普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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82.「心の片隅にある感情」

 わたくしはどうしたいのでしょう? 

 

 落ち着いて考える必要がありますね、いずれにせよ今後のわたくし自身も身の振る舞い方に関してどうするべきなのかちゃんと態度で示さなくてはいけません。

 

 お部屋に戻ってからはこれから先の事を考えていました。

 小鳥遊君の言葉を何度も頭の中で反芻させ、悶々とした感情を抱きながら枕をぎゅっと抱きしめます。

 

 学園に通う意味──それがわたくしが当初思い描いていたものとは違った形になり、現在のところ周りに起こった“変化”を感じ取りつつ生活しています。

 

 例のプロジェクトの事、三年間という期間にわたくし達学園に通う生徒に課せられた義務、最終的に彼が選ぶのでしょうが、複数に女性との関係を築いていくのが将来的に必要であると言うのです。

 本来ならば、一人の男性としか恋愛出来ないのが当たり前の世の中でわたくし達はその常識から外れた行為をしているのです。

 

 プロジェクトに関しては皆さんが納得しているわけではありません。それでも自分がこの場所にいる意味を再認識して自分の意志でプロジェクトを成功させる為に行動をする子もいるのです。

 

 わたくしはどうなんでしょう? わたくしはどうしたいのでしょう? 自問自答。

 答えを出さなくちゃいけません。そうしなければ自分が行動する目的さえも見失ってしまいそうですから──

 ──男性の存在を取るに足らないものだということ、わたくしはこれまで両親の勧めで色々な殿方に会ったことがあります。

 お母様達は早くわたくしの結婚相手を決めておきたいというが本心でしょうね。

 

 小阪の家は将来わたくしが継ぐ事になるでしょうし……。名家の名に恥じぬような素敵な女性へ成長しなくちゃいけませんわ。

 わたくしに相応しい相手がいるかどうか、釣り合う人がいるかどうか。

 

 初めて小鳥遊君に会った時彼はわたくしの家の名前を聞いてもピンと来ない反応をしていました。

 

 幼い頃から“小阪”の名前がいつも目立っていましたわ。どこに行くにしても「小阪」さん所をのお嬢様とわたくしを認識する人ばかりでしたわ。

 

 わたくし自身も実家は誇りに思っていますし。御家の繁栄為に自分が存在していると言うのは理解できます。

 

 分け隔てなく人間関係を築いて、小阪家に有益になる人物との交友を深めていく、このやり方は昔からわたくしの家族がやってきた手法でもありますわ。

 それが、そんな日常がもう当たり前になっていましたわ。周りのお嬢様方もわたくしの実家の名前を聞くとお近づきになろうと迫ってきます。

 

 相手の本心をくみとって付かず離れずの関係を作っていく。世渡りというものは意外と神経を使うものなのです。

 

(あの時の小鳥遊君はすごく楽しそうでした)

 

 小鳥遊班の皆さんとご一緒に遊んだ時、彼は今までわたくしに近づいてきた人たちみたいな損得感情は無く、ただ単にわたくしとお友達になりたそうな感じでした。

 

 転入初日に彼に言った言葉はわたくしの本心ですし、自分の気持ちに嘘をつくなんて出来ませんでした。

 

「──小鳥遊君には最悪な印象を持たれたかもしれませんわね」

 

 それでも彼はわたくしにキツく言われた事なんて気にせずに「仲良くなりたい」と言ってくれました。

 

 小鳥遊君がクレーンゲームで取ってくれたぬいぐるみと目が合います。表情なんて無いはずですのにどこか微笑んでいるようにも見えます。

 

 ぬいぐるみや可愛いモノが好きだというのはわたくしの秘密です、両親にも知られていないわたくしだけの趣味嗜好、彼をそれを知ったらどういう反応をするのでしょうね。

 

 わたくしはスマホの電源を入れてLIMEを立ち上げました。今までこう言ったアプリは使用した試しがありませんでしたし、使い方は勉強中です。

 

「──可愛い」

 

 ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて元の位置に戻します。

 

「ちょっと疲れましたわ……もっと素直になっても良いのかもしれませんね」

 

 意を決して小鳥遊君にLIMEでメッセージを送ります──わたくし個人的な悩みの相談を持ちかけてみます。

 

 メッセージを送信するとすぐに既読マークが付きました。小鳥遊君はレスポンスは素早いようですわ。

 

『小阪さんからメッセージが届くなんてね。僕に何か相談があるんだよね?』

 

『わたくし、今、悩んでいるんです……。何度考えてもなかなか結論が出なくて、ですから小鳥遊君に相談しようと考えたんです』

 

『へえー、そうだったんだ。小阪さんからメッセージが届いた時はびっくりしたけどちゃんと理由があるみたいだね。僕で良ければ相談に乗るよ』

 

 わたくしは今までの学園での生活、それから今後の事、自分の中でなかなか決まらないでいた本心を彼に打ち明けました。

 

『そっか。小阪さん大分悩んでいるみたいだね。確かにここ最近起こっている出来事は急展開なものが殆どだから気持ちの整理がつかないのも無理はないと思うよ』

 

『自分がどうしたいのかまだ決めかねているんです』

 

『……簡単に決めるなんてなかなか難しいよね。わかるよ。僕も最初この学園に通うようになった時随分と悩んだからね。僕は元々、自分で進学先を決めていたんだ、母さんの世話にはなりたくなかったし』

 

 小鳥遊君は彼がこれまでの過去をわたくしに話してくださいました。

 

 話を聞いていると彼はお母様とは上手くいっていないと事実を知りま【小鳥遊美鈴】さんの名前はわたくしもよく耳にすることが多いです。あの人が小鳥遊君の母親だと言われるとなんとなくですがイメージが湧いてきました。

 

 学園側が遂行する例のプロジェクトを企画したのも小鳥遊さん。彼女の強引な方法で彼は女子校へ入学させられることに、今まで知らなかった

 事実を伺ってわたくしは小鳥遊君も悩みを抱えていた事を理解しました。

 

『僕は小阪さんとこうやって話せるのは凄く嬉しいよ。同じクラスなんだからもっと仲良くなれればいいと思っている。それが僕の素直な気持ちだよ』

 

 LIMEのメッセージだけで全てが分かるわけではありません。ですが、悩みを相談出来る友達が一人でもいらっしゃるのは心強いものです。

 

 わたくしは感情的になっていた自分の態度を改めようと決心しました。わたくしも素直な気持ちでいよう。小鳥遊君がそうしているように。

 

『わたくしの悩みは小さいものかもしれません。それでも、なかなか自分の心というのはわからないものですね』

 

 自分を変えるというのは時間をかけてでもやり遂げたい目標になりました。

 わたくしはいつ必ず──

 

『──ちょっとずつでも変わっていけたいいなぁと考えましたわ。時間がかかる事かもしれませんがわたくしはきっとやり遂げて見せますわ!』

 

『良い結果に結びつけば幸せだよね。僕も新しい小阪さんに出会えるのを楽しみにしておくよ』

 

 初登校の日、彼に酷いことを言ってしまったのに小鳥遊君はわたくしを「応援する」と言ってくれました。

 

 彼の事をちょっぴり見直しましたわ。全てを教えてもらった訳ではありませんがわたくしの心の片隅にあるモヤモヤしている感情。それがなんなのかはこの時のわたくしに理解できるのは先のお話し。

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