普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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67.「お互いの過去を知る」

 放課後、僕は御崎さんの部屋で彼女と会う約束をしている、初めてこの学園に入学した頃、彼女も他の女子生徒みたいに僕を見る目は冷ややかなものだった。

 たまたま同じクラスで席も隣同士、可愛い女の子と隣になれるなんて本来なら喜ばしいことなのかもしれないけど、あの時の僕には手放しで喜べなかった。

 自分の望んだ形でこの学園に進学したわけじゃないからだ──母さんに無理やり入れられて、不満が溜まっていた。

 だけど、相倉さんや玲さん達と知り合って僕は少しずつ変わっていった、牧野さんや御崎さんと話す事も増えて、いつの間にか僕の周りには女の子が集まっていた、そんな僕らのグループを小鳥遊班と呼んでそれぞれがコミュニケーションを取っている。

 学園に通う女の子が皆仲良くというわけにはいけないだろうけど少なくとも小鳥遊班の子たちはお互いに良い関係を築けている。

 

 僕は授業に集中する、女の子ばかりのクラスで自分の存在する理由を何とか見出して真面目に学園生活を送る。ふとメルに視線を向けるとまっすぐな瞳はボードに向けられていた、教師がPCで映した資料の説明に耳を傾けている。

 中にはノートを取らない子もいるが、それはあくまでも生徒個人の自主性を尊重しているとの事で、学園側も容認している行為なんだ。

 

 勉強の仕方はそれぞれで良い、社会で生きて行くためには個性を引き出さないといけない。お嬢様達はみんなが独自の考え方を持っているし、それを伸ばすのも教育というものなんだろう。

 

 Aクラスは以前と比べると居心地が良くなった気がする──メルのおかげなんだろうか? アイリスさんとメルと同じ学舎で勉強している自分は何だか夢見たいな感じがしていた。

 

 

 あっという間に時間は過ぎホームルームを終えてそれぞれが帰路につく──僕は同じクラスのお嬢様たちに「また明日」と挨拶を済ませて荷物をまとめる、まだ御崎さんは残っていてどうやら僕の支度が終わるのを待っているようだった、僕はサッと終わらせて教室を出る前にメルとアイリスさんに午後の予定を伝えておいた。

 特に詮索もされなかったが出ていきざまにメルが小さな声で「楽しんできてね」と呟く。

 

 御崎さんの部屋に到着して一旦辺りの様子を伺う──誰もいないよな? 特定の子の部屋に出入りしているところを見られるのはまずい……。僕はドアを軽くノックする。

 

「どうぞ」

 

 中から聞こえる声に反応してもう一度周りをキョロキョロと確認してから部屋に入った。

 

「やあ、今日はお招き頂きありがとう」

 

 社交辞令を言いつつ御崎さんの部屋に入る──前に彼女が熱を出したときに来たことがあるけれど、やっぱり女の子の部屋というのは緊張するな……。

 

「うん、まずは座って」

 

 御崎さんの出してくれたクッションの上に座り込む、僕と彼女は向き合う形になる。

 

「今日部屋に来てもらったのは聞いて欲しいことがあるからなんだ、相倉さんや藤森さんを見てて感じたの、あたしももっとあなたのことをしらなくちゃいけないってだから聞いて欲しいの」

 

「うん」

 

 真剣な表情の美咲さんはゆっくりと口開き始めた。

 

 御崎さんが恋麗女子学園へ進学してきた理由、彼女の実家のことを聞いた。昔、有名だった化粧品メーカーで今ではブランドの力が衰えているということを、親が自分を見てくれていなかったという彼女の寂しさに僕は共感できる部分がある。

 

「いきなり小鳥遊君にこんな話して反応に困るよね……。ごめんなさい」

 

「ううん、そんなことないよ話してくれてありがとう。今まで僕は御崎さんのことちっとも知らなかったんだなって気づくことができた」

 

「僕もさ、母親とはうまくいってないんだ。【小鳥遊美鈴】って名前は聞いたことがあるでしょう? あの人が僕の母さんなんだ」

 

「……そうだったんだ」

 

「仕事一辺倒で家には殆ど帰ってこなかった、だから僕は子どもの頃から家族団欒とは縁遠い生活を送っていたんだ、身の回りの世話は母さんが雇ったメイドさんがやってくれてたし、教育にもうるさかったよ」

 

「あたしが小鳥遊君と初めて会った時に何か他の人と距離を置いてるなって印象を持ってたの」

 

「あながち間違いではないよ。僕が望んでそうしてきたんだから下手に人間関係を作らないほうが楽だなって思っていたから中学まで仲の良い友達なんて一人もいなかった」

 

「そうだったの? あたしたちと仲良く話しているから友達も多いかと思っていたよ」

 

「社交的な付き合いが上手いだけだよ、本当の僕を知る人がいないからね、だから気を遣わなくてすむからね、この間、長年いなかった父親と再会したんだ、どういう人なのかきになっていたけど、父さんは僕のことを真剣に考えてくれていたんだ、もう十年以上会っていない息子を海外にいても気にかけてた。父さんと連絡先も交換したし、今後は僕の力になってくれるってさ。本当に嬉しかったよ」

 

 初めて父さんと会って話をした時は緊張した──けれども、父親が僕を想っていた気持ちを知れて家族って悪くないものだなって実感する。

 

 僕は十年もの間くすぶっていた感情を上手く伝えられたかどうかはまだわからないけれど、ちょっとずつ親子の仲を取り戻していこうと考える。

 

「御崎さんの事、色々知れて良かった話してくれてありがとう」

 

 僕は彼女の手を握って純粋な気持ちを伝えた、思っていた以上に小さな手はとても可愛いらしくて、女の子なんだって改めて実感できる。

 

「ねえ? 小鳥遊君の話だけど小鳥遊班のみんなに共有しても良いかな」

 

「それは良いけど……。みんながどういう反応するのかは気になる、僕はちゃんと好意を持ってくれている相倉さんたちに自分の事を話していなかったんだから、急に知ってどんな風に思われるのか? 正直怖い部分もあるよ」

 

「大丈夫だよ、怖がらないで、小鳥遊君がもっと辛い目に遭ってたんだなって分かるもん。親からの愛情を貰えないのってすごく寂しい事だよね……。大好きな家族と一緒に暮らしているのに他人みたいで、その心の痛みあたしにはわかるから」

 

 そうだ、御崎さんも僕と同じなんだ、彼女は一生懸命に生きていてそれでも叶わない事があったんだ。同じ痛みを抱えていたから共感できる。

 僕は今までよりも彼女事を身近に感じるようになった。

 

 自分と似たような経験をしたいたひとが近くにいたなんて。僕は御崎さんの髪を優しくかきあげる、今でも彼女は不安なんだ……。

 そんな様子をおくびにも出さないで振る舞っている。

 

「御崎さんの気持ちすごくわかるよ。今で辛かったね、もう平気だよ」

 

 今日のできごとで僕らの関係はより親密さを増した──御崎さんからのLIMEで僕の過去を知った小鳥遊班のみんなはそれぞれ違った反応を見せていたけど、メルは二人きりで会っていたことに怒っていた。それに相倉さんも追従して色々と質問責めにされる。それを見て面白そうにからかう玲さんとちょっと怒りながら参加してくる牧野さんに板挟みされた僕はタジタジになりながらきちんと関係説明した。

 

 僕ら小鳥遊班の絆は少しずつだけど深まっていくのだった。

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