魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

1 / 35
プロローグ

ある日道を歩いていた俺の足元に、突然穴が開いた。

 

コイツ頭おかしいんじゃねぇの?とか思うかもしれないが、事実である。

 

そして、俺は為す術もなく穴の底へと落ちていく。

 

 

.....父さん、母さん。先立つ不幸をどうかお許しください。

 

 

ああ、死んだな.....。瞬間的にそう悟った俺は、心の中で両親に謝罪していた。

 

 

 

 

 

どこまで落ちたのか、周りは闇に覆われていてわからない。

しかし俺の落ちた穴が全く見えないという事は、だいぶ深いところなんだろう。

 

「っていうか、なんだったんだあの穴は……」

 

思わず1人ごちる。

 

「はっはっは!あれは俺が仕掛けたのさ」

 

どこからか豪快な笑い声と共にそんな声が聞こえてきた。

 

「だ、誰だ!?」

 

反射的に辺りを見回すが、闇の中で見えるはずもない。

 

「悪い悪い。今姿を見せてやるよ」

 

声がそう言った瞬間、強烈なフラッシュがたかれて視界が白く染まる。

 

「うわっ、まぶしっ!?」

 

急に開けた視界にだんだん目が慣れていくと、そこには――

 

「よう」

 

軽い調子で片手を上げる美男子(イケメン)がいた。

 

「……って、誰だよ!?」

 

俺にはこんな知り合いはいないぞ!?

 

「ああ。そういえばまずは自己紹介をしないとな。俺はゼウスだ」

 

.....は?

 

「お~い。なんてアホ面してるんだ。聞こえなかったのか?」

 

「あ、いや、大丈夫だ。聞こえてはいる。……だが本当なのか?」

 

「いや、ここで嘘吐いてもしょうがないだろ」

 

「……それもそうか」

 

若干納得はしかねるが。というか、ゼウスってジジィじゃなかったのか?

 

「おい、失礼な事を考えるな。俺達神には年齢という概念はない。だから姿形は好きなように変えられる」

 

うぉ!?まさか俺の心を読んだのか!?

 

「正解だ。なんせ神だからな。それくらいはできて当然だ」

 

ああそうかい。

 

「で、ギリシア神話の最高神たるゼウス様が一体俺に何の用で?」

 

「む。随分落ち着くのが早いな。もうちょっと騒いでもいいだろうに」

 

「騒いだところでこの状況がどうなるわけでもないだろう?だったら騒ぐだけ無駄だ」

 

「それじゃ俺がつまらんだろ」

 

ヒデェ神様だな。

 

「で、用件は何だ」

 

「俺の暇潰しに付き合ってもらおうと思ってな」

 

「断る」

 

神の暇潰しだと?そんなのどうせロクでもない事に決まってる。

 

「ちなみに拒否権はないぞ?」

 

「なっ!?」

 

「当然だ。それに、お前はもう元の世界には帰れない」

 

「どういう事だ」

 

「穴に落とすと同時に、あの世界から『―――』という存在の記憶を消したからな」

 

「ふざけるな!」

 

「いいねいいね。熱くなってくれて大いに結構。やっぱこうじゃないと」

 

「くっ……」

 

既に俺はヤツの掌の上、というわけか.....

 

「まぁ、もちろんただで付き合わせるのも悪いからそれなりの『特典』は用意するよ?」

 

「『特典』?何だそれは」

 

「それはこの話を受けてくれたら教えるよ」

 

受けてくれたら、などと言っているが、実質俺には選択肢など存在しない。

 

「……わかった。引き受ける」

 

「ふふっ。そうこなくっちゃ」

 

そう言って笑う(ヤツ)に、俺は苦い表情をするしかなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。