人類の脅威が蔓延るこの世界で   作:rou-te

7 / 9



疾走していた前回までの三つのあらすじ


直感が冴え渡り小沢の危機に間に合うコウ


元主任オルフェノクは見せ場なしに鷹山サンダーで心肺停止


心肺停止オルフェノクに舞い降りる魂、コウの前に顕現するは天使 マラーク


戦闘シーンもどきが本当にキツかった上に作者の表現力が追いつかない箇所が多かったので寛大な心でお許しください。何でもしm


雷嵐/明闇する意識

 

 

 

━━━━━━━紫電を纏った一対の触手が大振りに正面から同時に迫り来る。

不幸にもコウの前に突如として顕現したマラーク ハイドロゾアロード ヒドロゾア・テグラと対峙している場所であるここは、廃棄あるいは不採用となった武器などを安置している広間を扉と同じくらいに大きな窓から見渡すことが出来る部屋である。

一応広間に隣接しているものの強化ガラス越しであり広間へ行くには別通路を使わなければならず、かといって今いる部屋で立ち回りを行うには難しい。

普通に部屋から出るための扉はヒドロゾア・テグラの後ろにある、という状況にあった。

更に運良くか悪くか、手が届くギリギリの範囲に意識を手放したままにコンクリートの冷たい壁へ寄りかかった小沢女史もいる。

この世界で目覚めてから何度も思い返している知識を頼れば闇の力、テオスの使徒であるマラークならばアギトの因子、テオスに反逆した火のエルが遺した力の欠片……簡潔にいえば超能力などを持つ限られた人間以外であれば、明確な敵対行為を働かなければ人間を超えた力あるいは天使にも通ずる武器を持たない、専門分野以外は普遍的で超一般人である小沢女史ならば普通に考えるなら特に危険なことは無いはずだろう。

 

 

……が、しかし。

だからこそ、今のイレギュラーな状況ではそれを()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

故に……。

とる行動の選択肢は幾つかある、が直感で浮かんだ一つ。

 

 

 

既に意識は戦闘時へと移り、脳の処理速度と体感速度が通常の時間軸と切り替わる。

触手がこちらへと向かい始めるのを確認したのち、瞬時にコウはこちらに迫り始めた触手から距離があるうちに、壁へと寄りかかり意識を失った小沢女史を素早く脇に担いでそのまま強化ガラスのある壁際に張り付く。

常人ではとても避けれないであろう速さで迫る触手を見据えてギリギリまで引きつける。

当たりかねない直前、上へ跳躍するように脚を踏ん張りフェイントを掛けておき、敢えて目の前へ跳ぶ。

上へと軌道を変えた触手に対しそのまま勢いよく強化ガラスへぶつかるように視線はヒドロゾア・テグラの挙動を見逃さないように正面のまま、腰を捻りつつ後ろざまに空中で蹴りを二度放つ。

 

 

 

「シッッ!!!!」

 

 

 

元々、普通の人には避けられない速さでコウへと向かっていたのと、普通の人間とは桁違いの膂力を持つコウがさらに同じ方向へ蹴ることによって勢いがさらに増したヒドロゾア・テグラの触手は、そのまま強化ガラスで覆われた窓へと向かい安全の為に貼られていた強化ガラスを大きな破砕音と共に容易く貫き、隣接した武器の廃棄場として使われている広間と部屋を繋げた。

部屋が繋がるのを確認するや否や強化ガラスに空いた穴付近に残る触手をすり抜けるようにして、コウは小沢を脇に抱えたまま広間へと身を投げ出した。

部屋から広間を見下ろす必要があるため、高低差は2m程になっており一般人なら飛び降りれば怪我を負うだろうが……

 

 

 

「安全確認ヨシ!!☞。」

 

 

 

日々、魔石を腹部に埋め込んだ古代人がその力を十全に発揮する変身体を相手に、ボコボコにされたり、吹き飛ばされたり、紐無し逆バンジーされたりを生身で受けているコウにとっては2mほどの高低差などものともせず、人1人を抱えているなどものともせず難なく飛び降りて怪我なく着地に成功していた。

 

 

(さて、あのマラークをどうするにしても小沢さんの安全をどうにかしないと……)

 

 

 

そして、広間へ落ちた自分を追ってマラークがこちらに降りてくる前に急ぎ小沢女史を物陰にでも隠そうかと振り返った瞬間

 

 

 

 

 

『距離な、ど取ろ、う、と無、駄だ。我、が前、にはそ

ん、なもの無、に等し、い。』

 

 

 

「っ!!、がっっっ!?」

 

 

振り返る直前、()()()()()()()()()()()()()()()()()

飛ばされながら自身が振り返ろうとしていた先には既にマラークが立ち構えており、コウは紫電を纏わない触手を受けて広間の中心付近へ吹き飛ばされる。

時間にして数秒すら無いその間は、速さに特化しているマラークや違う時間軸に乗ることで高速移動を可能に出来るワームならありえるだろうが、普通ならば自身を追い越して先回りなど不可能。

故に降り立ってから小沢について思考するその間を完全に油断していた。

そこを完全に突かれてしまっていた。

広間の中心付近には大きな柱が立っており天井に届いてないことから、支柱としての役割は無いように見える━━━━━━その大きな柱まで勢いを落とすことなく背中から打ち付けられたコウはそのままズルズルと地面へと力なく落ちた。

普段であれば問題無い程度の飛ばされ方だったが、油断から予想外の衝撃とマラークの膂力が強かったらしく全く勢いを殺せずに激突。

出血はそこまで深刻で無いようにみえるも打ち所が悪かったのか()()()()()()()()()()()()()()()らしく、背中を柱に預けたまま頭は項垂れてピクリとも動かない。

……と、脇に抱えていた筈の小沢女史は一緒に吹き飛ばされたと思いきやヒドロゾア・テグラの触手によって丁寧に床へ下ろされている。

 

 

 

 

『アギト…………、否、目覚、めること、も出来な、かった、超能力者よ。

人の子は、癪に触、るが我ら、が主の寵、児。

先、程は人の子、に危害が及ぶ、ために、雷を抑え、たがそれ、もここま、で……。

こ、れで止、めと、しよう。』

 

 

 

意識があれば脳内に直接送られていた言葉も完全に手放してしまったコウには全く届かない。

他に数多いるマラークと同様によほど人の言葉を話したくないのか、或いは主である闇の力からの受肉を介さず、天使の呪いが蓄積した人間が変異したオルフェノクを媒体として現界しているせいで言語の機能に異常でも生じたのか、一応言葉自体を発することは出来ているものの、電波障害時の携帯電話のように途切れ途切れに言葉を発したヒドロゾア・テグラがマラーク特有の左手の指で右手の甲を切る仕草をした後、ゆっくりコウへと近付いていく。

確実なる死を与えるためだろうか、体に纏う紫電が一歩ごとに強くなり薄暗かった広間が火花のバチバチと鳴る音とともに明るくなっていく。

意識を失っているコウの様子は相変わらずで、項垂れたまま表情も伺えない。

手足は力なく床に落ちているが、偶然にも背中を柱に預けられているのでなんとか床へ倒れてはおらず、場所がこんな地下の廃棄場ではなく夜の深まった居酒屋近くで見れば酒の飲みすぎでオチてしまった人のように柱を背に座って居るようにも見える。

 

 

 

 

『さ、らば、だ。灰、燼と帰、すが、いi

 

 

 

 

紫電を眩いほどに身に纏ったテグラから放たれた一対の触手がコウへと殺到し━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………仕方ねぇ」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━刹那

()()()()()()()()

しかしそれは風と言うには余りにも風圧が強く、近くに居たヒドロゾア・テグラもほんの少しよろめいてコウから一瞬視線を逸らした。

 

 

()()()、と音が鳴る。

思わず音のした方へとヒドロゾア・テグラが振り返るとその音を発していたのは、まさに今、柱へ背を預けたまま意識を失っている超能力者へ確実なる死を与えるため自身が振るった一対の触腕が、肩口から切られた形で床の上で数秒蠢いたあとに動かなくなったのを確認した瞬間、ようやく両腕の感覚が無くなっているという違和感に気づいた。

気付くと同時、襲い来る痛みより早く先程の超能力者の背後をとった時のように己が持つ超能力の一つである()()()()を使って柱の近くから離れる。

転移する途中で襲ってきた痛みに苦悶しつつも、自身の触腕を切り裂いた原因を探ろうと正面を見据えようとして、ハタと気づく。

 

 

 

今の今まで柱に背を預けて意識を失っていたはずの超能力者の姿が掻き消え

代わりにテグラがつい数秒前に居たはずの位置でゆらりと立つその姿。

金色に輝く二本角に真っ赤な複眼は明かりの乏しい広間で燃えるように輝き、左腕と上半身を覆う鎧は腰に巻きついているバックル━━オルタリングの輝き同様、青く染まっている。

テグラの触手を切り裂いた張本人と思しき青いアギト━━━アギト ストームフォームは右手に風の力を纏った斧槍━━━ストーム・ハルバードを持ち両端の刃を展開させている。

そのリーチは平均的な成人男性一人分を超える長さと見る。

自身の腕を切り裂いたのはあの斧槍であろう。

テグラは内心で触手を切り裂かれた痛みに耐えながら冷静に敵の武器を見据えつつ、顕現のために器として利用した男から取り込んだ記憶から男が異形と化した際に1度だけ発現していた、触手の再生力を再現して触腕の再生を試みる。

元が人間であったオルフェノクに比べて"()"の使い方も分かっている、文字通り()()()()()()である自身ならば偶然に発現していた再生力を意図的に使用出来る━━━

 

 

(…………………)

 

 

しかし切られた触腕の根元は一瞬ボコリと泡立ち再生する兆候を見せるもただそれまでで、テグラが確認した男の記憶よりも何段も落ちた程度の再生で終わってしまう。

 

 

 

 

「随分のんびりしてんなぁ?天使さんや(テオスの使徒)。」

 

 

 

力の未発動に動揺を隠せないテグラにその声が聞こえたの同時に━━━━後ろから風を纏った斧槍の刃がその胴体を切り裂くため、風切り音と共に迫る。

回避行動を取るには遅すぎることを悟り、とにかく直ぐに距離をとり背後方向へ回るため先程までアギトが立っていた柱の方角へと空間転移でその場を離脱する、が最初に広間へ来た時と違い大雑把に固有能力を使ってしまったせいか柱の裏側━━━━━━━広間の中心よりもさらに先へと転移してしまった。

そして攻撃を避けられたアギトは、というと……。

 

 

 

 

「とりあえずこの女の近くからは引き剥がせたからヨシ!!

さすがに人質としても使える人間を近くに居させたままの戦いは不安が残るからなァ……。

コウの奴(やっこさん)も命の危機だってのに悠長に寝てやがるし、アギトの力もコッチに来てから1年も使い続けてるってのに一部しか顕在化させれないのはなぁ。」

(まァそっちは俺のせいでリソース不足になってたっぽいのは否めないから仕方ねぇ、が。)

 

 

「それもこれも天使を倒しちまえば万々歳で解決って寸法だな!!サクッとぶち殺されてくれよ?」

 

 

 

何やら色々都合がありそうな言葉をつらつら言いながらも、小沢を連れての一時撤退などは一切考えていない様子で手に持つ斧槍ストームハルバードの展開した切っ先 ドラグストームをテグラの方と突きつけつつ、腰に着けたベルト・オルタリングの前へ空いた右手を差し出す。

するとオルタリングから数千度もの炎が溢れ始め、溢れた炎が右手の前で収束し片刃の長剣へと形を為していく。

 

 

 

「とりあえずこの女はコイツで……。」

 

 

 

右手で炎から形作られた長剣 フレイムセイバーを小沢の目の前の床に突き刺す。

床に突き刺されたフレイムセイバーから炎が溢れ、小沢を中心にして床に炎の円を作り出す。

……が、しかし不思議なことに炎の円の中心にいる小沢には火傷はおろかその炎の影響が全く無いかのように先程までと同じく意識を失ったままである。

 

 

 

「……やっぱりコッチ(アギトの力)も超能力の延長みてえなもんでモーフィングパワー(魔石が齎す力)と大体同じ要領で扱えるな。

コウ(アイツ)が毎日毎日阿呆みたいに、それこそ()にまで馴染ませる勢いで色んな使い方を試してくれたお陰だな。」

 

 

さて、と呟き。

 

 

「さあ、コレで心配事は完全に無くなった。

主の目覚めも待たずに来やがった出しゃばり天使くん。

そろそろお開きとしようや。」

 

 

 

 

 

……既にテグラに残された道は少ない。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

警視庁地下にある廃棄区画の広間にて、光が迸り一筋の紫電が軌跡を描きながら虚空を走る。

放ったのは、心臓が一度停止して抜け殻となったオルフェノクの体へ入り込み新たに体を再構築した天使、クラゲを彷彿とさせる見た目をした異形ヒドロゾア・テグラ。

対する━━━紫電を放たれるも、最初からどこを紫電が走るかが分かっているかのごとく簡単に避けて見せる青いアギト━━━━アギト ストームフォーム。

両者対峙する姿は先程に比べ一見変わらないように見えるが、よく見ればマラーク、ヒドロゾア・テグラの方には明らかに覇気を失っている雰囲気が出てきている。

先程からアギトの構える斧槍 ストームハルバードのリーチを警戒して、攻撃を自らの持つ超能力を用い威力よりも精度と速さを主とした電撃でそのリーチ差を無くし、当たれば感電して起きるであろう筋肉の痙攣を利用して出来る隙を狙い続けている。

避けるにも空気中を走る電気の速さに対応するには、例えアギトであろうとも左右に跳ぶかするなどして大きく動いて回避に専念しなければ避けられない。

雷を例えに出すがざっくり言って雷の空気中を走る速さは、光速には大きく劣るが音速の数倍は速く進む。

主から与えられた万全の器ではないとはいえ電撃を操る力はそこまで落ちてなどはいない。事実、避けられた電撃が直撃している廃棄された━━━鉄クズ同様に朽ち果てている失敗作の武器たちは直撃した部分を中心に、範囲こそ小さいものの一部赤熱して溶解している。

自然界に発生する雷に比べれば威力は微々たるものだが、人型を相手するのに限定するならば、十分に隙を作ることが可能な威力は残っているのである。

アギトとはいえ雷から数段落ちるにしても、それに準ずる自身の放つ電撃を避けるというのは並の技量では不可能なのだ。

 

 

 

そう、普通ならば()()()()()()()()()のである。

 

 

しかも、最低限の移動だけで先の先を取るかのように動いて避けている。

まるで未来を視えているかのごとくに、1度ならず何度も何度も目の前にいるアギトは成し続けている。

その事実がテグラを次第に焦らせてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

一方、その避け続けているアギトは。

 

(いやぁコレが未来視、いわゆる予知能力ってヤツか。

助かるってレベルじゃねえ……勝手が良すぎて逆に反動が来るんじゃねぇかって疑っちまうな。

ヤツが何体にも重なって見えるのがちと目に悪い気がするが、電撃の精度と威力が下がってきてるな……、消耗している様子も見え始めているし、コレなら予定よりも早くこっちの狙い通りにいけそうか?

ここらで大きく消耗して欲しいな、ちと少し揺さぶってみるか……。)

 

 

 

「そんなバカスカ撃ってりゃお得意の電撃もそろそろ打ち止めになるんじゃねえか?

キモい触手の軌道は電撃の前に散々見切ったからなぁ、しかも最初に俺の攻撃を防御を捨てて必死に避けまくってたところから察するに、テメェの装甲は紙だな?」

 

 

だから、と続き。

 

 

(テオス)の使徒じゃなく、紙の使徒か?

それは流石に寒過ぎるだろう、さあネタ切れか?

ネタ切れならさっさと終幕(フィナーレ)と洒落込もうやあぁっっ!!」

 

 

 

言うや否や今までは待ちの姿勢、どんな攻撃にも対応出来るように構えていた姿勢を変え一転攻勢に出て、間合いを詰める。

テグラも最悪は転移があるものの、自身が主である闇の力に逆らった天使の力と似た力を宿す目の前にいるアギトを前に撤退など言語道断、先程までにやっていた電撃を放つのを辞めて一か八か今まで相手がしていたような待ちの姿勢を作り、必殺のカウンターを放つべく触手に残りの電撃を溜めてその時を見極めるべく集中の糸を限界まで張り詰める。

そして━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとテグラは柱の裏側まで吹き飛ばされていた。

全身には深くはないものの大小様々な裂傷が増え、空間転移はともかく電撃は使い切ってしまったようで全く能力を行使出来そうにない。

装甲の薄いテグラがアギトの一撃を受けたにしてはダメージが少なすぎるのだが、当のテグラは決死の一撃が相手に刺さったかどうかを傷だらけの体に鞭を打って立ち上がり確認しようとしており、全く気づく様子がない。

あの一撃さえ入っていれば如何にアギトでも無事では居られn

 

 

 

「今のはかーなーり良い線いってたなァ、まさか青のアギト(ストームフォーム)の速さを超えてくるとはな。

もうちょっとで避け切れねぇトコだったじゃねえか……。

しかしコレでまな板の上の海月って感じだなぁ。」

 

 

 

 

居た。

五体満足で電撃を少しも浴びた様子なく。

悠然とした足取りでこちらへと柱の横を通って此方へ━━━━━━━と、その時薄暗かった広間の電気が一斉につき、広間全体が()()()()()()

 

 

「……っ!?……、……………………。

……?……、……他に余計な奴の気配はねぇな。

……なんだ。クラゲ野郎の電撃が壁伝いに配電でも掠ったか?」

 

 

 

テグラにギリギリ聞こえる声量でアギトが呟いているが、それどころではない。

 

 

アギトは既に柱を背にしているせいで見えていないだろうが、電気が点いて広間の中心付近にある柱に()()()()()()()()()()()()()()()()が見える。

それはテグラが顕現するさいに器とした男が作り上げたモノであると男の記憶を探ればすぐに出てきた。

既に終わっていた盤面をひっくり返せるかもしれない可能性。

……その為に必要な筋道。

 

 

テグラは立ち上がった格好から転身させ近付いてくるアギトに見向きもせず広間後方へと全力で走り出した。

見る者によっては必死に距離をとろうと、哀れにも逃げ惑う愚者(弱者)のようにも見えるだろう。

しかも戦闘前に使っていた空間跳躍を使うこともないことから焦って転移する余裕も無い、と感じるかもしれない。

 

 

「なんだぁ?鬼ごっこは趣味じゃねえぞ、コッチ(この世界)には本当に鬼がいるわけだし……。

天使っていうだけあるなら時間稼ぎかなにか知らねぇが、無様に逃げ惑わず潔く喰われろや。

お前らの()はまだ絶賛睡眠中で、水の奴(鯨の天使)が憑依した女は一般人だ。

簡単にはここまで辿り着けねぇから、お前らだけに使えるテレパスか何かがあっても増援はまずこねぇぞ。」

 

 

 

何事かを言われていても一切聞かず壁際へと一目散に逃げるように走り、()()()()()()()()()

振り返り左右を見渡し逃げる先を探す素振りを忘れず行い、あたかも新たに逃げるように走りだそうとして━━━━━━━━━━━━その一歩先をストームハルバードが行く手を遮る。

 

 

 

「最後の最後に妙な風に逃げ惑いやがって……。

はぁ、つまんねぇな。

興冷めだわ、さっさと死ね。」

 

 

 

アギトが止めを刺すべく斧槍を振り上げた━━━━━━━━()()

 

 

「なっ!?、どこへ……、」

 

 

 

 

テグラは()()()()()()()()()()

先程の広間の電灯が点くというアクシデント、その時にアギトの後方に見えていたテグラがこの盤面をひっくり返せる可能性。

柱に磔にされているようにして廃棄されているモノの姿。

一般人とは鍛え方が違う警察関係の人間ですら絶対に扱うことが出来ない、と天才である小沢に言わしめてここへ廃棄された。

しかしテグラは人間などという下等種族ではない。

魂は本来この世界とは違う次元にて存在し、本来と違う方法であり抜け穴というか裏技を駆使して顕現しているものの、間違いなく人間を超越して器となったオルフェノクすらも超えた体へと変化し現界している。

 

 

 

そしてその身に纏うモノ。

今年になって立て続けに起こり始め、今も尚新たな事件が発生している未確認生命体から人々を守る為に人知れず仮面の下で泣きながらも戦い続ける男が変身した姿を科学で再現させようと小沢ですら未だに人が扱えるように完成させられていない兵器。

G()e()n()e()r()a()t()i()o()n()1()

こことは違う平行世界の時間軸にて、未来の仮面ライダーたちの前へ立ちはだかった姿である。

 

 

 

 

『オオオオオオオォォォオォォォォォォォォッッッッ!!!!』

 

 

 

 

なんという高揚感。

戦闘服の中へと入ったことにより持ち前の触手によるリーチこそ無くなってしまったが、代わりに自身の弱点とも呼べる薄い装甲は完全に無くなり、堅牢な防御性を獲得。

しかも男の記憶を探れば防御だけでなく、人では命に関わるほどの強度で設計された倍力機構により、徒手空拳による近接格闘能力までも素の状態とは比べ物にならないほど底上げされている。

これだけの力があれば目の前にいるアギトなど取るに足らず……いくら神威の武器があろうともこの装甲の前には竹槍同然、外からの物理による攻撃など全て恐るるに足らず。

テグラは高揚感から自然と出ていた雄叫びを止め、改めてアギトへと向き直り距離を詰めるべく右足を踏み出す……も()()()()()()()

 

 

 

否、G1へ転移してすぐの時には間違いなく健在だった筈の右足の感覚が存在しない。

すぐに右足を確認するも装甲の上からは右足が健在のように見えるので内側から触手で右足を触れて確認しようとした。

()()()()()()()()……が右足が消失しているのにも関わらず痛みは全く襲ってこない。

常人なら自身が急にこんな状況にあればパニックに陥りかねないが、消耗していてもテグラは闇の力を主とする超越生命体、マラーク。

アギトに悟られないように努めて冷静に、片足ではバランスがとれないので立っている姿勢を維持するため左足を踏ん張ろうとするも左足も……同じように中身のみ消失している。

右足だけでなく左足も同じように無くなってしまえば、装甲の中に入っているテグラが至る結果は一つ。

 

 

『ッッッッ????!!!!足、ガっっ!!??』

 

 

 

何が何だか分からないまま地へ落ちたテグラに近づき見下ろしてくる者がいた。

当然ながら先程まで戦っていたアギトである。

 

 

しかし違和感を感じる。

今は広間の電気が点いているので天井から電灯の光がテグラ達を照らしている。

テグラを見下ろすならば自然と影が出来て光が当たっていない場所は暗く見えるはず。

それなのにも関わらず、見下ろしてくるアギトには()()()()()()

まるで()()()()()()()()()()かのように。

 

 

 

自身の状態に加えて新たな異常事態にもはや混乱状態になっているテグラへアギトが口を開いた。

 

 

「いやぁありがとう、()()()()()()()()()なぁ。

予定通りにコトが進みすぎて途中で何度か罠かと疑っちまったわ……。」

 

 

 

喋り始めたアギトは何を言われているのか分からないテグラのことなど気にせず、勝手に話し続ける。

 

 

 

「おかしいとか全く考えなかったのか?

その脆い防御力しかない体がこのストームハルバードの攻撃を何度も受けれていたのを。」

 

 

「相手が急所を一切狙わず、わざわざ手負いになるように戦いを長引かせて電撃が使い切れるまでお行儀よく攻撃を避けるだけに留まっているのを。」

 

 

「大ピンチというタイミングで電気が点いて、俺からは一切見えずお前だけに良く見える位置にある都合の良いG1。」

 

 

「最後に基本的なことだが……青の力(ストームフォーム)

この姿は基本、通常よりも速い敵に対応する形態だぞ?

大昔にあった大戦の時にネフィリム……アギトを相手にしたことが無かったのか?

手負いのマラークをむざむざと壁際まで逃がす訳ないだろ?」

 

 

と、そこでアギトは変身を解いた。

アギトの姿が掻き消え、青年の姿があらわれる。

変身していた青年はそのまま電源が切れたかのように崩れ落ちる。

同時に青年の隣へ影が集まる。

それは青年が倒れている下の地面から、またテグラが装着しているG()1()から集まり、崩れ落ちた青年と同じ形を為した。

 

 

『まァそんな訳だ。

もう空間転移と電撃を扱う異能は真っ先に……

そう、足を喰う前より前に頂いたから転移で逃げるのは無理だぞ?』

 

はァ、と溜息を一つ。

 

『全く時系列もなにもかも無視して出しゃばって来やがって迷惑な天使だ。

そこも正史と全く一緒かよ……。

ま、お陰で空間転移と電撃の異能はかなり棚ぼただったけどなぁ……コレなら電気への耐性と何よりもライz

んー?あー、もう聞こえてねぇな。』

 

 

影の青年はニヤリと嗤い、もはや目の前にいる異常そのものに反応出来ないテグラに最後の言葉を告げる。

 

 

 

『じゃあ、()()()()()()。』

 

 

 

 

━━━━━━━━━装甲の内側に侵入してくる影に自身の全てが喰われていく感覚を最後にテグラの意識は闇の中へと消え去った。




何ですかコレぇ……(ドン引き
kug編どこ?……ココ?たすけていにゅい……(一般作者)


⚫体はともかく意識は最初しか出番なしのa人公
_(ˇωˇ」∠)_ スヤァ…してる。
今回ほぼ見せ場が無い。体の方はアギトに変身して戦闘しまくってたけどね。


⚫小沢さん
コッチも_(ˇωˇ」∠)_ スヤァ…。
しかし流れで小沢さんが襲われてる方向に舵を切ったのだけれど、マラーク戦でこの人が扱いづらいのなんのって……テオスの目覚め前のマラークが人を襲わない保証がない、逃げるにも意識を失ってる、戦闘では抱えたままでは邪魔。一体どうしろっていうんです(流れに身を任せたクソ雑魚作者)
あ、ちゃんと一段落後安心安全のテレパスで記憶処理してから家に返しておいたよ(小並感)


⚫描写の関係上仕方ないとは言え明らかに今回はお前主人公じゃねえかよ、それはともかくムシャムシャ(テグラ)

ハイドロゾアロード ヒドロゾア・テグラ。
MASKED RIDER AGITΩ EDITION -PROJECT G1に出てくるクラゲ型怪人。
本編では空間転移でG1の中へ入り何故か街中で大暴れして駆け付けたアギト、G3マイルド、G4-X、V1によってG1ごと爆発四散する最後になる


コッチではオルフェノクを器として闇の力からの受肉をするまでなく現界した。
力の源が似てるからって能力や言語系も十全に扱えるとは限らないゾ♪じゃがいも+トマトでポマトを作るのとは訳が違うんですよ!!
正史でも明確な目的が分からないまま倒されてましたがコッチでは超能力を使ってる主人公+降りれる器(オルフェノク)の近さ、の条件が揃っていたので勢い良く限界して来た。辺りを落とし所にして貰えると……助かります。
本編でも分かんないのになんで素人作者が分かるんだよいい加減にしろ!!(豹変)


⚫謎の影および一般アギトストームフォーム
寝たままの主人公の代わりに戦ってくれた謎の影。
確か主人公君それなりの数オルフェノクをムシャムシャしてたよね?
この世界で主人公が目覚めて代わりにずっと眠ってる人がいますよね?
前回の最後の方でアマゾンの超感覚を失ってたよね?
なぜ態々これまで戦ってきた魔石の力を使わなかった?
魔石を核にしt……おっとこの先は未来の出来事でしたね。失礼しました。(プロット無し)
何者かというなら前のAmazon君ですかね、今の予定で進めばですが……(目逸らし)



⚫最初から広間でスタンバってたのに最後の方にしか出して貰えず、出番もイマイチの柱で磔になってたG1君


前話で鷹山サンダーしてた頃は主人公に着せてG1でテグラを撃破しようと思ってました()
しかし「戦闘中にコレをG3みたいにカチャカチャ着るの?正気か?そんな隙許してくれるの?」となり、あえなく没。
それでもどうにかG1君の出番は欲しいし、テグラも倒したいし……での結果。
性能的にはG1以上でG4未満といったところだけれど、AIの制御を搭載していないので中の人に大きく左右される。
元主任オルフェノクが使用してたら?
初代の暗黒進化って知ってますか?そうですそうです、スカルグレイモンのアレです。
あのイメージです。暴れるだけ暴れ回ってオルフェノクの寿命を使い終われば灰に還ります。



そろそろkug編に戻らせないとマジで2000年代が終わらないのでなるべく進めたいです。
しかし未来のことは未来の自分しかし分からないので後書きもgdgdせずにこのあたりで疾走して失踪します。
次回も頑張ります。

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