咲異録~鏡花水月~   作:璃空埜

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明けましておめでとうございます(大遅刻)璃空埜です。

咲異録1の③完成しました!!
今のところ第1局は次話でおしまいの予定です。まだ続きは長いのですが……。

それではどうぞ!!


第1局 狙撃主といたずら悪童と竜巻迷子と澄んだ月ー③

side 照

 

さて。私、宮永照は今日から高校生になった。

そして初日ながらも、久と澄夜君という友達ができた。

しかもなんと、澄夜は私の生き甲斐とも言えるスイーツを作るのががとても上手と聞いた。他のクラスメイトの反応を見るにその腕は確かなのだろう。

さらになんとなんと、彼の家である喫茶店で私にそのスイーツを食べさせてくれるみたい。すばら。実にすばらだ。

ルンルン気分で家に帰りお母さんにその話をした後、すぐに着替えて意気揚々とそのお店を目指し家を出たーーーーーー

 

ーーーーーーーーーそう……[歩いて]

 

 

ーーーーーーーーー結果…

 

「………………さて………………」

 

ーーーーーーーーーーーーここは一体どこなんだろう??

まず、右を見るーーーーーー普通の住宅街。目印はない。

そして、左を見るーーーーー普通の住宅街。目印はない。

さいごに前後ーーーーーーー普通の住宅街。目印はない。

 

「………………」

 

まぁ待とう。一旦落ち着こう。ここで慌ててしまったら駄目だ。いつもの二の舞だ。そうだ、携帯だ。ここで文明の利器の出番じゃないか。久と澄夜の連絡先があるじゃぁないか。これで万事かいけ………………。

………………そうしてバッグから取り出した携帯には[バッテリーがなくなりました。充電してください]の表示。

 

「……………………」

 

余りの事に呆然としている私をよそに、私の最後の希望(携帯)はそのままブラックアウトし……うんともすんとも言わないただの薄っぺらい荷物に成り果てた。

 

「……………………………………」

 

…………まだだ。まだ、慌てるような時間じゃない。

そうだ、戻ればいいのださっき来た方へ…………

 

「………………………………………………どっちから来たんだっけ?」

 

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 

……………………よし。

 

「甘い匂いがするこっちに言ってみよう……………」

 

**************

 

ーーーーーーーーー結果…

 

「…………………………」

 

ーーーーーーーーーーーー何故か白糸台高校にたどり着いた。

 

どうしてこうなった?大体ではあるが2、3時間は歩いたはずだ。確かに……確かに途中であんまんや駄菓子とかを食べ歩きはした……というか今も商店街のおばちゃんがくれたおもちを食べているのだけれども……。それでも何故学校に来ちゃったのか?途中、何か女子の大群が誰かを追いかけていたようだけど、それを避けたのが不味かったのだろうか?ともかくそろそろ日も落ち始めているし……。

 

「ど……どうしよう……」

 

結局、私はおもちをくわえたままおろおろするしかない。

今日は入学式と言うことで学校に生徒は残ってない……残ってたとしても、話しかけずらい……。しかも携帯はバッテリーがないときた。さらには、タクシーやバスを使おうにも色々買い食いしちゃったせいもあって、お財布がすっからかんなのだ……。

………………そう、今の私は帰ろうにも帰れないのだ。何せ下校の時もマップに頼りっきりだったし……

 

「あぅ……あぅ……」

 

打つ手がなくなり、おろおろ…おろおろ…としていると……

 

「何してるのよ…………照」

 

私に呆れたような声をかける救世主(久)が現れた……。

 

**************

 

「は~っ……は~っ……。ああ~もう笑い疲れたわ~……。ポンコツな子かなとは思っていたけどまさかここまでなんてね~」

「ぽ……ポンコツじゃない……」

「方向音痴なのは仕方ないとしても…携帯の充電を忘れた上に、スイーツの香りの誘惑に負けて所持金ほぼぜ~んぶはたいちゃったのは誰かしら?」

「う……」

 

久は用事があって学校に残っていたみたいでそれが一通り片付き、これからまさに帰ろうとしていたところだったらしい。そして校門で何故かおもちをくわえたままおろおろしていた私を見かけて声をかけた……とのこと。

その後、“黎明”に向かいつつ何があったのた洗いざらい話したら、久は大爆笑していた。

…………そんなに笑うことはないと思う………………。

 

「それにしてもそんなにスイーツ食べた後でも大丈夫なの?」

「ん……。甘いものは別腹だから」

「後で後悔しても知らないわよ~?特に澄のスイーツは絶品なんだから」

「澄夜のスイーツはそんなに凄いの?」

「ええ、そりゃもう凄いわよ~。何せ、お客さんの中には半ば中毒状態の人がいるほどだし、ちょっと前にこっそりネットショップに出してみたらさ……数日後にはとんでもないの値段がついて落札されてた」

「おお……」

「ちなみにそのサイトのコメント欄に某有名料理評論家のあの人もコメントしてたんだけど……」

「その人……確かこの前、引退しちゃったよね?私、あの人の評価を色々参考にしていたんだけど……。それでどんな評価だったの?」

「……料理評論家をやめるって書いてあったわ。因みに今もその人は家の常連よ」

 

衝撃の事実が判明した……!まさか巷を一時騒然とさせた引退騒動の原因がまさかの彼とは……!!

一体どんなスイーツなのだろうか……。これは期待が高まる……!!

 

「おお……すんごいキラキラしてる」

「久……早く行こう……!!」

「はいはい。……なんだかポンコツというよりはちっちゃい子供みたいね」

 

最後の久の台詞は聞かなかったことにして私たちはその後も雑談をしながら“黎明”に向かった。

 

ーーーーーー

「久、こっちから甘い匂いがする……」

「こ~ら!!駄目でしょ!!これから食べるんだかる我慢しなさい!!」

「我慢………………すない」

「すないって何!?」

 

**************

 

side 久

 

「イラシャイマセ……」

「あら?」

「……おお、とってもいい匂い……」

 

校門でおもちをくわえたままおろおろしていた照を捕まえ、その後は簡単に甘い香りに誘われる照の気を何とかそらしつつ、やっとこさ着いた“黎明”に入り店の状況を確認していると(意外にも店内には女子生徒が5、6人いるだけだった)、見知らぬ女子が家の制服を着て接客してきた。…………ガッチガチに固まった笑顔で。後ろの妖怪“無限甘党”はそんなの一切気にしてなかったけど。

 

「あなた……新人さんかしら?」

「モウシワケナイノデスガゲンザイハタイヘンコミアッテオリ……」

 

あらら……。緊張しすぎてロボットみたいなってるし、死んだ魚の目になってるし、私の声も届いてないわ……。もったいないわね~、深い青髪ロングでスタイルよし、顔よし、雰囲気よしの三拍子整った美少女なのに……。

 

「お!!おかえり~!!」

 

そんなロボット青髪の子の後ろからぴょこっと利奈姉さんが顔を出した。

 

「ただいま、利奈姉さん。意外に混んでないわね~」

「んにゃ!!一時前にはてんやわんやの大騒ぎさ!!星魅が言うにはここ3ヶ月分の売上を越えたそうだ!!」

「あら、それはまたすんごい売上。ちなみに澄は?」

「裏で真っ白に燃え尽きてる!!」

「モウスコシシタラオセキガアキガデキマスノデ……」

「後ろの子も客か??」

「ええ、そうよ~、澄に話せばわかると思うわ。それであたしが手伝う必要はある?」

「もうピークは過ぎたし大丈夫だ!!では2名様ご案な~い!!!」

「イラシャイマセ……モウシワケナイノデスガ……」

 

ぶっ壊れたロボットのように一定の台詞をリピートしている青髪の子は一旦そのまま放置しておいて、あたし達は利奈姉さんに案内された窓側の席に着くと水とおしぼりを取りに行った利奈姉さんと入れ替わるように疲れきった澄がやって来た。

 

「おかえり、久。そしていらっしゃい、照」

「ただいま~♪にしても若干やつれたかしら~?」

「ん。……澄夜、大丈夫?」

「まったく……誰のせいだと……。まぁ、家の売上が凄いことになったから感謝はしてるけど。それで心配してくれてありがとね、照」

「ふふん♪存分に感謝しなさい♪♪」

「ははっ、腹立つな~。はいこれ、メニュー」

「ありがと。……おおすごい数のスイーツ……」

 

もらったメニューを見たとたん、照の瞳が輝き出した。ついでに癖毛も凄い勢いで動いている。

そりゃぁそうでしょ。何せ家の澄のスイーツのレパートリーはそこらの下手な喫茶店とは格が違うし、そのどれもが格別に美味しいというのだから文句の付けようがない。

澄っていっそのこと、パティシエになったらいいんじゃないかしら?

 

「そういえば……。ねぇ、澄?今受け付けに立っている青髪の子は?」

「あ~……スゥのこと?」

「おや~?やけに親しげじゃない?」

「ん、まぁ~……色々あってね。詳しいことは後でいいかな?」

「ま、大体の予想はついているのだけれどもね。どんな言い訳をしてくれるのか楽しみにしているわ♪」

「言い訳じゃないよ……」

「……決まった」

 

そんなことを話しているとメニューとにらめっこしていた照がようやく顔をあげた。

 

「お、じゃあちょっと待ってね…メモ出すから…………。……はい言っていいよ」

「えと……ストロベリーパフェにクリームチーズケーキにバナナチョコカスタードクレープにりんごカスタードシュークリーム10個にアップルパイに……」

「…………へ??」

「照!ストップ!!ストップ!!あなたお金ないんでしょう!?」

「あ………そうだった……」

「いやいやいやいや……それ以前にそんなに食べれるものなの?」

「?お菓子は別腹だよ?」

「さっきもそう言ってたけど…………今言った量だけでも尋常じゃないわよ!?一体どんだけ食べる気なのよ!?!?」

「お腹一杯になるまで」

「普通に太っちゃうよ!?とにかく……クレープだけでいい?」

「え~……」

《え~、じゃない!!》

 

結局、照はふてくされながらバナナチョコカスタードクレープとアップルパイとパインジュースを注文した。

 

「はぁ……それで久はどうする?」

「あたしはさっき頼んだ“あれ”とアールグレイで」

「…………?」

「了解。それじゃちょっと待っててね」

 

注文を受け厨房に引っ込む澄にひらひらと手を振って見送った。そのあと、水とおしぼりを持ってきた利奈姉さんに照のことを紹介したら、二人とも気があったらしく……

 

「星利奈さん……いえ、師匠……!!」

「師匠……師匠か!!素晴らしいじゃないか!!同志、照!!!」

 

なんてことをやっていた。

静かな照と賑やかな利奈姉さん……相対的な二人だけどもスイーツだけでここまで気が合うなんてね。なんだか意外……でもないのかな?

そんなやり取りのあと、利奈姉さんは他のお客さんに呼ばれて注文を取りに向かった。

 

「……ねぇ……久」

「ん?どうしたの照?」

「ここの人たちは……皆凄い人ばっかだね」

「あら、あまりリアクションはなかったのだけれども……気がついていたの?」

「うん…………。私のお母さんも……そうだから」

「へぇ……」

 

でも……宮永性の有名人なんていたかしら?照の様子を見る限りまだあたしが聞いていいような話じゃないわね。今はまだ……ね。

照もまだ話す気はないみたいでそれっきり口をつぐんでしまった。ただ……ほんの少しだけ……ほっとしたというか、同じような人がいて安心したような瞳をしていた。

 

**************

 

その後は特に何事もなく照と雑談をしてのんびり過ごしていると両手にトレイを持った澄と、先程まで接客していた青髪の子がやって来た。

 

「はい、お待たせ。照のバナナチョコカスタードクレープとアップルパイとパインジュース。それと、久の僕お手製パンケーキとアールグレイね」

「!きた!!」

「ちょっと遅かったわね。何かあったの?」

「いや?星魅姉ちゃんが『久達と話してきていい。今日はもう終わりにするから。後、弘世さんもつれていってね』って言われたからついでに追加で作ってきたんだ」

「…………そういうことらしい」

 

青髪の子ーーー弘世さんはそう言って近くのテーブルを私のテーブルに隣接させ、その上に澄が色とりどりのスイーツを並べる。

 

「ひゃ~。結構作ったわね~」

「このスイーツと久達が頼んだスイーツの代金は払わなくていいってさ」

「!ほんと!?」

「ああ、私も聞いたのだかどうやら今日の売上はとんでもないことになったらしいな」

「良かったわね照。お財布、すっからかんにならなくて」

「うん、良かった」

「ここに来るまでになにがあったのさ……」

 

そう言いながらエプロンを外しながら席に着く澄と弘世さん。

 

「まぁ、今回は僕と久の入学祝いも兼ねているらしいからね」

「と言うことは……乾杯でもしてみる?」

「………」

「……すでに宮永…とやらがすでにパイにかじりつこうとしているのだが……?」

「はやっ!?」

「スイーツとなると凄い反応みせるのね……」

「……む?」

「あ~っと、照さんや?」

「……?乾杯、やる?」 

「……なんともしまらないが……やろうか。掛け声は誰がやる?」

「ここは、こ~んな美少女達を侍らしている澄が適任でしょ♪」

「いや……侍らしてはないんだけど……?」

「どうする?私がやろうか?」

「…早くやろう」

「いいよ、僕がやる」

「なんやかんや言ってやってくれる澄、大好きよ~♪」 

「ハイハイ……。こほん!……ええっと、みんなそれぞれのグラスは持ったね?……それじゃ、みんな白糸台入学おめでとう!!それと……」

「なんの捻りもないんだな」

「なんの捻りもないの~?」

「………ちょっとつまらない」

「うっさい!…とにかくこれからよろしく!!それじゃぁ……ーーー

 

ーーーーーー乾杯!!」

ーーーーーー《乾杯!!》

 

そして4つのグラスが軽く触れあう音が店内に響いたーーーーーー

 

**************

 

「な………なんだ…………これは……」

「          (フリーズ中)」

 

澄のスイーツ初体験の2名は見ものだった。

弘世さんはこの世のものではないものを食したかのように驚愕の極みだし、照に至ってはパイ1つ食べ終えた姿勢のままフリーズを起こしてしまった。

 

「?……もしかして、口に合わなかった?」

「い、いや……そんなことあるわけないだろうが!?それどころか……旨すぎるだろこれ!!!」

「          (フリーズ中)」

「て、照?生きてるのかしら?」

「私も色々な甘味を食してきたがこんなに美味なものは初めてだ!!」

「そっか……!ありがとう、スゥ」

 

照は相変わらずフリーズしたままだけど、弘世さんは何とか落ち着いたみたい。まだ若干興奮ぎみだけれども。

う~ん?ちょこっと試してみようかしら♪

 

「え~と、弘世さん……だったかしら?」

「ん?……ああ、君が澄の義姉で同級生の涼月久か。弘世菫だよろしく」

「あら、あたしのことは聞いていたのね。改めて涼月久よ、こちらこそよろしく頼むわ。弘世さん」

「私のことは菫でいい」

「なら、あたしのことも久でいいわよ♪……それで菫ちょ~っとこれ食べてみてよ」

 

そう言ってあたしはパンケーキをほんの少し切り分け、菫の皿にのせた。

 

「パンケーキ?」

「そっ。とにかくなにも聞かずに食べてみて♪」

「先ほどの甘味で思い知ったが……もう驚かんぞ……。あむっ。っ!?!?」

 

パンケーキの切り端を口に入れたとたん、菫もフリーズした。

心なしか、菫の回りに天使が舞ってるような気がする。

 

「         (フリーズ中)」

「スゥ?」

「照にも食べさせてみよ♪えい♪」

「         ん……んくっ。っ!!!!」

「あ」

「て、照ぅ!?ちょ!何やってんのさ久!!何か照、真っ白になっちゃったよ!?」

「いや~。二人がここまで面白い反応を見せてくれたから、澄の特製パンケーキ食べさせてみたらどうなるかなぁ~って思ったのよ。……てへ☆」

「『てへ☆』じゃなぁいっ!!照!スゥ!しっかり!!!」

「          っは!?」

「         っ!!」 

「あ、もどっ「澄!?今のパンケーキはなんだ!!!」「澄夜!今のパンケーキを後100枚ぐらい頂戴!!」待てぃ!!」

 

そう。あたしが頼んだ“あれ”こと澄特製パンケーキ。実はこれこそが某人気料理評論家を引退に追い込み、ネットショップで超プレミヤがついた料理なの。今は特定の常連さんにしか出していないけれど…結構手軽に作ってくれるみたいで頼みこめば初見さんでも出してくれるけど……十中八九、このパンケーキの虜になる。

ちなみに、澄が言うには「普通に作ってるだけなんだけど」とのこと。何でここまで美味しいものになるかは本人すらわかっていない。

 

「100枚今からは無理だって!?」

「お願い!!何でもするから!!」

「ん?今何でもするって言ったね?」

「何で久が反応するのさ!?」

「おい澄!このパンケーキはなんだ!!一体何を使った!!!」

「待て待て待て!!スゥ、落ち着いて!!普通に作ってるだけだから!!」

「普通に作ってこんなに美味しくなるか!!」

「ええぇぇぇ!?!?」

「お?何だ何だ!!宴会か!?わたしも混ぜろぉ!!!」

「お!利奈姉さんと星魅姉さん、今日はもうおしまい?」

「ええ。今日の売上は凄かったわ……。半年お店を開かなくても大丈夫なレベルで」

「へぇ~!それは嬉しい悲鳴ね♪」

「ちょっと!?そっちでのんびりしていないでこっちも気にして!!?」

「いいから秘密を洗いざらい言え!!本当は何か隠しているんだろう!?さぁ!さぁ!!」

「100枚が駄目なら50枚で……」

「さぁ!!遊ぼう!とぉやぁ~!!」

「いいから落ち着いてくれ!!」

 

一通り店じまいをした利奈姉さんと星魅姉さんも加わり、段々と賑やかになっていっている(主に澄とその周辺だけど)と、不意に店の入り口が開いた。

 

「ただいま。まったく、賑やかにするのはいいが外まで漏れているぞ。気を付けろ」

「ただいま~。お、やってるやってる♪特別ゲスト連れてきたよ~」

「お邪魔するね~。おお~賑やかだね~」

「お、お邪魔します…。夜分遅くにごめんね?」

「お邪魔しま~す!あ、面白そうなことしてるじゃない!あたしも混ぜて!!」

「おかえりなさい、朝日姉さんに夕羅姉さん。そしていらっしゃい、三尋木さん、小鍛冶さんと恒子さん」

 

入ってきたのはまさかの一団。家に帰ってきた朝姉さん、夕姉さんはともかく、現役プロ雀士、利奈姉さんのライバルであり、昨年の日本代表、三尋木咏プロ。そして同じプロ雀士で夕姉さんの永遠のライバルで日本最強の雀士、小鍛冶健夜プロ。そして、今年ブレイクした元気はつらつ猪突猛進の新人アナウンサー、福与恒子アナという超豪華面子。

ま、といってもあたしや澄は何度もあっているし、同じ卓を囲んだこともある仲だから気軽なもんだけどね~♪

 

「いい加減に……って!?小鍛冶プロに三尋木プロに涼月プロ!!??!?」

「50枚が駄目ならよんじゅ……え?あ、ホントだ」

「あーーーーーーっ!!うーちゃんだぁぁ!!」

「うーちゃん言うな!!まったく…あんたはいつまでたってもお子様だねぇ」

「お子様上等!!というかうーちゃんだってお子様な身長じゃん!!」

「開き直るな!!それと、残念ながらあたしの方が5センチだけ大きいわ!!」

 

人、それを“どんぐりの背比べ”という。

さて、相変わらずな利奈姉さんと咏さんは置いとくとして……。

さすがに、初見さんの菫と照は世間を賑やかす大物達を前にしてるから緊張してーーーーー「三尋木プロ、サイン頂戴」ーーーーー照はそんなことなかったわ。結構度胸あるのかしら?ま、菫に関しては予想通りカチカチに固まっちゃってたけれども。

 

「た、助かった……」

「あら?まだ宴は始まったばかりなのにもうお疲れかしら?」

「今日の午後は散々だったんだよ……。主に誰かさんのせいで」

 

ぐったりと疲れた様子を見せる澄。

おかしいわね~?こんなことじゃ疲れることはないのだけれども。

 

「……もしかして……何かあった?」

「…………捕まったら蹂躙される、デスゲームみたいなのに参加させられてた……」

「あら~……」

 

それって、照が言っていた「雄叫びをあげて走り回ってた女子集団」のことかしら?…………もしそうならさすがにあれはやり過ぎたかしらね……。

 

「ごめんなさい。流石にやり過ぎたわね」

「……なっちゃったものはしょうがないよ。こっちで何とかするさ」

「でも、大丈夫なの?」

「何がさ?」

「いや……その追ってきた人たちへの配慮よ。まさかいつもみたいに話して解決するって言うんじゃないでしょうね?」

「う……」

「やっぱり……。今回はか・く・じ・つ・に!それだけじゃ終わらないと思うわ」

「…………そうかな?」

「十中八九、そうよ」

「………………マジか」

「マジよ」

「ど、どうしよう……」

「そうねぇ……。澄特製スイーツをいくつかあげればいいんじゃないのかしら?」

「何人いると思ってんのさ……」

 

そんなことを話していると、澄の携帯が鳴り始めた。

「ちょっとごめん」と断りをいれて、携帯のディスプレイを確認した澄はすぐに嬉しそうな顔になった。

澄の表情から察するに、あの子だろうな~。同級生だしね。

 

「わりぃ……久、ちょっと電話出てくるよ」

「は~い、いってらっしゃい。こっちはじゃんじゃん進めているわよ?」

「なるべく早くには帰ってくるつもりだよ」

 

そう言って席をはずした澄。それと入れ替わるようにしていつの間にか復活していた菫がやって来た。

 

「?澄はどうしたんだ?」

「知り合いからの電話よ。それより、もう大丈夫なの?」

「ああ……事前に澄から聞いていたからな。……実際に会うとそれどころじゃなかったが」

「そう……。じゃ、今度は話してみる?」

「ん?……いや、それは……」

「お~い!すこや~ん!!」

「おい!?…というか君もかなり気軽に呼ぶな……」

「?どうしたの、久ちゃん」

「こちら、今日澄がナンパした弘世菫さん」

「え"……」

「な、ナンパされたわけじゃない!!……こほん、ええと……は、はじめまして、弘世菫です」

「だ……だよね!とっとっとっとーや君がななななナンパなんてするわけないもんね!?とととととりあえずよろっよろしくね!ひろへぇふぁん!」

「………………」

 

あ、菫がなんとも言えないというか唖然とした顔をしてる。

まぁ……そうだよね~。まっさか、あの小鍛冶プロが一般家庭の高校生、しかも去年まで中学生だった男子にホの字の、レの字の、タの字なのに加えてまさかの超絶ヘタレともなれば…そんな顔にもなるわ。

…………いや?澄のルックスと性格ならあり得るかな?

 

「なぁ……久」

「なにかしら?」

「……まさか……小鍛冶プロは…………」

「ご想像の通りよ♪」

「…………会わない方が良かったかもしれない……」

「こらこら。そんなこと言わないの」

 

よく「テレビで見たのと現実では全然違う」って言われるけれど……すこやんはその典型的な例だもの。だって……

 

「こーこさん情報によれば、家では常にジャージ。料理はできず、実家から送ってもらってるみたいだし掃除や洗濯とかはかなりサボっているっていう超だらしない人らしい。」

「久ちゃん!?」

「……小鍛冶プロのイメージが……」

「ちょ!?引かないで弘世さん!っていうかこーこちゃん!!なんて情報流してるの!!」

「んん~?」

「あぁぁぁっ!!私のパンケーキぃぃぃぃっ!!!」

「あ、こーこさん、私にもください♪」

「……私も頂こう」

「オッケ~♪」

「オッケイ~♪……じゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」

「おや?すこやん、いらんのか?ならあたしもいただくわー」

「あーーーーーー!!うーちゃんズルいぞ!!あたしももらう!!」

「久々にあたしも頂こうか。悪いね、健夜」

「おお~すこやん太っ腹~」

「いただきます、小鍛冶プロ」

「あ、追加の代金は小鍛冶プロからいただきますね~」

「え!?ちょっと皆さん!?というか星魅ちゃん!!今のは冗談だよね!?!?」

「さてさて…どうでしょうか?」

「冗談と言ってほしいな!?って、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!パンケーキぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

そうして、皆にパンケーキを食い荒らされ、真っ白になったすこやんもいたが、楽しい宴と共に夜はふけていった……。

始まったばかりの高校生活。こんな風に楽しく過ごせていけたらいいな~。

そう思う、あたしだった。

 

**************

 

side 澄夜

 

「もしもし?ああ……こっちも無事に入学式終わって今、皆でワイワイやってるよ。そっちこそ元気?ーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーー怜」

 

 

                 

                  1ー③ END

 

 




いかがでしたか?

もしかしたらプロ組がキャラ崩壊してるかも……(特にすこやん)

さて、次なのですが以前、お話したリクエストの作品を投稿する所存です。
今後はその作品とこの作品を交互に出していきたいと考えていますので、ご了承をば。

最後に誤字脱字、作品に対しての感想、ご意見等々受け付けておりますのでよろしくお願いします!
そして、今年も頑張りますのでよろしくお願いします!!
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