あの会談の後、俺達はアースラに拠点を移してジュエルシードの捜索を続けた。
俺達が管理局に協力し始めて10日。
現在は、あの海中に潜むジュエルシード6つを残すのみという状況になった。そして――
ビー、ビー、ビー
『エマージャンシー!捜索域の海上にて、大型の魔力反応を感知!』
来たな.....!
部屋で休憩していた俺は、急いでブリッジへと向かった。
「あ!たっくん!」
「なのはちゃん!急ごう!」
「うん!」
「ちょっと!僕も忘れないでよ!」
途中でなのはと合流し、2人でブリッジへと走る。ユーノ?そんなヤツは知らん。
「なんて事してんの、あの子達!」
「エイミィさん、どうしたんですか?」
「あ、皆!これを見て!」
ブリッジに着いた俺達を待っていたのは、大規模な儀式魔法陣を展開してジュエルシードを強制発動させているフェイトの姿が映ったモニターだった。
「なんとも呆れた無茶をする子だわ」
「無謀ですね。間違いなく自滅します。アレは個人が出せる魔力の限界を超えている……!」
「フェイトちゃん……」
なのははモニターに移るフェイトを心配そうな目で見ている。
「あの、私急いで現場に!」
「その必要はないよ。放って置けば、あの子は自滅する」
「え……?」
「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところで叩けばいい」
「でも!」
クロノの無慈悲な言葉に食い下がるなのは。
「今のうちに捕獲の準備を」
「了解」
「あ……」
「私達は常に最善の選択をしないといけないわ。残酷に見えるかもしれないけど、これが現実なの」
組織においては、状況に流されて誤った判断を下す事は許されない。しかし、残念ながら俺達は組織の人間ではないんでね.....!
「でも……!ぅぅ……」
原作では、ここでなのはを転送するのはユーノだった。だが、こんな美味しいところをヤツに持っていかせてたまるか!
「(行っ――)」
「(なのはちゃん、行って!)」
「(たっくん!?)」
「(今から僕がゲートを開く。だから、行ってフェイトを助けてあげて!)」
「(……うん!ありがとう、たっくん!)」
俺はなのはに笑顔で返すと、現場への
「なっ!?君は!」
「ごめんなさい……高町なのは、指示を無視して勝手な行動を取ります!」
「フェイトの結界内へ……転送!」
そうしてなのはは転移していった。
「なんて事をしてくれたんだ!」
「怒るなクロノ。そもそも僕達は別にそちらの命令に従う義務はないって事を忘れるなよ?」
「くっ……」
「それでは、僕も行きますので」
「っ!待ちなさい!」
「待ちませんよ。……それじゃもう1度、転送!」
なのはの後を追って、俺もその場を後にした。
「フェイトの……邪魔をするなぁぁああっ!」
俺が転移すると、ちょうどアルフがそう言ってなのはに飛び掛かろうというところだった。
『プロテクション』
俺は急いで2人の間に入って、アルフの攻撃を止めた。
「落ち着け!俺達は別にお前達と戦いに来たわけじゃない!」
「たっくん!」
「お前は!」
「(バカか君達は!何をやってるんだ!)」
と、ここで念話を繋げてきたクロノ。相変わらず何というKY。
「(ごめんなさい!命令無視は後でちゃんと謝ります!――けど、ほっとけないの!)」
なのはは流石だな。今自分が何をすべきか、ちゃんとわかっている。
「(あの子、きっと1人ぼっちなの……。1人きりが寂しいのは、私少しだけわかるから……!)」
.....そういえば、この先の戦闘を管理局のヤツらに見せるのは後々の為によろしくないな。
「(ハイペリオン、フェイトの結界に混ぜるようにジャミング結界を張ってくれ。もちろんバレるなよ?)」
『All right, master』
よし。これで俺が何をしてもアイツらにはわからないな。そう簡単に手の内は見せてやらんさ。
「まずはジュエルシードを停止させないとマズい事になる!だから今は……封印のサポートを!」
そう言ってチェーンバインドを飛ばしてジュエルシードの暴走で起きた竜巻を抑えていくユーノ。
.....なんだ来たのか。
「フェイトちゃん!手伝って!ジュエルシードを止めよう!」
そしてレイジングハートからバルディッシュに光の帯が伸び、魔力が充填されていく。
『Power charge』
『Supply complete』
「2人できっちり半分こ!」
「くぅぅぅぅ!」
ユーノが苦戦しているが、そこにアルフが助太刀に入った。さて、俺も行くか.....
『グレイシャ・ケージ』
「凍てつけ!」
俺の『変換資質:凍結』を利用した氷の檻を作り出し、竜巻を凍らせる。
「2人とも、今だ!やれ!」
「うん!フェイトちゃん!2人でせーので、一気に封印なの!」
『Shooting mode』
そう言うと、なのはは空中に魔法陣を展開し、その上に立ってレイジングハートをジュエルシードの方へ向ける。
『Sealing form, set up』
「ディバインバスター、フルパワー。……いけるね?」
『All right, my master』
そしてなのはは砲撃体制に入った。
「バルディッシュ……」
『Yes, sir』
それを見てフェイトも魔法陣を展開、砲撃態勢を取る。
「せーのっ!」
「サンダァ――!」
「ディバイィ――ン!」
2人にデタラメな量の魔力が集まる。.....スゲェ。
「レイジィ――!」
「バスタァ――!」
2人から同時に発射された砲撃は一撃で6個全てのジュエルシードを封印した。
そして封印されたジュエルシードが2人の元へ飛んできた。
そして.....ついにあの名場面が.....
「友達に……なりたいんだ」
なのはが自分の想いをフェイトに告白する。
.....ああ、俺ここにいて良かった.....
しかし折角の感動も束の間、
ゴロゴロ.....ビシャアアアアン!
「か、母さん!?」
空から紫色の雷が降って来た。
.....ついにお出ましだな、プレシア・テスタロッサ!
「させないっ!」
俺は雷とフェイトを結ぶ射線上に飛び込むと、自身の最強の盾を展開する。
「我が最強の護りよ!降りかかる災厄全てを退けろ!『アイギスⅡ』展開!」
背中に背負っていたそれを頭上に掲げる。
「オオォォッ!!」
俺の魔力を注ぎ込まれた
「たっくん!フェイトちゃん!」
「大丈夫!」
やっぱり撃ってきたか.....
こりゃさっさと交渉しに行かないとダメだな。
「フェイト、大丈夫か?」
とりあえず、俺の後ろで呆然としているフェイトに笑いかけてみた。すると――
「あ……ウン。大丈夫……////」
声を掛けられた事に一瞬驚いたようだが、すぐに返事をしてくれた。顔が赤いけど何かあったのか?
「あ……えぇっと……」
何やら言いたい事があるが言えないといった様子のフェイト。
「どうした?」
「あの、名前……あなたの……」
ん?俺の名前が知りたかったのか?
「龍姫だ。氷護龍姫」
「龍姫……ありがとう、龍姫」
噛み締めるように俺の名前を呼んで、極上の微笑みを浮かべるフェイト。.....ヤベ、メッチャ可愛い。
「と、とにかく大丈夫なら良かった!お前達は急いでここを離れろ。あのKYが来る前にな。ジュエルシードは約束通り半分――3つなら持って行っていい」
「でも……」
なおも何かを言いたげな様子のフェイトだが、そこにアルフがやって来た。
「フェイト!」
「アルフ……」
「さあ、早く行け!」
「うん……それじゃあ……またね、龍姫」
「ああ。またな」
そうしてフェイトとアルフは去っていった。
ちなみに、なのはには何もなかった。っていうか、途中から完全に空気だったな。
そしてアースラへ帰還した俺達。
到着早々クロノが散々怒鳴ってきたが、俺達には行動を制限される義務がない事を理由に黙らせた。
さらに帰ってくる時からそうだったんだが、俺を見るなのはの視線が何故か刺々しかった。
理由を聞こうとしてもそっぽを向かれてしまうし、何なんだ?
さて、いよいよ最終決戦も近い。
次はあちらに出向いて話をしないとな.....
あとがき
龍姫 「いよいよクライマックスへ向かう物語」
作者 「龍姫の選ぶ未来とは?」
龍姫 「そしてなのはとフェイトの行く末は?」
作者 「次回――って何だこの劇場予告(偽)は」
龍姫 「いや、何となくやってみたくなってつい……」
作者 「何となくでやるなっ!」
龍姫 「その割にはノリノリだったじゃん」
作者 「だって面白そうだったし」
龍姫 「流石だな」
作者 「おうよ!で、本当に次回についてだが――」
?? 「……出番~……」
作者 「ん?誰だ?」
?? 「私の出番は~?」
龍姫 「おう。アテナか」
アテナ 「おう、じゃないわよ!6話以降全く私の出番がないじゃない!」
作者 「落ち着きなさい。次回は出番があるから」
アテナ 「本当!?」
作者 「ホントだよ」
龍姫 「よかったな」
アテナ 「ええ。もしかしたら読者の皆さんにも忘れられたんじゃないかと心配だったのよ?」
作者 「そんな大袈裟な……」
龍姫 「よし。アテナ、次回予告だ!」
アテナ 「次回、第10話『隠された母の想いと、龍姫の願い(仮)』を」
作者 「よろしくお願いしまーす!」
龍姫 「よろしくな!」