魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第8話 『交渉を有利に進めるには常に相手より上に立つのが大事』

しばらくして出現したゲートに俺、なのは、ユーノ、クロノ(簀巻き)が入り、次の瞬間にはアースラ艦内へと移動していた。

 

「……そろそろバインドを解いてくれてもいいんじゃないか?」

 

「まだだ。先程の女性……お前の母親だったか?彼女のところまで案内したら解放してやる」

 

「クッ……」

 

クロノが顔を歪めるが、知らぬフリをする。

 

「ならばせめてバリアジャケットだけでも解除してくれないか?そっちの君もだ」

 

俺がBJを解除したら一緒にマスクも消えるんだが.....もう正体をバラしてもいいか。

 

「はい。わかりました」

 

まずなのはがBJを解除して聖祥の制服に戻った。

 

「君も早く」

 

「わかってるよ」

 

『Jacket Off』

 

ハイペリオンの音声が聞こえて、俺のBJが霧散する。

 

「ふぅ……」

 

「え?えぇぇえええっ!?」

 

謎の魔導師の正体が明らかになったところで、なのはが盛大に驚く。

 

「やぁ、なのはちゃん」

 

「え?え?ど、どうしてたっくんが?……えぇ!?」

 

.....どうやら簡単には落ち着きそうにないな。

 

「おいユーノ。お前も元の姿に戻ったらどうだ?」

 

「な!?どうして君がその事を!?」

 

「別にいいだろ。そんな事どうだって」

 

「……わかったよ」

 

溜め息を吐くと、ユーノも元の姿=人間の姿に戻った。

 

「なのはにこの姿を見せるのは久しぶりだよね」

 

そう言ってなのはに向き直るユーノ。しかし、なのはは口をパクパクしながらブンブン首を振って答えた。

 

「あれ?そうだっけ?」

 

「そうだよ!私が初めて会った時はユーノ君、フェレットだったもん!」

 

おっ、やっと復活したな。

 

「そういえばユーノ、お前温泉旅行の時なのは達と一緒に女湯に入ってたよな」

 

「――っっ////」

 

俺が温泉での話を持ち出した途端、あの時の事を思い出したなのはが顔を真っ赤にして、俺の背中に隠れるようにしがみついてきた。

.....恨みがましい目をしてユーノを睨みながら、な。

 

「ちょ、ちょっと待って!それは元はと言えば君が」

 

なのはの視線に耐えられなくなったユーノが弁解しようとするが、

 

「言い訳は無用だぞ……この淫獣が」

 

「な!?き、君はそんな事をしたのか!?」

 

それより先に俺が追い討ちをかけ、クロノがユーノから若干距離を置いた。

 

「だから、僕の話を聞いてってば!」

 

必死に疑惑を否定するユーノだが、なのはとクロノの反応にメチャクチャ落ち込んでいた。ハハッ、いい気味だ。

 

 

 

「そういえば、たっくんはどうして魔導師をやってるの?」

 

「う~ん、なりゆき?」

 

なのはの質問を適当に誤魔化す。流石に転生なんて話はできないからな。

 

「なりゆきって……そんな事あるわけないの!」

 

誤魔化せなかったか.....仕方ない。

 

「いつか話すよ。僕の理由は」

 

「むぅ~」

 

不満そうに頬を膨らませるなのは。

 

「さぁ、着いたぞ」

 

先頭を行くクロノが1つのドアの前で止まった。この先にリンディさんがいるのか.....

 

「ここが艦長室だ」

 

そう言ってドアを開けるクロノ。

 

「あっ……え?」

 

なのはが驚くのも無理はない。なんせドアの先には日本風の庭(?)のようなものがあったからだ。

 

「お疲れ様。3人ともどうぞこちらへ。楽にしてね」

 

「アンタの息子を返すよ」

 

俺はようやくクロノのバインドを解いた。

 

「ありがとう」

 

そしてクロノが用意した羊羹と緑茶を飲みながら、話は始まる。

リンディさんが緑茶に多量の砂糖とミルクを入れるのを見て、なのはは苦笑いをしていた。なるほど.....あれがかの有名な『リンディ茶』か。

 

「さて、それでは改めて自己紹介を。はじめまして、時空管理局所属艦『アースラ』の艦長、リンディ・ハラオウンです」

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ」

 

「アースラ通信主任のエイミィ・リミエッタです」

 

エイミィもいたんだな。今気付いたよ。

 

「えっと……高町なのはです」

 

「ユーノ・スクライアです」

 

「氷護龍姫だ……っと、これでよし」

 

「たっくん、なにをしたの?」

 

「この部屋に結界を張ったんだよ、30枚程ね。これでこの部屋に干渉できる人間、機械はなくなった」

 

「……凄い」

 

結界魔導師のユーノが驚く。これくらい、俺にとっては朝飯前だよ。

 

「さて、それじゃまずはそちらの話を聞かせてもらおうか。時空管理局とはどんな組織なんだ?」

 

「わかりました」

 

そうしてリンディさんから説明を聞く。やはり表層的な部分しか話さないか.....

 

「なるほど。つまり世界規模の警察組織ってことか」

 

「ええ。簡単に言えば、ですけどね」

 

「では、今のを踏まえてこちらからも質問をしよう。何故この『管理外世界』でクロノに『逮捕権』なんてものが発生するのか、とな」

 

管理外世界で管理局の法律が通用する道理はない。

 

「それは本当に申し訳ない事をしたわ。今回の件は不問とします」

 

「不問も何も、僕は元から無罪だ。『先に』攻撃してきたのはそちらだしな。ハイペリオン」

 

『Yes,master』

 

俺はハイペリオンに命じてあの時の映像を流させる。

 

「これが証拠だ」

 

「っ!」

 

残念だがその程度のプレッシャーに屈する程、俺は弱くないぜ?

 

「そういえばユーノ、せっかくだからお前も事情くらいは説明したらどうだ?」

 

「え?あ……うん」

 

ユーノに話を振ると、ジュエルシードを発掘したのは自分である事、そしてこの世界に自分が来た理由をリンディさん達に話した。

 

「なるほど、立派だわ」

 

「だが、同時に無謀でもある」

 

それを聞いてリンディさんはユーノに感心し、クロノは呆れた。

 

「これより、ロストロギア『ジュエルシード』の回収については時空管理局が全権を持ちます」

 

「「え?」」

 

「君達は今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい」

 

「でも……そんな……」

 

「次元干渉に関わる事件だ。これ以上民間人を巻き込むわけにはいかない」

 

「まぁ急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう。今夜一晩ゆっくり考えて、それから改めて話をしましょう」

 

突然のリンディの宣言に戸惑う2人。さて、ここからが本番だな.....

 

「わかった。なら今日はもう帰ろう、なのはちゃん」

 

「たっくん?でも……」

 

「ちょっと待ってくれないかしら」

 

なのはを連れて立ち去ろうとする俺に、リンディさんが待ったをかける。

 

「何か?話は終わったはずだが」

 

「あなたには聞きたい事があるわ」

 

急に威圧感を増すリンディさん。

 

「…………」

 

「あなたの力についてよ。先程あなたはほんの数秒で30枚もの結界を張ったけど、そんな事は上位の結界魔導師でもできない事よ。それから戦闘中にクロノの砲撃を防いだあの盾。あれは一体何かしら?とにかく、詳しく説明と解析を――」

 

「断る」

 

皆まで言わせず、バッサリ切り捨てた俺をリンディさんが驚いたように見つめてくる。

 

「僕には管理局に協力する義務も義理もない」

 

「そ、そう言わずに……」

 

「くどい。そもそも、人を利用しようとする組織なんて信用できない」

 

「な、なんだと!?」

 

俺の言葉にクロノが驚き、リンディさんは顔を強張らせた。

 

「クロノ、君はさっき言ったな。『民間人を巻き込むわけにはいかない』と」

 

「あ、ああ」

 

「なら、どうしてまた『改めて』話し合いの場を持つ必要がある?」

 

「何が言いたいんだ?」

 

なんだ。クロノはこの程度の話もわからないのか。というか、自己紹介以降完全に空気だったエイミィも首を傾げている。

 

「なら、もっと簡潔に教えてやるよ。僕は親切なフリをしてなのはちゃんの想いを利用しようとしたあなたが許せないんだよ、リンディさん」

 

「っ!」

 

「ふぇ?え?どういう事なの、たっくん?」

 

「簡単なことだよ。なのはちゃんはリンディさん達にああ言われても、協力するつもりだったんでしょ?」

 

「う、うん。フェイトちゃんともまだちゃんと話せてないし……」

 

「その心をリンディさんは利用したんだよ。上手く誘導して自分達の戦力にしようと考えたんだ。そうすれば事件の解決は早まるし、さらにはこの事件以降も協力要請を簡単に出せるからね」

 

俺の言葉に、リンディさんは顔を俯ける。クロノは驚いてリンディさんを見る。

 

「それは本当ですか艦長!?」

 

「…………」

 

黙るしかないリンディさん。図星を指されたんだから当然だがな。

 

「なのはちゃん、帰ろうか。管理局に頼らなくても、これからは僕が協力するからさ」

 

「たっくん……」

 

「待ってください!」

 

.....かかった!

 

「何だ?」

 

「あなた達を騙して利用しようとした事は認めるわ。ごめんなさい」

 

「それで?」

 

「こちらは立場上一般人に協力などできません。でも事件解決の為に、どうか私達に力を貸してください!お願いです!」

 

リンディさんが俺達に頭を下げる。

 

「……だってさ、なのはちゃん」

 

返事なんてわかりきってるが、一応そう聞く。

 

「私……手伝います。手伝わせてください!」

 

やっぱりな.....このお人好しが。

 

「僕も手伝います。そもそもの原因は僕ですし」

 

ユーノまで.....揃いも揃ってまったく。

 

「いいんだね、なのはちゃん?」

 

「うん!私、フェイトちゃんともっとお話したいの!」

 

「そっか……それなら仕方ないかな」

 

「え?」

 

「僕も協力しますよ。情報提供は最小限とさせてもらいますが、ね」

 

リンディさんに向かってそう言う。

 

「ありがとう、3人とも」

 

そう言って、リンディさんは改めて頭を下げた。

 

 

 

 

 

アースラからの帰り道。

 

「あの……たっくん」

 

「何かな?」

 

「ありがとうなの」

 

「別に僕は何もしてないよ。それに僕が協力するのはなのはちゃんとフェイトにだけだよ」

 

「へ?」

 

「だから、僕はなのはちゃんのしたい事を手伝う為に一緒に戦うって事だよ」

 

そう言って笑いかけると、なのはは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「たっくん……」

 

若干潤んだ瞳でこっちを見てくるなのは。

 

「(あれ?俺、もしかしてまたやっちゃった?)」

 

その後も魔法の事やフェイトの事について話しながら、俺達は帰宅した。




あとがき

作者 「管理局との交渉、終了~!」

龍姫 「楽しかったぜ!」

作者 「そりゃよかったな」

龍姫 「で、次回はいよいよアレか?」

作者 「そうだな。なのフェイ初協力プレイ@海鳴海上、だよ」

龍姫 「という事はあの有名シーンも……」

作者 「バッチリ収録予定だ」

龍姫 「こりゃ次回も目が離せないな!」

作者 「もちろんだ!それでは、次回予告!

   次回、第9話『伝えたい想いは言葉にのせて』

   を、」

龍姫 「ご期待あれ!」
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