修正プログラム完成の翌日・夜。
「……という訳で明日『闇の書』の修復をしようと思うんだけど、どうかな?」
『うん。明日は皆家におるから大丈夫や』
「よかった。あ、それから修復のついでに僕の知り合いの魔法関係者を紹介したいんだけど、いいかな?」
『え?龍姫君のお仕事仲間の人?』
「う~ん、まぁそういう事になるのかな?はやて、そっちの知り合いもいた方がいいと思ってさ」
『せやね。龍姫君の知り合いなら良い人達だと思うし……うん。お願いや』
「うん。……それじゃ、明日の午後2時に海鳴臨海公園に来てくれる?」
『わかった。ふふっ、今から明日が楽しみや』
「そうだね。それじゃ、おやすみはやて」
『龍姫君も、おやすみな~』
そう言ってはやてとの電話を切った。次はなのはとテスタロッサ家に連絡を入れないとな。
そして夜が明けた次の日。
時刻は午後1時30分。場所は海鳴臨海公園。
「ねぇねぇたっくん。私達に紹介したい魔導師の人達って?」
「龍姫、聞いても全然教えてくれないし……少しくらいいいでしょ?」
「たつきー、私も知りたーい!」
「そうね。私も気になるわ。まさか龍姫の身近にまだ魔導師がいたなんて」
現在、俺はアテナと先に呼び出しておいたなのは(withユーノ)とテスタロッサ家(フェイト、プレシア、アリシア、アルフ)と一緒にはやて達の到着を待っている。
ちなみに今日は俺が同伴という事で、フェイト達の監視は解けている。まさに絶好の機会だ。
さらに、今海鳴市全域には俺が張った様々な効果の結界が20枚くらい掛かっている。外からの介入はまずありえない。
「ん~、そうだな……とりあえず1人は僕やなのはちゃん、フェイトと同い年だよ」
「ふぇ!?」
「龍姫、それ本当!?」
俺のその発言に、その場にいた全員が驚いた。
「こんな事で嘘を言ってもしょうがないと思うんだけど……」
「た、確かにそうね……」
「この小さな島国に魔導師が3人……凄い事だよ……」
「ああ……アタシも驚きだ」
そうして話しているうちに、時刻は約束の時間の10分前になった。.....そろそろ来るかな?
「龍姫く~ん!お待たせや~!」
と、そこに聞こえてくる待ち人の声。
「あ!来たみたいだね」
「えっ!?」
「あ、あれって……!?」
なのはとフェイトがこの場に現れた人物を見て驚いている。
「いらっしゃいはやて。シグナム達も」
「……って、あれ?どうしてなのはちゃんとフェイトちゃんがここに?……も、もしかして……」
「そうだよ。僕の知り合いの魔導師、なのはちゃんとフェイト、それからなのはの使い魔のユーノとフェイトの家族のプレシアさんにアリシア、アルフだよ」
「ちょっ!?龍姫、僕は別になのはの使い魔じゃないよ!?」
「はじめまして。フェイトの母のプレシア・テスタロッサよ」
「はじめまして、私アリシア。……あ、私は魔法は使えないんだ。えへへ……」
「アタシはアルフってんだ。フェイトの使い魔さ!」
「あ、ど、どうも……八神はやてです。よろしくお願いします……」
まさかの事態に動揺しながらも、はやてが何とか挨拶を返す。
「シグナム達も自己紹介してくれ(『闇の書』の名前はまだ出すなよ?)」
「(わかった)シグナムだ。よろしく頼む」
「シャマルです。よろしくお願いします」
「ヴィータです。よろしく……」
「ザフィーラだ」
「え?」
「い、今……」
「わー!ワンちゃんが喋ったー!」
ザフィーラが喋った事に驚くなのはとフェイト。アリシアは嬉しそうにはしゃぐ。
「ザフィーラは犬じゃなくて狼なんだよ」
「へぇ~。じゃあアタシと同じだね」
「ああ。アルフみたいに人型にもなれるんだよ。な、ザフィーラ?」
「うむ」
そう言って人型に変わるザフィーラ。
「ホントだ。よろしくな!」
「ああ」
そう言って握手を交わすアルフとザフィーラ。
ヴォルケンズの他のメンバーもプレシアさんやユーノと話していた。.....うん、よかったよかった。
「龍姫君!」
「たっくん!」
「龍姫!」
「うわぁっ!?」
1人で皆の様子を見回していたら、はやて、なのは、フェイトの3人がすぐ傍に来ていた。
「な、何かな……?」
3人の剣幕に思わず後ずさる俺。
「わたし、なのはちゃんとフェイトちゃんが魔導師だって聞いてびっくりしたんよ?」
「私もなの!」
「私だって!」
「あー、ごめん。サプライズの方が面白いかなって思ったから……」
「「「そんなの心臓に悪いだけや(なの/だよ)!」」」
思いっきり怒鳴られてしまった。
「すみませんでした……」
そんな3人に、俺は謝るしかない。
それからしばらく皆でわいわい騒いだ後で――
「さて、それじゃそろそろ今日集まってもらった本題に移るよ。はやて」
「うん。これやね」
俺の呼び掛けに、はやてが『闇の書』を取り出す。
「っ!そ、それは……!?」
流石は元・局の技術者。プレシアさんは見た瞬間その正体に気がついたようだ。
「ええ。プレシアさんの思った通りのものですよ」
「そう……」
俺の返答に短くそう答えたプレシアさん。
「たっくん、その本って?」
「何か特別なものなの?」
なのはとフェイトは本の正体を聞いてくる。
「これはね――『闇の書』っていう
「えっ!?」
「ロストロギア!?」
またしてもはやてとヴォルケンズ以外の全員が驚いた。
「この『闇の書』は管理局で指定危険物とされているものなんだけど、これは本来の姿じゃないんだ。っていうのは……」
そうして俺はなのはやフェイト達に『闇の書』のあれこれを話して聞かせた。
「……つまり龍姫はこの『闇の書』を本来の姿、『夜天の書』へ戻そうというのね?」
話を聞いたメンバーを代表してプレシアさんがそう聞いてきた。
「そうです。流石はプレシアさん、理解が早くて助かります。……という事なんだけど、わかってもらえたかな?」
「うん。そういう事なら、私にできる事があれば協力するの!」
「そうだね。私達でできる事があるなら、はやての力になってあげたいな」
「なのはちゃん、フェイトちゃん、おおきにな……」
2人の嬉しい申し出に、ちょっぴり涙ぐむはやて。
「よし。それじゃまずは管制人格を起こさないといけないんだけど、それには400ページ埋めるだけの魔力が必要なんだ」
「えっ!?そうなん?」
「そうなんだ。……で、大半は僕の魔力でいいんだけど、できればなのはちゃんとフェイトにもちょっと魔力を分けてもらいたいなぁ~、なんて……」
「うん。いいよ」
「私も大丈夫だよ」
俺の言葉に、2人は即答してくれた。
「ありがとう。それじゃ、まずは2人から魔力をもらうね……『リンカーコア表出』」
「あぅ……」
「ひゃ……」
自分の胸からリンカーコアが浮いて出る時に声を漏らす2人。.....くすぐったいのか?
「それでここから魔力をちょっと削り取って……っと、これでよし」
そう言って2人の身体にリンカーコアを戻した。
「じゃあこれを『闇の書』に蒐集させて……」
『Sammlung.(蒐集)』
俺が2人から抽出した魔力を『闇の書』にかざすと、その中へと吸い込まれていった。.....2人で70ページか。
「あとは僕の魔力を……んっ……意外とくすぐったいんだな、コレ」
リンカーコアを表に出して、残り330ページ分の魔力を削る。.....これでも全体の100分の1もいってないな。
そこからさらにその魔力を加工して余計な情報(俺の知っている魔法)を消す。流石にこれらを覚えられたらヤバいしな.....
「……よし。さぁ、蒐集していいぞ」
『Sammlung.』
そうして俺の魔力も『闇の書』の中に消えていく。
「これで準備完了っと。はやて、呼んでみて」
「う、うん……おいで……」
――ピカッ!
はやてが呼んだ瞬間強い閃光が走り、それが収まった後には――
「また、全てが終わってしまう……一体いく度、こんな悲しみを繰り返せばいいんだ……」
長い銀髪と真紅の瞳が印象的な1人の女性がそこに立っていた。.....やっと会えたな。
「出てきたな。『闇の書』……いや、『夜天の書』の管制人格」
「これはまた懐かしい名を聞いたな……お前は誰だ?」
「俺か?俺は氷護龍姫だ。お前を悲しみの連鎖から救う者だよ」
「そうか……だがそれは無理な話だ。私が『そう』だった頃の記録など、もうどこにも残ってはいない」
「残念だったな。実は『それ』があるんだよ。ここにこうして」
そこで俺は修正プログラムの一部を見せる。
「これは……バカなっ!何故お前がこれを知っている!」
「ん~……ちょっとした裏技、かな。それよりはやて、この子に名前を」
俺は管制人格との話を切り、はやてに振る。
「あ、うん。えっと……はじめまして……て言うんは変かな?ずっと一緒におったんやし」
「そう、ですね……我が主……」
「わたしがあなたに名前をあげる……もう『闇の書』とか『呪いの魔導書』なんて言わせへん。わたしが呼ばせへん。……わたしは管理者や。わたしにはそれができる」
「っ!……ですが私は……」
はやての言葉を聞いて、目に涙を浮かべる管制人格。
「大丈夫や。安心してな?……夜天の主の名において、汝に新たな名を贈る。……強く支える者、幸運の追い風……祝福のエール……リイン、フォース……」
「リイン、フォース……」
「そうや。おいで、リインフォース」
「はい、我が主」
そう言って抱き合う2人。まずはめでたしめでたし、だな。
.....さぁ、ここからが本当の俺の出番だ!
あとがき
作者 「今回はいきなり次回予告!」
龍姫 「次回、第26話『
作者 「ドライブ・イグニッション!」