普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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85.「定期テスト1日目」

「それでは、始めます」

 教師の合図で一斉に端末を操作してテスト問題を開く。今日は定期テスト第一日目で三教科のテストが実施される予定だ。

 中学生の頃までの所謂答案用紙を配布して回答すると言うの一般的なのテスト方式はここでは採用されていない。

 生徒それぞれに学園から支給されたタブレットに教師が作成したテスト問題が出題され、それを解いて行く形となる。

 書き問題にはペンタブを使って記入して選択問題はパネルをタッチして回答を選ぶ、タブレットの操作に慣れてきた人ならスムーズに問題に答える事ができて、テスト後の採点も楽にできて利便性もある。

 テスト問題はテスト終了後、それぞれがデータ化されて担当教科の教師が学園で使用しているPCのサーバーに転送され解答。

 自己採点するよりも効率が良く管理もしやすいというのがプラスに働いている。

 採点結果はテストが終わった後に細分化、受験者個別の点数を弾き出して生徒個人の端末にデータを転送する。

 答案用紙の点数を誰かに覗かれるなんていう心配もないし、プライドが高いお嬢様方には実にマッチした方式だと思う。

 デジタル化が推奨される社会情勢の中で最先端の教育を受けられるのはさすがだなっていう印象をもった。

 

 一教科目のテストが終わっても教室で騒いだりする人はいなくて皆静かに自分の席に座っている。テストの当番の教師が次の準備を進めているのを眺めながら僕は御崎さんに話しかけた。

 

「御崎さんはどうだった? 何かこんなハイテクな方法のテストは初体験だよ。てっきりマークシートかなって思っていたんだけどね」

「……そうだね、あたしも初めてだったからなんだか不思議な感じ。でも、慌てないで問題を解けたかな」

「そっかー。御崎さん勉強頑張ってたもんね、きっと良い結果に結びつくと思うよ。僕はそういうふうに思うよ」

「ありがとう。小鳥遊君は落ち着いてテスト受けてたね」

「まあね、こういうことは焦っても良いことはないから、リラックスしてテストに臨んだよ」

 御崎さんとはテスト問題に関した話はしないけれど、次の試験が始まるまで細やかな会話を楽しんだ。彼女は勉強も一生懸命で本当に頑張り屋さんだなあ。

 

 僕は窓の外を眺めながらぼんやりと思い出した──

 

 ──中学までの間、テストでいい点を取っても親に褒められたことなんてなかった。結果を出すのを当たり前という母さんの態度に次第に僕自身も無駄だなあと感じ取るようになっていたんだ。

 昔からあの人はそうだ、仕事を優先して息子ときちんと話す時間を作ってくれたことなんて一度もない。英才教育は専門の人に任せっきりで子どものことに関心すら抱かない母親……。

 

 親に期待するのも辞めて僕は与えられた課題をクリアしていくだけの人生に退屈さを覚えていた。

 

 父さんにテストのことを話したら学生の頃やっていた勉強法を教えてくれたLIMEでのやりとりをする中で僕はどこか安心感を抱いていた。

 父さんは優しい人だ。十年以上も日本を離れていたこと、息子と家族として過ごせなかったことを後悔していた。

 これからは僕の傍にいてこれまでポッカリと空いてしまった溝を埋めるために時間を使ってくれる。

 いつかあの頃みたいに家族で笑い合える日が来るんだろうか? 

 

(いや……ありえないだろうな)

 

 そんな淡い期待を抱くけど、すぐに辞めた。

 だって母さんが僕を気にかけているわけがないんだ。僕には父さんがいればいい、あの人とはこれから先何があっても上手くいくわけがないと思うから。

 結婚相手が決まったら真っ先に父さんに紹介するつもりだ。プロジェクトを成功させるのを最優先に考えている母さんが僕の結婚を喜んでくれるはずがない。

 学生で結婚を考えている人はどれくらいいるんだろうな? 大抵は就職や大学進学とか将来に向けての進路を真剣に悩んでいたり学生ならではの悩みを抱えている。

 チャイムが鳴って教師は次のテストを始める準備をする。開始の合図と共に僕は端末を操作して問題に目を通す。

 

「やっと終わりましたわね」

「ええ、今日は三教科だけですが、明日もあるので勉強を続けておかないと」

 テストが一通り終わって放課後の教室内はいつものような空気感が戻る──

 

 ──僕は「ふぅ」と一息付いてタブレットをスポーツバッグにしまう。

 そう言えば女子生徒は学園指定のカバンを使っているのだけど僕には支給されていない。編入自体が急な事だったし準備されていなかったのかな? 

 まあ、使い慣れているスポーツバッグの方がしっくりくるから良いんだけど。

 

「ん? LIMEに通知が……」

 

 いつの間にかLIMEに通知バッジが表示されている僕は立ち上げっぱなしのアプリを再起動してトークルームに入る。

 

『ごきげんよう。小鳥遊君、テストはどうだった? 相倉さんがテストが全て終わったら打ち上げでもやろうと言っているのだが、君も参加するかい?』

 どうやら玲さんからのメッセージらしい、彼女らしい文体で的確に用件だけど伝えるのは見事だ。

 

『ごきげんよう、玲さん。良いね! 打ち上げなんて楽しそうだし僕も賛成だよ。また相倉さんの部屋でやるの?』

『それがね、彼女が言うには今度はキミの部屋に皆でお邪魔しようって言うのだけどどうだい?』

『──僕の部屋で? 僕は別に構わないけど全員入ったら少し狭いかもしれないよ。それでも平気?』

『私はOKだけどね。って言うか部屋が狭くなると言うことは小鳥遊君の部屋には荷物が多いのかい?』

『いや、僕の部屋はさっぱりしてるよ。必要なものとベッド以外は置かれてないし』

『私たちの部屋と変わらない位の広さだろう? それなら問題ないんじゃないかな? 実は私はキミの部屋にお邪魔するのを楽しみにしているんだ、なかなかそう言った機会はないだろう? だから面白いことが起こるんじゃないかと期待が膨らむ』

『ははは、玲さんらしいや。うん、許可しまーす。と言うか皆もっと遠慮しないで僕と関わってほしいなと思ってたんだよね』

 

『聖蘭寮』へ移ってきてから彼女たちとこれまで以上に仲良くなれればいいと思っていたし、僕自身の積極的にコミニケーションを取ろうって行動を始めたからそう言う点ではプラスになっている。

 僕らがLMEでやりとりをしていると相倉さん達もルームに入ってくる。あれこれとチャットしながらテストが最終日が来るのをワクワクした気持ちで待つことにした。

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