普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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75.「わたしたちのゴールデンタイムが始まるわ」

「姫様、私たちの荷物は全部積み終えたとの連絡を業者の方にいただきました」

「そう? 良かったわ! 日本に持ってきているものはそれほど多くはないのだけれど、このお部屋に置くにはちょっと量が多すぎたんじゃないかと思っていてたの。勇人は何も言わなかったけど、きっと迷惑していたんじゃないかしら」

「どうでしょう、仮にその様に感じていても小鳥遊殿ならきちんとメルア様に仰ると思いますよ。まだ、知り合ってから日は浅いですが、とても紳士的な方だなという印象を持っています」

「まあ! もしかしてアイリスも勇人に興味があるのかしら?」

「なっ! 何を仰るのですか! 小鳥遊殿じゃ将来的にメルア様の結婚相手になるかもしれないお方です、なので私も注意深く観察しているだけです」

「あらそう? 赤くなって可愛いわねアイリス」

「もう! からかわないで下さい姫様」

「わたしはもしもの話だけど勇人があなたを結婚相手として選んでも不満はないわよ。だってこの学園に通っているのだからアイリスだってその候補になるのは当然だろうし」

「選んでもらえるなんて考えてはいません。全ては小鳥遊殿次第ですから」

 

 学園側が準備した新しい生活場所である棟にお引っ越しする為の準備をするためにわたしたち。このお部屋で彼と同棲した期間は短いものだったけどお部屋を移ってもわたしの想いは変わらない。

 

 もっと勇人の事を知るべきだと思うの。だって将来結婚するかもしれない相手の事を何も知らないのはまずいだろうし、お見合いだってまずはお相手の方と直接会ってから相手の人となりを知るわけだし。

 

 日本に来て勇人と同じ空間を共有してもまだまだわたしには彼を理解できたわけじゃない。

 自分の事をあまり話そうとしないから聞き出すのも一苦労……。

 

 お風呂上がりに金色の髪をまとめているとカーテン越しにある彼の生活が気になる。決して勇人からはわたしたちの生活空間へ無断で入ってこない。

 何か用事がある時はわたしかアイリスに必ず声をかけている。アイリスとも仲良くやれているのは嬉しいことね。

 

 これからは特別な場所で更に絆を深めていく──もちろんそれはわたしだけではなく、他の女の子も同じね。

 

 小鳥遊班って言う勇人に興味を持つ女の子達のグループ、それにわたしも入れてもらっているのだけれど。メンバーの人とは徐々に信頼関係を築いているの。

 

 みんな勇人に惹かれて集まった子達、LIMEで彼の事が話題にあげるケースがほとんどね、今はわたしだけが同棲しているけれど、これからはあの子たちも学園が準備してくれた棟で暮らす。

 

 女の子同士の交流ももっと深めていきたいし、新しい場所での生活にワクワクしているの。

 

「メル、ちょっと良いかな?」

「ええ、大丈夫よ」

 

 カーテン越しに勇人に声をかけられた──時刻は二十一時過ぎ、夜に話しかけてくるなんて珍しい。一体何の用かしら? 

 

「アイリスさんも一緒で良いんだけど。ちょっと外の空気を吸いに行かない。それと僕は二人と話したいことがあるんだ」

「わかったわ。すぐに支度するわ」

 

 アイリスとアイコンタクトを取って外に出る準備をする。勇人は「僕は先に外で待っているから」と返事をしてからお部屋を出た。

 

「小鳥遊殿お待たせしてすみません」

「ううん。僕が外に出てまだ五分も経ってないから全然平気だよ。実はとっておきの場所があるんだ、そこで話をしようか。僕についてきて」

 

 勇人はそう言ってわたしたちの前を歩く──アイリスとわたしは彼の後ろを歩く。夜にお散歩なんて何だか新鮮だわ」

 

「もうすぐ着くからね」

 

 勇人は周りを気にしながら外を庭を歩く──お嬢様がたくさん通うこの学校で夜に校舎内をうろつくなんて言う行為が見つかれば問題になる、だからできるだけ人に見つからないように歩く。

 

「さあ、着いたよ。この場所は理事長に新しく住む棟を案内してもらった後に僕が見つけたんだ」

「わあ! とても綺麗」

「ええ、学園内にこんな場所があるんて知りませんでした」

 

 わたしたちが案内されたのはおそらく朝に来ても綺麗な緑の芝が心地よい場所なんだろうけど、夜に来ると全く情景が違ってくるお月様がとっても良く見えて、夜空の満点の星空が見渡せる神秘的な自然が包み込んでくれる場所。

 その特別な時間をわたしたちは言葉で表すのをやめて宇宙が作り出したいくつもの煌めきに夢中になる。

 

「良い場所だろう? 月が金色に輝いていて、それに星空も綺麗だ。僕はね、こういう神秘的なものを見るのが好きなんだ。あ、これ、実は誰にも言ってない秘密」

「その秘密をわたしに教えちゃってもいいの?」

「うん、初めてメルの金色の髪を見た時に僕はとても魅力的だなって感じたんだ。だから話しても良いかなって思った。もちろんこの場所を見つけたのは偶然なんだけど、お月様の色を見てすぐにメルの事を思い浮かべたよ」

 

 勇人は優しく微笑むとわたしの隣に並ぶ──そして、そっと手を取り言葉を伝えてくる。

 

「お姫様のメルに相応しい相手になる為に、僕ができることはやるつもりだよ、少しずつお互いの事を知っていこうね」

「そうね。わたしもあなたの事もっと知りたいと思っていたの」

 

 嬉しそうな表情をする勇人、顔がすごく近くてドキドキする。彼は「もちろん、アイリスさんもだよ」と言って、アイリスの側に寄る。

 

「わ、わたしもですか?」

「うん、この学園に通っているのだからアイリスさんだって僕のお嫁さん候補だよ。だから君とも親交を深めていきたい。それが僕の気持ち」

 

 月明かりがわたしたち三人を照らす──わたしのゴールデンタイムは今この瞬間に始まっているんだなって思うの。きっとアイリスだってそう、勇人の言葉にわたし達はそれぞれ違った言葉を返したけれど、本質的な部分は同じ。

 

「姫様! あれを見てください」

 

 アイリスが指さすように目を向ける。

 

「すごい! 流れ星よ! 勇人、見てるよね?」

「もちろんだよ。僕もびっくりした。今日メルにアイリスさんと流れ星を見れてすごく嬉しいよ!」

 

 あっという間に流れていく星を見上げながらわたしたちはこれから始まる“ゴールデンタイム”が待ち遠しくて仕方なかった。

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