魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第18話 『悲しき運命の連鎖を終わらせる為に』

―Side ??

 

 

 

現在、6月3日の午後11時59分。

 

「すぅ……すぅ……」

 

部屋では1人の少女が静かに寝息を立てていた。

 

少女の名前は八神はやてと言う。日付が変われば、彼女は9歳の誕生日を迎える。

 

 

――カチカチカチ

 

 

静かな室内に、秒針が時を刻む音が響く。

 

 

――カチカチ、カチッ!

 

 

そして全ての針が12を指して重なった時、『ソレ』は目を覚ました。

 

机の上に置かれていた表紙に剣十字の紋章がついた立派な装丁の本が、突然輝きだした。

 

「ん……」

 

光の眩しさに目を覚ましたのだろう。少女がゆっくりと身体を起こす。

 

「え!?」

 

そうして目を覚ました少女は、起き上がるなり驚きの声を上げた。なんと1冊の本が宙に浮いていたのだ。

そして、

 

 

――ギチギチ、バキィン!

 

 

縛っていた鎖が解き放たれ、勝手に開くとそのページをめくっていく本。

少女が呆然とその光景を見つめる中、やがて最後のページまでめくり終えた本はこれまた勝手に閉じた。

 

『Anfang(起動)』

 

さらに本から機械音声が聞こえる。

 

「あっ……ぁぁ……」

 

怯えて後ずさる少女。突如、強烈な閃光が部屋を埋めた。

 

「うっ……」

 

少女は眩しさに顔を背ける。

やがて光は収まり、少女が自分の正面を見ると、そこには自分に傅く4人の男女がいた。

 

驚きに目を見開く少女。しかしそんな彼女を置いて、4人が口を開く。

 

「『闇の書』の起動、確認しました」

 

「我ら、『闇の書』の蒐集を行い、主を守る守護騎士でございます」

 

「夜天の主の下に集いし雲」

 

「ヴォルケンリッター。……何なりと命令を」

 

今宵、ついに新たな物語がその幕を上げた。

 

これから先どのような展開を見せ、どのような終幕(フィナーレ)を迎えるのか、それは誰にもわからない。

 

 

 

―Side Out

 

 

 

 

 

 

今日は6月4日。はやての誕生日だ。

日付けが変わったと同時に『闇の書』が起動、守護騎士達が姿を現した事だろう。

 

今は学校も終わって放課後、先日の約束を果たすためにはやての家へと向かっている最中だ。

ちなみに翠屋へ行く予定を変更してはやての家で誕生日を祝う為に、事前にケーキを購入してきた。

この時期になのはとヴォルケンズが鉢合わせる状況は、やっぱり作りたくなかったんでね。

 

「いよいよだな……」

 

これからの事を考えて、若干緊張気味の俺。

 

「いやいや、弱気になってもしょうがないだろ!はやてを、そして騎士達と『アイツ』を助けるんだから!」

 

首を振って緊張を振り払い、決心を固める。......よし、やるぞ!

 

 

 

そうしてはやての家の前に到着。

.....やっぱり結界が張ってあるな。

 

『(タツキ、どうしますか?リミッターをかけるならすぐに実行しますが)』

 

「いや、いいよ。このままで行く」

 

『(守護騎士達に警戒されるのでは?)』

 

「承知の上だ。それに俺はアイツらと敵対する気はない」

 

『(向こうはそう思ってくれないかもしれませんよ?)』

 

「そこは上手い事説得してみせるさ」

 

『(わかりました。それでは私はもしもの事態に備えておきます)』

 

「そうしてくれ」

 

相棒と言葉を交わし、俺は八神家の敷地に足を踏み入れた。

 

 

――ピーンポーン

 

 

「はぁーい!」

 

インターホンを鳴らすと、知らない女性の声が返ってきた。

 

 

――ガチャ

 

 

「お待ちしていました。はやてちゃんから話は聞いています。どうぞ」

 

ドアが開き、中から姿を現したのは金髪ショートボブの女性――シャマルだった。

表情はにこやかだが、明らかに俺を警戒しているのが気配でわかる。

 

「そうですか。それじゃ、お邪魔します」

 

そうして通されたリビング。

 

「「「「(じーっ)」」」」

 

「あ、龍姫君!いらっしゃい!」

 

「はやて、お誕生日おめでとう。やっぱり家の方がいいかと思って、結局翠屋でケーキを買ってきちゃったんだ。ごめんね?」

 

「そんなん気にせんでええよ。それより、おおきにな」

 

「「「「(じーっ)」」」」

 

「どういたしまして。それから、こっちは誕生日プレゼントだよ。自作のブレスレットなんだけど、どうかな?」

 

「龍姫君の自作?へぇ~、器用なんやね。嬉しいわぁ。……つけてくれる?」

 

「うん。……っと、できたよ」

 

はやての右手首にブレスレットをつけた。

 

「ふふっ、男の子からもらった初めてのプレゼントや」

 

そう言って嬉しそうに笑うはやて。よかった。気に入ってもらえたみたいだ。

 

「「「「(じーっ)」」」」

 

.....ところで、そろそろツッコんでもいいか?いいよな?

 

「あのー、何か?」

 

「「「え?」」」

 

「わう?」

 

さっきから俺とはやてのやりとりをじっと見ていた3人と1匹に声を掛ける。

 

「あ、いや、すまん。別に大した事ではないんだ」

 

3人の中の1人、ポニーテールの女性――シグナムが慌てた様子でそう答えた。

 

「そういえばまだ紹介してなかったな。龍姫君、この人らはわたしの親戚なんよ。誕生日のお祝いに、サプライズで来てくれたんや」

 

はやて.....いくら何でもそれは言い訳として苦しすぎるだろ。別にツッコむ気はないけど。

 

「シグナムだ。先程は失礼した」

 

「シャマルです。よろしくね」

 

「……ヴィータ」

 

「わふっ!」

 

それぞれが自己紹介をする。ヴォルケンズも主の手前、今は大人しくしている。.....それにしても、ヴィータは素っ気ないなぁ。

 

「こら、ヴィータ!そんな挨拶はアカンよ。……あ、こっちの大きい犬はザフィーラや」

 

「そうなんだ。あ、僕は氷護龍姫って言います。皆さん、よろしくお願いします」

 

そう言って頭を下げる俺。

 

 

 

それからパーティーが始まり、皆が終始笑顔ではやての誕生日を祝った。

.....まぁシグナム、シャマル、ザフィーラは常に俺の動きを警戒していたし、ヴィータはあからさまに俺を敵視していたが。

 

そうして水面下で展開されていた緊張状態は、はやてがトイレで席を外した時に限界を迎えた。

 

「おい、氷護といったか」

 

シグナムが静かに、しかし鋭い口調で話しかけてきた。

 

「何か?」

 

俺はそれに気付いていない風を装って、平然と答える。

 

「貴様、魔導師だな?」

 

「そうだ、と言ったら?」

 

 

――ジャキッ!

 

 

「何が目的で我らが主に近づいた」

 

俺の喉元に(デバイス)を突きつけてくるシグナム。

 

「別に何の目的もない。俺はただはやての友達でいたいだけだ」

 

「その言葉を信じろと?」

 

「判断はアンタらに任せる。……それより今晩時間を作ってくれないか?少し話がしたい」

 

「何だと?」

 

「おそらくアンタらにとっても有益な話だと思うぞ?『闇の書』の守護騎士、ヴォルケンリッターの諸君?」

 

「「「っ!?」」」

 

「貴様、我らの事を知っているのか?」

 

俺の言葉を聞いた途端、ヴォルケンズに動揺が走る。

 

「ああ。恐らくアンタらよりも深いところまで色々知ってると思うぞ?」

 

「なっ!そんな事はありえんっ!」

 

「ありえるかありえないかは俺の話を聞いてから判断してくれ。で、どうする?」

 

「「「「…………」」」」

 

俺の問いに黙るヴォルケンズ。念話で話し合っているんだろう。

しばらくして、

 

「……いいだろう。貴様の話とやらを聞いてやる」

 

シグナムがそう答えた。

 

「よし。それじゃ――」

 

「ごめんなー。ちょう遅くなってもうて」

 

言いかけたタイミングではやてが帰ってきた。

 

「(それじゃ日付けの変わる頃に迎えに来るから、家の前にいてくれ)」

 

「(了解した)」

 

俺が咄嗟に秘匿回線の念話に切り替えて用件を伝えると、シグナムもそれに対応してくれた。

 

その後も滞りなくパーティーは進み、やがてお開きの時間になった。

 

「それじゃはやて、今日はこれで帰るね」

 

「今日はおおきにな、龍姫君。プレゼント、大事にするよ」

 

「ありがとう。翠屋へはまた今度行こう。その時には友達も紹介するよ」

 

「うん。楽しみにしとるよ」

 

「任せて。なるべく早くできるように調整するから」

 

そう言って、俺ははやての家を後にした.....

 

 

 

 

 

同日、深夜。

約束の時間が近づき、俺はアテナを伴って再びはやての家にやって来た。

 

「早いな」

 

「こんばんは、皆さん」

 

俺達が着いた時には、既にヴォルケンズは外にいた。

 

「来たか.....そちらの女性は?」

 

「家の居候だよ。魔法について知っている、な」

 

「「「っ!?」」」

 

「ああ、落ち着いてください。私も龍姫同様、あなた方と争う気はありませんから」

 

にわかに殺気立つヴォルケンズに、アテナが落ち着くよう促す。

 

「……わかった」

 

「それじゃ移動しよう。ついて来てくれ」

 

さぁ、始めよう。永劫の闇の終焉へ向けた戦いを!




あとがき

龍姫 「ヴォルケンリッター参上、だな」

作者 「ああ。……しかしどんどんキャラが増えていくよな、この作品」

龍姫 「お前、今からそんな事言ってたら3期はどうするんだよ」

作者 「……どうなるんだろうね」

龍姫 「遠い目をして現実から逃げるな」

作者 「え~、次回は龍姫とヴォルケンズの会合です」

龍姫 「今度は話題を逸らしてきたか……まぁそうなるな」

作者 「果たして龍姫はどのような未来を提示するのか?」

龍姫 「ハッピーエンド以外はありえないと以前言っただろう」

作者 「……いや、まぁ確かにそうだけど」

龍姫 「もちろん、今回もその方針は変わらない」

作者 「……だそうです。それでは次回予告!

   次回、第19話『壊れた過去と創造する未来(仮)』

   を」

龍姫 「お楽しみに~!」
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