普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

86 / 116
83.「Girl's Study Group」

 もうすぐ定期テストが実施されるから学園内はお勉強ムードが漂っていた。僕はというと一人で新しい寮の部屋で机に向かっている。けど、シャープペンは動かずに一点で止まったままだ。

 各生徒にタブレット端末が支給されているからノートを取るって事自体が珍しい。授業の要点はすぐにデータとして残せるのにメリットはあるし、第一に何冊もノートを買わなくて済むのもありがたい。

 机のノートパソコンを見ると勉強なんてやめてしまってネットサーフィンをしたくなるなあ。

 人間、欲求を自制するのはなかなかに難しい事だと感じる。僕は、テスト範囲を再確認しながらタブレットを操作する。アナログ式な方法に慣れていたから最初はこの新しいやり方に合わせるのには時間が必要になるだろうと考えていたけれど、案外すんなりと受け入れることができた。

 

 “小鳥遊班”の皆は女子だけでの勉強会を開催するみたいだ。正直言うとその輪の中に僕も加わりたかったけど声がかからなかった。

 多分一人の時間を配慮されてのことなんだろうけど、逆に僕は女の子たちと過ごせた方が嬉しいんだけど。

 

「よし、聞いてみようかな」

 スマホでLIMEアプリを起動──グループトークに入室してメッセージを送信した。

 

『ごきげんよう。女子だけの勉強会中に悪いけど、僕も参加したかったなあ』

 

 メッセージを送った後、一度タブレットの充電を確認した──

 

 ──まだ八〇パーセント以上はある。これなら大丈夫そうだ。充電アダプターを使うのは充電が一〇パーセント以下になってからでも良い。

 

「ん? もう返信が来たのか。相倉さんはやっぱりレスポンスが早いな」

 

 通知音が聞こえたからスマホのロックを解除、ホーム画面のLIMEアプリには通知のバッジが表示されている。

 僕が送ったメッセージには“既読”の文字が付いていてメッセージ欄には相倉さんの返事が残っていた。

 

『ごきげんよう、気になるなら小鳥遊君も来てみる? 皆に聞いたけど嫌な反応する子はいなかったよ〜。ここにはメルさんやアイリスさんもいるけど、私の部屋は狭くないから大丈夫』

 

 グループのメンバーがスタンプで会話を始める、個性的なスタンプを使っているのを見て僕は思わず頬を緩めた。

 

『すぐに行くよ。みんなとの勉強会楽しみにしてる』

 

 相倉さんへメッセージ送信してタブレットとスマホの充電器を持って部屋を出る。ペンは借りればいっか。部屋の鍵をしっかりと閉めてから僕は相倉さんの部屋に向かった。

 

 

 ──コンコン。

 

「もしかして小鳥遊君かな?」

「おそらくそうじゃないかな? 他にこの部屋を訪ねてくる人はいないだろうし、彼からLIMEが送られてきて、まだそれほど時間も経過してないからね。すぐに来てくれたんだろう」

「あ、いらっしゃい! どうぞ入って」

「お邪魔します」

 

 部屋の中を見渡すと“小鳥遊班”のメンバーが勢揃いしていた。僕が相倉さんの部屋に入ると一斉に視線集まる。

 

「ご、ごきげんよう」

「やあ、ごきげんよう。さあ、小鳥遊君ここに座りたまえ!」

「あー。玲さんはなに自分の膝の上に誘導しようとしてるのよ! ちょっと待ってね、今、クッションを用意するから」

「ジョークが通じないな〜。相倉さんは、まあ、だけど、実はジョークなかったりしてね」

「もうっ! 何言ってるのよ! 玲さんは」

 

 ウインクする玲さんを嗜めつつ僕は相倉さんが出してくれたクッション上に座って一息つく。

 

「私たち静かに勉強してたのよ。わからない部分はお互いに教えあったりしてたの。ほら、メルさんやアイリスさんはまだ日本の学校には慣れていないだろうから色々と教えていたの」

「彼女たちはすごく勉強熱心だよ。だから、こちらも教え甲斐があるってものさ。私は授業は退屈でしょうがないが、テストで赤点を取るわけにはいかないからね。ちなみに誰かに勉強を教えるというのは嫌いじゃないんだ」

「そうね、でも、御崎さんは周りについていくのが精一杯みたいだよ? 一生懸命に頑張っているからテストでいい点取ってほしいなって思う」

「あたしはタブレットの操作を大分覚えてきたとこよ。授業の内容がすぐに復習できるのは助かってる……。本当に便利だよねこれ」

「僕もそう思うよ。ただ、今までアナログな勉強法に慣れていたから初めは結構苦労したよ……。部屋にあるパソコンも使ってうまくまとめてはいるのだけど」

「勇人のお部屋にはパソコンがあるの?」

「ああ、そうだよ。ノートパソコンが一台あってそれでレポートを作ったりしてる」

「一体なんのレポートなんだい?」

「プロジェクトの進捗状況とかの報告だよ。学園に入学した時から理事長にレポートの作成が義務として課題を出されているんだ。三年間ちゃんとやらなければいけないものなんだ」

「ほうほう、なるほどねえ。じゃあ小鳥遊君は通常の勉強もやりながらレポートも作成しているわけか、それは一苦労だね」

「……大変ですね。普段の授業にはついていけてますか? 無理はしないでね小鳥遊君」

「ありがとう牧野さん。授業は何とか遅れないように頑張れてるよ。だけど夜の遅くまで勉強するって言うのは流石に避けている。睡眠不足は体に毒だからね」

「私たちが知らないだけで小鳥遊君もかなり忙しいんだね……」

「まあね、だけど、こうやってみんなと一緒に勉強できるのは嬉しく思うよ。一人で部屋で机に向かっていても息苦しかったし。女の子と同じ空間にいられるってだけで心も安らぐし」

「この勉強会をするときに小鳥遊君にはあえて声をかけなかったんだ。や、別に嫌ってるとかじゃないないんだよ? むしろ──」

「相倉さん、告白にはまだ早いんじゃないか? それに他のみんなもいる場所でなんて勇気があるね」

「違うわよ! 玲さんからかわないでよね!」

「はっはっは! いやあ、面白い反応を見せくれるねキミは」

 

 相倉さんと玲さんがキャッキャとやりとりをしている中でメルはいつの間にか僕の隣に座っていた。ふと顔を横に向けるよ彼女と目が合う。エメラルドグリーンの綺麗な瞳──美しい金色の髪は撫でてみたくなるような妖艶さを感じる。

 

(もしや僕は金髪フェチなのか?)

 

「うふふ、どうしたの勇人? わたしの事じっと見てるけど」

「いや、綺麗な金髪に見惚れていただけだよ」

「勇人は本当にわたしの髪が好きみたいね」

 上機嫌なメル、彼女の自然な笑顔が宝石みたいな価値があるんじゃないかと思う。それはテレビ等で披露する大勢の人向けに見せる笑顔とは違った飾り気の無い表情

 

「小鳥遊君とメルさんって同棲してたんだよね?」

「ついこの間まではね、周りにバレないように振る舞うのは苦労したよ。メルアさんはルークランシェ王国のお姫様だろ? そんな子が僕と一緒に住んでいるなんて知られたら大事になりそうだったし」

「あら、わたしは勇人との生活は日本に来る前からとっても楽しみにしていたのよ? それとその“メルア”さん呼び方辞めてもらえるかしら? もう同棲の事は知られてしまっているのだから今更他人行儀な呼び方をする必要は無いわ。いつもみたいにメルと呼んで」

 

 僕が彼女の事を“メル”と呼んでいることは今までは秘密だったけど、どうやらもう隠す必要はないみたいだ。

 

「そうだね。もう隠しようが無いね。僕自身メルアさんって言い方は何だかしっくり来ないなって思っていたんだ。“メル”これでいいかな?」

「よろしい。今後はそう呼ぶように、……あら? 皆どうしたの?」

「いやーメルさんと小鳥遊君ってもうそんなに仲良くなってたんだなって思ったの。知り合ったのは私たちよりもあとだよね?」

「ええ、そうよ。わたしが日本に来るきっかけが勇人だもの。仲良くなりたいって言うのは当然のことでしょう」

「お姫様は流石の行動力だね。私たちも見習うべきだと感心したよ。まあ、これからは私たちも小鳥遊君と一つ屋根の下、絆を深めるきっかけは今まで以上にあるものさ」

「そうですね……私も頑張らないと!」

「この中で誰が小鳥遊君に選ばれても恨みっ子無しだよ?」

「そもそも、複数人選んでも問題ないはずだろう? 一人しか選ばれないというのは逆に不自然じゃないのかな」

「僕はもっと皆の事を知っておきたい。もちろん結婚相手は真剣に選ぶよ、だけど、その前に僕を好きになってもらうところから始めたいと思っているんだ」

 お互いが好き同士じゃなければ決して上手くいくはずがない。今後ずっと死ぬまで同じ時を過ごして、どちらかを失うその日が来るまでは。

 

 女子だけの勉強会に参加してみたけど“小鳥遊班”の女の子達はとても優しくて個性的な子が揃っているなと感じた。

 メルもアイリスさんは日本語に関してもしっかりと教養を受けてるらしくて二人とも語学が堪能なのは舌を巻く。

 僕は子どもの頃、英才教育を受けさせられていたけど、好きで勉強した訳ではないから基本的なところのみが身についた。

 英語やフランス語などの多言語を学んだ人と話せばすぐにボロが出てしまうのだろうな。

 自分の教養の無さをメル達に悟られないように喋る時は気をつけておかないと。

 

 テストに向けて各々が苦手強化を重点的に勉強する。御崎さんは同じクラスの僕に授業で分からない部分を質問。それに適切な回答をして彼女の分からない部分を分析し、対策と試験の傾向を打ち出した。

 

「教師の性格も頭に入れておくと大まかな出題される箇所の予測はできるよ、教科は多くないからポイントをおさえておこうか? 学園での初のテストだから平均点以上は取りたいとは考えてるよ」

「全教科満点取る人なんて滅多にいないよね」

「私は赤点さえ免れれば点数は気にしないさ。何もしなくても七〇点は取れると自分で分析してる、追試や補修授業なんてごめん被りたいしね」

「追試なんかになったら面倒そうだよね。やりすぎて頭がパンクしない程度には勉強しようかな」

「うむ、それが良いさ、詰め込み過ぎるのも良くないからね。できる範囲でベストを尽くせば問題ないだろう」

「──そうね」

 ぽつりと呟くように同意する御崎さん。彼女はタブレットを操作する手を一旦止めて「ふぅ」と息を吐く。

 

「もう三時間以上休みなく勉強してもんね。今日はここら辺で終わっておこっか? ずっとやり続けてても疲れちゃうだろうし。リラックスしててからの方が効率も上がると思うわ」

 相倉さんの言葉に僕もはっとして時刻を確認──十五時前かお昼前からこの部屋でテスト勉強をしているからもう三時間以上も経ってたんだな。

 皆疲れた表情を見せているしこれ以上は続けるのはプラスになるとは思えない。

 

 女の子達は飲みものを準備するために部屋を出る。僕は一人残って戻って来るのを待つ。

 充電が切れそうなスマホを電源に繋いでからスリープモードにして床に置いた。

 今日はいつもより長い時間勉強していたからなあ。立ち上がって背伸びする、集中していから気づかなかったけどずっと座りっぱなしで足も痺れていた。

 楽な姿勢で待ちながらさっきまで勉強していた内容が頭から抜けないように何度も繰り返して記憶する。

 

 五分も経たないうちに皆が部屋に帰って来た。

 お菓子とジュースをご馳走になってから解散。女の子ばかりの空間に居心地の良さを感じながら“小鳥遊班”プラス僕の“ゴールデンタイム”は終わりを迎えるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。