちだけかと思っちゃったよ」
「けどさ、私らは小鳥遊君と同じクラスなのにあんまり彼と話してないよね」
「確かに」
「もっと積極的にならないといけないのかもね」
「抜け駆けって言うの違うと思うんだよね。学園に通う女の子全員にチャンスがあるわけだしさー彼に選ばれるかは結局は私達次第ってこと」
「やっば! 急がないと次の授業に遅れちゃう!」
「あ! 待ってよー私もすぐに行くから」
何気ない会話を聞いていたAクラスの女子達はそれぞれ今後の事を考えるのだった。
(この状況は非常にまずい……)
今日の体育の授業は柔軟──マットの準備を手伝う中僕は鬱屈な気持ちになっていた。本来ならば体育は男女別の授業になるはずなのに何故か今日は女子と同じ柔軟をやる事になった。体操着姿で整列するクラスメイト、チラチラと僕の様子を伺う子がいる中で自分だけ疎外感を覚えながら体を動かして行く。
普段からあまり運動をする方じゃ無いけど体育の授業で体を動かす程度なら問題ない。
女子からの視線を感じるけれど、授業に集中しようと頭をリセットして柔軟に挑む。
「それじゃあペアになって! 授業を始めるわよ」
先生の掛け声を聞いて僕は周りを見渡す──けれど誰もペアを作ろうとしない。
「どうしたの? 皆、ペアを作らないと授業が進められないわよ」
女の子達はキョロキョロとしてペアを組む相手を探す。こう言う時は積極的に行かないと最後に一人余って結局、先生と一緒になる事があるんだ。
何故詳しいかって? 僕は先生と組む機会が多かったから。中学生時代に仲が良い友達もいなかったし、先生と組んでも気にしなかったけど僕が当時のクラスメイトにどういう風に映っていたのかは今は知る由もない。
僕はペアを組む相手なんていないから女子の輪から離れる。
先生の言葉でペアを組んで行く皆を眺めながら準備体操を進める。
「ねえ、良かったら私とペアにならない?」
「えっ……?」
まだあまり話した事のない女の子に声をかけられた、彼女は僕の腕に自分の腕を絡めてガッチリとホールドする。
腕に生暖かい感触を感じて胸がドキドキしてきた。
「もしかして私の胸でドキドキしてる?」
耳元で優しく囁いて更に体を密着させてくる。女の子の良い匂いと柔らかな感触を肌に感じる。
「あのさ、胸当たってるんだけど……」
「自分から小鳥遊君と密着させてるの、もっと私で感じて?」
上目遣いで見つめて来る女の子に僕はどうして良いのか分からずにリアクションできない。
「ちょっとこっちに来なさい!」
「いや〜ん。せっかく良いところだったのに」
僕から引き離された彼女は名残惜しそうに連れて行かれた。女子の輪の中にいた御崎さんと目が合うと僕は気まずそうな表情をする。
「小鳥遊君も早くペアを作っちゃいなさい」
先生の言葉に僕は渋々従う事にする。女子はもうペアを作っていて結局僕は余ってしまった。
(さてと、どうなる事やら)
明らかに浮いている僕を見て先生がやれやれと言った表情を見せる。
「仕方ないわね。小鳥遊君は私とペアになりましょう」
僕は先生の側で準備運動をする──大人の女性と接するのはそんなに無いから緊張する。
て言うか体を動かしているとやはり女子からの視線が集まる。
注目されるのにはいい加減慣れなくちゃいけないなあ。
今日の授業は何だかゆったりと時間が流れる気がするんだ
「それじゃあ今から先生がやる柔軟をみんなもやってみて。小鳥遊君は先生の背中をゆっくり押して貰えるかしら?」
マットな脚を開いて体を前に倒して柔軟やる先生の指示に従って背中を押す。
かなり体が柔らかいのか胸が地面についても先生は苦しそうな顔も見せずに続ける。
女子たちも真似をするけど、流石にここまで柔らかく無い子ばかりなのか苦戦しているように見えた。
「先生凄すぎ! どうやったらそんなに体柔らかくなるの?」
「学生時代から柔軟は続けて来たから皆は若いんだからこれからよ」
先生は姿勢を変える──脚を上下に開いてゆっくりと伸びを始める。
「ごめん小鳥遊君。あなたも授業に参加して良いわよ」
別に準備されたマットを眺めながら考える、まさかあれを僕もやるのか? 先生の真似はできそうに無いから適当にやるしかないそうさ。
苦しそうな顔を見せる子もいれば先生みたいに体の柔らかい子もいる。
僕は座って体を前に倒す──いてて、これは意外とキツいぞ……。
普段からあまり運動をやる方じゃない僕の体は結構硬い。
女子に混じって一緒に体育の授業を受けているなんて何か変な感じだけど仕方ないだと割り切ってる。
女子たちが休憩している間も僕は一人で柔軟を続ける。チラチラと見ていた子達は今度ははっきりと僕の方へ視線を向ける。
「小鳥遊君。少し休んでいいわよ」
先生の言葉に僕はマットに寝込んだ、高い天井を眺めて呼吸を整える。
休憩が終わったら次は先生の柔軟を手伝う事になっている。
指示された通りにペアとして授業の補助をして行く。たまにはこう言うのも悪くないか。
体育の授業は問題なく終わり僕は自分から進んでマットを片付ける。
「ありがとう。手伝わせてごめんなさいね」
「いえ、僕が自分でやっていることですから」
「次の授業はきちんと小鳥遊君も参加できるものにするわ。今日の授業は流石に緊張したんじゃない?」
「そうですね。女子だけの体育の授業を僕が受けるなんて経験ありませんでしたから緊張感しましたよ」
「学園側もねあなたと女子生徒たちとの交流の機会を増やす目的があるみたいなの。私たち教師も例のプロジェクトの事は聞かされているし、成功する為に協力しなくちゃいけないの。それも私たちの仕事だから」
道具の片付けも終わって僕も教室に戻る事に、ジャージ姿で廊下を歩く。広い校舎の中をゆっくりとした時間が流れる。
更衣室に向かう途中にFクラスの前で足を止めた。
(相倉さんはいるだろうか?)
僕の周りも随分と賑やかになった気がする。
クラスの違う相倉さんは初めて仲良くなった女の子。それから御崎さんに玲さん。LIMEなんて使う機会はなかったのに今ではグループチャットを使って色々な事を知る事ができた。
これから周りにもっと関わっていきたいと決めた僕は「よし」と小さな声で気合を入れてからFクラスの教室を離れる。
「えっ……?」
顔を前に向けると一人の女の子がそこにいた。
「……キミは確か」
目の前にいる子の顔をじっと見つめる。
そうだ、僕は彼女の事を知っている──まさかこんなところで会うなんて。
もう二度と出逢うことはないだろうと思っていた相手に偶然に再会する。それは新しい物語のページを開くような感覚でまるで僕たちがまた逢う事が運命的なものだと感じられるようだった。