普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった!   作:南雲悠介

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90.「ようやく本当の仲間になれた気がするんだ」

 五月中旬

 

 

 定期テストが終わってから一段落した雰囲気が校内に漂う。次のテストは学期末で夏休み前になる。

 

「……夏休みか。今年の予定はどうしようかなあ」

 予定が空白のままのスマホのカレンダーをぼんやりと眺めながら考える。

 夏休みの課題は早々に終わらせて自由な時間を作るっていうのがずっと僕がやってきたスタイルだ。

 中学まではずっとゲームをして時間を消費していた、だって夏休みの間は無限に時間があるのだから、あらかじめ買っておいたゲームをゆっくりとプレイしたんだ。

 学校が始まる直前まで課題に手をつけないっていう人がいるというけれど、僕にはわからない感覚。

 楽しいことと、辛いこと、最初にどちらを優先するのか? それはひとそれぞれだとは思うのだけれども、先に嫌な事を終わらせておいた方が後で気にしないで済んで楽なのになあ。

 

 理事長からもらった一年間のスケジュールに目を通しながら作っておいたプロテインを飲む。うん、今日も美味い! 

 この学園は学校行事の数自体はそこまで多くないみたいだ。

 大きなイベントは体育祭と文化祭がメインか──お嬢様達の通う学校の文化祭はどういうふうになるんだろうか? 

 男手は僕だけだからおそらくクラスで何かをやるときは力仕事をやる係として駆り出されるんじゃないかな? 

 昔から体育祭や文化祭というものには積極的に参加したためしがない。一般生徒の盛り上がりを冷めた目で見ながら適当に過ごしていた。

 クラスの人間との関わりなんて僕にはいらなかったから──

 ──けれど、今はちょっと違うなって徐々に考えるようになってきた。

 高校でも部活には入らずに放課後は寮の部屋でネットを使って色々調べたり、携帯ゲーム機でゲームをやったりしている。

 強制じゃ無いから部活に入る必要性は無いだろうし、やりたいと思える活動が無いというのも理由の一つだ。

 そう言えば“小鳥遊班”の彼女達はクラブ活動はしないんだろうか? 学園が終わるとすぐに寮に戻ってきているみたいだけど、皆やりたいこがないのかな? 

 

 僕はLIMEのグループチャットに疑問を投げかけてみた。

 

『皆は部活には入らないの? 学園でやりたい事とかないの』

 送信するとすぐに既読の表示がつく、意外とみんなLIMEを見てるんだなあ。

 

『私は部活よりも優先するべきとがあるからね。特に魅力的だと感じる部が無いし、入らなくても良いと思っているんだ』

 最初にレスポンスが来たのは玲さん──彼女は返信内容をしっかりとかんがえてからメッセージを送信するタイプだし,こんなに早く反応されたのには驚いた。

 

『部活かー。確かに興味はあるんだけど、放課後の時間を拘束されるのは困るかなあ』

『あたしは特に興味なし……。部活やっていてプラスになることがあるんだったらやるけど、入部するメリットがないから今のところはやるつもりない』

 相倉さんと御崎さんから返事が届く──二人とも自分だけの時間を大切にしているみたい。

 

『……私も特に興味ありません。お料理の勉強はお部屋でもできますし、わざわざ部活でやるのもなぁ、それに……』

『それに?』

『学園に入学して小鳥遊君と再会して、放課後は小鳥遊君との時間を大事に過ごしたなって思っているんです』

 牧野さんの意外な答えに僕は返信が遅れてしまった。彼女は中学時代のクラスメートとはだったけど、大きな関わりを持っていたわけじゃない。

 それにも関わらず彼女は僕の事を思ってくれていた。

 

『わたしは部活動をやってみたいとは思うけれど、彼女の言うように勇人と一緒に過ごせる時間をなによりもだいじにしたいわ。その為に日本に来たんですもの』

『メルア様が部活動をやるとなると大事になりそうな気もしますが、姫様がやりたいというのならば私は不備の無いよう全力でサポートします』

『話題になると色々と動きにくいよねーメルさんは有名人だし』

『それなんだけど』

『何? どうかしたの』

『その“メルさん”っていう呼び方よ。せっかく皆とお友達になれたのにちょっと遠慮しがちだよ思わない?』

『けれど、ルークランシェのお姫様を呼び捨てにはできないし……』

「あら、私はメルと呼んでくれた方が親近感が湧くわよ? お友達にはそう呼んで欲しいわ』

 いつだってメルはそうだ。彼女は行動力がある。“小鳥遊班”の一員になったのだけど、身分の違いで皆の関係はどこか距離感があるように見えた。

『彼女がそう望んでいるのならば応えてあげるべきじゃないかい? そうだろメル』

 ごく自然に「メル」と彼女の名前に呼びかける玲さん。さすがだ、玲さんの行動は掴み所がない。これまでの距離感、遠慮していた空気感を取り除いてしまった。

 

『メルア様、お友達ができて本当に良かったですね。皆様、どうか姫様と今後も仲良くしていただけると助かります』

『そんな! アイリスさんにそこまでお願いされたら嫌とは言えないよ。だけど、私はメルだけじゃなくあなたとも仲良くなりたいと思っているの』

『わ、私はあくまでもメルア様のおまけですので』

『アイリス、あなたはいつだってわたしを一番に考えてくれるのだけど、わたしはあなたにも学園でお友達を作って学生生活を謳歌してほしいと思っているわ。ルークランシェにいる時から自分よりもわたしを優先していたじゃない? ここは日本なのだから肩の力を抜いた方がいいと思うわ』

『メルア様……』

 アイリスさんとメルの信頼──それは僕たちが知り合う前から固い絆で結ばれていたのだろう。

 どことなくアイリスさんのメルに対する態度は特別な感じがする。

 短い間彼女達の関係を観察してわかったことなんだけどね。

 

『改めてよろしくメル』

 僕はメッセージを送る──それは電波に乗って部屋にいる彼女に届いているだろうなあ。学園に来て一ヶ月以上が過ぎたけれど、ようやく動き出しそうだ。

 

 ああ、そうだ。次の休みの日に父さんが「聖蘭寮」を訪ねてくる。こっちでの仕事だって忙しいはずなのに息子と過ごす時間をとってくれる。

 新しい寮での暮らしをどうしているのかも気にして来てくれるようだ。

 僕は父さんには何もできていない、いつの日かちゃんとしたお礼を準備しないといけないな。

 ゆっくりとだけど、今まで父さんと過ごせなかった分の時間を取り戻していこう。

 

 LIMEで大まかな事を皆に伝えると相倉さんが真っ先に会いたいと言っていた。僕は父さんにそれを伝えると「父さんは構わないよ。将来の勇人の結婚相手になるかもしれない子達なんだろ? 一度会っておきたいと思う」と返事が来た。

 そして成り行きで全員が参加することに、日時をLIMEで流すとそれぞれがスタンプを使って反応。まだ誰か特定の人を恋人にするっていうわけじゃないけど、自分の父親と彼女達を引き合わせるのはなんだか緊張するなあ。

 ──父さん、僕には大事にしたいと思える子たちが出来ました。今度父さんにも会ってほしい、もしも、彼女達の中から結婚相手を選ぶ時は長い付き合いになりそうだからね。よろしくお願いします。

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