普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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87.「期待と不安が入り混じる新生活」

 よほど疲れていたのだろう。僕の“意識”はあっという間にまどろみの中へと落ちていく。深く、深く、深く、頭の中を空っぽにしながら潜在意識だけが僅かにゆらゆらとあっちとこっちを漂う睡魔に抗うことなんてせずにそのまま身を任せた。

 

 

 **

 

「……小鳥遊君もしかして寝てる?」

 側に近づくとたった今眠りに着いたのか眩しい太陽の光なんて気にもせずに小鳥遊君は目を閉じて寝息を立ててる。

 私は起こさないようにととゆっくりその場に座る。芝生の良い匂いを風が運んでくる、安心しているのか彼はちっとも起きる気配はない。

 ちょっと安心しちゃった。ていうか寝顔が可愛いって思っちゃった。

 あの時はきちんとお話しできなかったけど今度こそ──

 男子寮で出会ったときは私の好奇心で小鳥遊君に近づいたけれど、今日は違う。

 

 私も『聖蘭寮』で暮らすことに決めたから寮がどんな場所なのか見に来たの。私が住んでいる女子寮とは違うなって印象を持った。

 理由としては小鳥遊君に興味を持ったっていうのが一番だけど、自分の将来を考えた時にこの先どうすれば良いのかなって思ったの。

 理事長から聞かせたプロジェクトの詳細を全て理解している訳ではないけれど……。

 眠っている小鳥遊君は無防備、かなり安心しきっちゃってる、クラスが違くても彼の噂は学園中に広がっていた。最初は無関心な子ばかりで、お嬢様達の通う学園では他とは違った独特な空気が流れていたの。その状況に息苦しさを感じていた子もいたんじゃないかな? 

 

「可愛い」

 そっとほっぺに触れてみても反応はない。安心してお昼寝している彼の見ちゃうと何だか心が安らぐ。

 

 小鳥遊君はうちのクラスでも話題に上がる様になってきた。わざわざAクラスの近くまで様子を見に行く子もいるらしいの、クラスが違うと交流がないから自分で積極的にアピールしないとね。理事長へ書類を提出して許可が降りるまでそう時間はかからない。

 私は新しく暮らすことになる寮での生活に待ち焦がれながら【小鳥遊勇人】って言うひとがどんな相手なのか知らなくちゃいけないし……。

 

 じっと見つめても起きる気配は無い。よっぽど眠いんだろう、まあ、この場所はお日様も良い感じに照らすからお昼寝にはちょうど良いのかも。

 

「ふぅ」と深呼吸して晴れ渡った空を眺める──雲はゆっくり左から右に流れていく、午後の穏やかな日常、学園では退屈だなぁって思っていたけれど今は何だか特別な気持ち。

 

「私、小鳥遊君とお話ししたいこと。あるのになぁ」

 

 なんて呟いてみたけど、やっぱり無反応。私は「よし」」っと言って立ち上がって一旦寮に向かうこれから一緒に暮らすかもしれない子たちに先に挨拶しとこ、だって小鳥遊君まだ起きる様子ないし。

 心地よい風がふわりと髪を揺らす私は一瞬だけ彼の方を振り返って「聖蘭寮」の方へ歩き出した。

 

 **

 

「こんにちは。御崎さん」

「……こんにちは、牧野さんは何をしてるの?」

「うん、ちょっと小鳥遊君とお喋りしたいなって思っていたんだけど……そういえば御崎さんは彼を見ませんでした?」

「あたしは見てないわ。自分の部屋にいるんじゃない?」

「それが、小鳥遊君のお部屋に行ってみたんだけど、彼いないみたいだったんです」

「そうなんだ。どこか遠くへ行くってことはないんだろうけど……」

 御崎さんは考える仕草をすると「あたしも探すのを手伝うわ」と言ってわたしたちは小鳥遊君を探すことにしました。

 

「一応『小鳥遊班』のLIMEで情報共有しておこうか? みんなで手分けして探した方が効率いいと思うし」

 御崎さんはLIMEアプリを立ち上げてチャットグループにメッセージを送信。

 すぐに既読マークが付いて、相倉さんと藤森さんからレスポンスが──

 

『──小鳥遊君を探してるんだ? お部屋にはいなかったの?』

『うん。だからどこに行っちゃったのかなって。彼ともっとおしゃべりしたいなぁって、仲良くなりたんです』

『そっかー。分かるよ、私だってそうだもん、抜け駆けとかいうのはこう言う場合は無いと思うよ? だって皆小鳥遊君を知りたくてこの寮で暮らしているわけだし』

『そもそも、一人だけを選ぶなんて言われてないからね。学園にいる私たちには平等にチャンスがあるわけだ、その中で“小鳥遊班”は特別だという認識はあるけどね』

『探検するの? 何だか面白そうね!』

『メルア様、これは遊びではありませんよ、小鳥遊殿を見つけるのが目的です』

『わかっているわよ。アイリス』

 

 エントランスで落ち合う約束をして私と御崎さんはキョロキョロと辺りを見回しながら彼の姿を探すのでした。

 

 

「へえー、ここが入り口かー」

 

 おしゃれな表札には『聖蘭寮』の文字──ここからな中に入れると思う。

 玄関の自動ドアが開くと女子寮とは違う新しめのエントランスに「オートロックシステム」

 壁に取り付けてあるパネルは何だろう? 入り口で色々と考えていたら中に人影が見えた。

 

「あれ? お客さん? っていうかその制服、うちの学園のだよね」

 自動ドアが開くと中から女の子たちが出てくる。私の制服を見ると先頭にいた金髪の子が「中にごようですか?」と声をかけてきた。

 

「あのっ。突然ごめんなさい! 実は私、今度この寮で暮らすことが決まったので寮がどんなふうになっているのか気になってきたんです……」

「そうだったんだ。中を見て回るのは良いとは思うけど、私たちちょっと外に用事があって後でなら案内できるけど、どうする?」

 何やらお取り込み中らしい──私がどう返事をしようかと悩んでいると一人の子が口を開く。

 

「相倉さんたちは小鳥遊君を探してくるといい。彼女は私が寮の中を案内しよう」

「えっ……?」

「仮に何かあってもアイリスさんがいてくれるから安心だろう? 彼女はとても勇敢で護衛には最適な人物だ。そこの君、それでも良いかい?」

「ええっと、私は平気ですが……それより皆さんは小鳥遊君を探しているんですか?」

「そうなんです。私がお話ししたいことがあって……。彼のお部屋を訪ねてもいらっしゃらなかったので、こうして外に探しに行こうとしていたんです」

 やっと状況を把握した私はグッと手を握って勇気を出して言葉を出す。

 

「あのー。小鳥遊君なら私、いる場所知ってますよ」

「本当ですか? 彼はどこにいるんです」

「寮の近くの畔でお昼寝してます。私、たまたま、その姿を見かけちゃいまして」

「あら、そうだったの」

 金髪の女の子はそういうと好奇心を持った視線を私に向ける。

「全然起きる気配がなかったので先に寮を見学しようかなって思ってここに来たんです」

「なるほど、では、小鳥遊殿は遠くへは行っていないのですね」

「はい、畔までは歩いて行けばすぐですし」

「それだったら心配ないね。牧野さん、この子にそこへ案内してもらえば良いよ」

「そうですね。お願いしても良いですか?」

「はい!」

 私が答えると他の子たちは寮の中へ戻っていく。

 

「あのっ、すみませんでした」

「あら、どうしてあなたが謝るんですか?」

 優しい口調言われて思わず見惚れちゃった──っていうかこの子本当に可愛い、さっきいた他の人たちもそうだったけどこの学園って女の子のレベル高くない!? 

 

「まだ、自己紹介してませんでしたね。私は【牧野 栞】と言います」

「私の名前は──」

 自分の名前を彼女に伝えて私は小鳥遊君がいる場所に案内します。この寮でならやっていけるかも。最初不安に思っていた気持ちが無くなっちゃって新しい寮での生活に期待と訪れる”変化“に高揚感が湧くのでした。

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