魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第10話 『隠された母の想いと、龍姫の願い』

あの海上でのジュエルシード暴走事件の後、俺達はこの事件の首謀者がフェイトの母、プレシア・テスタロッサであるという事を聞かされた。

まぁ俺は最初から知っていたので何を今更という感じだったが、なのはには流石に衝撃が大きかったようだった。

 

 

 

その後一旦改修作業をするというアースラから降りて、久しぶりの海鳴に戻った俺達。しかし.....

 

「アテナ。頼んでいたサーチは終わってるか?」

 

「ええ。バッチリよ」

 

「よし。それじゃ、早速乗り込むぞ」

 

「ふふっ。楽しみね」

 

現在俺がいるのは海鳴公園の森の中。もちろんジャミング結界を張っている為、何をしているのか誰にも気付かれてはいない。

 

.....そういえば、アテナが何故今まで俺の傍にいなかったのかそろそろ説明しないとな。

 

実は温泉でのフェイトとの接触以後、アテナにはプレシアの本拠地『時の庭園』の位置補足(サーチ)を頼んでいたのだ。

え?原作通りの場所だから最初からわかってただろ、って?

それがそうでもなかったというか、ぶっちゃけ違う場所にあったんだよコレが。

そんなわけで、そちらにかかりきりだったアテナは表舞台には出てこなかったんだが、それもここまでだ。

 

「でも悪かったな。実は見たかったんだろ、色々と」

 

「そうね……でも、サーチの片手間にモニターさせてもらってたから」

 

「なんだ。そうだったのか」

 

「ええ。……そういえば龍姫。あなたもなかなか隅に置けないわね」

 

そう言って、突然意地の悪い笑みを浮かべるアテナ。

 

「……何の事だ?」

 

「またまた、とぼけちゃって。なのはに続いてフェイトまで落とすとはね」

 

「んなっ!?」

 

「あら、もしかして気付いてなかったの?」

 

「……全然」

 

「バカねぇ。2人とも龍姫にベタ惚れよ?」

 

.....なんだってぇぇえええっ!?

 

思わずその場に膝をついて崩れる俺。

 

「……まぁとにかく、ちゃんと答えてあげるのよ?」

 

「……そうだな……」

 

悩み事が増えてしまった.....どうするんだよ、俺。

 

「……まぁ、とにかく!今は目の前の問題を何とかしないとな!」

 

「現実逃避に走ったわね(ボソッ)」

 

「そこ、余計な事は言わない!」

 

「はいはい」

 

「『時の庭園』へ行ってプレシアと交渉をする。転送の準備を」

 

「了解。座標設定――完了。転移先は『時の庭園』。龍姫、いつでも行けるわ」

 

「んじゃ、行くか!……転送!」

 

そうして、俺とアテナはプレシアの待つ『時の庭園』へと飛び立った。

 

 

 

 

 

「……着いた、のか?」

 

「ええ。間違いなくここは『時の庭園』内部よ」

 

転移した先は、西洋の城を髣髴とさせる立派な装飾を施された広い廊下だった。

 

 

――ゴゴンッ!

 

 

「な、何だ?」

 

突然廊下を、というか庭園全体を揺るがす振動が走った。

 

「もしかして……?」

 

アルフがプレシアに吹き飛ばされた時に発生したものか?だとするとこの後フェイトが出て行けば、プレシアが1人になるな.....

 

『タツキ、転移反応を確認しました。おそらく彼女です』

 

「ありがとう、ハイペリオン」

 

相棒(ハイペリオン)がフェイトの転移を確認した事を伝えてくれた。

 

「それじゃ、行こうか」

 

「ええ」

 

『Yes, master』

 

そうして、2人と1機はプレシアのいるであろう玉座の間へと向かった。

 

 

 

廊下を歩いていくと、突き当たりに一際大きな扉があった。.....ここだな。

 

「こんにちは~」

 

そう言って扉を開けると、俺の正面にイスにもたれた1人の女性がいた。この人がプレシアさんか.....

 

「あなた、何者?」

 

「突然すいません。あなたが大魔導師のプレシア・テスタロッサさんですよね?」

 

「そうよ。私がプレシア・テスタロッサよ」

 

俺の問いに答えながら立ち上がるプレシアさん。俺を警戒してるようだが、当然か。

 

「答えなさい。どこから入ったのか、それと何者なのか」

 

「秘密、と言ったら?」

 

「消えなさい。私の前から、今すぐに」

 

そう言って紫の雷撃を飛ばしてくるプレシアさん。おおっ怖っ!

 

「アテナは下がっててくれ」

 

「はーい。頑張ってね、龍姫」

 

「おう」

 

『ブースト&アクセル』

 

「(とりあえず回避に専念するぞ。あと、アイギスⅡは機能停止させてくれ)」

 

『(わかりました)』

 

ハイペリオンと念話を交わし、プレシアさんに向き直る。

 

「いくぜ、大魔導師サン?」

 

「馬鹿にして……!」

 

再び走る紫の雷。俺はそれをかわしながら『ある部屋』を探す。

 

「ちょこまかと……小賢しいネズミが!」

 

悔しげに呻くプレシアさん。.....っと、見つけた!

 

「ここだ!」

 

「なっ!?」

 

俺は扉を破ってアリシアが眠る部屋へと転がり込んだ。

 

「あなた……何故ここが……」

 

「この子はあなたの娘……か?」

 

「そうよ。たった1人の私の娘、『アリシア・テスタロッサ』」

 

「『たった1人』?フェイトは違うのか?」

 

「あんな人形を、アリシアと一緒にしないで!」

 

怒りに任せて放たれた雷撃をシールドで受け流す。.....危ないな。

 

「フェイトが人形、だと?」

 

「そうよ!あの子は私が作った人形!事故で死んだその子の代わりにすぎないのよ!」

 

「ふざけるな!」

 

「何ですって?」

 

俺の剣幕に一瞬驚いた顔を見せるが、すぐに険しい表情に戻るプレシアさん。

 

「あなたはフェイトの事を何も見ていない。あなたは何故あの子があそこまで一生懸命なのか、考えた事があるか?」

 

「……それが何だというの」

 

「答えは簡単だよ。フェイトはあなたに笑って欲しくて頑張ってるんだ。自分がどれだけ傷ついても、あなたがどれだけ自分に冷たく当たっても、な」

 

「黙りなさい!」

 

「本当はあなただって気付いてるんじゃないか?あの子も――フェイトも自分の娘だと思っているということに」

 

「…………」

 

ここに来て初めて無言になったプレシアさん。

 

「あなたはそれを必死に隠そうとしている。違うか?」

 

「………れ」

 

「フェイトは人形だと思い込む事で、現実から目を背けているだけだろう?」

 

「……まれ」

 

「認めろよプレシア・テスタロッサ。アリシアとフェイト、2人ともあなたの娘だという事実を」

 

「黙れぇっ!」

 

叫ぶと同時に雷を撃つプレシアさん。今までと違い、俺は正面からそれを受ける。

 

「ぐぅ……きっついな~」

 

「(龍姫!?何で避けないのよっ!)」

 

「(……知りたかったんだ。プレシアさんの、母親の想いってのをさ……)」

 

「何故、避けなかったの……?さっきまでのあなたなら簡単に――ゴホッ!ゴホッ!」

 

突如咳き込みだすプレシアさん。口を押さえた手の隙間からは血が流れている。

 

「大丈夫か?」

 

「自分を……殺そうとした……人間の、心配をする……なんて、変わってるわね、あなた」

 

「知ってたからさ。あなたの身体が不治の病に冒されている事を」

 

「っ!?」

 

「『ヒールウォーター』」

 

俺はプレシアさんに手をかざして、応急処置を施した。

 

「これは……」

 

「効果は一時的なものだけど、少しは楽になっただろう」

 

「……ええ」

 

「あなたにとってアリシアがとても大切な存在だった事は想像に難くないさ」

 

「…………」

 

「だけど、それでフェイトを人形なんて思うのはやっぱり間違いだよ」

 

「何故?」

 

「例えどんな生まれ方をしようと、フェイトの『生みの親』はあなたじゃないか」

 

「っ!」

 

俺の言葉に息を呑むプレシアさん。

 

「それに、あなたはわざと『悪役』を演じているんだろう?もしもの時にフェイトに迷惑がかからないように」

 

「あなた……本当に何者?」

 

「俺は氷護龍姫。ただの世話焼きさ」

 

「フフッ……面白い子ね」

 

そうして少し笑ったプレシアさん。.....なんだ。そういう表情もできるんじゃないか。

 

「さて。落ち着いたところでここからが本題なんだが……」

 

「何かしら」

 

「俺はアリシアを蘇らせる術を知っている。それにあなたの病も治す術も」

 

「本当なの!?」

 

「ああ。……それで俺からの提案なんだが、フェイトとの関係をやり直さないか?」

 

本当は俺の個人的な願いなんだが、正直には言いたくない。.....何となく恥ずかしいからな。

 

「……それで?」

 

「話に乗ってくれるなら、あなたとアリシア、そしてフェイトも俺が必ず救うと約束しよう」

 

「……そう」

 

「管理局がここを探し当てるのも時間の問題だろうから、急かすようで悪いが一両日中には返事が欲しい。決心が固まったら、ここに連絡してくれ」

 

そう言って、俺直通のホットラインの番号を書いた紙を渡した。

 

「……わかったわ」

 

「それじゃ、俺達はこれで失礼する。またな、プレシアさん」

 

「……ええ。また……」

 

こうして俺はプレシアさんとの対談を済ませて、海鳴へと帰還した。

 

 

 

帰ってきてすぐにリンディさんから連絡が来た。アースラの改修工事が終わったそうだ。

次いでなのはからも連絡が来た。何でも、明朝6時から海鳴公園でフェイトと決闘をする事になったとか。いよいよか.....

決闘に関しては、俺が立会人になる事で双方が合意したらしい。.....何でさ?

 

 

 

その日の深夜。

 

 

――ピピピッ

 

 

『タツキ、プレシアからのコールです』

 

「来たな……」

 

さぁ、プレシアさんはどんな答えを出したんだ?

 

「もしもし?」

 

『……プレシアよ』

 

「決心が固まった、そう受け取っていいんだな?」

 

『ええ……』

 

「わかった。聞かせてくれ」

 

『……やっぱり今更フェイトとの関係をやり直すなんて私には無理よ。だから、私は最後まで『悪役』を演じるわ』

 

「……それが、あなたの答えなのか?」

 

『そうよ……だから、フェイトの事はあなたに託すわ』

 

「……そうか。ならばフェイトの事は任された」

 

『ええ。よろしく』

 

そして、通話が切れた。

 

「クソッ!」

 

「龍姫……その様子だとプレシアは……」

 

「ああ。全ての罪を自分が被って消える気だ」

 

「……それで、龍姫は?」

 

「そんな馬鹿な事、俺がさせると思うか?」

 

「ありえないわね」

 

「当たり前だ」

 

それから、俺はアテナと共に夜明け近くまで対策を話し合った。




あとがき

龍姫 「この物語にハッピーエンド以外はありえん!」

作者 「いきなり大きく出たな」

龍姫 「当然だろ。あんな悲しみはもういらない!」

作者 「まぁ熱くなるのもいいが、冷静さをなくしちゃいかん」

龍姫 「わかってるさ。『99%の情熱と1%の理性』だろ?」

作者 「うむ。わかっていればそれでよし!」

龍姫 「ところで、次回はなのフェイ海鳴海上決戦だよな?」

作者 「おう。後世の魔王の片鱗を、ついに拝む事ができるぞ!」

龍姫 「あ~、アレか。フェイトにとっては一生もんのトラウマだな」

作者 「まぁ、アレは無理もないだろ」

龍姫 「それじゃ、次回予告!」

作者 「次回、第11話『いざ、最終決戦!新しい結末(こたえ)の為に(仮)』を」

龍姫 「お楽しみに~!」
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