普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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2.「プロジェクトの真意」

「これでいいかな?」

 鏡の前で制服のネクタイを結ぶ。今日は僕が通うことになっている恋麗女子学園の入学式。

 って言っても僕は式に参加するわけじゃない、まずは学園の理事長に挨拶をしてから色々な説明を受けてからクラスに編入されることになっている。

 学園の理事長は母さんの知り合いで僕が女子高に通うことを正式に許可してくれた人でもある。

 母さんの期待を裏切らない為にも学校内では問題を起こさないようにしないと。

 

「勇人様、お車の準備ができました」

「はい、今行きます」

 うちで働いているお手伝いさんが学園までは車で送迎してくれる。

 その後は学園側で特別に用意された男子寮に入寮する。

 必要な荷物とか後で届けてくれるみたいだし取りあえずは一人で生活するために最低限なものだけ持ち込むことにしよう。

 僕は支度を済ませて車に乗り込こんだ、もうこの家に帰って来ることはないんだろうなあ。

 

「それではお気をつけて」

「ありがとうございました」

 車から降りて学園の正門へ──

 

「──さすがに大きいなあ」

 学園についてまず目の前の門の大きさに驚いた。運営にお金をかけているだけのことはある。

 正直、機会がないとこんな学園に通えるなんて考えもしないだろう。

 関係者の理事長が直接会いに来てくれるらしいんだけど……大きな門の前に突っ立ってしばらく待ってみることにした。

 

「あなたが小鳥遊勇人(たかなしゆうと)君ね」

 名前を呼ばれて振り返ると、スーツ姿とてもきれいな女性が立っていた。

 

「えっ……? はい、そうですけど」

「ようこそ恋麗女子学園へ、私は理事長の神崎(かんざき)よ」

 差し出された手に僕も手を出して握手をする──理事長さんの手は小さいけれど、女性らしい手だなって思った。

 

「ここではなんですし中に入って話しましょうか」

 理事長さんに案内されて学園内へ、門を潜って少し歩くと建てられて日の浅い校舎が見える。

 母さんから聞いた話によると恋麗女子学園はまだ設立されて十数年ほど、目の前にいる理事長さんも最近就任したばかりらしい。

 それでもここの卒業生は多くの場所で活躍しているし、テレビで見るアナウンサーとかも恋麗女子学園と提携を結んでいる大学の出身。筋金入りのお嬢様学校っていう言葉がぴったりだ。

 

「では、ここに座ってください。今から学園の説明をしますから」

「はい」

「緊張しているみたいね。大丈夫よ、あなたのことはお母様からきちんと聞いているわ」

「母さ、母にですか?」

「ええ、こちらとしてもハーレム・プロジェクトの重要性は学園側として認識しているのよ」

「そもそも、僕はそのハーレム・プロジェクトについて詳しく知らないんです」

「あら? お母さまには何の説明も受けなかったのかしら?」

「はい……あまり詳しいことは教えてもらっていないです」

「そう、私の口から話しても大丈夫なのかしら?」

「理事長さんになにも問題ないのなら聞かせてもらえませんか」

「神崎でいいわよ。小鳥遊勇人君」

「わかりました。神崎さん」

「ふふふ、素直でよろしい。そうねーどこから話せばいいかしらね」

「小鳥遊君は今、この国で女性の人口が多いことはもちろん知っているわよね?」

「はい、ニュースとかで見たことあります」

「実はね、今の世の中は人工的な妊娠が主流なのよ」

 

 母さんが昔、少しだけ話していたことがある、今の男性は生殖能力に問題がある人が多くて自然妊娠が厳しい時代で色々な検査とかを受けて問題ない人のみが子どもを作ることができるって。

 

「ちゃんと男性も生まれているんだけど、圧倒的に数は少ないのよ。人工授精のために提供する遺伝子が極端に減ってきているの。そんな中、あなたのお母さまは自然妊娠であなたを生んだわ。あなたも世の中の男性と同じで生殖能力は低いものだと思われてたのけれど実際は違ったのよ」

「違った?」

「ええ、あなたは前に何かの検査を受けたことはある?」

「そう言えばー。前に母さんに健康診断だって言われて病院で検査したことがあります……」

「その結果、あなたは今までの男性にはない高い生殖力があるっていうことが確認されたの」

「僕がですか?」

「そうよ、だからあなたのお母様は政府に掛け合ってあるプロジェクトを立ち上げたの」

「ハーレム・プロジェクト──正式名称は自然繁殖推奨プロジェクト」

「これからの未来のために自然的な人口増加と繁栄を目指す。あなたの学園への編入の真の目的はそこにあるのよ」

「そうだったんですか……」

「もちろん、あなたが望まない相手と行為をすることはプロジェクトの根幹にも関わることだからこちら側も推奨できない」

「だから、学園側は今回からあなたにふさわしい女の子を育てて、ひとりでも多くの子と小鳥遊君と恋愛関係になってもらいたいのよ、私はこのプロジェクトが成功することを願っているわ」

 

 神崎さんから自分がこの学園に通う本当の理由を知ることができた。

 母さんは僕の将来よりもずっと先の未来の事を考えている。

 今まで誰からも必要とされてなかったと思っていた僕にこんな重要な役割があるなんて聞かされて意気消沈気味。

 もしも失敗したらどうしよう? っていう先が見えない不安が襲ってくる。

 

「小鳥遊君には本当の事を話したけれど、これからあなたが編入されるクラスの女の子達はそんなことは知らないわ。だからこの事は他人に気安く話すようなことじゃないって言うのは理解できるかしら?」

「はい」

「何か困った事があれば何でも相談してね。あなたが不自由なく学園生活を送れるようにこちら側も最大限に配慮する必要があるし」

「ありがとうございます」

「入学式はもう終わって生徒たちが教室に戻る時間だからあなたももう行きなさい、香月(こうづき)先生、小鳥遊君を教室まで案内してあげて」

「わかりました」

 理事長室を出て教室までの道のりを歩く──長い廊下に靴音が響く。

 

「着きましたよ。私は中で説明をしてくるので小鳥遊君は呼ばれるまでここで待っていて」

 先生は教室に入って数分廊下で待たされる。こういうのは経験したことがないからなんだか緊張する。

 

「小鳥遊君。入ってきていいですよ」

「はい」

 名前を呼ばれて僕は背筋を伸ばしてドアを開けて中に入る、転校生の気持ちが少しだけわかる気がした。

 

「今日から皆さんと同じクラスになる小鳥遊勇人です! よろしくお願いします」

 英才教育で学んだしっかりとした礼の仕方で頭を下げる。

 

「やーね、男ですって」

「問題を起こさないといいのだけれど」

「男なんて汚らわしい生き物がどうして私たちの学び舎にいるのでしょう?」

「教室を分けることはできないのかしら」

「はいはい、皆さん静かにしてください。小鳥遊君の席は一番後ろの窓際ですよ」

 頭を上げて教室を見渡すと一つだけ空いている席がある──多分あれが僕の席なんだろう。

 姿勢を正して自分の席に向かう、途中でもクラス中の強い視線がぐさぐさと刺さって来るのがわかる。

 そんな視線を受けながらやっと自分の席へたどり着いた。教室に来て席に座るまでにこんなにきつい思いをするなんて……

 僕は席について先生の話を聞く。ふと隣を見るとこっちを興味深そう見ているに女の子と目が合った。

 

「よ、よろしく」

 控えめに挨拶をするとその子はぷいっとそっぽを向いた。

 こんな調子でこれから上手くやっていけるんだろうか? 転入初日なのにこの先の事が不安になってきた。

 

 *Someone's point of view*

 

「なんなんですの! あの方は」

 女子だけの学び舎に相応しくない男子生徒が私は気になっていました。

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