魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第22話 『俺と魔王と夜叉の嘱託試験』

「たっくん!覚悟、なの!」

 

「龍姫!そこを動かないで!」

 

「そんな事できるかぁぁあああっ!」

 

何故か今、俺はなのはとフェイトの2人に追い回されている。

 

「フェイトちゃん!」

 

「なのは!」

 

「いくよ!ディバイィ――ン」

 

「サンダァ――」

 

なっ!?ここで同時砲撃だって!?あれはヤバい!

 

「ハイペリオン!」

 

『All right, master』

 

「『アイギスⅡ』!」

 

『AegisⅡ』

 

急いで盾を展開し、ありったけの魔力を込める。

 

「バスタァ――!」

 

「スマッシャァ――!」

 

「うおぉぉおおおっ!?来たぁぁあああっ!?」

 

 

――ズガァァンッ!

 

 

ものすごい轟音と共に2人の砲撃が盾に刺さる。

 

 

.....ところで、なんで俺がこんな目に遭ってるかって?それは遡る事数日.....

 

 

 

 

 

「は?嘱託試験の試験官?」

 

今日は7月某日。

突然アースラに呼び出された俺は、そんな仕事を言い渡された。

 

「ああ。実は受験者が出たんだが、実技試験の試験官をできる局員がいなくてね」

 

「そんな高ランクのヤツなのか?」

 

「こちらの見立てではAAAランクという事だ」

 

「へぇ……なかなか優秀だな。……待てよ?それならクロノ、別にお前でもいいだろ」

 

そう言って向かいに座っているクロノに返す。一応コイツのランクはAAA+だからな。

 

「僕はちょうどその試験の日に別の任務が入っているから無理なんだ」

 

「……俺も別に暇ってわけじゃないぞ?」

 

なんせ『闇の書』の修正プログラム作りがあるからな。

 

「だが君はその日、特に任務を受けているわけではないだろう?」

 

「う……それはそうだが……」

 

「ならいいじゃないか。文句を言うな」

 

「へいへい。わかったよ」

 

「それじゃ、これが正式な辞令だ。よろしく頼んだぞ」

 

そう言って席を立ったクロノ。

 

.....あ、受験者の名前聞き忘れた。

 

 

 

 

 

そして嘱託試験当日。

実技試験の開始時間が近づき、転送ポートで待つ俺。すると――

 

『龍姫君、お待たせ~!これから試験会場に送るけど、準備はいい?』

 

「ああ……って、その声はエイミィか?」

 

『当ったり~!……それじゃ、いっくよ~!』

 

聞き慣れた声が聞こえたと思ったら、その正体はエイミィだった。そして特に会話をする間もなく、俺は転送された。

 

 

 

『試験官って誰なんだろうね?』

 

『う~ん……誰だろう?』

 

『まぁ誰が相手でもアタシらの敵じゃないさ!』

 

転送先に着いたと思しきその時、そんな会話が聞こえてきた。声からして女性.....しかも3人だな。

 

.....よし、ここは試験官としての威厳ってヤツを見せてやるか。

 

「俺が試験官だ」

 

無駄に堂々とした声で受験者に告げる俺。

 

「え!」

 

「あ!」

 

「アンタ!」

 

はっはっは。驚いてる驚いてる.....って、んなっ!?

 

「受験者ってお前らの事かぁぁあああっ!」

 

「はわっ!?」

 

「ひゃうっ!?」

 

「うわっ!?」

 

突然大声を出した俺に驚きの声を上げた受験者3人。それは――

 

「そ、それはこっちの台詞なの!」

 

「た、龍姫が私達の試験官だったんだ……」

 

「まさかアンタだとは思わなかったよ……」

 

なのは、フェイト、アルフの3人だった。

 

.....ジーザス!クロノからAAAランクと聞いた時に気付くべきだったぜ!よく考えたらコイツらもそうじゃん!

 

『龍姫く~ん?帰っといで~』

 

あまりのショックに愕然としていたところに、エイミィの通信が入った。

 

「ハッ!?」

 

それを聞いて復活する俺。.....いかんいかん。

 

「……それにしても、フェイトが受験する事は知ってたけど、まさかなのはちゃんまで受験するとは思わなかったよ」

 

なのはが嘱託資格を取る事は知ってたんだが、原作では試験を受けたなんて情報はなかったからな.....

 

「私もこの前の事件が終わってから考えたんだ。悲しい思いをしている人を助ける為にできる事って何かなぁって」

 

「それで行き着いた結論が管理局の嘱託魔導師って事?」

 

「そうなの!」

 

.....なるほどね。なのはらしいっちゃらしいな。

 

「そういえば先月くらいからあまり龍姫の姿を見てなかったけど、何してたの?」

 

「あ、それ私も気になる!たっくんってば放課後になるとすぐ教室からいなくなっちゃうんだもん」

 

「あー、それね。実は5月の終わりに図書館に行った時に友達になった子がいてね。その子のところに遊びに行ってたんだ」

 

「へぇ~。それってどんな子なの?」

 

「私にも教えて欲しいな」

 

「そうだね。近いうちに紹介しようとは思ってたんだけど、実は僕達と同い年の女の子なんだ。名前は八神はやてって言うんだけど……」

 

 

――ピシッ

 

 

そういった瞬間、空気が凍った。.....あれ?

 

「……そっか。そうだったんだ……たっくんってばいつの間にか新しい女の子とお友達になってたんだね……」

 

「最近全然龍姫に会えなかったからちょっと心配してたのに、まさか他に女の子ができてたんだ……」

 

さらに全身から真っ黒なオーラを発し始める2人。

 

「なのは?フェイト?2人ともどうしちゃったのさ?」

 

訳がわからず、俺は2人に問いかけた。

 

「「たっくん(龍姫)、私とO☆HA☆NA☆SHIしようか……」」

 

.....バカな!?何故俺にO☆HA☆NA☆SHIフラグが!?

 

「ちょっと待って!とりあえず2人とも落ち着こう?ね?」

 

.....ヤバい!とにかくヤバい!目の前にいる2人はもういつものなのはとフェイトじゃない!アレは「白い悪魔」と「金色の夜叉」だ!

 

「大丈夫だよたっくん。私は落ち着いてるの」

 

「そうだよ龍姫。私はとっても冷静だよ?」

 

.....絶対にそうは見えん。

 

「ハッ!待てよ?……確かに今の状況はヤバいかもしれないけど、試験になれば1対1だから大じょ――」

 

『あ、龍姫君?伝え忘れてたんだけど、今日の試験はなのはちゃん達との3対1だから』

 

.....ノォォォオオオッ!?

 

「ちょっと待て!アレの相手を俺1人でやれと!?それは俺に対する死刑宣告か!?そうなんだな!?」

 

『またまた、冗談言っちゃって!龍姫君なら3人相手でも充分試験官が務まるでしょ?』

 

「そりゃ2人の精神状態が平常だったらな!ああなっちまったら正直俺の手にもあま――」

 

『それじゃこっちでモニターしてるから、早く試験を始めてね~!』

 

そこで無情にも切れる通信。.....オーマイガッ!

 

「たっくん……早く試験を始めるの……」

 

「龍姫……早くやろうよ……」

 

ハイライトの消えた瞳で、俺に向かってそれぞれの愛機(レイハとバル)を構える2人。

 

くっ.....やるしかないか.....

 

「……よし!それではこれより戦闘試験を開始する!3人ともかかってこい!」

 

こうして話は冒頭に戻る。

 

 

 

 

 

 

―Side なのは

 

 

 

「むぅ……アレも防がれたなの……!」

 

「やっぱり龍姫の守りは堅い……!」

 

私とフェイトちゃんの同時砲撃も、たっくんの盾によって防がれてしまいました。

 

「(フェイトちゃん!私『SLB』を撃つの!少しの間時間を稼いでくれる?)」

 

「(……そうだね。確かにアレくらいやらないと、龍姫の防御は抜けないかも……うん。任せてなのは!)」

 

フェイトちゃんとそう念話を交わすと、私は戦場から少し距離をとります。

 

「いくよ、レイジングハート!」

 

『Starlight Breaker』

 

私の声に応えて、レイジングハートが魔力のチャージを始めます。

 

「はぁぁあああっ!」

 

私の眼下では、フェイトちゃんとたっくんが激しい攻防を繰り広げています。

 

「レイジングハート!たっくんに気付かれる前に、何としても決めるよ!」

 

『All right, my master』

 

私の目の前に展開された魔法陣に魔力が集まって、桜色の球がだんだん大きくなっていきます。

 

「きゃあぁぁあああっ!?」

 

その時、突然フェイトちゃんの悲鳴が聞こえてきました。

 

「フェイトちゃん!?」

 

下を見ると、フェイトちゃんがたっくんの攻撃にシールドを破られて吹き飛ばされていくのが見えました。

 

「うぉっ!?アレは『SLB』……なのはか!?」

 

そして、たっくんがこちらに気付いてしまいました。

 

「っ!レイジングハート!急いで!」

 

『Count 9, 8, 7,……』

 

発射までのカウントダウンが始まります。

 

「くそっ!やらせるかぁぁあああっ!」

 

たっくんがこっちに向かって飛んできました!

 

「早く……早く……っ!」

 

『……3,2,1』

 

やった!間に合うの!

 

『Count 0』

 

「たっくん、これで終わりなの!スターライトぉ……ブレイカ――っ!」

 

掛け声と共に発射される私の切り札。.....これならっ!

 

「ハイぺリオン、フルドライブ!」

 

『Drive burst』

 

だけどその時、突然たっくんから感じていたプレッシャーが膨れ上がりました。

 

「え!?」

 

「『フォースアブゾーブフィールド』、展開!」

 

『Force Absorb Field』

 

そして、たっくんの周りを覆うように防御魔法が張られます。

 

「それでもっ!防御の上から撃ち抜くの!」

 

フェイトちゃんと出会ったあの事件の後も、毎日ユーノ君と一緒に魔法の練習をしていた私。その成果を見せてあげるの!

 

 

――ズドォォンッ

 

 

たっくんが張ったフィールドに『SLB』が直撃します。.....やった、なの!

 

「……残念だったな」

 

そこに突然聞こえた、たっくんの声。

 

「へ!?」

 

だんだん勢いを失くし、収まっていった光の先には、フィールドに守られた無傷のたっくんがいました。

 

「なのは、さっきのは流石にちょいと俺もビビったぞ?……という訳で、お返しだ!」

 

『Reflect Burst Full Drive』

 

 

――キィィィン!

 

 

「え?え?」

 

どうしてたっくんが無事だったのかわからずに混乱する私に向けて、砲撃の準備をするたっくん。

 

『マスター、防御の準備を』

 

「ふぇ!?あ、そ、そっか!」

 

レイジングハートの指摘に、慌ててシールドを張ろうとしたその時――

 

 

――ジャキィィン!

 

 

「っ!?バインド!?そんな……いつの間に!?」

 

突然現れたバインドに絡め取られて、身体が動かせなくなってしまいました。

 

「ふっふっふ……それはな、なのは。お前が『SLB』発射後に状況を見守ってきた時に仕掛けたんだよ」

 

私の呟きにたっくんが律義に答えてくれます。

 

「……それになのは。この状況、どこかで見覚えはないか?」

 

「この状況に見覚え?う~ん……あっ!?」

 

「覚えていたようだな。……そうだ。お前がフェイトと決闘をしたあの時と同じ状況だよ」

 

「た、たっくん?どうしてこんな事を!?」

 

「ちょっぴりおイタをした子にお仕置き、だよ」

 

「そ、そんなぁ……」

 

「と言う訳で、これで終わりだ!」

 

『Burst Break』

 

 

――ズドォォンっ!

 

 

次の瞬間私の『SLB』と似たような魔力砲が放たれ、ロクに防御もできない私に直撃します。

 

「きゃあぁぁあああっ!」

 

強大な光の奔流に飲み込まれ、だんだん意識が薄れていく中で私が思った事。それは――

 

.....あの時のフェイトちゃんってこんなだったんだ。確かにやりすぎだったかも。ごめんね、フェイトちゃん.....

 

そんな事でした。

 

 

 

―Side Out




あとがき

龍姫 「今日はいきなり次回予告だ」

作者 「次回、第23話『試験終了!その結末は……(仮)』を」

龍姫 「乞うご期待!」
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