魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第11話 『いざ、最終決戦!新しい未来(こたえ)の為に』

「ふわぁああ~……眠い……」

 

「ふゎ……龍姫、だらしないわよ……」

 

「アテナだって俺と変わらないだろ……」

 

現在、時刻は午前5時30分。場所は海鳴公園だ。

結局明け方近くまで話し合っていた為、俺達は1時間くらいしか寝ていない。おかげでさっきから欠伸が止まらないが.....

 

「……これじゃ流石にマズいか。――『リフレッシュ』」

 

眠気覚ましの魔法を掛けて、意識を覚醒させる。

 

「よし。もう大丈夫だな」

 

決闘の立会人が欠伸なんてしてたら、2人に失礼だしな。

 

「おはよう、たっくん。……と、アテナさん?」

 

ちょうどその時、なのはとユーノ、アルフが現れた。

 

「おはよう、なのはちゃん。ユーノとアルフも」

 

「おはよう、なのは。そちらのお2人も」

 

「……あなたは?」

 

「アンタ、温泉の時の……」

 

ユーノとアルフはこの場にいる第3者、アテナを若干警戒しているようだ。

 

「改めて自己紹介するわ。私はアテナ。龍姫となのはの友人で、同じく魔法を知る者よ」

 

「ええぇぇぇっ!?」

 

「なのはちゃん、そんな大声出したらうるさいよ」

 

「で、でも……嘘……」

 

「なのは、今まで黙っててごめんね。でも、これからは私も一緒に戦うから」

 

「……う、うん。アテナさん、よろしくなの!」

 

「よろしくお願いします」

 

「……よろしく」

 

とりあえず、3人ともアテナを受け入れてくれたようでよかった。

 

それからアルフが俺のところに寄って来ると、

 

「……そういや、アンタには色々世話になったね。礼を言うよ」

 

「気にすんなって」

 

そんな事を言ってきた。俺が勝手にやった事だから別にいいのに.....

 

ちょうどその時、

 

 

――スタッ

 

 

近くの街灯の上にフェイトが降り立った。これで役者は揃ったな。

 

「おはよう。フェイトも来たな」

 

「あ……お、おはよう龍姫」

 

俺が笑顔で挨拶すると、どもりながらも返事をしてくれるフェイト。.....可愛いじゃねぇか。

 

「時間もちょうど良さそうだし、これより高町なのはとフェイト・テスタロッサの、ジュエルシードを賭けた決闘を始める。立会人は僕がやるって事でいいかな、ご両人?」

 

「はい」

 

「うん」

 

2人がそれぞれ頷く。

 

「ではルールを説明する。勝負はどちらかがギブアップか、気絶した時点で決定する。それとユーノとアルフは一切の手出しをしない事。以上、何か質問は?」

 

しばらく待っても何もないという事は、質問はないんだろう。

 

「では沖まで移動するぞ。俺の合図で戦闘開始だ」

 

こうして、決戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

『ディバインシューター』

 

「シュ――ト!」

 

『フォトンランサー』

 

「ファイヤ――!」

 

序盤から2人は持てる限りを尽くして戦いを繰り広げている。

なのはは誘導弾を上手く操作しながらフェイトの接近をなかなか許さない。しかしその弾幕をかいくぐって、フェイトはなのはに接近戦を挑む。

 

.....息詰まる熱戦とはまさにこの事だな。

 

 

 

そして試合も中盤に差し掛かろうというその時、先に行動を起こしたのはフェイトだった。

 

『ファランクスシフト』

 

フェイトがバルディッシュを正眼に構えると、空中に多数の魔法陣が出現。それらは魔力スフィアとなってフェイトの周囲に集まり始めた。

 

なのはは応戦しようとレイジングハートを構えるが、突如現れたバインドに四肢を拘束されてしまう。

 

「(ライトニングバインド……!マズい!フェイトは本気だ!)」

 

「(なのは!今サポートを――)」

 

「(ユーノ!余計な手出しはするなと言っただろう!)」

 

「(龍姫!?でも……)」

 

「(少しはなのはを信じてやれよ。……ね、なのはちゃん?)」

 

慌てて飛び出そうとしたユーノを制してなのはに呼びかけると、なのはは俺に笑顔で返してくれた。

 

「アルカス、クルタス、エイギアス……」

 

そうしている間にも、詠唱を続けるフェイト。そして――

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト……打ち砕け、ファイヤー!」

 

流星群の如く撃ち出される魔力弾の嵐。.....コレも充分えげつないよな。

次第に煙に覆われて姿が見えなくなるなのは。

 

「なのは!」

 

「フェイト!」

 

ユーノとアルフの叫び声が聞こえる。

全員が見守る中、徐々に煙が晴れていく。そこには――

 

「痛ぁー……撃ち終わると、バインド、ってのも解けちゃうんだね……」

 

キャノンモードのレイジングハートを片手に宙に浮かぶなのはがいた。さらに、

 

「今度はこっちの――」

 

『ディバイン』

 

レイジングハートを構えて、魔力を集中させるなのは。

 

「――番だよっ!」

 

『バスター』

 

発射される桜色の暴風。

 

「く……うぁっ!」

 

フェイトは残った魔力スフィアを1つに纏めて放つが、あっさりかき消された。

 

「っ!?」

 

それに驚いたフェイトは、即座にシールドを展開。なのは同様、凌ぎきろうという考えだな。

そしてディバインバスターがフェイトのシールドに直撃。

 

「く……うぅ……うぁ……」

 

徐々にバリアジャケットがボロボロになっていくフェイト。それでも決して退く事はない。

 

「う……あぁ……」

 

そして、ついにフェイトは耐え切った。

 

「フェイト……!」

 

そんな主人に感動した様子のアルフ。

 

.....だけど、まだなのはには『アレ』が残ってるんだよなぁ.....

 

折角の感動的場面なんだが、続きを知る俺としては素直に喜べない。その証拠に、

 

「ハァ、ハァ……っ、ハッ!?」

 

フェイトは自分の遥か頭上、巨大な魔法陣と共に浮かぶなのはの姿に気付いたようだ。

 

「受けてみて……、ディバインバスターのバリエーション!」

 

自分を見つめるフェイトに対して、そう言い放つなのは。

 

『スターライトブレイカー』

 

周囲の魔力素が展開された魔法陣に集束していき、やがて巨大な球体が生まれる。

 

「くっ!」

 

フェイトは残った力を振り絞ってなのはのところへ飛んで行こうとするが、

 

「っ!?バインド!?」

 

あらかじめ仕掛けてあったのだろう、なのはのバインドに拘束されて身動きが取れなくなっていた。

脱出しようともがくが、それで外れるわけもない。ホント容赦ねぇな.....

 

「これが私の全力全開!」

 

なのはから口上が聞こえて来る。.....いや、お前の場合は全力全『壊』だろ.....

 

「スターライト……ブレイカァ――!」

 

解き放たれた魔力が超極太の光線となってフェイトを一瞬にして飲み込み、大爆発を起こした。

 

 

――ドオォォォン!

 

 

そして光線が消えたところで、気絶したフェイトが海へ落下していく。が、そうはさせない!

 

『アクセル』

 

一気に加速してフェイトを受け止める。.....ちなみにお姫様抱っこだ。別に他意はないからな!

 

「フェイトちゃん!」

 

すぐになのはが俺のところへ飛んできた。

 

「大丈夫だよ、なのはちゃん」

 

俺の言葉にホッと胸を撫で下ろすなのは。

 

「……でもちょっとやりすぎ」

 

「うぅ……反省してます……」

 

一応釘は刺しておく。ったく、もうちょっと考えろよな。

 

「うぅん……あれ?龍姫?」

 

「お、目が覚めたか。……大丈夫か?」

 

「うん……////……って、え?ええ!?」

 

顔を真っ赤にして俯くフェイト。しかし俺にお姫様抱っこされている事に気付くとまた慌てだした。

 

「おいおい、あまり暴れないでくれ。落としちまうだろ?」

 

「で、でも……」

 

戸惑うフェイトを無視して、俺は空を見上げる。.....そろそろ来るか?

 

 

――ゴロゴロ.....

 

 

ちょうどその時、突然空が曇り始めた。そして、

 

 

――ビシャァァァン!

 

 

紫の雷が俺達(正確にはフェイト)目掛けて落ちて来た。

 

「なのはちゃん、フェイトを連れて下がって!」

 

「ふぇ?え?」

 

「か、母さん……」

 

突然俺からフェイトを託されて右往左往するなのはと、怯えるフェイトを護るように前に出る。

 

「『アイギスⅡ』!」

 

俺は(アイギスⅡ)を展開してそれを防ぎきった。

 

「リンディさん!」

 

『ええ。逆探知は成功したわ。……武装局員、転送ポートから出動!』

 

さぁ、最終決戦だ!

 

 

 

 

 

あれからアースラに引き上げてきた俺達は、ブリッジで状況を見守っていた。

 

『おいっ!こっちに何かあるぞ!』

 

玉座の間へと突入した武装局員がアリシアの部屋を見つけてしまった。

 

「えっ……?」

 

モニターに映し出されたアリシアの姿に、なのはが小さく驚きの声を上げる。

 

「ぁ……」

 

フェイトも目を見開いて愕然としている。

 

『私のアリシアに、近寄らないで!』

 

アリシアのポッドに近づこうとした局員がプレシアによって吹き飛ばされた。

 

『う、撃てぇーっ!』

 

残りの局員が一斉に攻撃するも、プレシアには届かない。

 

『うるさいわ……!』

 

逆にプレシアによって全員が行動不能にされてしまった。

 

「アリ……シア……?」

 

呆然と、フェイトが呟く。

 

『……もういいわ。終わりにする。この子を亡くしてからの暗鬱な時間も……』

 

こちらに向かって喋り始めたプレシアさん。.....そうか。言うんだな、決別の言葉を.....

 

『この子の身代わりの人形を娘扱いするのも……』

 

「っ!?」

 

その言葉に、フェイトの身体がビクッと震えた。

 

『聞いていて?あなたの事よ、フェイト』

 

プレシアさんに名前を呼ばれ、さらに身を固くするフェイト。

 

『折角アリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない、私のお人形……』

 

「あなたが進めていた使い魔を超える人造生命体の生成、そして死者蘇生の秘術――プロジェクト『F.A.T.E』。その結果生まれたのがフェイト(この子)ってわけか……」

 

『そうよ。その通り。でも、作り物の生命は所詮作り物……失ったものの代わりにはならないわ。フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽者よ』

 

「やめて……やめてよ!」

 

なのはの悲痛な叫びがブリッジに響き渡る。

 

『アリシアを蘇らせるまでの間に私が慰みに使うだけのお人形』

 

しかし、無情にもプレシアさんの言葉は続く。

 

『…………』

 

.....ん?何だ?何故そこで急に俯いて黙るんだ?

 

『……やっぱりダメね。私は悪役に徹する事なんてできないわ』

 

「えっ!?」

 

突然そんな事を言い出したプレシアさんに驚くフェイト。......まさか!?

 

『……確かに、最初はそうだったの。フェイトの事はアリシアの身代わりとしか思っていなかった。でも、ある日フェイトの事も娘として考え始めている自分に気が付いたの……』

 

「プレシアさん……あなたは……」

 

『それからの日々は私にとって苦痛だったわ。娘として愛してあげたいのに、辛く当たらなければならない現実。フェイトには本当に辛い思いをさせてしまったわね……許してもらえないかもしれないけど、今までごめんなさい』

 

「母さん……!」

 

プレシアさんの本心を聞いたフェイトが涙を流してその場に崩れた。

 

「フェイトちゃん!?」

 

慌ててなのはが支えに入る。

 

『フェイト、あなたは私の大事なもう1人の娘。だけど、私にはもうあなたの母親でいる資格はないの……』

 

「待って、待ってよ母さん!」

 

必死に母親(プレシア)へと呼びかけるフェイト。

 

『ごめんなさいフェイト……ずっと、ずっとあなたの事を愛していたわ』

 

そう言って、寂しそうな笑みを浮かべたプレシアさん。

 

『氷護龍姫』

 

「……何だ?」

 

『あなたに会えてよかったわ。こうして最期に娘に本当の気持ちを伝えることができたのだから。……ありがとう』

 

「……そうかい」

 

そして次の瞬間、9つのジュエルシードが暴走を始めた。

 

「次元震です!中規模以上!」

 

「振動防御!ディストーションシールドを!」

 

「ジュエルシード9個発動!次元震、さらに強くなります!」

 

「転送可能距離を維持したまま、影響の薄い空域に移動を!」

 

「りょ、了解です!」

 

「規模はさらに拡大!このままだと『次元断層』が!」

 

アースラスタッフが忙しく動き出す中で、フェイトが俺に近づいてきた。

 

「龍姫……」

 

「どうした?」

 

「龍姫は、全部知ってたの?」

 

「……ああ。実はフェイトとアルフがいない間に、プレシアさんに会ってたんだ」

 

「お前っ!そんな大事な事、何で黙ってたんだよっ!」

 

俺がそう言った瞬間にアルフが飛び掛ってきて、防御する暇もなく殴り飛ばされた。

 

「龍姫!大丈夫?」

 

咄嗟にアテナが支えてくれたおかげで、俺が床に倒れる事はなかった。

 

「ありがとうアテナ。……管理局が聞いてるような場所で軽々しく言えるわけがないだろう?」

 

「で、でもっ!」

 

「それにな、あの人はフェイトを俺に託すって言ったんだよ」

 

「っ、そんな!」

 

「プレシアさんはこのままジュエルシードの暴走に巻き込まれて、全ての罪を負って消えるつもりだよ」

 

「…………」

 

「さて、どうするフェイト?それを聞いたお前はどうしたい?」

 

試すようにフェイトに問い掛ける。まぁ、答えなんて聞かなくても最初から――

 

「私は……私も、母さんの事が大好き。だから、このままお別れなんてしたくない!母さんを助けたい!」

 

俺はフェイトのその言葉に笑った。.....そうだよな。そんなの当たり前だよな!

 

「よし!なら行くぞ、プレシアさんを助けに!」

 

「うん!」

 

「待ってー!私も行くよー!」

 

駆け出した俺とフェイトの後を追って、なのはもついてきた。

 

俺が導き出す新しい未来(こたえ)の為に、ここからが本当の戦いだ!




あとがき

作者 「今日はいきなり次回予告です!

   次回、第12話『誰も知らない物語の始まり(プロローグ)へ(仮)』

   を、」

龍姫 「ご期待あれ!」
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