魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第12話 『そして、誰も知らない物語の始まり(プロローグ)へ……』

転送ポートへ向かう途中でクロノと合流した俺達は、そのまま時の庭園内部へと転移した。

 

「何だあれは!?」

 

「凄い数だ……正面突破は厳しいかもね……」

 

到着した俺達を出迎えたのは、おびただしい数の機械人形の群れだった。

 

「(ハイペリオン、周囲の魔力はどんな感じだ?)」

 

『(はい。ジュエルシードの暴走のおかげで、過剰な程の密度になっています)』

 

「(そうか。……ならいけるな)」

 

『(やりますか?)』

 

「(ああ)全員、俺の後ろに集まれ!」

 

「皆さん、急いで龍姫の後ろに!」

 

『Charge start』

 

全員に指示を出して、俺は周囲の魔力を集束しにかかる。

アテナがフォローしてくれたので、迅速に皆が集まった。

 

「一体何をする気だ!?」

 

「目の前のアレを片付ける!KYは黙ってろ!」

 

「何だとっ!」

 

KY(クロノ)が突っかかってくるが、適当にあしらう。

 

『Charge complete』

 

「いくぞ!『トリトンウェーブ』!」

 

俺がそう口にした次の瞬間、目の前に群がってきた機械人形どもは突如出現した津波に飲み込まれていった。

 

「なっ!?」

 

「「「「す、凄い……」」」」

 

その光景に全員が驚きの声を上げ、呆然としていた。

 

「おい!ボケッとしてると置いてくぞ!(ハイペリオン、魔力チャージは常にしといてくれ)」

 

『(了解です)』

 

こうして、俺達は時の庭園(ラストダンジョン)へと足を踏み入れた.....

 

 

 

 

 

ひたすら庭園内を駆け続ける俺達。っていうかここの廊下広過ぎだろ!

 

しかしさっきからそうなんだが、廊下が穴だらけで進みにくい事この上ない。

 

「その穴、特に黒い淀みがあるところは気をつけて」

 

と、クロノが俺達に向かって注意を促してきた。

 

「その黒い淀みは虚す――」

 

「そこは虚数空間って言うんだ。あらゆる魔法が一切発動しなくなる危険な空間だよ。飛行魔法もキャンセルされるから、絶対に落ちないように!」

 

「うん。たっくん、気をつけるよ」

 

「龍姫、よく知ってるね?」

 

「このくらいは当然さ」

 

クロノが何か言いたそうな目でこちらを見てくるが、知らぬフリをする。

 

しばらくして、ようやく扉が見えてきた。.....このまま突撃する!

 

 

――バンッ!

 

 

扉を蹴破ると、中で待っていたのは機械人形の群れ、群れ、群れ。

 

「チッ!邪魔なんだよ!」

 

『アヴァランチ・プレッシャー』

 

今度は雪崩を起こして全てを押し流す。

 

「ここから2手に分かれよう」

 

敵が片付いたところで、クロノから提案が。

 

「そうだな。だったら、なのはちゃんとユーノ、アテナは最上階へ行って駆動炉の封印を。俺とフェイト、アルフ、ついでにクロノはプレシアさんのところへ行くぞ!」

 

「勝手に話を進めるな!それに僕をついで扱いするな!」

 

「まぁまぁ、落ち着いてクロノ」

 

怒鳴るクロノをユーノが抑える。今後もこんな関係が続くんだろうな、この2人。

 

「たっくん……」

 

と、なのはが不安そうに俺の名前を呼んだ。.....仕方ないな。

 

「大丈夫だよ。例え離れていても僕達の心はいつも繋がってる。不安に思う事なんて何もないよ」

 

「……うん!」

 

俺がそう言って笑うと、なのはも笑顔になってくれた。.....そうそう、いつも笑顔じゃないとな。

 

「それじゃ、行くぞ!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

俺はフェイト達と一緒に、庭園最深部へと走り出した。

 

 

 

 

 

走り出してしばらくして、最深部へ続くと思しき扉が見えてきた。

 

「よし!あれだな!」

 

そのまま突撃しようとして――

 

『(タツキ、こちらに急速で接近してくる物体が)』

 

「何だって!?」

 

突然のハイペリオンからの警告(アラート)に足を止めた。

 

 

――ドゴンッ!

 

 

すると俺と扉のちょうど間の空間に、上から一際デカい機械人形が落ちて来た。

 

「あっぶねー!サンキュー、相棒!」

 

『どういたしまして』

 

「龍姫!大丈夫!?」

 

「平気かい!?」

 

フェイトとアルフは心配してくれたらしい。そういう気遣いはありがたいな。

 

「どうする!ここを通るにはアイツを倒さないと先に進めないぞ?」

 

「わかってる。速攻で倒すぞ!」

 

「うん!」

 

「オッケー!」

 

「いいだろう!」

 

そうして4人で攻撃を集中するが.....

 

「バカなっ!?」

 

「嘘……」

 

「そんな……」

 

ヤバい.....ほとんど効いてないな。コイツこんなに堅かったか?いや、むしろコイツだけ特別製とか?

 

「どちらにしろ面倒な事に変わりはないか……」

 

どうする?

 

「龍姫、どうしよう!?」

 

フェイトが俺に聞いてくる。.....仕方ない。切り札を1つ切るか。

 

「フェイト、アルフ、クロノ。少しだけアレの相手を任せてもいいか?」

 

「いいけど、何か手があるの?」

 

「ああ」

 

「……わかったよ。任せな」

 

「君の指示に従うのは癪だが、この際仕方ない。協力しよう」

 

「5分でいい。頼んだぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

散開してヤツに攻撃を仕掛ける3人。よし、今のうちに.....

 

「ハイペリオン、召喚魔法を使うぞ」

 

『タツキ、やる気ですね?』

 

「ああ。こんなところで足止めを喰らってる場合じゃないからな」

 

『わかりました。召喚魔法陣、展開します』

 

そして、俺の目の前に巨大な魔法陣が現れる。

 

「我、氷護龍姫の名にて求む。我と契約を結びし友よ。我が喚び声に応え、その姿を現せ!『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』、召喚!」

 

 

「グァァアアア!」

 

 

魔法陣から出てきたのは、純白の体躯に青い眼をした1匹の巨龍。某社長の魂のカードに描かれた伝説の龍である。

 

「えっ!?」

 

「な、なんだいありゃ!?」

 

「召喚魔法だって!?」

 

突然現れたその存在に三者三様に驚くフェイト達。

 

「(我を喚んだのは龍姫か。久しいな。何用だ?)」

 

「ああ、久しぶりだな。いきなりで悪いんだが、アイツを破壊し(やっ)てくれるか?」

 

そう言って、機械人形(デカブツ)を指し示す。

 

「(なるほど承知した。あの程度、我の敵ではないわ)」

 

「流石だな。……そうだ。できればヤツの後ろの扉もブチ抜いてくれるとありがたいんだが……」

 

「(お安い御用だ)」

 

「よし!3人とも、俺の後ろに集まれ!」

 

俺の声に反応して、フェイト達が俺の後ろに飛んでくる。それじゃ、バリアを張って.....っと。

 

「いくぜ!『滅びの――」

 

 

――キュゥゥゥゥン.....

 

 

ブルーアイズの口に莫大な量の魔力が集まる。

 

「――爆裂疾風弾(バーストストリーム)』!」

 

 

――ズドォ――ン!

 

 

通路を青白い閃光が駆け抜けると同時に、凄まじい衝撃が走った。

 

「「きゃあーっ!?」」

 

「うわぁっ!?」

 

あまりの衝撃に声を上げる3人。

そして、全てが止んだ後には――

 

「(フン。他愛もない)」

 

身体の中央に大穴を開けた機械人形と、ブチ抜かれた扉があるだけだった。

 

「なんていう威力だ……」

 

「驚いたねぇ……」

 

「す、凄い……凄いよ龍姫!」

 

「フェイト!?」

 

突然フェイトが俺に抱きついてきた.....って、ちょっと待てぃ!

 

「フェイト!嬉しいのはわかったけど、突然抱きつかれたらビックリするだろ?」

 

「え?……あ!?あぅ……////」

 

自分が何をしていたのか気付いたフェイトは顔を真っ赤に染めると、そそくさと俺から離れた。

 

「ご、ごめんね……」

 

「謝らなくていいよ。俺は別に怒ってるわけじゃないから」

 

「う、うん……」

 

「(龍姫よ。お主もなかなかやるではないか)」

 

「ん?……って、ああ!?忘れてた!」

 

こちらを見ていたブルーアイズに今更気付いた俺。.....表情はイマイチよくわからないが、声の調子からして明らかに笑ってるよな。

 

「(それにしても可愛らしい娘だな)」

 

「そ、そんな……可愛いだなんて……」

 

ブルーアイズの言葉に赤くなって俯くフェイト。

 

「確かに可愛いのは俺も認めるが、別にそれだけだぞ?」

 

「はぅ……////」

 

あ、ヤベ.....余計な事言ったか?

 

「(そこまで否定するとは、逆に怪しいな)」

 

「もういい!これ以上茶化すようなら帰ってくれ!」

 

「(そうだな。邪魔者はこれで退散するとしよう)」

 

「だーかーらーっ!そうじゃないってば!」

 

「(フフッ、今回は面白いものが見られた。皆にも伝えておくとしよう)」

 

「や、やめろ!それだけは勘弁してくれ!」

 

「(ではさらばだ)」

 

そう言って魔法陣へと還っていくブルーアイズ。

 

「……さ、最悪だ……」

 

「だ、大丈夫?」

 

落ち込む俺の肩をそっと叩いてくれるフェイト。あぁ、その優しさが身に染みる.....

 

「……よし!もう大丈夫だ!それより先を急ぐぞ!」

 

無理矢理自分を奮い立たせ、目指す先へと進む。

 

「うん!」

 

「ああ!」

 

「コラ!僕を置いて行くな!」

 

これで障害はなくなった。あとはプレシアさん、あなただけだ!

 

 

 

 

 

―Side プレシア

 

 

 

――ビー!ビー!

 

 

辺りに警報が鳴り響く。

 

「……新たな侵入者、誰かが入ってきたようね」

 

私は隣に浮かぶアリシアのポッドを撫でながら思う。

 

(フェイト……私のもう1人の娘……どうかあなただけは、幸せに生きて頂戴……)

 

「フェイト……ゴホッ!ゴホッ!」

 

咳き込む私。病は既に私の全身を蝕んでいる。.....もうダメね.....

 

その時庭園の揺れが急激に弱まり、突然目の前にモニターが開いた。

 

「プレシア・テスタロッサ」

 

「くっ!」

 

目の前に映し出されたのは、管理局の制服を着た緑の髪の女性。来たわね.....

 

「終わりですよ。次元震は私が抑えています。駆動炉も直に封印……あなたの元には執務官が向かっています。忘れられし都アルハザード……そしてそこに眠る秘術は、存在するかどうかすら曖昧なただの伝説です」

 

「……それでも、私は行かなければならないの……」

 

「……随分と分の悪い賭けだわ」

 

「わかっている。でもやらなければならない。取り戻すのよ……こんなはずじゃなかった、世界の全てを!」

 

私は清算しなければならない.....全ての過ちを.....あの子の、フェイトの幸せの為に!

 

 

――ドカァァァン!

 

 

その時、突如として壁が崩れた。そこから出てきたのは黒衣に身を包んだ少年.....彼が執務官ね。

 

「世界は、いつだって……こんなはずじゃない事、ばっかりだよ……!ずっと昔から、いつだって誰だってそうなんだ!」

 

「よく言ったクロノ!その通りだ!」

 

そしてもう1人、私のよく知る顔が姿を現した。

 

「氷護、龍姫……」

 

「やぁ、プレシアさん。また会ったな。今日は会わせたい人がいるんだ」

 

そうして彼の後ろから出てきたのは、私の愛する2人目の娘だった。

 

 

 

―Side Out

 

 

 

 

 

 

「母さん!」

 

「フェイト……何を、しに来たの?」

 

自分へ近づいてこようとするフェイトを、プレシアさんは厳しい目で見つめる。

 

「私は……」

 

フェイトはゆっくりと歩み寄り、プレシアさんの正面に立った。

 

「私は、母さんを助けに来ました」

 

「っ!」

 

その言葉に、プレシアさんの気持ちが大きく揺れたのがわかった。頑張れ、フェイト.....

 

「私は、母さんに喜んで欲しかった。笑顔になって欲しかった。でも、さっき母さんが見せた寂しそうな笑顔……私は、母さんのあんな笑顔が見たかったわけじゃない!」

 

周囲に響くフェイトの叫び。原作にはなかった、俺が見たかった光景。新たな未来(こたえ)が、ここにある。

 

「母さん……一緒に、帰ろう?」

 

「私は……」

 

フェイトがプレシアさんに向かって手を伸ばしたその時、プレシアさんの足元が崩れた。

 

「母さんっ!?」

 

「させるかぁっ!」

 

『アクセル・フルスロットル』

 

俺は今まさに落下していこうとするアリシアのポッドとプレシアさんの元へと飛翔した。

 

「龍姫!?」

 

「うおぉぉぉおおおおっ!」

 

間一髪のところで2人を拾った俺は、そのまま安全な場所まで連れて行く。

 

「あ、あなた……」

 

「これ以上、フェイトを、悲しませないでくれ!あなたは、あの子の為にも、生きなきゃ、いけないんだよっ!」

 

「……私は、間違っていたのかしら……」

 

ポツリと呟くプレシアさん。俺は乱れた呼吸を整えて、それに答える。

 

「……さぁな。だが、あなたが生きている事がフェイトにとって幸せである事は間違いないさ」

 

「……そう」

 

そう言って、プレシアさんは黙り込んでしまった。

 

 

 

しばらくして駆動炉の封印に向かったなのは、ユーノ、アテナが合流し、俺達はエイミィの誘導でアースラへと帰還した。

 

こうして今、ようやく『PT事件』は静かにその幕を下ろした。

 

誰も知らない、新しい物語の始まり(プロローグ)を予感させながら.....




あとがき

龍姫 「よかった……本当によかった……」

作者 「お?何だ泣いてるのか?」

龍姫 「うるせぇ!いいだろ、こんな時くらい」

作者 「別に誰も悪いとは言ってないって……」

龍姫 「……次回はいよいよ無印最終回だな」

作者 「ああ。全ての決着、そして新しい始まりへの第1歩だ」

龍姫 「それじゃ、次回予告!

   次回、第13話『名前を呼んで』

   を、」

作&龍 「「よろしくお願いします(な~)!」」
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