普通の高校生活を送るはずの僕がハーレム計画の一環で女子校に通うことになった! 作:南雲悠介
「牛乳が切れてるな……」
今朝プロテインを自作するときに冷蔵庫の中にある牛乳を取り出してみたらちょうど使い切ってしまった。
無くなる前に業者に発注をかけるべきだったなあ。
代用できそうなのは豆乳くらいか、紙パック容器の豆乳が冷蔵庫の下の段に並んでいる。僕はそれをサイドポケットに移動させて扉を閉じた。ついこの前届いた郵便──病院で検査を受けるようにとのお達しで、入学前以来となる医療機関での検査の日にちはすぐに決まった。
LIMEで父さんにその事を伝えると病院まで車で送ってくれて、検査が終わるまで付き添ってくれるらしい、仕事があるのかもしれないのに僕の為に時間を作ってくれるのはありがたい。母さんに言われたのかもしれないけどそれでもいいや。父さんが付いてきてくれるのなら不安はない。
検査の結果は希望すれば僕も知ることができるけれど、実際のところはプロジェクトを遂行する部署へ伝達されるようだ。
そこの責任者はもちろんあの人──一応香月先生にも経過の報告が届く事になっている。僕が病院で検査を受けるということは理事長や香月先生等ほんの数人程度にしか知られていない事実。学園側はあくまでも内密に進めたいみたいだ。僕もペラペラと喋るつもりはないし、変にあれこれと詮索されない方が助かる。
自分の体に関することだけど、彼女たちにはそれほどまでに大きく関係する事象ではない。
何だろう? 毎日が忙しくても全然嫌に感じない。外の風は普段通り吹いて部屋の窓を叩く。篭りがちな僕の部屋にはノートパソコンでキーボードを叩く打音が静まり返った空間を生活感をもたらす。
スマホには“小鳥遊班”の女子たちがチャット欄でトークをしている。いつ参加しようか様子を伺いながら彼女たちの会話の内容に目を通しつつ画面に視線を向け夏休み明けの学園の予定表に目を通す。イベントがそれほど多いわけではないのだけれど、夏休み明けは文化祭や体育祭とか普通の学校でもやるような行事の実施が決まっている。
中学の頃なんて学校行事に真面目に取り組んだ覚えがない……。
*
クラスから孤立していた僕はいつだって1人でいる時間を大事にしてたんだ。もちろん、それは自分自身で望んだことだし子供っぽいクラスメイトと仲良く過ごすなんて言うのが苦痛に感じていたのだから仕方ない。
部活に勉強に普通の中学生なら友達と遊んだりして楽しくて充実した学生生活を送っているんだろうけど、僕にはそんな楽観的なビジョンは浮かんでこなった。
中学なんて義務教育で通っているのだから余程のことがない限りは卒業できる。
なんとなくだけど、そう、なんとなくそういった雰囲気が合わなくて教室で授業を受けている時だって板書をノートに写すだけで先生の話はまともに聞いてなかった。
それでも牧野さんみたいな物好きな子が僕を気にかけてくれていた。彼女と学園で<再開>したのは正直びっくりしたけどあの子はこれまでのクラスメイトと違って僕を色眼鏡で見ていない。牧野さんの穏やかな雰囲気にどこか安心感を覚えていたんだ。
そして彼女が“小鳥遊班”のみんなと仲良くしているのを僕は素直に嬉しく感じている。中学時代そんなに牧野さんとは話した記憶はないけど、僕の心の中にはちゃんとメモリーが刻み込まれている。
今風に例えるなら癒し系女子って言うのかな? そのフレーズが彼女にはぴったりだよ。LIMEでトークをしている輪の中に自然と入り込んでいくとみんなはすぐに僕を歓迎してくれた。
ありふれた日常──普通だけど心地が良い日々、僕は毎日に充実感を覚えながら午後の予定を消化するのだった。