FGO四方山話 2作目です。
今回はとあるカルデアの邪ンヌのお話。
彼女はどこまでも、人間らしいと思うんです。
ちなみに弊カルデア、邪ンヌはパーフェクトです
ジャンヌ・ダルク・オルタ。かつて倒し、今ではカルデアに属するサーヴァント。
キャスターのジル・ド・レェの願望の具現化だったもの。
私たちは、他人を完全に理解できるわけではないからこそ、理解しようとする。
カルデアのような閉鎖された空間では、特にそれが重要だ。
「なんですか?」
「ちょっとお茶でもどうかなって」
二人きりというのは大事だ。本当の二人きりなら、少しは話をしてくれるのではないかと思っていた。
「結構です」
ここまでは想定内。
「そういわずにさ」強引に部屋の中に入る。
安っぽいカップに二人分の紅茶を注ぐ。
芳香が湯気と共に室内に溶け込んでいく。
もちろん、根拠のない自信だけで彼女の前にいるわけではない。
最終再臨を終えた彼女が最後に言った言葉も私は忘れない。
「ブーティカさんに淹れてもらったんだ。美味しいよ」
コップを置き、向かい合うようにして座る。渋々受け取ってくれた。
「最近の調子はどう?」
「まずまずです」
「それは良かった。ほかのサーヴァントとは?」
「まずまずです」
これでもかなり柔らかくなった。最初なんて取りつく島もなかった。
ただ私を勝たせるだけの存在――。それが彼女の存在理由。
後先考えずに、突っ走ってその後は何もない、それでいいと言ってのけた彼女。
「ねえ、明日は久しぶりの休みだからカードゲームでもしない?」
だからこそ、彼女を彼女たらしめる軸に枝葉がついてほしいと思う。
「いつかの面々とですか?」
「うん。もちろんイカサマなしで」
「……いいでしょう」
「いいんだ……」
「何か不満でも?」
「いや、断れると思ってた」
「イカサマなしなら問題ありません」
「じゃあ、明日の11時に私の部屋で」
こうしてみると『ジャンヌ・ダルク・オルタ』はとても人間らしいように思える。
アヴェンジャーであることに変わりはない。
ただ、その性質をどう受け止めるか探し続けている。
それを隣で見届けることができたなら。
温くなった紅茶を初めて彼女が口に含む。
「おいしい?」
彼女は今までどんなものも私の前で口にしなかった。
知りたかった。彼女が何を考え、何を感じているのか。
――美味しいと感じられるのか。
「ええ」
本当に……?という言葉は飲み込む。心臓が少し高鳴る。
「良かった」
「あなたは気にならないのですか?」
「何が?」
「……いえ、何でもありません」
これなら聞いてもいいかもしれない。
「ホントは気になるよ。ちゃんと美味しいと感じられてるか」
でもね、と続ける。
「ジャンヌ・オルタがそう言うんだから、私はそれを信じる」
信じること、それは彼女にとっての邪悪だとしても。
信じなければ何も始まらない。
「そうですか」
紅茶を飲むことで隠そうとしているその微笑を、私は見逃さなかった。
もちろん口には出さないけどね。
たった二人の静かな茶会は過ぎていく。
カードゲームでイカサマしないようにビリーにも言っておかないと。
その次の休みはどうしようかな。
うたかたの夢だとしても、今あなたはここにいるのだから。
あなたが忘れないのなら、明るい景色で満たしたい。
その場所から逃れられないとしても、それだけがすべてではないと知ってほしい。
その罪が洗い流されることがなくても、新しい生が謳歌する。
それこそが、世界の在り方だというのなら。
その罪を認め、寄り添い、新しい道をともに歩く。
それこそが、きっと人の在り方だろうから。