普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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46.「この細やかな時間を大切にして行こうと思えるんだ」

「おはよう。御崎さん、ちょっと良いかな?」

「?」

「あのさ、今日の放課後って暇? もしも用事がないのなら小鳥遊班で集まって遊ぼうかなと思ってるんだ。ああ、もう相倉さんと玲さんには連絡済みだよ。牧野さんにはこれからLIMEしようと思う」

「放課後ね、うん、良いわよ。あたしも特に予定はないし」

「ありがとう。また、街に繰り出そうと思うんだ、ていうか実は今日はあまり学園にいたくないんだ」

 

 僕らは放課後街に繰り出す約束をする──その前に理事長に会わないといけないことも伝えておいた。プロジェクトに関する大事な話がある、それは僕の今後にも関わることだから蔑ろにするわけにはいかない。

 

 母さんが来るということで学園内の雰囲気はいつもよりも賑わっている、メイクをしっかりとしている子をちらほらと見かける中で僕はできるだけ目立たないように行動した。

 授業に集中しながらぼんやりと考える。これから僕がやろうとしている事──それに対して学園に通う子たちはどういう反応を見せるのか? 

 

 小鳥遊班に加わる女子はこれから増えていくと思う。偶然に小阪さんと目を合わせる、そう言えばここ最近彼女とは話していないな。

 転入初日に色々あってまだそこまで仲が良いとは言えないけれどせっかく同じクラスになれたわけなんだしもっと彼女とも仲良くなれればいい。

 

 たまに御崎さんと話しているところ見ると小阪さんは僕らの事を鬱陶しく感じてはいないようだ、相倉さんの積極性をお手本にして周りの子とコミュニケーションを取ってみようかな。そうだ、放課後の件、小阪さんも誘ってみよう。もし断られたとしても食い下がって彼女を無理にでも小鳥遊班の活動に付き合わせよう。

 

 ちょっと強引な気もするけど、仲良くなりたいのならそういう積極性も必要じゃないかと思う。僕は今まで自分の周囲の人と関わってこなかったから。

 

 あっという間に帰りのホームルームの時間を迎えた、担任の香月先生からはいくつかの注意点と学園行事に関する説明を受ける、僕は話を聞きながらどうやって小阪さんに声をかけようか考えていた。

 一応御崎さんにも相談しておこうかな。放課後になって僕は隣に座っている御崎さんに「先に用事を済ませてくるよ」と声をかけて教室を出て理事長室へ向かう、小阪さんの件は「OK」と返事を貰ったし僕が戻るまでは彼女に任せておこう。

 

 

 *

 

「失礼します」

 

 ドアをノックして扉を開ける。

 

「あら、いらっしゃい。さあ、座って。一体今日は何の話があるのかしら?」

 

 フカフカのソファに腰を下ろして理事長が準備した紅茶のカップに口をつけた。

 

「はい、実は今日はプロジェクトに関して大事な話がしたくて来たんです」

 

 神崎さんはデスクから立ち上がって僕の目の前に座るとお菓子を一つだけ摘んで口の中へ。

 

「今まで僕はプロジェクトに関して半信半疑で自分が女子校に通っているのが信じられないし、いきなりのことだったので戸惑いました……。母さんに無理やりに決められたことでしたし、自分がそんな重要な企画に関わっているなんて実感湧きませんでした」

 

「けれど、最近ではそんな考え方が変わってきたんです。きっかけはひとりの女の子でした。彼女はプロジェクトに真剣に向き合っていて僕と恋人になれるように努力していたんです、そして、他の子と接するうちに僕自身、彼女たちの将来を真面目に考えなくちゃいけないなと思ったんです、きちんと向き合ってくれている子たちに対して僕はいい加減な態度を見せるわけにはいきません」

 

「だから僕はこの学園に通う意味──プロジェクトを達成させるために真面目に取り組んでいこうと考え方を変えました。これからは周りに積極的に関わっていこうかなと、そして最終的には恋人を選んでその先の未来を思い描いて、活動していこうと。それで今日は理事長にお願いしたいことがあって来たんです」

 

 僕の言葉を黙って聞いてくれている、正直神崎さんには面倒な事を押し付けるかもしれない、それでも僕が決意した事は揺らぎない。

 

「僕がプロジェクトに真剣に関わっていくのでもしも学園内でまだプロジェクトに対して懐疑的な意見を持っている子、あるいは初めから真面目に取り組むつもりがない子は早めに進退をはっきりとさせてほしいんです。彼女たちのこれから先のことを考えると学園に三年間縛られているよりも違った選択肢を選べる方が道は広がってくると思うんです」

 

「僕との恋人になりたくなのなら無理はさせたくないし、プロジェクトを成功させる意志がある子に残ってほしいんです。もちろん最終的な目標はわかっています。プロジェクトの為でもいいので僕との将来を考えられる子を選びたい、彼女たちにふさわしいと思われるような人間にならなくちゃいけないんです。それが今向き合ってくれている女の子たちへ僕からのできる最大の誠意なんじゃないかなって」

 

「そこまで、考えていたのね、正直驚いたわ。初めてあなたがうちの学園に編入されることになったと聞いた時は不安な気持ちもあったの、だってあなたは自分の意志じゃなくて美鈴さんに言われたからなんでしょう? それでプロジェクトを成功させることができるのかしらって」

 

「美鈴さんと今日話してあなたの考えも聞いて私も学園を預かる身としての立場を理解して行動しようと思うの。まあ、実は近いうちに生徒たちにヒアリングを行う予定だったの、そこで自分のこれからの事を決めてもらう、学園を去るというのなら別の転入先を用意するつもりでいたの。選ぶのは生徒だから学園側は無理にとは言わない」

 

「プロジェクトを成功させることに価値観を見出せる子がどのくらいいるか? 自分の将来を見据えて活動するなんてなかなかできることじゃないわ。ここに通っている子は大半が名家のお嬢様で由緒正しき家柄で育ってプライドが高い子も多いわ。従者の子と分け隔てなく接している子はほとんどいないわ」

 

「プロジェクトの内容を生徒に説明した時に目の色が変わった子もいたわ。有名な家柄でも格差があって大企業の令嬢さんは周りの子を見下している、お嬢様の中にも派閥みたいなものがあって大変なのよ。ここに通っているうちはそういったしがらみはゼロになる。みんな平等にチャンスが与えられているわけね」

 

「それが納得できない子だっているわ。今までの自分の生き方を変えることは難しいの。プライドがあるからこそね」

 

「勇人君の言いたい事はちゃんと分かってるわ。ヒアリングの結果が出たあなたにも教えることにしましょう」

 

「無理を言ってすみません……」

 

「いいのよ。私はあなたには協力するつもりだし、ああ、別に美鈴さんに言われたからってわけじゃないわよ? 私の個人的な気持ちで動いているの」

 

 神崎さんとの話を終えた僕は理事長室を後にする──今まで自分から進んで行動したことがあっただろうか? 

 この学園に通うようになって起こった“変化”だ。それは良い傾向でもある。

 

「さてと、みんなを待たせているんだ。急いで待ち合わせ場所に向かおう」

 

 小鳥遊班のみんなに用事が終えた事をLIMEのメッセージで伝える。放課後は街で遊ぶ約束をしている。僕は中庭を抜けて外へ出た。

 

 

「あっ! 小鳥遊君来たよ! こっちだよ〜」

 

 僕の姿を見つけた相倉さんが元気に手を振ってくれた、その後他のこ達も同じように手を振る。僕は片手を上げて彼女達の輪の中に入ると──

 

 ──その中に小阪さんもいた。

 

「小阪さんも今日は付き合ってくれてありがとう」

「別に好きできたわけじゃありませんわ。ただ、御崎さんに誘われて仕方なくです」

 

 そう言って隣にいる御崎さんを見る。彼女は僕と目が合っても逸らすことはせずに優しい笑顔を向けてくれた。

 

「小鳥遊班に新しい仲間が加わったところで今日は一体どこへ行くんだい?」

 

 玲さんが訪ねる、彼女は基本的にインドア派と言っていたのに僕らの細やかな用事に付き合ってくれている。

 

「行く場所は決まってるんだ。さあ、みんなついて来て」

 

 先頭の僕が街の方へ走り出すとみんなが後をついて来る。誰かと行動することがこんなにも楽しいことだなんてね。昔の僕が知ったらどんな顔をするだろう? 

 温かい日差しを浴びながらかけがえのない時間を過ごす、みんなの笑顔の中心に僕がいて──

 

 ──そんな穏やかな日常を僕は大切にしていきたいと思うんだ。

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