普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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47.「まずはみんなで遊んでみよう」

 今日は最近新しくオープンしたって言うお洒落なアミューズメントパークまで遊びに来た。学生でも手頃な価格で遊ぶことができる為、人気のスポットらしい。

 事前にネットで調べておいて良かった。皆が楽しんでくれたらいいなあ、僕は目的地を小鳥遊班+αに伝えて放課後は目一杯遊ぼうと意気込んだ。

 お嬢様が多いからああいった施設に行く子は少ないらしくて僕を含めた全員が初めての体験に胸を躍らせていた。

 パークの中には流行りのビデオゲームの他にもリズムゲームやコインゲームにスポーツが体験できるアトラクションが導入されている。

 普段ゲームをやる機会が多い僕は機器の説明をしながらチームで遊べるホッケーゲームをやることにした。

 お札を両替機で百円玉に変えて数枚をポケットに入れる──小阪さんは初めて見る光景に目を丸くしていた、その様子が何だか新鮮で僕は思わずくすりと笑う。

 実は玲さんはかなりのゲーマーらしく僕らは別のペアになったけどお互いに勝ちを譲らず真剣勝負を繰り広げた。

 誰かと一緒にゲームをするのってこんなに楽しいことなんだ! 普段は専ら一人用のゲームで遊んでいたからこういった体験は実に良い。

 僕らの様子を眺めている相倉さん達も混じって色んなゲームをプレイした。筐体から聞こえてくる賑やかな音に胸を弾ませて興味のあるゲームを探している、この中では僕と玲さんが詳しいから皆に色々と教えてあげた、御崎さんと相倉さんがガンシューティングをプレイしている様子を眺めながら小休止。

 久しぶりに体を動かしたから何だか不思議と充実感を覚えている。

 

「ん? 何やってるんだろう?」

 

 みんなからちょっと離れたところでクレーンゲームの筐体をじっと見ている小阪さん──僕はすぐに彼女の元に行き声をかける。

 

「小阪さんはクレーンゲームが気になるの?」

 

「えっ……? いいえ、そんなことありませんわ」

 

 そう言いつつも彼女の視線は筐体の中になる可愛らしいぬいぐるみに向けられていた、僕は微笑みかけるとポケットからコインを数枚取り出しゲーム機に投入する。

 

「どれが欲しいの?」

 

「別にわたくしは──」

 

「遠慮しないで良いよ。景品をじっと見てたの知ってるし、欲しいのあれば僕が取ってあげるよ」

 

 目を輝かせて欲しい景品を指差す小阪さん、幸いに彼女が欲しがっているぬいぐるみは入り口近くにうつ伏せで寝かされていた。

 先ずは景品とアームの距離を確認しながらボタンを押して慎重に操作する──クレーンが動く様子を目をキラキラさせて見ている小阪さんを何だか可愛いなと感じた、アームをお目当ての景品の位置へ固定。

 さて、問題はここからだ。大体この手のゲームのアームは掴む力が弱く設定されていることが多いから掴んで入り口まで運んでいる途中に落ちてしまうことがある……。

 攻略法はそれぞれあるけど──この筐体の場合、景品を落とす入り口のところにバーが付けられてないからアームで少しずつずらして落とせばゲットできる。

 もう片方のボタンを押してアームを景品に引っ掛ける。持ち上がった瞬間に位置がずれて入り口の近くまで移動した。

 ラッキー! これなら次で取れそうだ。同じようにアームを動かして今度は深めにボタンを押し込む。

 狙い通りにぬいぐるみは持ち上がった瞬間に向きを変えてそのまま下に落ちる。

 出てきた景品を取り出して小阪さんに渡しクレーンゲームの筐体から離れる。

 

「クレーンゲームって案外難しくて取れるようになるまでコツが必要なんだけど今回はラッキーだったよ。少ない金額でゲットできたしね」

 

 僕が渡した可愛らしいぬいぐるみをギュッと抱きしめる、喜んでもらえたみたいで良かった、ずっとゲーム中も小阪さんの様子を見てたけどあまり楽しめていなさそうだったからね。

 

「ありがとうございます! わたくし大切にしますわ」

 

「うん。他に欲しいものはあったりする?」

 

「いえ、ありませんわ」

 

「そう、だったらちょっと向こうで僕に付き合ってくれないかな?」

 

 小阪さんの手を引いてダンスゲームの筐体があるエリアへ移動した。

 

「こういうゲームの経験は?」

 

「……ありませんわ」

 

「そう、やってみると案外楽しいよストレス発散にもなるし」

 

 コインを投入して機械を操作する──初心者の小阪さんが相手だから難易度はイージーに設定してっと、やっぱり僕がやっているところを見てもらった方がいい気がするな。

 

「このゲームはこうやって遊ぶんだ。曲に合わせて矢印が流れてくるからそれに合った足元のパネルを踏んでいく。最終的にスコアが多い方が勝ち」

 

 僕は自分の体を使って小阪さんにゲームの説明をする、リズムゲームは反射神経も使うけど難易度がイージーなら流れてくる矢印の数も少なくてスピードも遅いから子どもにだってクリアできる。

 

 ハイスコアの文字とプレイが終了ガイドを聞いて一旦呼吸を整えた、まだ悩んでいる様子の小阪さんの手を引いて僕の隣に陣取らせる。

 

「えっ……」

 

「大丈夫。初めはゆっくりと流れてくるからタイミグよくパネルを踏むだけだから。それじゃあ僕は1P側に移動するね」

 

 GAME STARTの文字がモニターに表示されて僕が選んだ曲が流れ始める。僕は純粋に楽しむ為にしっかりと足を動かしてパネルを踏む。

 横でプレイしている小阪さんは真剣な様子で流れてくる矢印の向きを確認していた。

 

 2P WIN!!! 

 

「負けちゃった。いやあ、すごく楽しかったよ。小阪さん初めてなのによく動けてたと思う」

 

 もちろん手なんか抜いていないこういう場合に手を抜くのは一緒に遊んでくれる相手に失礼だし何より相手に気を遣わせてしまう。

 

「どう? 小阪さんは楽しめてるかな?」

 

 ワイワイとはしゃぎながら遊んでいる玲さんたちの様子を見ながら僕は小阪さんの隣に座る。

 

「わたくしこういう場所には初めて来ましたの」

 

「そうなんだ、他の子もそうみたいらしいし、まあ。お嬢様が来るような場所ではないよね。僕は普段からゲームで遊ぶ事が多いからこういうところに来ることに違和感はないけれど」

 

 自販機でペットボトルの飲み物を買って一旦休憩する、楽しそうに遊ぶ相倉さんたちの体力には驚かされる。

 

「小阪さんが僕をどういう風に思っているのかはまだわからないけど、僕は君たちの想いに応えたいと考えてるんだ。お嬢様とお付き合いするのにふさわしいひとになりたいなって。もちろん例のプロジェクトに関することなんだけど、それでも学園に通っているからには責任を持たないといけないと思うんだ」

 

 今こうやって一緒に遊んでいるのが彼女にとっても貴重な経験になるんじゃないかと思う。

 

 そんなほんの細やかな出来事に幸福感を覚える。その後は相倉さんに誘われてパーク内でスポーツを楽しんだ、たった一日がとても長く感じ充実感を持って僕らはそれぞれの寮へ戻るのでした。


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