Fate//welcome escatlogy wild clown 作:まろ茶量産型
「人工的に魔術師を作る工程は三段階ありますが、品質を気にしなければ、どの段階からでも生産過程に入る事ができますよ」
「第一段階では適性があった者の遺伝子のクローンを使い、精子と卵子を選別し、それを適切な配合になるまで数億から数兆通り、あるいはそれ以上の配合データを参照しながら選定します」
「選定された後、生後一週間〜二週間まで人工の子宮により保育されますが、望む突然変異が起こらない個体は破棄されます」
「第二段階は・・・実はこれが一番堪えたんですが、
出産して間もなく製造物は装置と薬物によって全ての五感を剥奪され、全身も麻痺させられます、個体によっては、その・・・四肢を切断したりしていましたね」
「視覚障害者の聴覚が良くなったりするでしょ? あれと似たようなもんです」
「だいたい5歳を迎える頃にようやく五感と体の自由を返還するんですが、その頃には魔力でそれらの機能を全て補えるようになるんです」
「第三段階はーー
映像はここで止まり、8年後の政権交代後も報道される事は無かった。
少女「待ってたわ」
それだけ言うと、少女は静かに微笑んだ。
10代にも満たない容姿であったが、瞳の曇りと表情の不器用さ、
何よりも浅黒い肌と濃い眉毛と黒髪から、中東以遠の民族である事は容易に類推が叶った。
その少女がまごう事なき
今日の聖杯戦争で、敵方の
伝統ある魔術師なら兎も角として、現在の世界にありふれた粗製品達はただ勝ち、生き残って報酬を得ることのみが至上目的であり、生業なのだ。
それが何を意味するかと言うと、かつての対峙や決闘などは起こるべくもなく、定石に確立された戦法は奇襲による暗殺であるという無情であり、国勢の一端を担う一兵士として徹底して訓練されるものだ。
少女「おにいさん、おなまえは? 」
足音の鳴らない不気味な歩みを、少女はワイルドに向けた。
少女の足元にぽたりぽたりと、不快な水音と共にそれは無数に聞こえる。
耳や指等、人体の細々なパーツが落ちていた。
ワイルド「落し物だよ、お嬢ちゃん」
少女はそう言われると、本物とも人形の物ともわからないそれを掻き集めポケットにしまう。
ランサーは槍を深く握りこみ、少女の喉元にいつでも突き入れられるよう身構えている。
当然、武人という脚色が付与されたその戦士に、戦場で幼子を手にかける苦悶や葛藤の色は無い。
しかし、ワイルドはそれを制止し続けた。
問答無用で殺しにかかる事の無いその奇妙さに対する警戒と、
少女の一言目の『
ワイルド「
その一言に呼応するように22と54枚の黒いカード達は列を成してランサーの鎧の隙間より這い出てる。
ワイルドの手には、あの分厚い山札が再び築かれた。
少女はその芸当に歓喜したように、手を叩いて笑った。
少女「凄い凄い! 手品だ手品だ! 」
ワイルド「ありがとよ、だが人に名前を聞く時は、自分から先に言うもんだよ。 お名前、ちゃんと言えるかな」
少女は二、三の間を置いて申し訳なさそうに答える。
少女「ごめんなさい、覚えてないの」
ああ、こいつもかと、ワイルドは落胆するわけでもなく理解した。
恐らく最初の『ようこそ』も偶然の符合であり、この幼気な少女は今や世界にごまんと居る、訓練すらされていない
ワイルド「そうかい、じゃあ代わりの名前を付けてやる。 占いは好きかい」
少女「うん、好きだよ」
ワイルド「そりゃ良かった、今からこのカードを上から順番に落とす、好きな時にストップって言いな」
ランサーは臨戦を解かず、じっと少女に挑もうとしていたが、
衣服以外は普通の女の子と戯れ続ける主人に業を煮やしているのか、尋常ならざる貧乏ゆすりをしている。
忠犬の如く誠実な騎士ではあるが、この度も『待て』は中々に長かった。
少女「ストーップ! 」
次々に落ちゆくカードは止まり、ワイルドは落ちたカードの一番上をめくった。
カードの絵柄は七人の赤子の天使が戯れる、ハートの7
ワイルド「ハートのラッキーセブン」
少女「見せて見せて! 」
少女はワイルドに駆け寄る。
無邪気に、笑顔で、
そしてある程度近づいたところで、少女は無残にも身体の至る所が膨張していく。
膨大な内なる魔力が急速に肥大化し、少女の身体を破り、炸裂する。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
2次創作と申し上げつつfateらしさのかけらも御座いませんが、
次回以後は普通にfateらしく仕上げていこうかなと予定しております。
また、前書きの部分で世界観の断片的な補足も入れさせて頂きました。
ディストピアものとして楽しんで頂けると幸いです。
それでは本日も大変貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました。